
「一生一緒にいようね」と誓い合った仲であっても、離婚の危機は訪れるものです。
最近は、一昔前より離婚をする夫婦が増えたといわれています。
では、実際にどのような理由で離婚を決意するに至るのでしょうか。
裁判所が公開する司法統計によると、男女ともに離婚原因の第1位は「性格が合わない」です。しかし、性格の不一致以外にも、生活費の問題や精神的虐待、異性関係など、さまざまな理由が離婚の引き金となっています。
この記事では、司法統計に基づく離婚原因のランキングを男女別に紹介し、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
なお、離婚についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご検討ください。
夫婦が離婚を考えた原因ランキング
結婚という重大な人生の決断と同様に、夫婦が別れを選択するには原因があります。
では、何が原因で離婚を決意するに至ったのか、性別の離婚原因の状況が裁判所作成の司法統計により公開されていますのでランキング形式で見ていきましょう。
※司法統計では離婚申し立て1件につき3個まで離婚原因を重複計上しています
| 令和5年度(2023年)妻が離婚を考えた原因ランキング |
|---|
| 1位 性格が合わない(38.0%) |
| 2位 暴力を振るう(18.5%) |
| 3位 異性関係(12.9%) |
| 4位 浪費する(8.5%) |
| 5位 性的不調和(6.3%) |
| 6位 酒を飲み過ぎる(5.7%) |
| 7位 病気(1.6%) |
| 令和5年度(2023年)夫が離婚を考えた原因ランキング |
|---|
| 1位 性格が合わない(59.9%) |
| 2位 異性関係(12.0%) |
| 3位 浪費する(11.5%) |
| 4位 性的不調和(10.5%) |
| 5位 暴力を振るう(8.7%) |
| 6位 病気(3.9%) |
| 7位 酒を飲み過ぎる(2.5%) |
出典:令和5年司法統計年報(家事編)第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別
以上のとおり、男女ともに"性格が合わない"を離婚原因の第1位としてあげています。
なかでも、夫の方が、離婚原因として性格の不一致が59.9%であるのに対して、妻は38.0%であることが特徴的です。
また、妻の離婚原因の2位をみると、"暴力を振るう"としており、DVが依然として深刻な問題であることがわかります。
一方で夫については、夫は"異性関係"を2位として挙げていることから、妻の浮気を離婚原因として重視する傾向がみられます。
次にそれぞれのランキングを概括して内容を詳しくみてまいります。
性格・性の不一致を理由として離婚を考える場合
まずは妻と夫ともに1位であった離婚原因として、性格の不一致があります。
また、同様に、性の不一致については、妻では5位、夫では4位と夫の方が性の一致性について重要視している傾向があります。
このように性格の不一致や性の不一致を原因として離婚を考える場合どうしたらよいのか。
まずは、民法上(法律上)離婚できる要件について簡単に説明します。
民法上(法律上)離婚といえるのはどういった場合か
原因がなければ、法律上離婚(裁判離婚)が認められることはありません。
具体的には、次の5つの要件(原因)を満たす必要があります。
(裁判上の離婚)
第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
以上のなかでも、性格の不一致や性の不一致を原因として、離婚原因が認められるのは、"その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき"です。
その他婚姻を継続し難い重大な事由があるときとして、性格の不一致や性の不一致を原因として離婚が認められるかどうかは、個別具体的な事案によります。
肉体的・精神的に虐待をする
"虐待"の有無が妻・夫の両者において、離婚の動機として高い順位にあります。
とくに、妻の場合、夫の精神的虐待(モラハラ)や暴力(DV)により、離婚を決意していることから、夫の生活能力と同様に、"夫婦として一緒に生活できるかどうか"について、近年は重視する傾向があります。
肉体的虐待が減少したのは、DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)の施行により、社会の家庭内暴力に対する意識が高まったことが原因と考えられます。
相手の浪費が離婚原因となる
妻は4位、夫は3位として、相手の浪費を離婚原因に挙げています。
また、妻の場合、昨今の経済状況を反映してか、夫が生活費を渡さない場合、または浪費がある場合と、お金に関する問題で離婚を動機づける傾向があります。
次にこの相手の"浪費"を原因とする離婚について説明をしていきます。
相手の借金が離婚原因となる
夫の浪費の結果として、多額の借金があります。
また、夫も妻の浪費を離婚原因として3位とあげていることから、妻も高額商品の買い物によって浪費を行い、結果として夫から離婚を請求されていると考えられます。
妻は離婚原因として、夫の生活費を渡さないことや、浪費に関して敏感であることから、夫の借金が、妻が離婚を考える1つの要因として考えることができます。
同様に、夫も自分の気が付かない間に、妻が浪費を重ね、結果として借金が膨らんだ場合などが、夫が離婚を考える原因のようです。
妻または夫がギャンブルにはまって離婚の原因となる
日本は諸外国に比べてギャンブルに依存する傾向が高いようです(日本経済新聞電子版:2017/9/29)。
報道の厚生労働省の調査によれば、日本人のギャンブル依存の男女比は男性のほうが多い傾向にあるとの報告があります。
このように考えると、夫婦の離婚の原因として、浪費の原因としてギャンブルを結びつけて考えてよさそうです。
また、傾向として妻よりも夫の方が、ギャンブルに依存している場合が多いようです。
その理由は、男性のほうが女性よりもギャンブルに依存する割合が4倍ほど高いという調査結果に基づきます。
お金の問題は重要な夫婦の問題
夫婦生活において、意外にもお金の問題は互いの性の不一致よりも重要視する傾向があります。
とくに、妻の場合には、"生活費を渡さない"と"浪費する"が性の不一致よりもともに高い位置にあり、妻は非常に現実的理由で離婚を決意している傾向があるといえそうです。
相手の浮気が問題で離婚原因となる
異性関係(浮気)が原因として離婚原因となる場合としては、妻は3位、夫においては2位としており、いずれも高い順位となっています。
離婚原因のランキングをみてみると、相手の浮気を、夫のほうが離婚原因として考える順位が高く(妻3位に対し夫2位)、夫の方が妻の貞操を重視する傾向がみてとれます。
信頼していた妻の浮気は、夫にとって心理的につらく、精神的に追い込まれてしまい、仕事にも影響がでてしまうことがあるでしょう。
妻に限らず、夫が不貞行為(不倫・浮気)をした場合は、離婚原因となります(民法770条1項1号)。
しかし、"民法上の離婚原因にあたるから即離婚"、というほど単純ではないことをお心に止めておいて下さい。
例えば、妻の浮気が原因で、婚姻関係が修復不能なくらい破たんしてしまっている場合に、離婚が認められます。
なお、いわゆる"有責配偶者から離婚が認められるか"(浮気した本人からの離婚請求はできるか)については、別居期間が相当程度長期間にわたる場合などに認められた判例があります(最高裁判所判例平成2年11月8日 判例時報1370-55)。
両親(舅・姑)とうまくいかず離婚原因となる
妻が家族・親族と折り合いが悪いとして離婚をする場合は、離婚ランキング上9位と、それほど高くはありません。
嫁姑問題がそのまま離婚原因となることは比較的少ないことを表しているといえそうです。
しかし一方で、例えば夫が姑や舅が妻に対して行う"いびり"を放置した結果、離婚へとつながる場合があります。
この場合、夫は婚姻生活維持のために、妻と協力すべきであるところ、自分の両親が妻との婚姻生活を妨げる行為をとめずに、結果、破たんしてしまうということです。
何事にも、"ものには限度"があり、程度をあまりにも逸脱して、婚姻を破綻させる程度までに至った場合は、離婚原因となります。
これに対して夫の場合、家族・親族と折り合いが悪いことを離婚原因として挙げる割合が妻より高く、家族関係を重視している傾向があります。
夫が家族関係を重視する要因は、妻に「夫の家族とうまくやってほしい」と考え、家族間の調和を重要視するからだといえます。
相手が家庭を省みないので離婚原因となる
相手が家庭を省みず、子供の面倒や教育について関心をもたない場合も、離婚原因となっているようです。
しかし、性格の不一致や、浪費、虐待等と比べると相対的には低い順位となっています。
順位が低い理由として異性関係やギャンブルに入れ込んだ場合には、浮気や浪費が離婚理由となるためだと考えられます。
また、別の理由としては、とりわけ夫に多いと考えられますが、夫が家庭を省みず仕事に没頭する場合、離婚原因と考えない妻が多いことが考えられます。
婚姻生活に必要な費用を稼ぐためにやむを得ないと考えられるからです。
それでも一定数は我慢の限度を超え、離婚原因となるようです。
子供に関する理由が離婚原因となる場合
これまで司法統計に基づくランキングから、最近の夫婦が離婚を考える場合の動機・原因について説明をしてきました。
ここからは、ランキングには顕れませんでしたが、最近のデリケートな離婚問題となる原因を簡単に扱います。
まずは、夫婦間の子供の教育方針の対立、あるいは不妊(子供ができない)ことによる夫婦関係のこじれを原因とする離婚の問題です。
夫婦の教育方針の違いが問題となって離婚原因となる場合
夫婦の教育方針の対立が離婚原因となる場合、互いに合意をすれば、協議離婚することができます。
しかし、一方が離婚に反対した場合には、裁判離婚の要件にあたるかどうかが問題となります。
夫婦の教育方針が対立するとは、例えば、妻は子の将来を案じ、さまざまな塾や習い事に通わせようとします。
一方夫は、子の自主性を尊重し、また、自分の子供時代と対比して、そこまで塾等に通わせる必要がないと主張する場合です。
あるいは、妻が子の教育問題で悩みを夫に打ち明けた場合でも、「夫が仕事で疲れている」等を理由として、話を聞かない場合等も教育方針の対立となり、離婚原因となります。
子供ができず(不妊)に悩み夫から離婚を要求され離婚原因となる
夫婦のすれちがいや互いの心の溝が、不妊によってできてしまい、離婚原因となってしまう場合があります。
どのくらいの夫婦が不妊に悩んでいるのかを示す事例としては、人工授精の統計があります(日本産婦人科学会作成ARTデータ集)。
近年の傾向をみると、人工授精件数が10年前は5万件程度であったところ、近年は約35万件となり、不妊治療件数が増加しています。
このことから、年間婚姻数が約48万件(令和6年)であることと比較すると、多くのご夫婦が子供のできないことに悩んでいることがわかります。
ただし、このように多くの夫婦に子供ができないことに悩む一方で、"子供ができないからすぐに離婚できる"わけではありません。
離婚原因となるかどうかは、"子供ができないことが夫婦の間に埋めることのできない大きな溝をつくってしまい、結果として婚姻生活が破たんしてしまっている事実があるかどうか"によって判断されます。
子供は欲しくないまたは不必要が理由となって離婚原因となる
子供ができずに悩む夫婦もいれば、逆に子供を作りたくないという場合もあります。
妻が「子供が欲しくない」と考える原因としては、自分のキャリアをつぶしたくない、あるいは出産を"子供を産む権利"として考え、「子供を産まない自由もある」という理由があります。
妻がキャリアを理由として、子供を望まないのは、いまだに日本においてキャリアにおける男女格差が存在し、妊娠を負の要因として考えられることを背景としています。
これに対して夫が子供を不要と考えるのは、1経済的問題、2生活リズム変えたくないという問題、3子供が嫌い・好きではないという問題があります。
夫が子供を欲しくない理由は、妻よりも深刻さが低いといえるでしょう。
いずれの理由も、妻・夫の内面に関わる問題であって、法律で線引きできない問題である一方で、最近の夫婦の離婚原因として増加傾向にあります。
解決には妻と夫で互いに話し合いをしていくしかないでしょう。
しかし、夫婦の子供にまつわる"価値観"があわず、婚姻生活が破たんした場合には離婚原因となりえます。
離婚についてお悩みの方へ
この記事では、司法統計に基づく離婚原因のランキングを紹介し、性格の不一致をはじめとするさまざまな離婚理由について解説してきました。
離婚は人生における重大な決断です。配偶者との話し合いがうまく進まない場合や、法的な手続きに不安がある場合は、弁護士のサポートを受けることで、スムーズに問題を解決できる可能性があります。
離婚を検討されている方の中には、「このまま我慢し続けるべきなのか」「離婚したらどうなるのか」と不安を感じている方も多いかと思います。一人で悩まず、専門家に相談することで、ご自身にとって最善の選択肢が見えてくることもあります。
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