給料が差し押えされた!生活への影響と差し押えを止める2つの方法

多重債務などのために借金の返済を滞らせていると、債権者から給料の差し押さえを受ける可能性があります。

給料が差し押えされてしまうと、手取り額が減ってしまうほかにも会社に借金の存在を知られてしまうなど各種のデメリットを受けることになります。

今回は、「給料の差し押さえ」に関する事柄についてご紹介します。

  • 給料の差し押さえとは?
  • 差し押さえされるまでの流れとは?
  • 給料を差し押さえられた場合の対処法とは?

みなさんが疑問をお持ちの上記のような事柄について、債務整理のプロがしっかりとお答えいたします。

なお、当記事は重要ポイントを赤ペンで強調してありますので、そのポイントだけに目を通していただければ1~2分程度で一通り理解可能となっています。

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給料の差し押さえってどういうこと?

税金や借金の支払いをある程度以上長い間滞納していると、最悪のケースとしては給料の差し押さえを受ける可能性があります。

借金などの返済を受けられない場合、債権者には債務者の財産を差し押さえして、強制的に税金や貸金などの回収をすることが法律によって認められているからです。

借金滞納による給料差し押さえの流れと差押えの上限額

カードローンやクレジットカード利用分の返済を滞納すると、いったいどのような流れで差し押さえされることになるのでしょうか?

まずは、その流れについて確認しておくことにしましょう。

給料差し押えの流れ

今回こちらでは、実務で問題となることの多いつぎのような2種類の差し押さえに関する流れについて見てみることにします。

  • (1)金融業者による差し押さえの場合
  • (2)税金滞納による差し押さえの場合

(1)金融業者による差し押さえの場合

銀行や消費者金融・クレジットカード会社など金融業者への返済を滞納したからと言って、すぐに給料や財産などの差し押さえがなされる訳ではありません。

業者への返済を滞納した場合、つぎのような流れで差し押さえが行われます。

①債権者から督促の連絡が来る

返済を滞納すると、まずは金融業者から郵便や電話などによって返済するよう催促の連絡が来ます。

②一括請求書を送付してくる

それでも返済しない場合、業者は借金の残額すべてを一括で返済するように「一括請求書」を送付してくることになります。

一括請求書の内容としては、「借金残額と遅延損害金を一括で返済するように」「支払がない場合、法的措置をとる」ということが明記されていることが一般的です。

③特別送達を送付してくる

一括請求を受けても滞納を続けている場合には、債権者である金融業者は裁判所を利用して貸金などの回収に動き出すことになります。

具体的には、裁判所に対して「裁判(貸金請求訴訟など)」や「支払督促(しはらいとくそく)」が申立てられ、その結果として裁判所から債務者に対して「特別送達」という特殊な送達方法によって裁判書類が送られてきます。

④判決書または仮執行付支払い督促が届く

裁判が起こされた場合には、裁判を無視していると債権者が全面的に勝訴することになります。そして、借金の残額および遅延損害金すべてを一括で支払うよう判決が下されることになります。判決後には、裁判所から「判決書」が送られてきます。

支払督促の場合には、無視し続けていると、裁判のケースと同様に債権者の主張がすべて認められ「仮執行宣言付支払督促(かりしっこうせんげんつきしはらいとくそく)」が出され、裁判所から送付されてくることになります。

債権者が「仮執行宣言付判決」または「仮執行宣言付支払督促」を得た場合には、この時点ではじめて債権者として債務者の財産に差し押さえできる状態となります

⑤差し押さえがされる

債権者が「判決書」または「支払督促」に基づいて差し押さえを裁判所に申立てることで、給料や預貯金など債務者の所有する財産が差し押さえされることになります。

(2)税金滞納による差し押さえの場合

給料の差し押さえが行われるのは、何も金融業者などへの返済を滞らせた場合だけではありません。

各種税金の支払いを怠った場合にも、差し押さえが行われるケースはたくさん存在します。

税金の滞納に基づく差し押さえのことを、特に「滞納処分による差し押さえ」といいます。

滞納処分による差し押さえの手続きは、上記金融業者による差し押さえの手続きとは流れがまったく異なります。

金融業者による差し押さえの場合は裁判所で一定の手続きが必要であるため、差し押さえに向けた行動の着手から差し押さえ実行までには、最低でも1か月から数か月以上の時間がかかります。

これに対して滞納処分による差し押さえの場合には、裁判所での手続きが不要とされています。

このため、滞納者に対して督促状を発した日から起算して10日目までに税金が納付されない場合には、差し押さえの実行が非常に迅速に認められることになっているのです。

給料差し押さえの範囲とは?

給料を差し押さえられる場合でも、差し押さえを行う債権者の種類によって以下のように差し押さえの上限額が異なることになります。

  • (1)金融業者による給料差し押さえの上限額
  • (2)税金の滞納による給料差し押さえの上限額

非常に大切なことですので、それぞれについて確認しておきましょう。

(1)金融業者による差し押さえの上限額|給料の4分の1

いかに債権者とはいえ、給料全額の差し押さえができるわけではありません

法律上、差し押さえが認められる給料の範囲には上限額が定められているのです。

差し押さえの対象となる給料の額は、大まかにいうと手取り額の4分の1までとされています。

つまり、差し押さえを受けたとしても給料の4分の3は受け取ることができるということです。

ただし、手取り給料の4分の3に該当する金額が33万円を超える場合には、超える部分に関しては全額が差し押さえによって持っていかれることになるので注意してください。

つまり、差し押さえを受けた場合に受け取ることができる給料は33万円が上限ということになります。

そして一度給料を差し押さえられてしまうと、差し押さえをした債権者の請求額(債務全額と遅延損害金)すべてが支払い終わるまで、毎月差し押さえの効果が続くことになります。

なお、差し押さえの対象は毎月の給料だけでなく、ボーナスや退職金にまで及ぶことになりますので注意してください。

手取り額16万円の場合|受け取れる額は12万円

手取り額が16万円の場合、4分の1に該当する4万円が差し押さえの対象となります。この場合、残りの12万円が実際に受け取ることのできる給料となります。

手取り額50万円の場合|受け取れる額は33万円

手取り額が50万円の場合、差し押さえの対象となる給料の4分の1は、12万5千円となります。

このため差し押さえ後に受け取れる金額は37万5千円となりそうですが、実際はそうではありません。

この場合、手取り給料の4分の3が37万5千円となり33万円を超えるため、33万円を超える部分である4万5千円も差し押さえによって持っていかれることになります。

つまり、この事例においては差し押さえ対象となるのは17万円(12万5千円+4万5千円)となり、差し押さえ後実際に受け取ることができるのは33万円となります。

(2)税金の滞納による給料差し押さえの上限額

滞納処分による差し押さえの場合、以下の①~④で算出した金額の合計が差押え禁止となります。

  • ①給料から控除される所得税・住民税、社会保険料など
  • ②10万円
  • ③生計を共にする親族(配偶者・子供など)1人当たり4万5千円
  • ④所得税・住民税・社会保険料を控除後の給料の20%

滞納処分による差し押さえでは、家族構成など諸条件によっては金融業者による差し押さえのケースよりも差し押さえを受ける給料の上限額が高額となる可能性があります。

なお、税金の支払い義務はたとえ自己破産しても免責の対象とはなりませんので、滞納している場合には弁護士に相談するなど早急に何らかの対策を講じる必要があります

給料差し押さえの影響とは?

給料が差し押さえされた場合、以下のように各種のデメリットを受けることになるので注意が必要です。

  • (1)手取り収入が減る
  • (2)会社に借金していることがバレる
  • (3)家族に借金がバレる可能性が出てくる

それぞれ簡単に確認しておきましょう。

(1)手取り収入が減る

給料が差し押さえられた場合、当然ですが会社から振り込まれる手取り収入が減少します。

多額の借金を抱えて返済に追われる生活をしている身にとって、手取り収入の減少は非常に大きな打撃となる可能性があります。

これまで以上に借金の返済が苦しくなることは間違いないので、後述するように個人再生や自己破産など積極的に債務整理することを検討してください

(2)会社に借金していることがバレる

給料の差し押さえは、債権者の請求に基づいて裁判所から会社に対して行われます。

そのため給料の差し押さえを受けると、借金をしていることが会社にバレることになります。

給料の差し押さえを受けたからといって、会社をクビになることはありませんが、実際問題として会社で働きづらくなる可能性は否定できません。

なるべくであれば、差し押さえを受ける前に債務整理を行うことをおすすめします。

(3)家族に借金がバレる可能性が出てくる

給料の差し押さえは、裁判所から会社への連絡によって行われることになります。

このため通常のケースでは、家族に差し押さえの事実がバレてしまうことは少ないでしょう。

しかし給料の差し押さえを受けると、その分手取り収入がいきなり少なくなってしまいますので、そのことによって家族にバレる可能性があります。

給料が差し押さえられた場合の2つの対処法

給料の差し押さえを受けてしまった場合、残念ながら債務全額を完済するまでの間は給料満額を受け取ることはできなくなってしまいます。

それでは一度差し押さえを受けてしまった場合には、差し押さえを中止させることはできないのでしょうか。

給料が差し押さえられてしまった場合、以下の2つの方法をとることで差し押さえを中止させることができる可能性があります。

  • (1)個人再生する
  • (2)自己破産する

順次、概要についてご紹介します。

(1)個人再生する

法律上、個人再生には差し押さえを中断させる効果があります。

個人再生の申立てをして裁判所から「個人再生手続開始決定」が出れば、給料の差し押さえが中止されることになります。

差し押さえが中止されると、会社から債権者に対して給料の一部の支払いもストップされることになります。

しかしここで注意すべきは、これによって給料の満額を手にすることができるようになるわけではないという点です。

それまで会社から債権者に支払われていた金銭に関しては、会社が取っておくか法務局に供託されることになるのです。

そして、その金銭を受け取ることができるのは、個人再生の手続きがすべて終了してからということになります。

具体的には、再生計画案の認可決定が確定した時点で受取可能となります(通常のケースでは申立てから6か月前後)。

このため給料の差し押さえを受けた場合には、個人再生を申立てることで差し押さえを中止させることが期待できます。

(2)自己破産する

個人再生の場合と同様、自己破産には差し押さえを中断させる効果が認められます。

自己破産には、破産申立人に財産があるかどうかなどによって以下のように2つの処理方法が存在します。

  • ①同時廃止事件
  • ②管財事件

差し押さえが中止されるまでの流れや効果は、それぞれの処理方法によってつぎのように異なります。

①同時廃止事件の場合

自己破産における「同時廃止事件(どうじはいしじけん)」とは、破産申立人に20万円以上の財産がない場合や免責不許可事由に該当する重大な違反行為がない場合などに採用される自己破産の処理方法です。

世間ではひとくちに「自己破産する」などと言ったりしますが、裁判所で実際に行われる手続きには「同時廃止事件」と「管財事件」という2つの処理方法があり、裁判所の判断によってどちらの方法になるかが決定されることになっています。

自己破産の処理方法が同時廃止となった場合、破産手続開始決定が出ると同時に差し押さえが中止されることになります。

差し押さえが中止された場合には、個人再生の場合と同じように毎月会社から債権者に支払われていた金銭は会社が貯めておくか法務局に供託されることになります。

そして、破産手続きの最終段階において免責許可決定が確定すると、貯めておいた金銭が受け取れるシステムになっているのです。

自己破産の申立てから免責が確定するまで、同時廃止の場合には通常2~3か月前後かかるのでその間、給料は満額受け取ることができないと考えておいてください。

②管財事件の場合

「管財事件(かんざいじけん)」とは、破産申立人がある程度以上財産を持っている場合または免責不許可事由に該当する重大な違反行為などがあると疑われる場合などに採用される破産の処理方法です。

管財事件では、破産申立人の財産が処分換金され債権者に分配されるなど非常に厳格に手続きが行われるため、同時廃止事件と比較すると裁判所にかかる費用も時間もより多くかかることになります。

裁判所の判断によって自己破産が管財事件となった場合には、裁判所によって破産管財人が選任されます。

「破産管財人(はさんかんざいにん)」は、破産申立人の財産の調査・換価や債権者への配当、債権者集会の開催や免責不許可事由の調査など破産手続きにおける重要な職務を担当します。

管財事件の場合には、個人再生や自己破産の同時廃止の場合と異なり、破産手続開始決定と同時に差し押さえの効力が法律上失効することになります。

差し押さえの効力が法律上失効するということは、その時点で差し押さえの効力がなくなり、それ以降差し押さえが行われることがなくなることになります。

つまり、その後は給料の差し押さえされている金額が会社によって取り置かれたり供託されたりすることなく、破産申立人はすぐに給料の全額を貰うことができることになるのです。

まとめ

今回は、「給料の差し押え」をテーマに解説させていただきました。

借金や税金などの滞納を続けていると、最悪のケースとして債権者から給料の差し押さえを受ける恐れがあります。
しかし、給料の差し押さえを受けたからといって給料全額を受け取ることができなくるわけではありません。
法律上、給料の差し押さえが許される範囲には制限があるため、一定額は受け取ることが保障されているので過度の心配は不要です。
また、多重債務に苦しんでいる状態で給料の差し押さえを受けた場合には、個人再生や自己破産することで差し押さえを中止させることができます。
今回ご紹介した知識を活用し、給料の差し押さえに対して有効な対策を講じていただければ幸いです。

給料の差し押さえでお悩みの場合には、お気軽に当事務所にご相談ください。
給料に限らず、何らかの財産を差し押さえられた場合、もっとも大切なのは一刻も早く対策を講じることです。
当事務所では、ベテランの弁護士が迅速に対応させていたえだきます。

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