キャバクラは男性に夢を見させるお仕事ですので、中には色恋営業をしているキャバ嬢の方もいるでしょうし、そうでなくとも異性として興味を持ってもらえるように振舞っているはずです。しかし困ったことに、キャバ嬢の言動が疑似恋愛や仕事の一環であることを理解できずに本気で自分に好意があると思い込み、ストーカーへと変貌してしまうお客もいます。
そこでこの記事では、ストーカー被害に強い弁護士が、
- キャバ嬢がストーカー被害にあった時の対処法
- キャバクラのストーカー被害の相談先
などについて徹底解説していきます。
なお、既にお客からストーカー被害にあわれているキャバ嬢の方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。
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キャバ嬢はどんなストーカー被害にあいやすい?
当法律事務所には、キャバ嬢の方から多くのストーカー被害相談が寄せられますが、その中でも特に相談数が多い被害例は以下となります。
- LINE・メールや電話でしつこい連絡をしてくる
- 断っているのに交際を強要してくる
- 店の外や帰宅途中の道で待ち伏せしたり後をつけてくる
- プライベートを監視してくる
- SNSや掲示板に誹謗中傷を投稿する
とくに最近では、集客のためにキャバ嬢が利用しているInstagramやTwitterなどのSNSに頻繁にコメントを入れたりDMを送ってくるネットストーカーが増加しています。
また、キャバ嬢に交際を断られたり冷たくあしらわれて腹を立てたお客が、SNSや爆サイやホスラブなどの掲示板にありもしない事実を書き込んでキャバ嬢の名誉を傷つける被害も多いです。
キャバ嬢が被害者となったストーカー事件
ここでは、キャバ嬢や元キャバ嬢がストーカー被害にあって事件にまで発展してしまったケースを紹介します。
千葉県市川市の繁華街にある宝くじ売り場で、幼い娘を連れた元キャバ嬢が元交際相手の男性に突然包丁で刺されて死亡した事件があります。男性と元キャバ嬢はスナックの客とホステスとして知り合い交際に発展。その後二人は別れるも再開し同棲をするようになります。しかし、その後何らかの原因で二人は別れ、男性が元キャバ嬢に復縁を申し込んだものの断られたため、「新しい男にとられるくらいなら」といった動機で殺害にまで至ったようです。
館林市のディスカウントストア駐車場でキャバ嬢が射殺され、元交際相手の男性が自殺した事件があります。男性とキャバ嬢はキャバクラの客とホステスとして知り合い交際を開始しましたが、その後キャバ嬢が男性に別れを告げています。しかし男性は別れに応じず、電話やメールを送るなどのストーカー行為をし、さらにコンビニ駐車場でキャバ嬢に暴力を振るった疑いで逮捕されています。簡易裁判所で罰金刑となり、それを払って釈放された後もつきまといを続け、事件に至ったようです。
キャバクラでストーカー被害にあった時の対処法
1人で行動しない・店にも協力してもらう
キャバ嬢は深夜帯に一人で帰宅することが多くなります。そのため、そのような一人になるタイミングを見計らって接触を試みてくるストーカーが多いです。
そのため、帰宅時などはなるべく1人で行動するのは避けるようにしましょう。
つきまといがひどい場合には、スタッフに送りをしてもらうかタクシーを利用したり、一時的にホテルに避難したりすることで対処できる可能性があります。
また、店舗の責任者に相談して然るべき措置を講じてもらえるように相談しましょう。
キャバクラのボーイや店長などできるだけ多くの人に、ストーカー被害に遭っていることを認識してもらっておくことは、いざという時に助けてもらうためにも重要です。
店舗側に相談することで、ストーカー行為をするお客を出禁にしたり、その人からの指名を通さないといった対策をとってくれることがあります。
証拠を収集する
ストーカー客の行動がエスカレートしてキャバ嬢が身の危険を感じた場合にはただちに警察に対応してもらう必要があります。
しかし、ストーカー被害にあっている証拠が全くない状況では警察は犯罪を立証することができないため動くことができません。
そのため、キャバクラのお客からのストーカー被害の事実を立証できるよう、以下のような証拠を出来るだけ集めてください。
- 目撃者、証人の情報
- 具体的なストーカーの被害状況(日時・場所、相手の行為の詳細)
- ストーカーの内容が分かる動画や画像
- 着信履歴やメールの履歴、やりとりがわかるLINEやSNSの文面のスクショ
- 会話や通話の録音データ
- 来店の記録 など
具体的なストーカー被害の状況については、被害を受けてから時間が経過していないうちに記録された日記やメモ、備忘録であっても重要な証拠となります。記録としては時間・場所を明記して相手の行動や発言について事実を記録して残すようにしましょう。
なお、ストーカー被害により精神的に病んでしまったり、暴力を振るわれて怪我をして病院にかかった場合には、医師に作成してもらった診断書も証拠となり得ます。
また、警察への相談記録自体も証拠となり得ますので、ストーカーの初期段階からこまめに警察に相談しておくようにしましょう。
以前もらったプレゼントに盗聴器等が仕掛けられていないかチェックする
キャバクラに限ったことではありませんが、男性客が水商売でお仕事をされている女性に渡すプレゼントにGPS機器や、盗聴器、盗撮器を仕掛けるケースも少なからずあります。
GPS機器はネット上でその位置を確認できるため、プレゼントに仕込まれているのを知らずに自宅に持ち帰ると住所がバレてしまいます。最近では、GPS機器が小型化しており、プレゼントのぬいぐるみやバッグの底に切れ目を入れてそこに仕掛ける手口が目立ちます。
盗聴器や盗撮器は、周囲の音声や映像を拾って、一定の距離の範囲内にいる者がその音声や映像を受信できてしまいます。GPSで判明したキャバ嬢の自宅付近まで足を運び、盗聴・盗撮器でキャバ嬢のプライベートな会話や私生活を覗き見るストーカー客もいるのです。
そのため、ストーカー客から以前にプレゼントされた物にこれらの機器が仕掛けられていないかを確認する必要があります。
具体的には、まずは目視確認です。プレゼントに不審な切れ込みや縫合した跡がないか、手で触って異物を感じられないかなどを確認します。次に、ネットで販売されているGPS・盗聴器・盗撮を発見する機器を購入し、プレゼントから電波が出ていないかを確認します。
ただし、盗聴機器などを発見した場合には素手で触らないようにしてください。ストーカー客の指紋がついていれば、後々警察に動いてもらうための証拠となり得ます。盗聴器等を探す前に手袋をはめておくと良いでしょう。
客からの連絡は一度明確に拒否をしてから無視をする
ストーカーと化したお客は、電話やLINE・メールなどでしつこく連絡をしてきます。キャバ嬢からすれば全てブロックして無視をきめこみたいと考えることでしょう。
しかし、ストーカー対策でいきなり無視はNG!5つのやってはいけない対策とはに書かれていますが、ストーカーに対して突然無視をすると逆上してしまい、よりエスカレートした行動に出ないとも限りません。
そこでまずはストーカー客に対し「連絡されるのは迷惑ですのでやめてください。これ以上連絡があった場合には一切返答しません」と明言してください。そのうえで、まだ相手が連絡をしてくる場合には無視して構いません。
そして、無視の姿勢は崩さずに、警察や弁護士に頼るときに備えて証拠収集に努めましょう。具体的には、ストーカー客からの電話やLINE・メールなどはブロックせずに、履歴は消さずに全て保存しておいてください。相手からの着信履歴や、メッセージの内容・受信履歴は全てつきまとい行為の証拠となります。気持ち悪いので早く消去したい気持ちはわかりますが、ストーカー被害が解決するまでは保存しておきましょう。万一データを消去してしまうリスクに備えて、着歴やメッセージをスマホのスクリーンショットで画像として保存しても良いでしょう。
SNSの更新を一時停止する・過去の投稿をチェックする
前述の通り、ストーカー客はキャバ嬢のSNSへの投稿を逐一チェックしている可能性が高いです。そのうえで、SNSの更新を続けていると、お客に自分の行動パターンや時間といった情報を与えてしまうリスクもあります。ストーカー被害が解決するまでは更新を一旦停止しましょう。
また、ストーカー客に新たな情報を掴まれないためにも、アカウントに鍵をかけるか、それができない場合には、過去の自分の投稿を見返し、個人情報や自分の住んでいるエリア、活動しているエリアがわかる投稿は削除しておきましょう。
たとえば、「今、家の窓から外を見たらゲリラ豪雨みたい」という投稿だと、投稿日時にゲリラ豪雨が発生した場所をネットで調べられ、自宅のおおよその地域を割り出されます。また、自宅周辺で撮影した写真や、自宅の窓から外の景色が見える写真も削除対象です。ネットストーカーはストリートビューでその景色を洗い出して自宅を特定することもします。
その他にも、部屋の間取りや壁紙などから、どのアパートやマンションに住んでいるかをネットストーカーは調べ上げることもあります。
ネットストーカー化したお客にこれ以上の情報を与えないためにも、これらの身バレリスクの高い投稿は漏れなく削除するようにしてください。
ネットに誹謗中傷の投稿をされたら保存しておく
自分のキャバ嬢に対する恋愛感情が満たされないと、SNSや掲示板にキャバ嬢に関するあることないことを投稿し、名誉毀損や侮辱、プライバシーの侵害をするお客もいます。
これらの投稿は、後で警察に動いてもらうための重要な証拠となります。SNSや掲示板の運営会社に削除依頼をして一刻も早く人の目に触れないようにしたいお気持ちはわかりますが、SNSや掲示板によっては投稿を削除すると犯人を特定するための情報(ログ)も一緒に消去されてしまうこともあります(例えば、「爆サイ」)。
キャバ嬢の方にとってはこれらの書き込みは見るのも辛いと思われますが、犯人特定ができなくなる恐れがあるため、ストーカー被害の解決を待ってから削除依頼をすることをお勧めします。
また、SNSや一部掲示板については、投稿者が自分の投稿を削除する機能が備わっていますので、ストーカー客が誹謗中傷の投稿を削除して証拠を失ってしまわぬよう、スクリーンショットで画面を保存しておきましょう。その際は、投稿画面のURL、投稿者のアカウント名(ニックネーム)や投稿時刻なども画像内におさめるようにしてください。
色恋営業をやめる
キャバクラで本指名をとるためにも色恋営業は欠かせないといったキャバ嬢もいるのではないでしょうか。
しかし色恋営業は男性客にさも恋愛感情があるかのように接しますので、お客をストーカー化させる可能性の高いリスクのある集客方法です。
色恋されたお客からしてみれば、キャバ嬢も自分に好意があると信じていますので、当然ながら交際を求めてくる流れになります。
このように、既にストーカー化しつつあるお客の行為がこれ以上エスカレートしないようにするには、どこかのタイミングで色恋営業をやめる必要があります。
もっとも、今まで散々気があるかのような素振りを見せてきて突然冷たい態度をとると、お客の感情を逆なでして逆効果になることも。
そのため、交際を求められたタイミングで、「どうしてもお金をためてやりたいことがあるの。それまでは誰とも付き合わないと決めているの」「今はお昼の仕事に全力集中して取り組みたいの。ある程度の成果がでるまでは男性と交際しないと自分に誓っているの」などと、お客の問題ではなく、あくまでも自分の問題で「誰とも付き合わない」というスタンスで交際をはっきりと断るようにしましょう。
そうすることでお客が「キャバ嬢の恋愛詐欺に騙されて貢がされた」という感情が沸き上がるのを抑制できますし、上手くいけば友達営業に切り替えることもできるでしょう。
ただし、それでもなおしつこく交際を申し込んでくるなどストーカー行為がやまない場合には、上記で説明してきた対処法をとり、証拠収集に努めましょう。
キャバクラでストーカー被害にあった場合の相談先
まずはアドバイスが欲しいといった場合は公的窓口に相談
お客の行動がストーカー行為にあたるのか聞きたい、今後どのような対策や対応をすべきかといったアドバイスが欲しい、緊急な状況ではないのでまずは相談だけしたいといったキャバ嬢もいることでしょう。
その場合には、以下で紹介するストーカーについての相談を受け付けている公的機関の窓口を利用しましょう。相談費用もかかりません。
- 女性の人権ホットライン:法務省が運営している相談窓口です。ストーカー被害に遭っている女性をはじめ、DVやセクハラなどの女性の人権侵害に関わることを相談できる窓口となっています。
- 婦人相談所:各都道府県に1つ設置されており、ストーカー被害を含む女性が抱える様々な問題について相談を受け付けています。状況に応じて一時保護やその他関係機関の紹介も行ってくれます。
また、ストーカー被害に遭ってしまったときに利用したい公的相談窓口一覧では、その他の相談窓口も紹介していますので参考にしてみてください。
身の危険を感じたら迷わず警察に相談
前述の通り、キャバ嬢が被害者となるストーカー殺人事件も起きています。少しでも身の危険を感じた場合は、迷わずに警察に相談してください。お客の言動の態様によっては刑事事件として扱ってもらうことができます。
たとえば、お客が以下で挙げるようなつきまとい行為を繰り返し行った場合にはストーカー規制法違反となります。
- ①つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつき等の行為
- ②相手の服装や行動を伝えてくるなど、監視していることを告げる行為
- ③面会や交際を強要するなど、相手に義務がないことを要求する行為
- ④怒鳴りつける、大声で叫ぶなど、乱暴な言動をする行為
- ⑤無言電話や、何度も電話やFAX、メールを送りつける行為
- ⑥糞尿、犬猫の死骸など、汚物等を送りつける行為
- ⑦性的画像のネットへの流出や誹謗中傷の投稿など、名誉を傷つける行為
- ⑧わいせつ写真の送付や卑猥な言動の電話など、性的羞恥心を傷つける行為
ストーカー規制法に違反した場合には、警告や禁止命令を出してもらえるほか、場合によっては逮捕してもらうこともできます。また、自宅周辺のパトロールを強化してれたり、ストーカー被害を防止するための具体的な防犯対策についてのアドバイスもくれます。
ストーカー行為の罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金。禁止命令に従わずストーカー行為を行った場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられます。
また、ストーカー規制法以外でも、お客から「殺す・殴る・ネットに裸の画像をばら撒く」などの害悪の告知があれば脅迫罪にあたります。さらに、脅迫したうえで交際を強要すれば強要罪などの刑法犯が成立します。
ただし、前述の通り、警察に動いてもらうためには、事件性があることを証拠によって合理的に説明できる必要があります。証拠不十分で警察が動いてくれない場合には、以下で説明する弁護士への相談も検討しましょう。
警察にストーカーの相談をしたら本当に助けてくれるのか?対応を解説
警察が動かない・穏便に解決したい場合は弁護士に相談
上記の通り、キャバクラのお客のストーカー行為を証明する証拠が一切ない場合には警察が動いてくれないという可能性もあります。
また、ケースによってはそのお客をこれ以上刺激せずに穏便にトラブルを解決したいと思うキャバ嬢の方もいるでしょう。
そのような場合には弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士を代理人としてお客と交渉してもらうことで、今後のストーカー行為を繰り返さないように合意させられる可能性もあります。
また、被害を被ったキャバ嬢は、損害賠償や慰謝料をお客に請求することも可能です。
あなたの事案でどのような解決策を講じることがベストなのかどうか、気になる場合はストーカートラブルの解決に精通している弁護士に一度ご相談ください。
当事務所では、キャバ嬢や風俗嬢といったナイトワークで働く女性のストーカー被害の解決を得意としており多数の解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、まずは当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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