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【事例】無実を訴える少年からご相談を受けました

相談者(10代・男性)

逮捕・勾留された少年から相談を受けました。
具体的な相談内容は以下のとおりです。

■相談前

僕は他人に自信を持って説明できるような人生を送っていません。
小学校を出るまでは真面目に生きていたと思いますが、中学生になってから自分自身がおかしくなっていくのが分かりました。

校則では髪を染めるのは禁止されていましたが平気で染めていました。
もちろん勉強もロクにしていませんでした。

僕の友達にも中学の時点で成績が物凄く悪い人はいました。

しかし僕の場合はそもそも受けていないテストが多かったり、受けても白紙で提出していたりしていました。
そして僕は危うく中学1年で留年するところでした。

僕と親が必死に先生に頭を下げて、何とか追試などを受けさせてもらって留年を免れたという形です。

無事中学2年になった直後、僕は父に「結局不良になり切れずに、2年生になっちゃったよ。先生に頭まで下げるなんてね。なんだかカッコ悪い」という話をしました。

しかし、父は
「だから、やっぱりお前は根っ子の部分では真面目なやつなんだよ。
学校に迷惑をかけたかもしれませんが、先生個人や友達に嫌な思いをさせたことなんてないだろ?」
と言ってくれました。

確かに父の言うとおりで、
何か悪いことをするときでも「できるだけ誰にも迷惑をかけないように」くらいの事は考えていたと思います。
(だからといって当時の自分を正当化しようとは思いませんが)

授業中に騒いで他のクラスメイトの勉強を妨げたことはありませんし、ましてや誰かに直接的な危害を加えたこともありません。

さらに父は
「もう悪ぶるのも疲れただろう。そろそろ、お前が思うままに真面目に生きろ」
と言ってくれました。

本当に疲れました。

ですから中学2年・3年と心を入れ替えて普通に生活し、無事に卒業して、高校に入学しました。

ですが、高校に入ってからまたトラブルが起きます。

僕が中学1年生だった頃にとても仲良くしていた友達がいるんですが、1年生の秋くらいに転校してしまいました。
「面倒な存在」だったであろうと僕と親しくしていたくらいですから、彼も僕と同じくらいの不真面目な生徒でした。
平気で喫煙していましたし、彼が自分でそう話していただけですが頻繁に万引きをしていたようです。むしろ僕よりも困った人間だったのかもしれません。

なんと彼と高校2年生になって再会したのです。
なんでも、家の都合でまた僕の住む街に戻ってきたのだとか。

もちろん人を見た目で判断してはいけないとは思いますが、
非常に恐ろしい風貌になっていました。
当然のように髪を染めていましたし、いくつもピアスを開けていましたし、頬のところには小さなハートのような刺青がありました。
身長が急激に伸びたのか軽く175センチは超えていたと思います。

そして、筋骨隆々でした。
恐る恐る彼に「何?鍛えているの?」と聞いてみたところ、
「ケンカも多いし、舐められないように」と言われました。

そのときは正直なところ
「この時代にこんな不良がいるんだな……」と感じました。

僕としては高校でも真面目に過ごしたいわけですから、
彼のことは避けるしかありませんでした。

ですが、彼は僕のそんな気持ちを全く知らず、
別のクラスなのに毎日のように声をかけてきました。
最初のうちは一人でしたが、だんだんと彼と似たような雰囲気の取り巻きが増えていきました。

そしてある日
「今度、○○高校の奴らと戦うからお前も来いよ」
と彼に誘われてしまいました。

もちろん僕は断りましたが、
「じゃあ、これからお前の中学のとき噂流しまくるけど良いの?」
と脅されました。

今振り返ると、中学生の頃も言うほど荒れていたわけではありませんから、
別に他のクラスメイトに僕の過去が知れ渡ってしまっても構わないと感じました。

ですが、彼らが嘘をついてでたらめな噂を流す可能性のほうが高いと思いましたし、
彼らが日に日にイラついてきていて、いつか僕自身に危害を加えてくる恐れがあると感じたのでしぶしぶ従いました。

そして、ケンカの当日になってしまいましたが、
僕は寝坊したことにして、後から現場に向かいました。

僕が現場に到着した直後、彼は金属バットで相手を殴り、
相当な重傷を負わせてしまいました。

僕はすぐに警察を呼びましたが、
彼の証言によって「僕がバットで2発殴ってから、彼が1発殴った」という事になってしまいました。

その場で僕も「それは違います」と主張しましたが、すぐに認められることはありませんでした。
そして、逮捕・勾留されてしまいました。

元を正せば、彼の勧誘を断ることができなかった僕にも責任はあると思います。
ですが、どう考えても罪に問われるのはおかしいと感じたので、弁護士さんを呼びました。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。

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■相談後

僕は弁護士さんに
「金属バットで殴ったのは彼であって、僕は関わっていない。
あくまで現場に居合わせただけである」と主張したところ、すぐに信じてくれました。

僕は弁護士さんの仕事がどんなものなのか良く分かりませんし、
「顧客の言うことを聞いただけ」という側面もあったのかもしれません。

ですが、僕を助けてくれた弁護士さんは僕を本当に信じた上で、
活動してくれたのだと思っています。
弁護士さんと直接話をしてみた上での、なんとなくの感想ですが。

そして、弁護士さんは「抗告」というものの申立てをしてくれたようです。
それが認められて、裁判において無罪になりました。

その後、僕は特に学校からペナルティを受けるようなこともなく生活できています。

むしろ、先生に事情を話すと「大変だったなあ。でも、とにかく君、悩みとかあったらもっと先生とか大人に相談したほうが良いよ」と慰めてくれました。

両親からも「お前が暴力なんて振るえるはずないからなあ」と言われました。
ハッキリ言って、僕を信じてくれる人がこんなにいるとは思いませんでした。

弁護士さんのおかげで今も何事もなく生きていけているわけですし、
「僕の周りには素晴らしい人がたくさんいること」に改めて気づけました。

そして、僕は今のところ将来は弁護士になりたいと考えています。
依頼者を含め、あらゆる「人」の事を思いやれる立派な弁護士になりたいと思っています。

これからも僕の過去の影響で、妙な勧誘を受けることもあるかもしれません。
また、今回の彼もいなくなったわけではありませんし、再び僕に近寄ってくることもあるかもしれません。
ですがそれに屈せず、正しい事を貫けるような人間になりたいと考えています。
弁護士になれなかったとしても、正義の心は持ち続けたいです。

弁護士さん、本当にありがとうございました。

※これらの内容は個人を特定できないよう、
相談者の承諾を得て編集し載せております。

■弁護士からのコメント

犯罪・刑事事件においては、弁護士が迅速に「どの部分を抑えれば解決に向かうのか」を判断することが重要です。
そして、被疑者としっかり接見して話を聞き、裁判官や捜査官にそれを主張して、納得してもらうことも大事です。

本件は依頼者さんの主張が非常に明快だったため、私としても行動しやすかったです。
そして、金属バットで殴った少年の主張に矛盾が多かったという事実もあります。
ここまで、条件が揃っているのであれば無罪を勝ち取るのは容易です。

依頼者様の「弁護士になる」という夢。
私も陰ながら応援させていただきます。
ただし、「熱意があり過ぎるがゆえの暴走」もありますので、
情熱を胸に秘めつつも、常にクールさを保っていただければと思います。

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