Loading

ブログ

【事例】企業との契約におけるトラブルに関して相談を受けました

相談者(30代・女性)

主婦の女性から企業との契約条件について相談をいただきました。
具体的な相談内容は以下のとおりです。

■相談前

子育てがひと段落したので、何か始めようと思い、ある企業と契約を交わしました。

自分一人で株式やFXの投資をしようかとも考えていましたが、自力だけで投資を行っても失敗しそうな気もしていました。
そのため、インターネットで口コミや評判などを調べて、ほとんどの人が絶賛している企業と投資の契約をしたというわけです。

ですが、しばらく投資をしてみましたが、残念ながら失敗してしまいました。
「必ず勝てる投資」など存在しないという事は私にも分かっていますし、企業側も「100パーセント儲かる!」などの宣伝はしていなかったので、赤字になったこと自体に文句はありません。

しかし、契約内容が「投資金額そのものは返還しないが、登録料・手数料などは全額返還する」というものになっていました。
早く連絡したほうが良いだろうと考えて「解約するので返金をお願いします」と伝えたところ、その場ではあっさり承諾されたように思いました。
と言いますか、私は契約内容に沿った行動をしているだけですからそれが当たり前ですよね。

しかも、「一つの企業」とすればそれほど大金ではないと思っていましたので、あっさり返金されるものと感じていました。
そもそも「一括返済」という契約になっていましたから、連絡して数日で全額が返済されるのが当然だと思っていました。

ですが、後日私の銀行口座を見たら、想定したよりも遥かに低い金額しか振り込まれていませんでした。
何事かと思い、企業に連絡したところ「どうしても一括返済は厳しいので、分割にしてほしい」と言われてしまいました。
事前に連絡してくるならまだしも(それでも従うつもりはありませんが)、事後承諾というのはおかしいですよね。

そこでパパっと計算してみたのですが、このペースでの分割返済となると、完済までに7~8年はかかってしまいます。

それでも本当に完済される保証があるのであればまだ良いかもしれませんが、大企業のように「まず間違いなく倒産しない」とは言えない規模の会社なので不安になりました。

「どこかのタイミングで事業をたたんで、そのまま逃げるつもりなのでは?」と私は考えました。本当にそうなったとしても完済まで支払い続ける義務はあると思いますが、それでも逃亡されてしまっては、私からはどうすることもできません。

そこで私は「最初の計画のとおり、一括で支払ってください」と言いました。
すると、企業側が「ちゃんと作った契約書類ではない。完済する意思はあるのだから、返済方式を変える自由はある」などと意味不明なことを言ってきました。

さらに「どうしても不安なのであれば、『ちゃんと分割返済で完済する』という契約書を新たに作りましょうか」と言ってきました。
そのときの口調が「しょうがないからやってやる」という言い方だったので本当に腹が立ちました。

これ以上話していてもどうにもならないと思いまして、弁護士さんに相談することにしました。
私の希望は「一括で返済させること」であって、それ以上のことは望みません。
また、「絶対に完済する」という保証ができるのであれば、24カ月の分割返済までは承諾するつもりです。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。
======

■相談後

後から冷静になって考えてみて分かりましたが、口コミで褒められていたりインターネット上での評価が高かったりするからといって、それだけで信用できるとは限りませんよね。
自作自演のようなことをしたり、虚偽のレビューなどを作ったりしたところで、私にはそれを見抜くことはできません(明らかにウソをついているのであれば別ですが)。
今回の件に限らず、これまで私は、何をするにも何を買うにも「ネット上の評判」をあてにしすぎていたので、これからはもっと自分自身で考えて判断する力を身につけたいと思います。

弁護士さんにもその辺りのことでお叱りを受けるのではないかと思っていましたが、そんなことはありませんでした。単に、詐欺などに引っ掛からないためのコツを教えてくださっただけです。

そして、弁護士さんにアドバイスをしてもらいつつ、私が企業と再度交渉することになるのかと考えていましたが、そうではありませんでした。
私が基本的な情報を弁護士さんにお伝えしたら、交渉を代理していただけることとなりました。

すると、あっさり企業から一括返金されることとなりました。
しかもその間、私がする作業はほぼありませんでした。せいぜい弁護士さんからの電話に一回出ただけです。
弁護士さんには「もしもまた分割支払いをしてくるようでしたら、すぐに裁判を起こしましょう」と言われていましたが、本当に一括返済されました。
スムーズにトラブルが解決したので助かりました。

「どうしても一括で返済することはできない」というのは企業側のウソだったということですよね。
本当に「分割で最初の数か月だけ払っておいて、姿をくらませよう」という魂胆だったのかもしれません。
それか、最初から数年だけ活動して、すぐに事業を畳むつもりだったのか。
真相は分かりませんが、まあ私には関係ありません。

もう投資などの「お金を使う話」には懲りたので(もちろん投資自体に悪印象はありません)、近所のスーパーでアルバイトでもしようかと思っています。
そもそも夫は最初から「新しいことを始めたいならバイトなんでどう?」と言っていましたので。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。

■弁護士からのコメント

依頼者様が相手方の企業との契約書類をお持ちでしたので、まずはそれを確認しました。
そして予想通りではあったのですが、「『双方の承諾なしに、返済形式を一括から分割に変える事が可能』という主張に正当性はない」と判断できました。
そのまま相手方の企業に通知をしたところ、反論することなく素直に一括返済をしてきたという次第です。

これが、契約書類なしの「口約束のみ」だった場合は、もっと交渉が難航していたかもしれません。
ですから、金銭などをはじめとする重大な事項に関する契約を結ぶ際は、必ず契約書類を用意させてください。

それも、「契約を結ぶ→契約書類を確認する」という順番ではなく、「契約書類を確認する→契約を結ぶ」という順番を徹底する必要があります。
契約を結んでからでは、契約内容に何らかの問題があったとしても契約を破棄できない可能性が高いからです。

ですから、契約書類の作成を渋る企業と契約してはなりません。
「どのような契約をするか」にもよりますが、「何も言わずとも企業側から契約書類を出してこないのであれば契約しない」というつもりでいることをおすすめいたします。

ちなみに、今回は「一括支払い」の契約でしたからほぼ関係ありませんが、「分割支払い」の契約を結ぶ場合は、

・返済が遅れたのであれば一括支払いに移行する
・返済が遅れたのであればそのぶんの利息が発生する

などの条項を契約書類に入れておかなければなりません。
ちなみに、これらの条項に関しては「このルールを設ける事で、『返済を渋るよりも、契約に沿って返済を継続するのが一番得である』という状況を作る」という意味合いが強いです。

これらの条項に関する記載がない場合は、それに関して質問するか、そもそも契約を結ばない事としましょう。

関連記事

  1. 【事例】個人タクシーの運転手をしている男性からのご相談
  2. 弁護士以外にもある!生命保険トラブルの無料相談窓口一覧
  3. 【事例】途中退会にもかかわらず年額料金を請求された方からのご相談…
  4. 【事例】広告掲載の契約関係のトラブルに巻き込まれた男性から相談を…
PAGE TOP