封印等破棄罪とは?成立要件や罰則をわかりやすく解説

封印等破棄罪(ふういんとうはきざい)とは、公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し、又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にした場合に成立する犯罪です。刑法第96条に規定されています。罰則は、3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金またはこれらが併科されます

封印等破棄罪は、第5章の「公務の執行を妨害する罪」の1つとして規定されています。このような罪として代表的なものに公務執行妨害罪がありますが、この章に規定されている犯罪は、公務員によって執行される職務を侵害する犯罪です。

封印等破棄罪は、封印や差押えの表示により示された公務員による命令や処分の作用を侵害するものとして犯罪とされています。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、封印等破棄罪の成立要件(構成要件)をわかりやすく解説していきます。

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封印等破棄罪の構成要件

「公務員が施した封印若しくは差押えの表示」とは

「差押え」とは、公務員がその職務上保全すべき物を自己の占有に移す処分をいい、この処分を明白にすることが「差押えの表示」です

例えば、民事訴訟法による有体物の差押えの場合のみならず、仮差押えや仮処分であっても「差押えの表示」に該当します(大審院大正11年5月6日判決)。

また「封印」とは、物の処分を禁止するために、公務員が開くことを禁止する旨を明白にした措置のことをいいます

印章を用いたもののみならず、穀類差押えのため執行官が俵に縄張りをし、必要事項を記入した紙片を巻きつけていた場合にも封印に該当すると判断されています(大審院大正6年2月6日判決)。

公務員による差押え等が適法・有効なものでない場合であっても犯罪に問われる可能性はあります。

判例によれば、占有者を誤認してなされた仮処分であっても原則として有効であり、仮処分の取消しを得ないうちに差押え物件である家屋に入居する行為は封印等破棄罪に該当すると判断されています(最高裁判所昭和42年12月19日決定)。

「損壊」するとは

「損壊」とは、差押えの表示等を物理的に毀損・破壊・除去して事実上の効力を失わせることをいいます

判例によれば、封印の外表を破壊する場合に限らず、封印全部を剥離するなどして、その施された位置より移動させることも「損壊」にあたるとされています(大審院大正3年11月17日判決)。

例えば、自動車に差押え措置が施されている場合、勝手にこれらを外した場合には、差押え表示を損壊したことになります。

なお、ナンバープレートの封印を勝手に取り外す行為は、封印等破棄罪には該当しません。ナンバープレートの封印は自動車の登録を明らかにするために求められている措置であって制度趣旨が異なります。ただし、ナンバープレートの封印を勝手に外した場合には道路運送車両法違反に問われる可能性があります。

それでは、差押えの効力がすでに失効してしまったと誤信して損壊してしまった場合にも処罰の対象とされるのでしょうか。

封印等破棄罪の故意があるというためには、差押えの表示が公務員により施されたものであることと、これを損壊することの認識があることが必要とされています

弁済によって差押えの効力を失ったと誤信して差押え物件の封印・表示を剥離した場合には、封印等破棄罪の故意を欠くとして犯罪は成立しないとされています(大審院大正15年2月22日決定)。

一方で、延滞処分による差押えが国税徴収法に違反するものであり差押えの表示も法律上無効であると誤信した事案については、そのような誤信は違法性の錯誤であるので故意を阻却しないとされています(最高裁判所昭和32年10月3日判決)。

「その他の方法によりその封印を若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効」にするとは

「その他の方法により」命令・処分を無効にするとは、「損壊以外」の方法で、封印・差押えの表示の命令・処分の事実上の効力を失わせることです

具体的には、立入禁止の表示を無視して家屋内に立ち入る行為や、差押物件を勝手に持ち出したり売却したりする行為も「無効にした」に該当します。

例えば、封印された桶からお酒を流出させる行為は、たとえ封印の外形に異状がなかったとしても、封印を無効にする行為であるとされています(大審院明治44年7月10日判決)。

また、執行官の占有に移り立入禁止の表示札があるにもかかわらず、これを無視して土地を耕作する行為は封印等破棄罪の構成要件に該当します(大審院昭和7年2月18日判決)。

まとめ

封印等破棄罪に問われると3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金またはこれらが併科されます。警察に逮捕されると、刑事処分(起訴または不起訴)が決定するまで最大23日間も身柄拘束されるうえに、起訴されて有罪となると、場合によっては懲役実刑になる可能性もあります。また、仮に執行猶予付き判決や罰金刑になった場合でも前科はついてしまいます。

そのため、封印等破棄事件でお困りの方は弁護士に相談し、逮捕回避や不起訴に向けた弁護活動を依頼することも検討しましょう。

当事務所では、逮捕の回避、早期釈放、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、封印破棄事件でお困りの方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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