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不動産の賃料回収と不法占拠された時の対処方法

2023-01-19

 

不動産投資が流行っていますが,貸している建物の賃料が支払われず,借主がその建物に居座ってしまいトラブルになるケースは少なくありません。
所有者側が借主に退去勧告をする場合,どういった手段が許されるのでしょうか。また,「追い出し屋」といった業者も見受けられますが,そういった業者に頼んで,借主を追い出すことにリスクはないのでしょうか?所有者自身で借主側の対応をするのは相当な労力が必要になりますし,解決方法を間違えれば,被害者である所有者様が加害者側になってしまうケースもありますので,慎重な対応が必要になります。
そうした場合の解決策について,不動産トラブルの経験豊富な弁護士が解説します!

1 家賃が滞納された場合の賃料回収方法は?

せっかく家を貸したのに,何らかの理由で賃料が支払われなくなると,貸主としては困ってしまいますよね。こうした場合に何か回収の方法があるのか?というと,方法としては2つの方法があります。
1つ目は,借主に支払い督促をする。2つ目は,借主に未払い家賃の支払いをするように訴訟提起をする。という方法です。
ただ,実際には,借主の経済状況が悪化したため,家賃の支払いができないケースがほとんどであり,たとえ訴訟で勝訴判決を取得したとしても,未払い家賃の回収ができるかというと難しいのが現状です。
借主に財産があるのにも関わらず,賃料を支払わないというような特殊な事情がない限り,滞納家賃の回収に労力を費やすよりも一刻も早く借主に出ていってもらうことの方が経済的利益があると言えます。

2 不法占拠とは?

(1)不法占拠の具体例

「不法占拠」とは,所有権や占有権がないにも関わらず,その土地や建物を占拠することです。
具体的な例を挙げると,マンション等の借主が家賃滞納により賃貸借契約書が終了したにも関わらず,建物から出ていかない場合等です。

(2)どこに相談すればよいのか?

もし,所有権や占有権のない人が勝手にご自身の所有する土地や建物を占拠していたら,どうすればよいのか?
日本は法治国家であるため,自力救済を良しとしていません。もちろん不法占拠者が悪いのですが,不動産の所有者が勝手に建物の鍵を壊して中に入ったり,執拗に借主のもとに出向いて退去を求める等,社会通念上相当と言えない方法で退去を求めると,借主に非があったとしても,持ち主に損害賠償責任を追及されることもあります。

こうした状況になった場合にどうすればよいのか?というと,「弁護士」へ相談してください。

 

3 不法占拠者への退去交渉

(1)交渉と訴訟の選択

弁護士に相談いただいた場合,不法占拠者と交渉(話し合いでの解決)をしていくことになります。
いきなり,訴訟提起をすることも可能ですが,後述する通り訴訟をすると費用(数百万円程度)と時間がかかります。その費用や時間を掛けずとも解決できるのであれば,交渉で済ませたほうが経済的メリットが大きいのです。
ここでは,弁護士へ依頼をした場合の交渉の流れを記載させていただきますので,ご参考にしていただければ幸いです。

(2)交渉の流れ

①⇒③の流れで進んでいきます。
①相手方へ内容証明を送る。⇒②相手方と実際に交渉をする。(書面や電話でのやり取り)⇒③相手方と合意をする。
※弁護士の判断で変更になる可能性がございます。

(3)建物明渡合意書の作成

不法占拠者と交渉がまとまったら,以下の内容を盛り込んだような合意書の作成をします。
・賃貸借契約の終了(解除)の確認
・明渡期限の設定
・原状回復の有無
・明渡後の残置物の所有権放棄
・明渡遅延の場合の違約金
・解除日,明渡日までの滞納賃料・賃料相当損害金の確認
・滞納賃料・賃料相当損害金の支払方法及び減免
・分割払いの場合の期限の利益喪失

合意書の作成ができれば,立ち退き期限に不法占拠者が出ていくのを見守って,終了となります。

4 建物明渡訴訟・強制執行の流れ

交渉がまとまらない場合は,速やかに訴訟へ移行します。 訴訟提起をした後でも,不法占拠者が心理的に追い詰められ,「やっぱり出ていきます。」となるケースもあり,場面場面で弁護士は不法占拠者と交渉を行います。

(1)建物明渡訴訟の流れ

①⇒⑤の流れで進んでいきます。
①占有移転禁止の仮処分申立⇒②担保決定⇒③仮処分命令⇒④仮処分執行⇒⑤訴訟提起
※弁護士の判断で変更になる可能性がございます。
建物明渡訴訟と記載しておりますが,最初から「訴訟」を提起するのではなく,「占有移転禁止の仮処分」の申し立てを行います。
理由としては,訴訟提起をする場合訴える相手である「被告」を特定する必要があり,訴訟の判決の効果は,「被告」のみに効果が及びます。
例えば,訴訟中に建物が「占拠者A」から「占拠者B」に明け渡されると,訴訟で「占拠者Aを被告とする判決」を得ても,実際の占拠者がBであった場合,占拠者Bを被告として訴訟のやり直しが必要になります。
そうしたリスクをヘッジするために,建物明渡訴訟を行う際には,「占有移転禁止の仮処分」の申し立てをするのが一般的です。
①占有移転禁止の仮処分の申立をすると,裁判所が②担保決定をします。担保金の額が決まると,1週間以内に担保金を管轄の法務局へ納める必要があります。
担保提供がされると③仮処分命令の発令がされ,④仮処分の執行に移ります。執行当日は,執行官が該当の建物の中に入り,該当の建物の占有状況及び占拠者を特定し,今後は執行官が該当の建物を保管することを宣言します。(後述する強制執行の時までは使用することができますが,その建物を他の人に引き渡すことはできなくなります。)
仮処分執行がされたら,⑤訴訟提起を行います。

不法占拠者次第ではありますが,④仮処分執行をした段階でこれ以上,建物の占拠を続けることが難しいと判断し,⑤訴訟提起を行わざるとも占拠者が交渉に応じ出ていく場合もあります。

(2)強制執行の流れ

(1)の訴訟で判決を取得したら,強制執行に進みます。強制執行は①から③の流れで進みます。
①強制執行の申立⇒②明渡催告⇒③明渡執行
ただ,実際に強制執行をすると多額の費用がかかります。そのため,不法占拠者と連絡手段があるのであれば,再度交渉をした方が金銭的メリットがある可能性があり,都度不法占拠者と交渉を行う場合があります。

ここでは②明渡催告と③明渡執行を簡単に説明します。②明渡催告催告では,仮処分執行と同様に執行官が該当の建物に入り,占拠者に対して,いつ明渡執行を実施するかを伝えます。そして,執行日に③明渡執行を実施します。明渡執行では,執行官はもちろん,不法占拠者が該当の建物に置いている物を運び出す業者も来るため,多少物々しい雰囲気になります。
ただ,現場に所有者がいく必要はなく,弁護士に任せておけばよいので,心配する必要はありません。

5 費用等

弊所でご依頼をお受けした場合の費用感となります。
※建物の規模や場所等により変動しますので,目安となります。

【弁護士費用】

・交渉の着手金:20~40万円程度
・日当:1~5万円程度/1回 (建明訴訟を行い強制執行まで行うと,かなりの回数弁護士が裁判所や現地に赴く必要があります。着手金と同額程度かかる場合もあります。)
・報酬金:20~40万円程度

【裁判所関連の費用】

(1)裁判所へ納める費用:数万円~数十万円程度
訴訟をする際には印紙や切手代,予納金等必要になります。(印紙や切手代は裁判所のホームページに記載があります。)

(2)担保金:賃料の1~3か月分程度
担保金は建物の価値などにより異なりますので,建物の価値が高ければ担保金は高額になります。(※担保金の額は,裁判所が確定するものであり,そこに減額の余地はありません。)また,裁判所が担保決定をしてから1週間以内に担保を法務局へ納める必要があります。
なお,担保金は執行が完了した後に所定の手続きを経ると返還されますので,一旦法務局へ預入をするというようなイメージです。

(3)鍵業者への支払い費用:数万円程度
執行にあたり,鍵屋さんが該当建物の鍵の開錠をする際の費用です。

(4)建物の残置物の撤去費用:一般的なアパートで50万円程度,戸建てや荷物が多い場合は100万円程度
強制執行を実施した際に,建物内に占拠者の物が残っている場合は,それを処分する必要があります。不法占拠者の物であっても,法律(民事執行法第168条5項)にて,強制執行の対象ではない物品は,不法占拠者やその代理人等に引き渡しをすることが義務付けられており,勝手に処分することができないのです,(※引き渡しが出来ない場合は,執行官は物品を売却することができます。)
そこで,不法占拠者の残置物を撤去及び保管等するために,撤去作業をしてくれる業者を手配します。引越し業者のようなイメージです。

6 その他

弊所でご依頼をお受けできるものは,占拠された不動産の場所が,「東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県」です。
もし,不法占拠の問題でお困りの方は,お近くの法律事務所へご相談されてみてはいかがでしょうか。

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