営業先での強制わいせつ
女性が受ける被害セクハラによる被害は職場内だけでなく、取引先との間でも起こります。
- 「取引先との接待の席で身体に触られた」
- 「取引先の社長にホテルに誘われて、断りきれなかった」
もしこのような事態に巻き込まれたら1人で悩まず、早めに勤務先や弁護士に相談しましょう。
目次
取引先がセクハラの加害者になるケースは珍しくない
取引先によるセクハラ被害が発生するのは、被害者自身あるいは被害者の勤務先とのパワーバランスが原因です。
取引先は、勤務先の会社にとっては大事な取引相手です。
それが取引額の多いお得意様であるほど、勤務先の会社の間に上下関係が形成されます。
また、この上下関係は現場の担当者間でも生じます。
被害者としては取引先の機嫌を損ねると会社内での人事評価に影響するおそれもあるため、取引先の担当者に対してなかなか強い態度に出られません。
そこにつけこみ、性的な要求をしてくるケースもあるのです。
被害に遭いながらも取引などへの影響を気にして人知れず悩んでいる女性も珍しくありません。
よくある事例
取引先からのセクハラに悩む女性は少なくありません。
悪質な場合はレイプなどの性暴力被害に発展する場合もあります。
女性フリーランスが取引先に性暴力被害を受けた
フリーランスは立場が弱く、取引先の担当者や依頼者と1対1になることも多いことから特に被害を受けやすいといわれています。
打ち合わせや取材の最中に身体を触られる、悪質な場合は取引継続と引き換えに性交渉を求められるなどの例が後を絶ちません。
最近では、出版社の有名編集者がフリーランスの女性ライターにセクハラを行ったなどニュースになった事例もありました。
セクハラに対して毅然と対応した結果、相手から嫌がらせを受けたり、最終的に報酬の支払いが受けられなかったりしたケースもあるようです。
接待のあとにホテルに誘われた
営業職の女性が取引先の担当者や社長を接待していたところ、相手にホテルに誘われ、キスをされたなどの被害を受けるケースもあります。
「大事な取引先を怒らせたくない」という気持ちから強い態度に出られず、ひどい場合は被害を訴えても勤務先の上司が被害者を守ってくれないということもあるようです。
強制わいせつやレイプのような刑法上の犯罪に該当する行為にまで至らない場合も、年齢や体重、彼氏の有無を訊かれる、性的な冗談を言われるといった被害を受けるケースは非常に多いです。
セクハラと戦ったらパワハラが始まった
性的な要求を拒否したところ、取引先の態度が急変してパワハラがはじまるといったパターンもあります。
取引先の機嫌を損ねたくない上司がセクハラ被害にあっている女性に対してパワハラを行うケースもあり、被害者が二重、三重に被害を受けてしまう事例もあります。
取引先の人にしつこくデートに誘われている
取引先の人に、私的な食事やデートに誘われる例もあります。
断りきれずに食事や飲みに行った結果、ホテルに誘われたり、飲み物に薬を入れられて意識がもうろうとしている間に性被害を受けたりするケースも珍しくありません。
取引先によるセクハラは犯罪になることも
取引先によるセクハラはれっきとした違法行為です。
悪質な場合は刑法上の犯罪が成立する可能性もあります。
たとえばキスや抱きつきなどの行動を伴った場合は強制わいせつ罪、レイプ被害にあった場合は強制性交等罪になります。
またお酒を飲まされた上で性的な行為をされた場合は準強制性交等罪が成立する可能性があります。
損害賠償請求ができる可能性も
セクハラは民法上の不法行為にあたりうるものです。
不法行為にあたる場合、被害者は自分の受けた精神的・肉体的な被害に対して加害者に損害賠償を請求することが可能です。
セクハラには使用者責任も発生する
また、取引先のセクハラについては、直接の加害者だけでなく、加害者を雇っている会社側に責任を追及できるケースがあります。
なぜなら、会社には「事業の執行」について従業員が他人に与えた損害を賠償する責任があるからです。
「事業の執行」とは営業、取引先の接待といった事業活動に関連する活動をさします。
セクハラが、取引先の会社の「事業の執行」に関連して行われたと認められた場合は、取引先の会社に対しても損害賠償請求が可能になります。
もし被害にあってしまったら証拠の確保を
もしセクハラの被害にあってしまったら、相手の言い逃れを許さないためにも、防犯カメラの画像、録音した音声などの証拠を集めることが大切です。
レイプやレイプドラッグを使った性暴力などの被害にあった場合はすぐに病院に行きましょう。
相手の体液や尿から検出された薬物などが動かぬ証拠になります。
取引先からのセクハラ被害にあったときの相談先
取引先からセクハラ被害にあった場合は早めに第三者に相談し、適切な対応を取ることが大切です。
勤務先
取引先と勤務先の関係もあるため、まずは自身の勤務先に相談しましょう。
もし会社側で適切に対応してもらえない場合は、弁護士に相談するのもよいでしょう。
警察
悪質なセクハラは、強制わいせつや強制性交等罪といった犯罪行為に該当する可能性があります。
警察に相談し、被害届や告訴状を出すことも検討しましょう。
弁護士
セクハラ被害では、刑事・民事の両方で加害者の責任追及が可能です。
しかし法律的な手続きを1人で行うのは難しいですし、勤務先が味方になってくれない場合は、自分の勤務先とも戦わなければならないこともあります。
このとき弁護士がいれば、さまざまなサポートを受けられるため、精神的な負担の軽減につながります。
損害賠償請求や会社との交渉はもちろん、告訴手続きのサポートや捜査機関への付添などを依頼することも可能です。
セクハラ被害に対しては間違った対応をすると被害者側がかえって不利になってしまうこともあります。
早期解決を目指すためにも、早い段階で一度話を聞きに行ってみてはいかがでしょうか。
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