風俗トラブルで損害賠償・慰謝料請求されたら支払義務はある?
風俗で本番行為(または盗撮)をしたら、様々な理由をつけて高額な損害賠償や慰謝料を請求された…これは法的に支払わなくてはならないのだろうか…

このようなことでお悩みではないでしょうか。

そこでこの記事では、風俗トラブルに強い弁護士が、

  • 風俗トラブルの損害賠償や慰謝料の支払い義務があるのか
  • 損害賠償や慰謝料を請求されたらどうすればいいのか

などについてわかりやすく解説していきます。

なお、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までお気軽にご相談ください家族や勤務先に知られずに風俗トラブルを解決することが可能です

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そもそも損害賠償ってなに?

損害賠償とは、相手方の違法な行為により被った損害や、その行為がなかったら得られていたであろう利益(逸失利益といいます)を、相手方が補填することです。

補填するよう請求することを損害賠償請求といいます。

そしてこの損害賠償には2種類あります。それぞれ見ていきましょう。

不法行為による損害賠償(慰謝料)

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

民法 | e-Gov法令検索

民法第709条は、故意(わざと・わかっていて)または過失(ミス・誤って・不注意で)で人に損害を与えたら賠償しなくてはならないと書かれています。

ここでいう損害とは「財産的損害」、つまりは金銭的な損害と考えてください。

そして民法第710条でいう「財産以外の損害」というのは、皆さんがよく耳にする、「慰謝料(精神的損害)」と考えてください。

財産的損害の例としては、本番強要されたことで女の子に生じた、妊娠・性病の検査代、怪我をした場合の治療費、治療で仕事を休んでいる間に稼げたはずの給与(逸失利益)などです。

精神的損害(慰謝料)の例としては、本番強要や盗撮されたことで女の子が受ける精神的傷などです。

債務不履行による損害賠償

(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。(省略)

民法 | e-Gov法令検索

民法第709条の不法行為による損害賠償とは別に設けられている、民法第415条の債務不履行による損害賠償とはいったいなんでしょうか。

債務不履行による損害賠償とは、契約関係にある者の間で、一方が相手に与えた損害を補填することです

この点、風俗利用時に契約書を交わした覚えがない…と思われるかもしれませんが、日常生活でも契約書を交わさずとも多くの契約が成立しています。

例えば、コンビニで缶コーヒーを買うだけでも売買契約が成立していますし、電車に乗るだけでも運送契約が成立しています。

同様に、風俗の利用においても、お客がお金を払うことにより、風俗嬢から性的サービスを受けるという契約が成立しています。

そして風俗の利用規約に、「盗撮・本番行為は禁止」と謳われていることが一般的であり、そもそもこれらは違法行為であることから、”盗撮・本番行為をしない”という債務がお客に課されていると考えられます

そのためお客が盗撮や本番行為をすることは、債務の本旨に従った履行をしなかったと考えられるため、店からお客への債務不履行による損害賠償請求が認められる余地があります

風俗トラブルの損害賠償・慰謝料の支払義務はある?

風俗トラブルと言ってもその内容は多岐に渡るため、ここでは相談件数の多い、本番行為・盗撮に関するトラブルにスポットライトを当てて見て行きましょう。

風俗店に対しての支払い義務

風俗嬢に対して本番行為を強要した、あるいは、プレイ中の姿態を盗撮したという場合、被害を受けた風俗嬢が店を休んだり辞めてしまったりすることがあります。

このような場合、風俗店に対して損害賠償を支払う義務が発生してしまうのでしょうか。これは、第三者による債権侵害の問題となりますので以下で解説します。

不法行為責任の成立要件は、以下のとおりです。

  • ①故意または過失
  • ②権利・利益侵害
  • ③損害の発生
  • ④相当因果関係

風俗嬢の身体や人格権を侵害する場合、後述のとおり風俗嬢個人に賠償責任が発生することになります。

他方で、顧客による不法行為によって従業員が働けなくなったという場合には、店側は従業員に対して有している「債権(労務の提供を求める権利)」を侵害されていることになります。

従業員への性加害のような「故意」行為は悪質性は高く、かつ風俗店の従業員として風俗嬢からサービスの提供を受けているため、従業員への権利侵害が直接風俗店への権利侵害となることも容易に想定できます。

したがって、このような場合には風俗店に対しても相当因果関係のある損害については、賠償を命じられる可能性が高いと考えられます

ただし、この相当因果関係については、賠償金を請求する側が証明する必要があり、これが否定された場合には、賠償責任は発生しないことになります。詳しくは次で紹介する裁判例を参照ください。

また、「本番行為や盗撮をした場合は罰金として100万円します」といった風俗店の利用規約を盾にして、債務不履行に基づく損害賠償請求をされることもあります。しかし、このように利用規約違反を理由に法外な金銭請求することは暴利行為として公序良俗違反で無効になる可能性が高いでしょう

また、仮に支払いに合意してしまった場合でも、免許証や社員証のコピーをとられ、「家族や会社にバラす」「金を払わないなら警察に突き出す」などと脅してお客に合意をさせたようなケースでは、強迫取消(民法第96条)によりその意思表示を取り消すことができます

風俗店から罰金請求されたら払わなくてはならない?対処法を解説

風俗嬢に対しての支払い義務

盗撮のケース

顧客の加害行為と風俗嬢の休業等との間に相当因果関係が認められる場合には、これによって生じた損害について賠償責任が発生します

具体的な損害としては、不法行為によって休業せざるを得なくなったことで、本来であれば勤務して得られたはずの給与に相当する金銭が考えられます。

相当因果関係の判断については、以下の裁判例が参考になります。

この事案は、デリヘル嬢(原告)が性的なサービスを提供した顧客(被告)に、その様子を無断で盗撮されたことで、本件盗撮後の3か月間、風俗店を欠勤せざるを得なくなったとして、合計48万6000円の損害(逸失利益)を請求した事案です。

この事案に対して裁判所は、「被告は、原告から本件サービスを受けた際、原告が、年内は学会や就職活動があるため、なかなか出勤できないと発言していた旨を供述しているため、原告が本件盗撮による被害を受けた後、本件風俗店を欠勤した事実があったとしても、その原因は、本件盗撮による精神的ショックとは別のもの(上記の学会や就職活動)であった可能性がある。このほか、原告が本件盗撮による精神的ショックにより本件店舗を欠勤するに至ったことを客観的・具体的に裏付ける証拠はない」と判断して、風俗嬢側が主張する上記の逸失利益については、本件盗撮との相当因果関係が否定されています(東京地方裁判所令和2年1月29日判決)。

他方、盗撮されたことによる精神的苦痛に対する慰謝料についても、不法行為の要件を満たす範囲で賠償義務が発生します。

前述の判例で逸失利益は否定されたものの、慰謝料の請求については以下のように認められています

「本件盗撮は、原告に対し、上記のような恐怖、不安を与えるものであり、・・・このほか、本件盗撮の場所・時間・行為態様、撮影された動画内容、これが発覚した後の経緯、原告が本件風俗店を退職するに至るまでの経過など、本件において現れた一切の事情を併せて考慮すると、その精神的苦痛に対する慰謝料は、50万円と認めるのが相当である」と判断されています。

同意がある本番行為のケース

本番行為について同意がある場合については、不法行為に基づく賠償責任が発生する可能性は低いでしょう

性行為自体に同意している以上、相手女性の身体や人格権という「権利」に対して侵害行為は存在しないことになります。

したがって、不法行為の要件である権利・利益侵害がないため、不法行為に基づく損害賠償責任も発生しません。

同意がない本番行為のケース

まず、「同意がない」本番行為という意味について2つに大別して考えることができます。

1つ目は、相手女性が性行為を明確に「拒否」していた場合です。

このような場合には、不同意性交等罪及び同致死傷罪という犯罪行為に該当する可能性があります。犯罪が成立する場合には刑事責任を負うことになり、民事責任としても高額な損害賠償と慰謝料支払義務が認められる可能性が高いです

「同意がない」本番行為として考えられる2つ目は、「明確に拒否する態度をとっていない」場合です。

このような場合であっても、不同意性交等罪・同致傷罪に問われる可能性があります。

なぜなら「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性行為等をした」場合には、不同意性交等罪が成立する可能性があるからです(刑法第177条)。

犯罪行為に該当する場合には、被害者の性的自己決定権を侵害していることになるため、賠償額や慰謝料の金額についても高額になる可能性が高いでしょう

風俗での本番・盗撮のケース別示談金相場と示談書に必ず書くべき条項

損害賠償・慰謝料請求されたらどうすればいい?

これまで説明してきた通り、風俗トラブルの損害賠償や慰謝料の支払い義務が生じるかどうかはケースバイケースです。

しかし、実際のところは、支払う必要のないケースや、支払う必要のない法外な金額を請求されることも多く、その請求を拒むと風俗店からの激しい取り立てがあるのが現実です

散々脅した挙句、店が要求した金額を払えばこれ以上は請求しないと甘い言葉で誘いますが、その約束が果たされることは事例としては多くありません。お客が持参した示談書を交わしたとしても、それを反故にして再度金銭要求してくる事案の相談が後を絶ちません。

いかに法律上の体裁が整っている示談書を交わしたからといって、恐喝まがいの言動で金銭請求をしてくる相手に約束を守ることを期待をするのは間違いです。

風俗店関係者からの法外な要求をストップさせ、金輪際、連絡や接触をさせないようにするためには単に書面を交わすだけでなく、抑止力が必要です。法を逸脱した行為を働けば自分達の首を絞める、つまりは自分達が刑事事件で裁かれる可能性を強く認識させる必要があるのです。

この点、弁護士は刑事告訴の代理もできますので、弁護士を後ろ盾にしたお客を攻撃すれば自分達が刑事告訴されることを風俗店側も認識します

当事務所では、風俗トラブルにおける不当な損害賠償・慰謝料請求をストップさせ、周囲に知られることなく風俗トラブルを解決することを得意としており多数の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、今後、風俗トラブルが起きる前の安心した生活を本気で取り戻したいのであれば一度気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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