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【事例】途中退会にもかかわらず年額料金を請求された方からのご相談

相談者(20代・女性)

スクールの解約に関するトラブルで相談をいただきました。
具体的な相談内容は以下のとおりです。

■相談前

私は趣味で英語の勉強をしています。
あくまで趣味ですからせいせい英検やTOEICなどを受けているだけです。将来通訳者や翻訳者になりたいなどの大それた夢はありません。
ですが、今のところ2年以上継続していますが、高校生1年生でも受かるレベルの英検に落ちてしまいました。また、TOEICの点数も人様に見せられるようなものではありません。

英語そのものは非常に好きなのでストレスにはなりませんが(もし精神的苦痛が大きいのであればそもそも続けていません)、それでもさすがに上達しないにも程があるので何とかしたいと考えておりました。

そこでインターネットを使って色々調べてみたところ、英語の勉強をしたい人向けのスクールがいくつも見つかりました。

そして、私は比較的料金が安く、「絶対に上達する!」「開始1カ月でTOEIC900点!」など、極端な宣伝をしていないスクールを選びました。

スクールに通い始めてからの日々は結構充実していました。これまでの私は試験で点を取ることばかりに集中していたような気がしますが、気楽に英会話などを習うのも楽しいものですね。
別に「英語自体を楽しめるようなスクールを選ぼう」というつもりはなかったのですが、偶然そういったところをチョイスできたのは幸運でした。

たまに、「高い料金を払ったのにロクに教えない」などといったスクールの話も聞きますが、私が通ったスクールの場合はそんなことはありませんでした。

ですが、スクールに通い始めてから4カ月目、本業の都合でこれ以上スクールに通い続けるのが難しくなってしまいました。
なんとか都合をつけて通えないこともありませんでしたが、体力的に厳しいと判断しました。また、最初の4カ月でもかなり英語が上達しましたので、「短期間にしては大きく成長できただろう」と満足していました。

そこでスクール側に解約を申し出たところ「解約すること自体は構わないですが1年分の授業料が発生してしまいます。ですから1年が過ぎるまでは解約を行わずに、都合がつく日は起こしになることをおすすめします」と言われてしまいました。

どうにも話がズレていますよね。ハッキリ言ってかなり驚きました。
私は「月々払っていくシステム」だと考えており、「解約したらもう1円も支払わなくなる」というつもりでした。

ですが、スクール側は「忙しいのであれば出席を強制することはしないが、せっかく1年分のお金を払うのだから、時間があるときは出席したほうがいい」と主張してくるのです。
「主張」というほど強い表現はふさわしくないかもしれません。優しい口調で「アドバイス」してきたという感じでした。

そこで私は「いや、解約するのですからこれ以上お金を払う必要はないと思うのですが。もちろんまだ上旬ですが、今月の分は支払いますよ?」と言いました。

ですが、スクール側は「そう申されましても、契約内容的にそのような対応はできません……」とやはり柔らかい口調で返してきました。

私は「まだ4か月ちょっとしか通っていないんですよ?それでも1年分の料金を取るんですか?」と言いました。
しかし、「はい、大変申し訳ございませんが、そのような契約になっておりますので……」という返答があるだけでした。

と言いますか、そもそもその「契約内容」というのが私にはよく分かりませんでした。
ちゃんと確認しなかった私も悪いのかもしれませんが、納得ができません。

しかし、その場では引き下がって「納得できないにせよ、そういう契約になっているのならしょうがないか……」と考えました。
また、「授業の質が高いことは確かなのだから無理にでも通ったほうが良いのかな……」とも思いました。

ですが、一晩じっくり考えて「ここで引き下がるのはこれからの私の人生や精神にとって良くない」という結論に至ったので弁護士さんに相談することにしました。

正直なところ、相手方に負けてしまって年額を払うことになっても仕方がないと思っています。ですが、とにかく「納得したい」という気持ちが強かったので依頼させていただきました。
こういったスタンスで頼られても弁護士さんとしては困るのかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。
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■相談後

先ほども言いましたが、私は「支払い請求をされてしまったが、それを拒否できないのであれば仕方がない」という気持ちでいました。

ですが、弁護士さんに事情を説明したところ、
すぐに「まず間違いなく、年額支払いの請求は拒否できます」と言われました。

そして、弁護士さんが私の代わりに交渉してくれて、あっさり解約することができました。
まさか、話がここまで迅速に進むとは思っていませんでした。

弁護士さんが言うには、英語のスクールというのは
「特定継続的役務提供」というものに当てはまるようですね。
私も後で個人的に調べてみたので間違いないと思います。
そして「特定継続的役務提供に該当するので、年額を支払う必要はない」という論調で交渉をしてくださったようです。

ただ、いずれにせよ私が契約内容をきちんとチェックしなかった事は確かなので、これからはどんな細かい契約であっても丁寧に確認してから結ぶことを心掛けるつもりです。

また、私としてはスクール側に悪意があったのではなく「決まりを知らなかっただけ」であると思いたいです。
繰り返しになりますが、授業の質自体は非常に高かったですし、通っていて楽しかったので。
今回のことからしっかり学んでいただいて、これからも良質な授業を続けていただきたいものです。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。

■弁護士からのコメント

「請求されてしまったのであれば、それに従うしかない」というお考えをお持ちの依頼者様は少なくありません。
ですが、その請求を法的な理由で断ることができるケースが少なくありませんし、そもそも「法的な裏付けのない請求である」という可能性もあります。

ですから納得のいかない請求をされた場合は、すぐに弁護士などに相談することをおすすめします。
また、いわゆる「ワンクリック詐欺」のようなものであれば「無視をするだけ」で構いません。

ちなみに依頼者様が触れている「特定継続的役務提供」ですが、基本的に

・美容医療
・エステティック
・家庭教師
・語学スクール(本件はこれに分類されます)
・学習塾
・結婚紹介サービス
・パソコンスクール

の7分野が該当しますので、覚えておいていただければと思います。

ただし、細かな条件については色々とややこしい面もありますので、
特定継続的役務提供に該当するかどうかに関係なく、

・そもそも本当に契約したいのかどうか
・途中解約した場合の扱い

などをきちんと確認し、納得できた場合にのみ契約することを推奨します。

特に「健康食品・サプリメント・育毛剤などの定期購入」などに関しては、「数か月は買い続けないと解約できない」というルールが設定される場合が少なくないので気を付けましょう(この辺りの設定に関しては正当性があるケースが大半です)。

また、この「定期購入」ですが、例えば「初月500円、2カ月目以降は数千円、半年以上買い続けないと解約できない」など、「初月料金の安さで消費者を引き込む設定」になっている場合が少なくないのでお気を付けください。

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