「携帯にすごい着信が入ってたんですけど、無視しても大丈夫ですよね?」
過去に当法律事務所の弁護士が受けた相談です。
要するに、キャンセル料を払わないで逃げ切れるか?という質問ですね。
弁護士は次のように回答しました。
「逃げ切れるかもしれませんが払いましょう。モラルの問題ですから」
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目次
風俗のキャンセル料はいくら?
キャンセル料のシステムは風俗店によってまちまちです。
例えば、前日までのキャンセルは無料といった店もあれば3千円~1万円かかる店もあります。また、当日キャンセルについても、予約の〇時間前までやフリーのお客のキャンセルは無料といった店もあれば、プレイ料金全額と定めている店もあります。中には、そもそもキャンセルを受け付けていない店もあります。
後々のトラブルを避けるためにも事前にホームページでキャンセル料金について確認しておくべきでしょう。
風俗をキャンセルしてしまった理由
”急に遊ぶ気が失せた”といった店側からしたら非常に身勝手な理由で風俗をキャンセルするお客も中にはいます。また、出張先のホテルでデリヘルを呼んだがつい寝てしまって女の子の到着に気付かなかったという、店側が無断キャンセルと受け止めてしまうケースもあります。
ただ中には、デリヘルの女の子が約束の時間に来ないといった理由や、ホームページのプロフィール写真と全然違う容姿の女の子が来た(いわゆる「パネマジ」)といった理由からキャンセルを申し出るケースもあります。
風俗のキャンセル料の法的な支払い義務
風俗店とお客との間では、予約が完了した時点で、「〇月〇日〇時、〇〇分コースでお店は在籍女性〇子さんをお客さんの性接客にあたらせ、お客はその対価としてお店に〇万円支払う」という契約(※)が成立しています。
この契約は、不要式契約(契約書がなくとも口頭でも成立する契約)ですので、電話予約をした時点で契約が成立しています。WEB予約についても、「申し込み(予約)ボタン」を押した時点で成立です。
では、契約が成立している以上、キャンセル料の法的な支払い義務があるのでしょうか。
※「売買契約(民法555条)」と勘違いする人がいますが、日本では人身売買は禁止されており、風俗の予約はキャストの女の子を売り買いする契約ではありませんので間違いです。
訴えられたら損害賠償責任を負う
「利用規約にキャンセル料について書かれていると店は言っているが、一々利用規約なんか見ずに予約するのが普通だ」
”だからキャンセル料は払いたくない”といった方もいることでしょう。
たしかに、キャンセル料について店側からの説明もなく単に利用規約に書いてあるだけの場合、契約の合意内容にキャンセル料の発生は含まれていません。つまりお客には、”キャンセル料”という名の金銭を支払う法的義務はありません。
ただし、契約関係にある当事者の一方が契約を履行しないことで相手に損害を与えた場合には、債務不履行による賠償責任が生じます(民法415条)。お客の自己都合で一方的に契約解除(キャンセル)はできませんので、お客はプレイ料金の支払い債務を滞納、つまりはお客が債務不履行状態にあるということです。
そのため、もし風俗店に訴訟を起こされたら、お客は損害賠償責任を負うことになるのです。
デリヘル等の風俗で損害賠償請求されたら支払う法的義務はある?
デリヘル嬢が時間通り来ない場合は?
予約した時間にデリヘル嬢が来ない、あるいは「〇分ほどで伺えます」と店から言われた時間を過ぎても来ないケースでも、キャンセルによる損害賠償を支払う必要があるのでしょうか。
この点、デリヘルでは移動時の交通事情も絡んできますのである程度の遅れは我慢する必要がありますが、お客も時間が無制限にあるわけではありません。判例もないためあくまでも社会一般的な常識からとなりますが、1時間以上も待たされているようなケースでは、逆にお客側が店の債務不履行を主張して契約を解除(民法542条)できるものと考えられます。
もちろん正当な権利に基づくキャンセルですので、訴訟になった場合でもお客は損害賠償義務は負わない可能性が高いでしょう。
パネマジの場合は?
ホームページに掲載されたプロフィール写真とは全く異なる容姿のデリヘル嬢を店が寄こすことを「パネルマジック(パネマジ)」と言います。では、パネマジでお客がキャンセルを申し出た場合も損害賠償義務が生じるのでしょうか。
この点、風俗詐欺の3つの代表的被害。騙されたお金を取戻すことは可能?でも書いてあるようにパネマジを立証することは困難なため、詐欺取消(民法96条)により正当にキャンセルすることはできません。しかしながら、お客は「この写真と同じ子がやってくる」と期待して予約をしたわけですから、見てくれが全く異なる女の子を寄こすことは債務の本旨に従った履行とは言えませんので店の債務不履行になると考えられます。
従って、お客のキャンセルは店の債務不履行による契約の解除であり、仮に裁判になったとしても損害賠償義務を免れる可能性が高いでしょう。
風俗のキャンセルは逃げきれてしまう
言い方は悪いですが、お客のドタキャンや無断キャンセルによって風俗店(や女の子)が被る損害は、プレイ料金、つまりは数万円程度が上限です。数万円の回収のために裁判を起こすのは現実的ではないでしょう。訴訟費用や弁護士費用の方が高くつきますし、損害の立証も煩雑です。
また、探偵に依頼して、お客の携帯番号から氏名や住所、さらには勤務先まで調査することはできますが、数万円の回収のために、風俗店が調査費用をかけることはまずあり得ません。お客が店からの電話を着信拒否して無視(いわゆるバックレ)すれば、店の対応としては出入り禁止扱いにするしかないでしょう。
それでも逃げてはいけない
説明するまでもないですが、お客がドタキャンや無断キャンセルをすれば、その予約枠はぽっかりと穴が空きます。無断・ドタキャンでは、タイミングよくフリーの客でもいない限り、その空いた枠を埋めることはできないでしょう。とくに人気嬢であれば、他のお客のネット指名や本指名を幾つか蹴っているはずです。つまり店も女の子も確実に損していると考えられます。
「もしアナタが、風俗店経営者(または店長)やキャストの立場なら、許せますか?」
直前でキャンセルされたり、連絡なしで約束をすっぽかされたうえにバックレをされたら腹立たしく感じるはずです。人としてのマナーやモラルからすれば、利用規約に明記されているキャンセル料は支払うべきではないでしょうか。
直接会って支払うのが怖いようであれば、銀行振込を店にお願いすれば、通常は受け付けてもらえます。お互いに遺恨を残さないためにも素直に支払った方がスッキリするでしょう。
この点、「女の子だって平気で当日欠勤や遅刻をしてくることがあるじゃないか。その時に店はなんの補償もしてくれないのに不公平ではないか」という意見も耳にすることがあります。しかし、マナーやモラルの欠如した相手と同じ土俵に立てば、アナタもそのレベルの人に成り下がります。女の子の管理・教育もまともにできない店と割り切って、今後は利用しないようにしましょう。
ただし、プレイ料金を越えるキャンセル料を請求してきたり、恫喝・脅迫で支払いを促すような不当要求の被害にあってしまったら、支払いは拒絶して構いません。支払に一度応じると、足元を見てさらなる要求をして来ないとも限らないからです。1人で対応しきれないと感じたら、警察または弁護士に対応してもらいましょう。
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