キャバクラでは男女の色恋や金銭が絡むことから、様々なトラブルが生じます。
実際、男女トラブルを専門的に扱う当法律事務所へもキャバ嬢とお客の双方から、トラブルの相談が数多く寄せられています。
そこでこの記事では、キャバ嬢とお客との間で起きやすい、以下の3つのトラブルとその対処法について弁護士が解説していきたいと思います。
- 金銭トラブル
- ストーカートラブル
- 不倫の慰謝料トラブル
なお、既にトラブルに巻き込まれた方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。
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目次
キャバクラでの金銭トラブル
弁護士に寄せられる相談の中で、キャバ嬢がお客から受け取ったお金を後になって返すよう要求されるトラブルが非常に多いです。
このような事態は、お客からのしつこい交際や結婚の迫り方に嫌気がさして、キャバ嬢が関係を解消するために連絡を無視したり別れを告げた場合に発生することが多いです。
もらったお金は返す必要はない
ではここで、お客から一度受け取ったお金を返す法的な義務はあるのでしょうか。
この点、キャバ嬢とお客との間でお金を「貸す」「借りる」といったやり取りがあったのであれば、それは法律上は、「消費貸借契約(民法第587条」という契約の一種ですので、キャバ嬢はお客にお金を返す必要があります。
一方で、お客から「援助してあげる」「生活の面倒を俺がみてやる」「これは返さなくてもいいものだ」と言われて受け取ったお金であれば、それは「贈与契約(民法第549条)」に該当します。この場合、キャバ嬢は既に受け取ったお金を返す法的義務はありません。同様に、もし貰ったものがプレゼントであった場合も、キャバ嬢は返す必要はありません。
もし、お客が「あのお金は貸したものだ」と主張してきた場合には、その金銭のやり取りが貸し借りであったことの証明責任はお客にあります。もし証明できない場合は、キャバ嬢はお金を返す必要はありません。
お客を騙した場合にはお金を返さなくてはならい
キャバ嬢がお客に「学費のためにキャバクラで働いている。お金が足りない」「親が病気で手術費用が必要で困っている」「実はシングルマザーで子どもの養育費で生活が苦しい」といった嘘をつき、それを信じたお客から「学費のため」「手術費のため」「子供の養育のため」とお金を受け取った場合、お客は詐欺取消(民法第96条)に基づき、その贈与を取り消してキャバ嬢に返金を請求することができます。
この場合、返金の義務だけでなく、詐欺罪(刑法第246条)に問われ刑事責任を負うことがあります。
キャバ嬢が色恋営業で度を越えて、結婚するつもりがあるかのように装ってお客を信じ込ませ、お金を支払わせた場合にも、詐欺取消しによる返金義務を負うだけでなく、詐欺罪で逮捕され、慰謝料請求される可能性もあります。
金銭トラブルを解決するには?
キャバクラのお客と金銭トラブル(あるいはプレゼントの返還に関するトラブル)になると、お客から次のようなメッセージが送られてくることが多いです。
- 「返さないなら裁判を起こす」
- 「返さないなら警察に詐欺で被害届を出す」
前述の通り、純粋に贈与であった場合には、キャバ嬢はお金を返す法的義務はないわけですから、お客に対し「もらったものですのでお返しはできません。これ以上の連絡を寄こすようでしたら残念ですが警察に相談します」と返信をしてそれ以降は無視で構いません。
無視してもしつこく連絡をしてくる場合には、この後に説明しますが、お客の行為はストーカー規制法違反となることもありますので警察または弁護士に相談しましょう。
また、お客から、
- 「返さないなら探偵に家を調べさせる。どうなっても知らんぞ」
- 「返さないからお前の実家に押し掛けて親に払ってもらう」
- 「返せないなら身体で払え。さもないとネットにお前が詐欺している事実を書き込む」
などと言われた場合には、恐喝罪や強要罪が成立する可能性があります。
この場合、警察に被害届を提出するか、刑事告訴することで警察が捜査を開始し、お客を逮捕してくれることもあります。
ただし、お客に脅された証拠が全くないと警察も動けませんので、お客とのメールやLINEでのやり取りの保存は必ずしてください。また、電話での会話は、スマホの通話録音アプリで必ず録音しておくようにしましょう。
なお、キャバ嬢がお客に嘘をついてお金を受け取っていたケースでは、逆にキャバ嬢が警察に逮捕されてしまう可能性もあるため、お客から受け取ったお金は返す必要があります。
ただし、お客にお金を返した後に、「まだ全額返してもらっていない」「慰謝料も払ってもらう」など問題を蒸し返されることも多いことから、キャバ嬢とお客との間で示談書を交わす必要があります。しかし、法的に不備のない示談書を作成することは一般の方には難しいでしょうし、示談を交わすにあたりお客とまた会わなくてはならないのは怖いといったキャバ嬢の方もおられるかと思います。
その場合は弁護士にお客との交渉を依頼することで、示談書の作成、示談交渉を全て一任することができますので、安心してこれまで通りの生活に戻ることができます。
キャバクラでのストーカートラブル
金銭トラブルに次いで法律事務所への相談が多いのが、キャバクラの客によるストーカートラブルです。
キャバ嬢が遭うストーカー被害とは?
キャバクラはお客との疑似恋愛を楽しむ場所ですが、中には疑似恋愛だと割り切れず、キャバ嬢に本気で想いを寄せてしまうお客もいます。
そのため、彼らはキャバクラに足繁く通い、好きなキャバ嬢を指名して多額のお金を使ったり、高価なプレゼントを贈ったりしますが、これら全てはキャバ嬢の気を引くためです。
しかしながら、ストーカー気質の男性は、自分が相手女性にした行為に対する見返りを求める傾向があります。つまり、「これだけお金をつぎ込んだんだから、俺と付き合ってくれるだろう」と勝手に思い込んでしまうのです。
しかし、キャバ嬢が交際に応じないと、キャバ嬢の私生活が気になり、つきまとい行為をしたり、待ち伏せをしたりするようになります。最近では、キャバ嬢の集客用のSNSに頻繁にコメントを入れるなど、ネットストーカーになるお客も増えています。
また、キャバ嬢との交際が叶わないことに気づくと、「今まで自分はキャバ嬢に騙されてお金を貢がされていた。許せない」と復讐心からストーカーになるお客もいます。
復讐心からストーカー化したお客は、ネットの掲示板やSNSにキャバ嬢に対する誹謗中傷を書き込んだり、最悪のケースでは、暴力事件や殺人事件にまで発展してしまうこともあります。
ストーカートラブルを解決するには?
上記の通り、キャバ嬢の身体・生命に危害が加えられるおそれもありますので、ストーカー被害に遭っているキャバ嬢は、自分の身を守ることが先決です。
お店に相談し、そのストーカー客をNG扱いにしてもらうことはもちろん、帰宅時に送迎してもらうなど一人で行動しないようにしましょう。既に自宅を知られている可能性がある場合には引っ越しも検討する必要があるでしょう。
次に、警察に動いてもらうための証拠収集も必要です。お客の言動次第では、ストーカー規制法違反にもなりますし、脅迫罪や恐喝罪も成立する可能性もあります。しかし、証拠が全くないと警察がお客に警告を与えたり、逮捕をすることができません。
そのため、以下で挙げるような証拠を出来るだけ確保してから警察に相談に向かうようにしましょう。
- 目撃者や証人から得られた情報
- 被害の状況、日時や場所、相手の行為の詳細を記したメモ
- ストーカーの行為が分かる動画や画像
- LINEやSNSの文面のスクリーンショット、着信履歴やメールの履歴
- 会話や通話の音声録音データ
- 来店履歴などの記録 など
ただし、お客の言動から、少しでも身に危険が及ぶと感じた場合には迷わずに警察に駆け込んでください。
仮に証拠がない場合でも、警察から防犯のための具体的アドバイスがもらえたり、自宅近辺などのパトロールを強化してくれます。
また、警察沙汰にしてお客を刺激したくない、今まで散々色恋でお金を遣わせてきたので報復が怖いといったキャバ嬢の方は、弁護士に相談しましょう。
ストーカー事案に強い弁護士であれば、お客への警告・交渉で、穏便にストーカートラブルを解決できる可能性もあります。
実際に被害に遭われている方は、キャバ嬢のストーカー被害を解決するための対処法も合わせて読むことをお勧めします。
キャバクラのお客の妻からの慰謝料請求トラブル
キャバ嬢が既婚者のお客と性的な関係を持ったことがお客の妻にバレると、高額な慰謝料を請求されるトラブルに発展することもあります。
既婚者と性的な関係を持つことは、「婚姻共同生活の平和の維持という権利または法的保護に値する利益」を侵害することになるため、お客の妻に対する関係で、キャバ嬢は不法行為責任を負います。そして、故意または過失により不法行為責任を負う者は、被害者に対して損害賠償(慰謝料)を支払わなくてはなりません。
お客が既婚者だと知らなかった場合でも慰謝料の支払い義務を負う?
もし仮に、キャバクラのお客が結婚していることを知らずに性的関係を持った場合でも、キャバ嬢は慰謝料の支払い義務を負うのでしょうか。
ここで重要なのは、不法行為が成立するには、故意(お客が既婚者であることを知っていたこと)または過失(お客が既婚者であることを知らなかったことに落ち度があること)があったことが必要とされることです。
この点、キャバ嬢が、お客が独身であると信じていたのであれば少なくとも故意は認められません。
しかし、お客が既婚者であることを知らなかったことに落ち度があった場合には、過失が認められ、キャバ嬢がお客と寝たことは不法行為となります。
たとえば、
- 公の場所でのデートはなくいつもホテルデートばかりだった
- 宿泊を伴うデートがなかった
- 週末に連絡が取れないことがあった
- 連休や年末年始になるとなぜか会えなかった
などの事実があれば、お客が既婚者であることを疑うべきであった、つまりは裁判で過失認定され、妻からキャバ嬢への慰謝料請求が認められる可能性があります。
相手が既婚者であることを知らないふりすれば慰謝料から逃げられる?
枕営業であった場合でも慰謝料請求が認められる可能性がある
キャバ嬢がお客と真剣に交際していたわけではなく、あくまでも太客・良客を繋ぎとめておくための枕営業としてお客と寝ていた場合でも慰謝料の支払い義務は生じるのでしょうか。
この点、ホステス等の水商売女性から浮気・枕営業の慰謝料は取れる?に詳しく書かれていますが、ホステスの枕営業は、客の妻との関係で不法行為にあたらないとした判例(東京地判平成26年4月14日判決)があります。
そのため、キャバ嬢があくまでも仕事の一環としてお客と寝ていた場合には、お客の妻からの慰謝料請求が認められない可能性もあります。
もっとも、この判例のあとに、お客の妻から、枕営業をしたホステスに対する慰謝料請求が認められた裁判例もあるため、必ずしも慰謝料を支払わずに済むとは限らないことに注意が必要です。
お客の妻からの慰謝料請求トラブルを解決するには?
まず、キャバクラのお客が既婚者であることを知らなかった、知らないことにつき過失もなかったと主張するには、お客が独身と装っていた言動や交際期間が短かったことを証明する証拠が必要となります。
お客が独身であることを装う積極的な言動をしていた場合や、交際期間が短く、お客に配偶者がいることを知る機会に恵まれていなかった場合には、故意や過失が否定されることが期待できるからです。
既婚者だと知らなかった証拠は?証拠があれば不倫慰謝料請求を拒否できる?に詳しく書かれていますが、これを証明するための証拠としては、次のようなものが挙げられます。
- 独身を装う内容が含まれたメールやLINEのトーク画面
- 交際期間がわかる、メールやLINE・SNSでの会話の履歴、日記、スケジュール帳
また、あくまでも枕営業でお客と寝ていただけだと主張する場合は、その態度を一貫して崩さないことが重要です。
もっとも、どちらの主張をするにしても、一般の方が慣れない裁判での主張・立証をすることは相当なストレスとなるでしょう。お客の妻側に弁護士がつけば、法廷で法律のプロを相手に、故意・過失の有無や、枕営業であるか否かを争わなくてはなりませんので厳しい戦いとなるでしょう。
この点、弁護士に依頼することで、訴訟においても代理人としてアナタの代わりに主張立証をしてくれます。また、キャバ嬢の不法行為が認められる事案でも、お客の妻との交渉次第では、低額な和解金で解決を図ることが出来る場合もあり、訴訟になることを回避することも可能です。
まとめ
キャバクラでの男女間のトラブルは、法律的な問題以外にも、恋愛感情や復讐心といった様々な感情も考慮して対処していかなくてはなりません。
自分の生命や身体への加害行為が予想される危険な状況であれば、すぐにでも警察に頼るべきですが、まだその段階まで至っていないのであれば弁護士への相談も検討しましょう。
男女トラブルに精通した弁護士であれば、キャバ嬢とお客とのトラブルを穏便かつ内密に解決できる可能性が高いです。
当事務所では、キャバクラトラブルにおけるお客との交渉を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、お困りの女性は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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