「風俗のプレイ中にボイスレコーダーで録音したのがバレた…」
「多額の金銭を請求され、払わないなら警察に盗聴で被害届を出すと言われている…」
「風俗での録音・盗聴は犯罪になるのだろうか…請求されたお金は払わなくてはならないのだろうか…」
「この後自分はどうなってしまうのだろう…どう対処すればいいのだろう…」
音声くらい大丈夫だろうといった軽い気持ちでデリヘルやソープ、ピンサロなどの風俗で録音し、それがバレてこのような悩みを抱える方も少なくありません(性風俗ではありませんが、最近ではメンズエステでの録音トラブルも発生しています)。
結論から言いますと、風俗で自分の性行為を盗聴(録音)してもそれ自体は犯罪となりません。また、店から請求された罰金や損害賠償も支払う必要はありません。ただし、風俗嬢への慰謝料の支払い義務は生じます。
この記事では、風俗トラブルに強い弁護士が、上記内容を詳しく解説するとともに、風俗での録音・盗聴がバレた場合の適切な対処法を解説していきます。
焦る必要はまったくありません。記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には弁護士までお気軽にご相談ください。
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目次
風俗での盗聴・録音は犯罪にならない
風俗での盗聴は犯罪にならない
盗聴とは一般的に、街中に飛び交っている無線通信を傍受したり、ボイスレコーダー等の機器を仕掛けて録音し、当事者以外の第三者が会話を盗み聞くことです。
こういった一般的な盗聴に関しては取り締まる法律がないため犯罪とはなりません。自宅や自家用車に盗聴器や録音器を仕掛けて盗聴することはもちろん、赤の他人が設置した盗聴器の電波を受信器で拾って勝手に聞くことも違法ではないのです。航空無線や警察無線、無線通信を傍受することを趣味としている無線マニアが逮捕されないのはそのためです。
なお、盗聴自体が違法ではない以上、盗聴発信機・受信機を売買しても犯罪とはなりません。
ただし、固定回線(固定電話や有線LAN)を盗聴すると有線電気通信法9条違反、電話会社等の電気通信事業者が取り扱いに関する通話を盗聴すると電気通信事業法4条違反として犯罪となります。また、無線通信(携帯、コードレスフォン、無線LAN)を傍受しその通話内容を第三者に漏らせば電波法59条違反となります。
とはいえ、風俗での盗聴は、お客がボイスレコーダーやスマホ等で音声を録音する方式がほとんどですので、有線・無線の通信を盗聴した場合に適用される上記の法律には触れないでしょう。
風俗での録音は犯罪にならない
あまり知られていませんが、自分の会話を相手の同意なく録音することは「秘密録音」と呼ばれ、会話の当事者でない第三者が傍受・録音する「盗聴」とは区別されています(※)。
例えば、会社などの企業で、会議や取引先との面談、上司のハラスメント発言を記録するために無断録音することがありますが、これは「秘密録音」です。一方、ホテルや人の住居等に盗聴器を仕掛けて、他人の会話をひそかに聴取したり録音することは「盗聴」となります。
そして、風俗でお客が風俗嬢との会話や性サービス時の音声を録音することは、お客自身が会話の当事者であるため、「盗聴」ではなく「秘密録音」となります。秘密録音は最高裁判例(平成11(あ)96)においても違法性が否定されており、一般的な盗聴と同様に犯罪とはなりません。つまり風俗での録音は犯罪とはならないのです。
※ただし、社会一般的には、秘密録音と盗聴を厳密に分けて考えられていませんので、この記事では便宜上、「盗聴」で統一したいと思います。
風俗での盗聴・録音の前後の行為が犯罪となり得る
一般的な盗聴が犯罪とならないとはいえ、盗聴に関連した逮捕ニュースを目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。これは、盗聴行為自体ではなく、その盗聴を実行するまでの行為や、盗聴によって得られた情報を利用した行為、つまりは盗聴の前後の行為が法律に触れたためです。
そこでここでは、盗聴の前後の行為で成立し得る犯罪について具体的に見てみましょう。
建造物侵入罪
(住居侵入等)
第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。刑法第130条 - Wikibooks
建造物侵入罪(刑法130条)とは、正当な理由なく他人が管理する建造物(住居を除いた、人が出入りできる建物。商業施設等)に侵入することで成立する犯罪です。
盗聴目的で立ち入ったとなれば、正当な理由も見当たりません。
デリヘル嬢を呼んだラブホテルやビジネスホテルはもちろん、ソープやピンサロ、ヘルスなどの店舗型風俗店の施設は建造物にあたります。
また、「侵入」の意味について、最高裁判例(昭和58年4月8日)によれば、「管理者の意思に反して立ち入ること」とされています。たとえ普通のお客を装って平穏な態様で立ち入ったとしても、盗聴目的を持っていたのであれば、ホテルや店舗型風俗店がそれを許容しているとは到底考えられませんので、管理者の意思に反していると言えるでしょう。
従って、ホテル等(レンタルルームも含む)の休憩・宿泊施設、店舗型風俗店の店内での盗聴は建造物侵入罪が成立する余地があります。
※なお、デリヘル嬢を呼んだ自宅での盗聴は、お客が管理者であるため同罪は成立しません。
実際のところ警察に逮捕される?
理屈の上では建造物侵入罪が成立するとはいえ、刑事事件の弁護活動を行っている当事務所においても、風俗で自分のプレイ音声を盗聴する目的で建物に立ち入った事案の逮捕事例を知りません。その理由として、他人の会話を盗聴する目的で侵入したことと比べて違法性が低いという警察の判断があるものと考えられます。また、盗聴・録音目的で入店したのか、あるいは、入店してから魔が差して盗聴・録音したのかの立証が難しい点も挙げられます。
なお、ホテルでの盗聴については、管理者はあくまでもホテル側であって風俗店ではありません。お客と風俗嬢との間で盗聴トラブルがおきたとしてもホテル側に被害はなく、手間のかかる被害届や告訴状の提出をしないことも逮捕に結びつかない原因と考えられます。
とはいえ、逮捕するかしないかは警察の判断に委ねられているため、後述するように、風俗嬢との示談を成立させておくべきでしょう。
器物損壊罪
(器物損壊等)
第261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。刑法第261条 - Wikibooks
例えば、盗聴するためにラブホテルの枕やベッド等の備品に切り込みを入れてボイスレコーダーを忍ばせたようなケースでは器物損壊罪が成立します。
とはいえ、最近のボイスレコーダーの集音機能は高性能化しており、バッグやスーツの内ポケットに入れていても室内の音声をクリアに拾います。また、バックグラウンドで作動するスマホの録音アプリも出回っており、風俗嬢に怪しまれてディスプレイを確認されても盗聴がバレないことから、枕元やテーブルの上に堂々とスマホを置いて録音する者すらいます。
そのため、風俗での盗聴において同罪が成立するケースは非常に稀です。
風俗で盗聴や録音をしたら罰金や慰謝料を払う義務はある?
優良店であれば、盗聴した音声データをその場で削除し、お客を出入り禁止扱いにして帰すことがほとんどです。しかし、店によっては罰金や慰謝料を請求してくることがあります。これらは法律的な支払い義務があるのでしょうか。
罰金の支払い義務について
罰金については一切支払う必要はありません。
罰金は国が刑事罰として国民に科すものであって、民間企業の風俗店がお客に科すことはできないからです。風俗の罰金の支払い義務に関する記事にわかりやすく解説されていますので目を通しておくことをお勧めします。
慰謝料の支払い義務について
慰謝料については支払う義務が生じます。
故意または過失によって他人の権利を侵害した者は賠償責任を負うと法律で規定されています(民法709条)。精神的苦痛に対する賠償(いわゆる慰謝料)についても同様です(民法710条)。風俗で盗聴することは風俗嬢のプライバシー権侵害となり、慰謝料を支払う必要があるでしょう。
但し、盗聴は盗撮と違ってあくまでも”声”だけが記録されるものであり、被害者である風俗嬢が受ける精神的苦痛の度合いも盗撮と比して低いと考えられます。常習的に盗聴していた、或いは、盗聴した音声をネットに流出させていたなどの特別な事情がなければ、数万円~30万円程度が慰謝料額の相場と考えてよいでしょう。
風俗トラブルの慰謝料の支払い義務については、デリヘル等の風俗で損害賠償請求されたら支払う法的義務はある?でわかりやすく解説されていますので、合わせて読まれることをお勧めします。
風俗での盗聴・録音がバレた場合の対処法
録音機器の奪い合いはしない
風俗での盗聴・録音がバレて、ボイスレコーダーやスマホといった録音機器を女性に取り上げられることがあります。
それらの所有権はお客にありますし、特にスマホにはご自身の家族や職場関係の人、友人などの個人情報が詰まっていますのですぐにでも取り返したいという気持ちになるとは思います。
ただ、女性と録音機器の奪い合いになって、女性の腕をつかんだり転倒させるなどして怪我をさせると、暴行罪や傷害罪に問われる可能性があります。
返すよう口頭で伝えるだけに留めておき、力ずくで奪い返すようなことは絶対に避けてください。
もっとも、スマホに関してはお仕事等でどうしてもすぐに返してもらわなければならない方も多いでしょう。個人情報を抜かれていつ悪用されるかといった不安もつきまといます。
その場合は24時間対応の弁護士に相談し、スマホ回収に向けた早急な対応を依頼した方が良いでしょう。
個人情報はできる限り渡さない
風俗で盗聴・録音がバレると、女性から連絡を受けた男性店員が駆けつけてきて、免許証や保険証、会社の名刺などを出すよう言われますが応じる義務がありませんの拒否しましょう。
これらを渡してしまうと、自宅の住所や勤務先などが風俗店関係者に知れることになります。実際、自宅に押し掛けられたり会社に執拗に電話してくるなどの被害に遭われた方からの相談もありますので、凄まれたり、警察への通報をネタに脅されても頑なに断り続けてください。
たしかに、実際に警察を呼ばれた場合、建造物侵入の容疑をかけられることはあります。しかし、警察官に対して自分の身元を明らかにすることで、逃亡・罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕されずに在宅事件になる可能性も高いです。
悪質な風俗店の目的は”お金”です。個人情報を入手し、「妻子や勤務先に知れたら困るよね?」といった常套句で延々とお金を毟り取られるリスクも高いです。個人情報は教えずに、連絡先だけ伝え、「弁護士から連絡を入れさせます」と怯まずに言い切ってください。
なお、風俗店はお客の電話番号から何を調べられるか知っていますか?に書かれているように、連絡先として教えた携帯番号から個人情報を割り出されるリスクもあります。もっとも、デリヘルや予約制のソープ・ヘルスについては既に携帯番号を知られているでしょうし、メールアドレスを伝えただけで解放してくれることはまずないでしょう。
そのため、やむを得ずここでは携帯番号を伝え、個人情報を調べられる前に弁護士に対応を依頼した方が良いでしょう。
その場でお金を払わない・サインしない
「利用規約にも書いてある通り、うちでは盗聴や盗撮の罰金は100万だから今すぐATMなどでお金をおろして払え」などと言われても絶対にその場で払わないで下さい。
なんの抵抗もなく素直に風俗店の要求に応じるその姿勢は、脅せば金になる、もっとお金を引っ張れるという印象を相手に与えてしまいます。実際に、一度支払ったにもかかわらず再三に渡って金銭要求を受けてから弁護士に相談に来られる方もいます。
また、示談書や念書など、風俗店が用意した書面にも絶対にサインしないようにしてください。書面内容に法律的な不備があったり、お客にとって不利な条項が盛り込まれているなどのリスクが高いです。後日に、トラブルを蒸し返されて追加の要求を受けることもありますので、「この場でサインはできません。専門家に相談したいので一旦持ち帰らせてください」などと伝え、解放されたあとに弁護士に相談するようにしましょう。
風俗で示談を締結する場合の注意点
「心療内科に通うことになって通院費用が必要」「盗聴されたトラウマで働けなくなったので保障が必要」など、一旦慰謝料を支払ったにも拘わらず、様々な理由をつけて追加の金銭要求をしてくるケースも少なくありません。
そこで、こういった不当な追加要求をされないためにも、示談を締結するべきでしょう。
示談することで、
- 逮捕される可能性が低くなる
- 逮捕されても釈放・不起訴になる可能性大
- 示談金以上のお金を払う必要がなくなる
といメリットが生じますが、同時に、示談は一度成立すると原則として取り消すことができないという効果も生じるため、以下の3点にはくれぐれも注意しましょう。
①不備のない示談書を準備すること
示談書に精算条項(示談書に定める以外の債権債務がないことを互いに確認する条項)を盛り込むことで不当要求を防ぐことができます。また、秘密保持条項を盛り込むことで、盗聴トラブルの事実を外部に漏らさないよう約束させることもできます。
その他、禁止条項や違約金条項など入れるべき条項は複数ありますので、事前に弁護士に相談して不備のない示談書を準備する必要があるでしょう。
②示談する相手を間違えないこと
盗聴により精神的苦痛を味わうのは風俗嬢であって店ではないことから、示談の相手は”店ではなく風俗嬢”であることに注意が必要です。店と示談書を交わしたところで風俗嬢との示談は成立しませんので、後で風俗嬢から改めて示談金を要求されることになりかねないからです。
とはいえ、示談の場に顔を出したくない女性もいるため、その場合は、必ず風俗嬢の委任状を準備してもらう必要があります。委任状がないのに、店長や社長を代理人として示談を交わしてもその示談は無効となってしまうためくれぐれも注意してください。
③身分確認を必ずすること
風俗トラブルのケース別示談金相場と示談書に必ず書くべき条項で詳しく書かれていますが、委任状や示談書には風俗嬢の本名や住所を記載してもらう必要があり、さらに、記載内容に誤りがないか身分証等で確認しなくてはなりません。
源氏名や店の住所の記載だと示談の主体が不明確となり、後日示談内容に反する行為があった場合、訴訟の場で和解が成立したことを証明することが困難になります。つまり抑止力の利かない示談書となってしまうリスクがあるのです。
とはいえ、お客に個人情報を知られたくないと風俗嬢から主張されることもあり、その場合は、お客が代理人弁護士を立て、弁護士のみが風俗嬢の個人情報を把握する形で問題を回避することができます。
風俗での盗聴・録音トラブルの解決を弁護士に任せた方が良い理由
じつは、示談を結ぶことはそう難しいことではありません。
示談書はネットで無料のフォーマットが出回っていますし、10,000円~15,000円程度で行政書士に作成してもらうことも可能です(ネットで「示談書作成 15000円(あるいは10000円)」などのキーワードで検索すればすぐ見つかります)。
しかし、風俗での盗聴がバレると、
- ボイスレコーダーやスマホを取り上げられる
- 免許証等の身分証のコピーをとられる
- 会社の名刺を渡してしまう
- 高額な金銭を支払う念書や誓約書を書かされる
など、「示談書を準備すればすんなり解決」とはならない事態になっていることが多いはずです。
盗聴・録音したお客自身が、渡してしまったものの返却や慰謝料の減額などを交渉しても聞き入れてくれないばかりか、相手の感情を逆撫でしてしまうこともあるでしょう。また、「警察に突き出す」「家族や職場にバラす」などと脅迫されており、とてもではないが自分に都合の良い示談交渉ができる雰囲気にないという方も多いでしょう。
この点、弁護士は法律的な交渉を生業としているため、依頼することで次のようなメリットがあります。
- ①本人・家族・勤務先に連絡することを防止できる
- ②不当な請求を拒否、不当な支払を取り戻すことができる
- ③個人情報の流出や悪用を防止できる
- ④今後の不安を払拭できる示談を結ぶことができる
- ⑤風俗嬢が示談に応じてくれやすくなる
- ⑥風俗店とのやりとりを自分でしなくても良い
とくに、自宅に押しかけられたり職場に電話されて家族や会社の人に風俗での盗聴トラブルを知られたくない方においては、弁護士に依頼するメリットは大きいでしょう。
当事務所では、風俗での盗聴・録音トラブルを周囲に知られずに穏便に解決することを得意としております。親身誠実に弁護士が全力で依頼者を守りますので、お困りの方は、全国対応で24時間無料相談受付をお気軽にご利用ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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