既婚者だと知らなかった証拠は?証拠の適切な活用方法を解説
「交際相手が既婚者だと知らなかったのに、その配偶者から慰謝料を請求された…。慰謝料を支払わずに済ませるには、どのような証拠が必要なのか?」

このようにお悩みではありませんか?

既婚者が配偶者以外の相手と肉体関係を持つことは、婚姻関係の平穏を侵害する行為であり、民法上の不法行為に該当します。そのため、不倫相手とされたあなたも、配偶者から慰謝料請求を受ける可能性があります。

しかし、慰謝料請求が認められるためには、あなたが相手の既婚の事実を知っていた(故意)、または知るべき状況にあったにもかかわらず注意を怠った(過失)と判断される必要があります

つまり、慰謝料請求を拒否するには、「過失なく既婚者であることを知らなかった」と証明できる証拠が必要になります

この記事では、不倫問題に強い弁護士が、以下の点について詳しく解説します。

  • 既婚者だと知らなかったことを証明するための証拠
  • 証拠を集める時の注意点
  • 集めた証拠の適切な活用方法

また、すでに慰謝料を請求されており、一人での対応が難しいと感じている方はまずは全国無料相談の弁護士へお気軽にご相談ください

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既婚者だと知らなかったことを証明する証拠

不貞行為(既婚者との性的関係)が問題となる場合、「相手が既婚者であることを知らなかった」と主張しても、認められるケースは多くありません。交際相手の言動や状況に注意を払えば、結婚していると気付けたと判断されることがあるためです。

たとえ本当に知らなかったとしても、不注意によって気付けなかった場合は、裁判で過失が認定され、慰謝料請求を免れるのは困難になる可能性があります。そのため、「過失なく既婚者であることを知らなかった」 ことを立証できる証拠を集めることが重要です。

具体的には、次のような証拠が考えられます。

  • ①交際のきっかけがわかる証拠
  • ②交際期間が短いことがわかる証拠
  • ③相手が独身を装った言動をしていた証拠
  • ④相手との行動を記録した証拠
  • ⑤相手との共同生活の証拠
  • ⑥相手の自白を記録した証拠

①交際のきっかけがわかる証拠

交際相手とどのように知り合い、どのような関係であったかは、婚姻状況を知る機会があったかどうかを判断するうえで重要な要素です。

例えば、同じ職場の同僚や上司・部下の関係であれば、日常的に接する機会が多く、結婚指輪の着用や家族の話題などを通じて既婚であることを知る機会があったと見なされる可能性が高くなります。このような状況では、「相手が既婚者であることを知らなかった」と主張しても、著しい不注意があったと判断される可能性が高いでしょう。

一方で、マッチングアプリや婚活サイト、お見合いパーティーで知り合った場合には、相手の婚姻状況を知る機会は限られます。特に、婚活サイトでは独身証明書の提出が求められることもあり、マッチングアプリでも既婚者の利用を禁止する規約があることが一般的です。そのため、これらの方法で出会った場合には、相手が独身であると信じる合理的な理由があったと主張しやすくなります。具体的に、証拠となるものとしては次のようなものがあります。

  • 婚活サイトの登録記録
  • マッチングアプリのプロフィール画面のスクリーンショット
  • 相手とのやり取りの履歴

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②交際期間が短いことがわかる証拠

交際期間の長さも、相手の婚姻状況を知る機会があったかどうかを判断する重要な要素です。一般的に、交際期間が長ければ、その間に相手の既婚状況を知る機会があったと考えられます。一方、交際期間が比較的短かった場合には、相手の生活環境や婚姻状況を詳しく知るだけの十分な時間がなかったと主張できる可能性があります

例えば、交際を始めて間もなく肉体関係を持ち、その後1回~数回の接触のみで関係が終了した場合、相手の婚姻状況を把握する機会がほとんどなかったと判断される可能性があります。一方で、交際が一定期間続いていた場合には、その間に相手の言動や生活環境を知る機会があったと見なされやすく、過失を否定するのは難しくなります。こうした交際期間の長さを証明するためには、次のような証拠が有効です。

  • 交際開始日や終了日がわかるメールやLINE、SNSでのやり取りの履歴
  • 交際期間が短かったことが確認できる日記やスケジュール帳の記録

③相手が独身を装った言動をしていた証拠

交際中に相手が積極的に「独身である」と装っていた場合、あなたの過失が否定される可能性が高くなります

例えば、マッチングアプリや婚活サイトのプロフィールに「独身」と記載されていたり、LINEやメールで「独身」または「バツイチ」と説明していた場合、その記録を証拠として残しておくことが重要です。また、「過去に結婚していたが現在は独身」などと誤認させるような発言も、独身を装った証拠になり得ます。

さらに、交際相手があなたとの結婚を真剣に考えていると示すような言動をしていた場合、それも未婚を装っていた証拠として有力です。日本では二重に婚姻することは刑法第184条で禁止されており、重婚罪に該当します。そのため、相手が「あなたとの婚姻を視野に入れている」と発言していた場合、単に婚姻していないと伝えなかっただけでなく、「自分は未婚である」と積極的に述べていたと解釈することができます。

こうした証拠があれば、相手が既婚者であることを隠していたことを示す決定的な裏付けとなります。具体的な証拠として、次のようなものが考えられます。

  • 相手の婚姻状況を誤認させる発言が記録されたLINEやメールの履歴
  • マッチングアプリや婚活サイトで独身と記載されていたプロフィール画面のスクリーンショット
  • 結婚を前提としていたことを示す婚約指輪の購入履歴
  • 結婚式場の下見や予約をした記録
  • 結納品を購入した記録

④相手との行動を記録した証拠

相手が独身であると信じていたことに相当な理由があると考えられる行動や発言をしていた場合、それを記録しておくことは、無過失を証明するうえで重要な証拠となります。

特に、相手との結婚を真剣に考えていた場合、そのような関係性の中で相手が独身であることを当然と信じるに足る状況があったと主張しやすくなります。加えて、相手が「独身」「バツイチ」などと明言しており、それに矛盾しない行動をとっていた場合には、あなたの注意義務が否定される可能性が高まります

こうした証拠があれば、相手の婚姻状況を知る機会がなかったことを具体的に示すことができます。具体的な証拠として、次のようなものが考えられます。

  • 交際相手として両親や知人に紹介していたことがわかる写真やLINEの履歴
  • 二人で住むために不動産を探していたことがわかる契約資料ややり取りの履歴
  • 結婚を前提として結婚式場を探していたことがわかるやり取りや資料
  • 土日も会っていたことがわかるLINEのやり取りや日記
  • 自分や相手の自宅でお泊まりをしたことがわかるLINEのやり取りや日記
  • 二人だけで宿泊を伴う旅行に行ったことがわかる写真や動画
  • 休日や夜間も電話していたことがわかるLINEの通話記録

⑤相手との共同生活の証拠

交際相手と一定期間同棲していた場合、それは相手が独身であると信じていたことの強い裏付けとなります。特に、同棲中に相手が家族と一緒に住んでいる様子を見せなかった場合、それを理由に相手を独身だと信じていたと主張しやすくなります。

同棲していたことを証明するために、次のような証拠が有力です。

  • 同棲していた住居の賃貸契約書や公共料金の支払い記録
  • 二人で購入した家具や家電の領収書や契約書
  • 同棲中の写真や動画
  • 二人での生活を記録したLINEやメールの履歴

これらの証拠は、相手が結婚していることを知らなかったことを立証するために重要な証拠となります。

⑥相手の自白を記録した証拠

最後に、相手が自身の非を認める発言や書面は、決定的な証拠となります

例えば、交際相手が「自分は独身だと言っていた」「あなたが既婚者であることを知らなかったのは当然だ」と認める発言をしていた場合、それを録音や書面で記録しておくことが重要です。また、交際相手が「あなたが既婚者であることを知らなかったのは、自分の発言が原因である」と認める場合、それは無過失を推認する証拠にもなり得ます。

こうした証拠があれば、相手が既婚者であることを隠していた事実を裏付けることができます。具体的な証拠として、次のようなものが考えられます。

  • 交際相手が独身だと認めた発言が記録された音声データやメッセージ履歴
  • 交際相手が既婚者であることを隠していたと認めた書面

既婚者だと知らなかった証拠を集める時の注意点

既婚者であることを知らなかったと主張するには、証拠の収集と保管が重要です。しかし、証拠の中には時間が経つと消えてしまうものや、単体では証拠力が弱いものもあります。後から「証明できない」とならないよう、慎重に対応する必要があります。具体的な注意点は次の通りです。

  • ①消去される可能性のある証拠は早めに保存しておく
  • ②できるだけ多くの証拠を確保しておく

①消去される可能性のある証拠は早めに保存しておく

証拠が失われる前に保存しておくことが重要です

マッチングアプリやSNSによっては、相手がアプリを退会・アカウントを削除したり、メッセージを後から消したりすることで、やり取りの内容を確認できなくなってしまうおそれがあります。

無過失を推認することができるやり取りをしていたとしても、すでに確認できず証拠がない場合には、その事実がなかったものと扱われる可能性があります。

したがって、マッチングアプリの相手のプロフィールややり取りは、早めにスクリーンショットで保存しておくことが重要です。

②できるだけ多くの証拠を確保しておく

相手が既婚者であることについて、故意や過失がなかったことを証明するためには、できるだけ多くの証拠を収集・保管しておく必要があります。

相手が既婚者であることを「知らなかったこと」、または知らなかったことに「相当な理由があったこと」という主観面を推認するためには、それと整合する客観的な事実が多ければ多いほど有利となります。

単体では証拠力が弱いと思われる事実でも、複数組み合わせることで、あなたに過失がなかったことを証明につながる可能性があります

例えば、規約において既婚者のユーザー登録が禁止されているマッチングアプリを通じて知り合い、相手から「自分は独身である」とLINEで言われており、さらに結婚に向けて様々な準備を進めていた証拠がある場合、それらを総合的に判断した結果、本人には注意義務違反による過失はなかったと認められる可能性があります。

そのため、どのような事実であっても、証拠として残っているものは有利に利用できる可能性があるため、できるだけ保管しておくことをおすすめします。

既婚者だと知らなかった証拠の活用方法は?

既婚者であることを知らなかった証拠は、慰謝料請求への対応や法的請求の場面で重要な役割を果たします。適切に活用すれば、不当な請求を避けたり、正当な主張を裏付けることが可能です。具体的には、次のような形で利用できます。

  • ①慰謝料拒否や減額交渉する場合に使う
  • ②交際相手を訴えるのに使う

①慰謝料拒否や減額交渉する場合に使う

交際相手の配偶者から慰謝料請求を受けた場合、相手が既婚者であることを知らなかったという証拠は、支払いを拒否したり、減額を求めたりするための重要な根拠となります

前述の通り、不貞行為における慰謝料請求は、通常、相手が既婚者であると知っていた、または知るべき状況であったことが前提となります。そのため、無過失を証明できる証拠があれば、慰謝料を支払う義務がないと主張することが可能です。

既婚者と知らなかった場合の不倫慰謝料の支払義務と対応方法

また、裁判になった場合でも、相手が独身だと装っていた、既婚者であると知る機会がなかったといった客観的な証拠を提示できれば、過失が軽微であると判断され、慰謝料の減額が認められる可能性があります。

もっとも、一般の方が故意や過失の判断をすることは難しく、本来証拠となるものを見落としてしまう恐れもあります。また、裁判での主張や立証には大きな負担がかかるため、ストレスを感じることも少なくありません。ご自身での解決が難しいと感じたら、弁護士に相談するのが賢明です。弁護士に依頼すれば、証拠の整理や評価を正確に行い、最適な交渉や訴訟の進行を支援してもらえます。

②交際相手を訴えるのに使う

交際相手が既婚者であることを隠し、独身だと嘘をついていた場合、慰謝料請求の訴えを起こすことができます

交際相手が独身だと装っていたために、既婚者であると知っていたら性的関係を持たなかったと考えられる場合、人格権侵害や貞操権侵害を理由として慰謝料などの損害賠償請求ができます。特に、相手との結婚を真剣に考えていた場合には、独身であると騙されていた点であなたも被害者と言えるでしょう。

裁判で慰謝料請求が認められるかどうかは事案によりますが、騙されたことで精神的苦痛を受けた場合、慰謝料請求を検討する価値があります。

もっとも、交際相手に言いくるめられそうな場合や、訴訟手続きに不安がある場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。弁護士に依頼すれば、慰謝料請求や訴訟の代理を任せることができ、訴訟の負担を軽減し、結果を出しやすくします。

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まとめ

既婚者だと知らなかったことを証明するためには、無過失を証明できる証拠が不可欠です。証拠を集める際には、交際のきっかけや期間、相手が独身を装った言動など、多角的な証拠を収集し整理することが重要です。

また、証拠を収集するだけでなく、それをどのように活用するかが重要です。慰謝料拒否や減額交渉、あるいは交際相手を訴える際には、集めた証拠を適切に活用することで、正当な主張が認められる可能性が高まります。

証拠集めや法的手続きは複雑で専門的な知識が必要です。自分での対応に不安がある場合は、早めに弁護士に相談することで、適切なアドバイスとサポートを受けることができます。

当法律事務所では、既婚者だと知らずに関係を持ち、トラブルに発展してしまった事案の解決に豊富な実績があります。親身に対応し、依頼者を全力で守りますので、まずはお気軽にご相談ください。

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