
「彼氏に借金の連帯保証人を頼まれた」「彼氏の借金の連帯保証人に、勝手にされていた」「別れたあとに督促状が届いた」。どうなるのか、払わなければならないのかと不安を抱えていませんか。
結論からお伝えすると、自分で署名して連帯保証人になった場合は、借りた本人と同じ責任を負い、別れても責任は消えません。一方、あなたの同意なしに結ばれた連帯保証契約は原則として無効で、支払う義務はありません。ただし、督促に驚いて一部でも支払ったり、実印や印鑑証明書を彼氏に預けていたりすると、責任を負うことがあります。
この記事では、男女間の金銭トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。
- 彼氏の連帯保証人になるとどうなるのか
- 頼まれてなった後に請求が来たらどう対処するか
- 勝手に連帯保証人にされたら払う義務はあるのか
- 身に覚えのない請求が来たとき、まず何をすべきか
お読みいただくことで、届いた請求に対して払うべきかどうか、そして今日から何をすべきかをご自身で判断できるようになります。
なお、こうしたトラブルでお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。
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彼氏の借金の連帯保証人になるとどうなる?借りた本人と同じ責任を負う
連帯保証人とは、借りた本人(主債務者)と同じ立場で返済の責任を負う保証人のことです。彼氏の借金や賃貸契約の連帯保証人になると、あなたにどのような責任が生じるのか、頼まれたときに何を確かめるべきかを先に整理します。
単なる保証人と違って請求を拒めず、別れても責任は消えない
単なる保証人には、「まず本人に請求してほしい」と求める権利(催告の抗弁権・民法452条)や、本人に返済する財産があり、取り立てが容易であることを証明して「まず本人の財産から取り立ててほしい」と求める権利(検索の抗弁権・民法453条)があります。連帯保証人には、これらが認められていません(民法454条)。債権者は、彼氏に一度も請求しないまま、いきなりあなたに全額を請求でき、あなたはそれを拒めません。借金の契約やアパートの賃貸契約で「保証人」として求められるのは、ほとんどがこの連帯保証人です。
連帯保証契約の相手方は彼氏ではなく債権者です。そのため、彼氏と別れても、彼氏が「もう払わなくていい」と言っても、あなたの責任はなくなりません。彼氏が返済できなくなったり連絡が取れなくなったりすれば、残りの借金はあなたが支払うことになります。
頼まれたときは「迷惑をかけない」という言葉で引き受けない
「名前を書くだけだから」「絶対に迷惑はかけない」と頼まれても、連帯保証人の責任は変わりません。彼氏が払えなくなった場合に自分が全額を支払う覚悟がないのであれば、引き受けないのが基本です。引き受けるなら、借入先・金額・返済の見通しを確かめ、契約書の写しを自分でも保管してください。
彼氏が事業のためにする借金の連帯保証人を頼まれた場合、彼氏はあなたに、自分の財産や収支の状況、ほかの借金の有無や返済状況などを説明する義務があります(民法465条の10第1項)。説明がなかったり事実と違ったりしたために誤解して保証した場合、債権者がその事情を知り、または知ることができたときは、保証契約を取り消せることがあります(同条2項)。
なお、賃貸契約では、同棲する相手(同居人)は連帯保証人として認められないことが多く、親族の連帯保証人か家賃保証会社の利用を求められるのが一般的です。同居しない恋人を保証人にできるかは物件や管理会社の判断によるため、契約前に確認してください。
彼氏に頼まれて連帯保証人になり、請求が来た場合の対処法
交際中に彼氏に頼まれて自分で契約書に署名・押印していた場合は、契約は原則として有効に成立しています。請求が来たときに、外れることはできるのか、支払えないときにどうするのかを整理します。
外れるには債権者の同意が要る
契約から外れるには債権者の同意が必要で、彼氏が「別れたから外していい」と言っても意味はありません。彼氏との間で「連帯保証人を外す」という書面を交わしても、債権者が同意していなければ効力はありません。債権者が同意する場面は限られ、代わりの連帯保証人や担保を求められることがあります。完済すれば連帯保証人の責任も終わりますが、途中で一方的に外れることはできないと考えておいてください。
外れられないまま彼氏の返済が滞ると、督促はあなたに届きます。別れた後も彼氏の返済状況を確認できる関係を保ち、滞納の兆しがあれば早めに債権者や弁護士に相談してください。
支払えないときは分割交渉・時効の援用・債務整理を検討する
連帯保証人として一括で請求された金額を支払えない場合でも、対応の選択肢はあります。まず、債権者と交渉して分割払いにしてもらう方法です。あなたが支払った分は後から彼氏に請求できますが(求償権・民法459条1項)、彼氏に支払能力がなければ回収は難しいのが実情です。また、分割の申し出は債務を認める行為にあたりうるため、古い借金であれば、次に述べる時効の可能性を先に確認してください。
次に、消滅時効(一定期間が過ぎると債権が消える制度)です。債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年が経過すると時効によって消滅します(民法166条1項)。ただし、時効の利益を受けると債権者に伝える「援用」が必要で、連帯保証人も援用できます(民法145条)。期間の途中で一部でも返済すると、債務を認めたものとして時効期間が新たに進み始めます(民法152条1項)。債権者が裁判を起こして判決が確定した場合や、差押えなどの強制執行があった場合にも、時効は新たに進み始めます(民法147条2項・148条2項)。判決で確定した債権の時効期間は10年になります(民法169条1項)。彼氏(主債務者)が返済や承認をしている場合も、あなたの保証債務の時効は新たに進み始めます(民法457条1項)。なお、2020年3月以前に生じた借金には改正前の法律が適用され、個人間の貸し借りは10年、貸金業者からの借入れは5年が基本です。そのため、古い借金の督促が届いた場合は、支払う前に時効の可能性を確認してください。
それでも支払いが難しいときは、債務整理(法律の手続きで返済の負担を減らす方法)を検討します。債権者と交渉して返済条件を見直す任意整理、裁判所を通じて債務を減額する個人再生、裁判所に支払不能を認めてもらい支払いを免れる自己破産があります。どの手続きが適しているかは、弁護士が事情を聞いたうえで判断します。
彼氏に勝手に連帯保証人にされたら支払う義務はある?原則は無効
ここからは、あなたが同意していないのに彼氏が勝手に連帯保証人にしていた場合です。自分で署名した場合とは、結論が大きく変わります。なぜ支払う義務がないのか、どのような場合に例外的に責任を負うのかを見ていきましょう。
本人の同意がない連帯保証契約は無効(無権代理)
連帯保証契約は、お金を貸した債権者と連帯保証人との間で結ぶ契約です。彼氏があなたに断りなく契約書の連帯保証人欄にあなたの名前を書き、印鑑を押していたのであれば、あなたの許しを得ていない人があなたの代わりに契約したことになります。
これを法律上は「無権代理(本人から代理権を与えられていない人が、本人の代理人として契約すること)」といいます。無権代理による契約は、あなたが後から認めない限り、あなたに対して効力を生じません(民法113条1項)。あなたが認めなければ、連帯保証契約はあなたに効力を持たず、支払う義務もないということです。
彼氏があなたの筆跡をまねて署名した、部屋に置いてあった印鑑を無断で押した。いずれも、あなたの意思で保証したものではない以上、結論は同じです。債権者から「契約書に署名と押印がある」と言われても、それだけで支払う義務が生じるわけではありません。
例外:追認や実印の預け渡しがあると責任を負うことがある
勝手に連帯保証人にされた場合でも、次の2つの場面では例外的に支払う義務が生じることがあります。
1つ目は、あなたが後から契約を認めた(追認した)と評価される場合です。追認があると、無権代理による契約は契約の時にさかのぼって有効になります(民法116条)。「認めます」と明言しなくても、請求を受けて一部を支払った、分割払いを申し出た、返済計画の書面に署名したといった対応は、契約を認めたものと評価されるおそれがあります。
2つ目は、彼氏に実印や印鑑証明書を預けていた場合です。別の用途で渡していた実印と印鑑証明書を彼氏が連帯保証契約に使ったとき、債権者から見ると、彼氏があなたの代理人として契約する権限を持っていると信じてもおかしくない状況が生まれます。債権者がそう信じるだけの正当な理由があるときは、あなたが責任を負う可能性があります(民法109条・110条)。これを「表見代理(代理権があるように見える事情を本人が作ってしまったときに、本人が責任を負う制度)」といいます。
この場面ではもう一つ注意点があります。裁判では、契約書に押された印影があなたの実印のものと一致すると、あなた自身の意思で押印した文書だと推定されやすくなります(民事訴訟法228条4項)。その場合、「連帯保証人になった覚えはない」と主張する側が、その推定を崩す事情を示していくことになり、争いになりやすいと考えておいたほうがよいでしょう。
身に覚えのない請求が来たら:まずやること・やってはいけないこと
連帯保証人になった心当たりがないのに督促状や電話が来たとき、最初の対応を誤ると、本来なかったはずの支払義務を自分で作り出してしまうことがあります。対応の順序と、避けるべき行動を整理します。
契約書の写しを取り寄せて署名と印鑑を確かめる
最初に、請求してきた相手が実在する債権者かどうかを確認してください。心当たりのない業者からの請求は、架空請求の可能性もあります。
債権者が実在するなら、連帯保証契約書(または保証人欄のある借用書)の写しを送るよう求めます。写しが届いたら、署名の筆跡が自分のものか、押されている印影が自分の印鑑と同じか、契約日にあなたがどこにいたか(その場で署名できたはずがないか)を確かめます。実印が使われている場合は、印鑑証明書がいつ、どのように取得されたのかも重要な手がかりになります。
彼氏と連絡が取れるなら、どのような経緯であなたを連帯保証人にしたのかを聞き、やり取りは記録に残しておきましょう。届いた書面や電話の日時・内容のメモも保管しておいてください。契約の無効を主張する際の材料になります。
1円も返済せず、連帯保証人だと認めない
連帯保証人になった覚えがないのであれば、督促を受けても1円も支払ってはいけません。少額でも支払うと、契約を追認したと評価されるおそれがあり、その後は「勝手にされた契約だ」という主張が通りにくくなります。
電話で「払います」「分割にしてほしい」と答えることも、返済の約束書に署名することも同じです。債権者には「連帯保証人になった覚えはありません。契約書の写しを送ってください」と伝えるにとどめ、支払いや約束はしないでください。
自分だけで債権者と交渉せず、裁判所からの書類は放置しない
連帯保証人ではないと伝えたあとの債権者との交渉を、自分だけで進めるのは避けたほうがよいでしょう。やり取りの中で発した一言が、契約を認めたものと評価される材料になりかねません。
一方で、裁判所から「支払督促」や「訴状」が届いた場合は、無視してはいけません。支払督促は、送達を受けた日から2週間以内に督促異議の申立てをしなければ仮執行宣言(確定を待たずに強制執行を認める裁判所の宣言)が付され(民事訴訟法391条1項)、給料や預金の差押えに進むおそれがあります。訴状が届いた場合も、答弁書を出さずに期日を欠席すると、債権者の言い分どおりの判決が出るおそれがあります。契約が無効であっても、争わなければ支払う義務が確定してしまいます。
督促が届いた段階、遅くとも裁判所からの書類が届いた段階で、弁護士に相談してください。債権者側の弁護士から内容証明や通知書が届いた場合も、放置は禁物です。対応の考え方は「弁護士からの内容証明・通知書の連絡を無視はNG!対応方法を解説」で詳しく解説しています。
連帯保証契約が無効だと主張する方法
「支払わない」と決めるだけでは、債権者からの請求は止まりません。勝手に連帯保証人にされた契約が無効であることを、証拠に残る形で債権者に示していく必要があります。主な方法は、内容証明郵便による通知と、裁判での主張の2つです。
内容証明郵便で「支払義務はない」と通知する
内容証明郵便とは、誰が、いつ、どのような内容の書面を誰に送ったのかを郵便局が証明してくれる郵便です。債権者に対し、勝手に連帯保証人にされたもので契約に関与していないこと、署名と押印は自分のものではないこと、したがって支払義務はないこと、今後の連絡は書面で行ってほしいことを記載して送付します。
内容証明郵便を送ることで、あなたが契約の効力を争っている事実と、その時期が証拠として残り、追認していないことの裏付けになります。弁護士に依頼して弁護士名義で送付する方法もあり、その場合は以後の連絡を弁護士宛てにするよう債権者に求めることができます。
裁判で契約の無効を争う
内容証明郵便を送った後も債権者が請求をやめず、裁判を起こしてきた場合は、その中で契約の無効を主張します。債権者は契約書を証拠として保証契約の成立を主張してくるため、連帯保証人とされたあなたの側は、署名と押印が自分のものではないことを、筆跡の違い、印鑑証明書の取得経緯、契約日の所在などから明らかにしていきます。必要に応じて筆跡鑑定を行うこともあります。
債権者が裁判を起こさないまま督促を続ける場合には、あなたの側から、保証債務がないことの確認を求める裁判(債務不存在確認訴訟)を起こす選択肢もあります。
なお、あなたの名前を勝手に書いて印鑑を押し、契約書を作った彼氏の行為は、有印私文書偽造罪(他人の印鑑や署名を使って契約書などを偽造する罪。3月以上5年以下の拘禁刑・刑法159条1項)にあたる可能性があります。彼氏を刑事告訴する(処罰を求めて警察や検察に申告する)かどうかは別の判断ですが、署名や押印が偽造されたという事実は、民事の争いでも契約の無効を裏付ける事情になります。
彼氏の連帯保証人トラブルで弁護士に早期相談すべき理由
法律上の結論だけを見れば、同意していない連帯保証契約は「原則として無効」で明快です。それでも弁護士への相談をおすすめするのは、結論にたどり着くまでの対応で結果が分かれるからです。彼氏に頼まれて自分で連帯保証人になった場合も、請求への対応を一人で抱えないほうがよい理由があります。
追認とみなされる対応を避け、初動で誤らずに済む
身に覚えのない連帯保証人の督促を受けた直後は、誰でも動揺し、その場しのぎの返答をしてしまいがちです。その一言が追認とみなされる材料になるため、初動が大切です。早い段階で弁護士に相談し、弁護士が窓口となって債権者とやり取りする形にすれば、あなたが直接応対して不利な発言をしてしまう事態を避けやすくなります。
内容証明の作成や裁判への対応を任せられる
勝手に連帯保証人にされた契約の無効を主張するには、契約書の写しの取り寄せ、内容証明郵便の作成、証拠の整理、裁判になった場合の主張・立証と、段階ごとに専門的な作業が続きます。契約書を根拠に請求してくる債権者に対し、「自分は契約していない」ことを裏付ける事情をそろえて示すのは容易ではなく、どの事情をどう示すかで説得力が変わります。
弁護士に依頼すれば、これらの作業を一貫して任せられます。彼氏に実印や印鑑証明書を預けていたなど、責任を負う可能性がある事情がある場合も、早めに相談することで、争い方や落としどころを見通したうえで進められます。
頼まれてなった場合も、債権者との交渉や債務整理を任せられる
自分で署名して連帯保証人になっていた場合、支払義務そのものは争えませんが、分割払いの交渉、時効の確認、債務整理の選択といった対応は、事情によって最適な方法が変わります。彼氏の返済状況や借入先を確認したうえで、支払える範囲に収める道筋を弁護士と一緒に組み立てることができます。
彼氏の借金の連帯保証人トラブルは弁護士にご相談ください
彼氏の借金の連帯保証人に自分で署名していた場合は、借りた本人と同じ責任を負い、別れた後も債権者が同意しない限り外れることはできません。一方、彼氏が勝手に手続きをしていたのなら、その連帯保証契約は無効が原則で、あなたに支払義務はないというのが法律上の結論です。
いずれの場合も、督促への返答を誤ると、本来負わなくてよい責任を負ったり、時効などの選択肢を失ったりするおそれがあります。1円も支払わないうちに、弁護士に相談することが大切です。
身に覚えのない督促状が届いた方、すでに裁判所から書類が届いている方は、精神的な負担も大きいことと思います。当事務所は、恋人との間のお金の問題を多数取り扱ってきた実績があります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
誰でも気軽に弁護士に相談できます
この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。
