「債務整理をしてお金の問題を解決したいのに、お金がないために専門家に依頼できずに解決できない」
そんな悩みを抱えていませんか?
債務整理には、確かにある程度の実費や弁護士(司法書士)費用がかかります。
しかし、法テラスという公的な機関を利用すれば、費用の負担を最低限に抑えつつ債務整理を行うことができるのです。
そこでここでは、以下の3点を中心に、債務整理に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。
- 「法テラスで債務整理をする費用」
- 「法テラスの利用条件」
- 「法テラスを利用する際の注意点」
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法テラスとは?
現在、日本の全国各地に法テラス(正式名称「日本司法支援センター」)が設置されています。
「法テラス(ほうてらす)」とは、国民の法律問題の解決を促進するために国によって設置された公的な機関です。
法テラスでは、国民の法律問題の解決支援の一環として民事法律扶助という制度を用意しています。
民事法律扶助制度では、債務整理する際に発生する弁護士または司法書士への費用(相談費用・着手金)などを基本的に全額立替えて支払ってもらうことができます。
つまり、お金がなくて債務整理できない場合でも、同制度を利用すれば費用の支払いを気にせず債務整理することができるのです。
民事法律扶助の3つの援助内容
民事法律扶助では、必要に応じてつぎのように3つの「援助」を受けることができます。
①法律相談援助
法律問題に関して弁護士・司法書士に無料で相談を受けることができます。同一問題に関しては、3回までの相談が無料とされています。なお、1回の相談は30分までです。
②代理援助
弁護士または司法書士に民事や刑事事件などの代理を依頼する場合、専門家に要する報酬などに関して立て替え払いしてもらうことができます。
③書類作成援助
裁判所に提出する書類の作成を弁護士や司法書士に依頼する場合、専門家に必要となる費用を法テラスに立替えてもらうことが可能です。
法テラスの民事法律扶助を利用するための条件
民事法律扶助を受けるためには、以下のような3つの条件を満たす必要があります。
- (1)資力基準(「収入要件」と「資産要件」)
- (2)勝訴の見込みがないとは言えないこと
- (3)民事法律扶助の趣旨に適すること
(1)資力基準
民事法律扶助制度は、経済的に資力の乏しい方が利用できる制度とされています。このため、以下2つの要件を両方とも満たしている必要があります。
収入要件
利用を希望する人と配偶者の手取り月収がつぎの基準額以下であることが必要です。
世帯の人数 | 手取り月収(カッコ内は、生活保護上の一級地に居住している場合 ) | 家賃・住宅ローンがある場合に加算できる限度額 |
---|---|---|
1人 | 182,000円以下 (200,200円以下) | 41,000円 |
2人 | 251,000円以下 (276,100円以下) | 53,000円 |
3人 | 272,000円以下 (299,200円以下) | 66,000円 |
4人 | 299,000円以下 (328,900円以下) | 71,000円 |
なお、同居する家族が5人以上の場合には1人増えるごとに30,000円を加算した額を基準とすることになります(生活保護上の一級地域では33,000円)。
資産要件
「収入要件」と同様に、利用希望者および配偶者の所有する、預貯金や現金、不動産、有価証券などの資産について以下のような「資産要件」が定められています。
世帯の人数 | 資産の総額 |
---|---|
1人 | 180万円以下 |
2人 | 250万円以下 |
3人 | 270万円以下 |
4人 | 300万円以下 |
※医療費・教育費を負担している場合には、相当額を控除することができます。
(2)勝訴の見込みがないとは言えないこと
制度の利用ができるのは、抱えている法律問題が和解や調停・示談などの成立の見込みがある場合や自己破産の免責の見込みがある場合などに限定されます。
弁護士または司法書士に依頼することによって法律上何らかの利益を受けることが期待できる場合も含まれます。
(3)民事法律扶助の趣旨に適すること
報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などには利用できません。
法テラスの民事法律扶助にかかる費用
まず、法テラスを介さずに債務整理を弁護士に依頼した場合の大まかな費用を確認しておきましょう。
法テラスを介さずに弁護士に依頼した場合の費用の目安 | |
---|---|
任意整理 | 1債権者あたり約5万円の着手金+減額報酬10% |
個人再生 | 約50万円 |
自己破産 | 約30万円 |
そしてこれより以下では、法テラスを介して債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)を弁護士に依頼した場合のそれぞれの費用をお伝えします。
「法テラスを介さない場合の費用」から「法テラスを介した場合の費用」を差し引いた差額が、法テラスを利用して債務整理をすることで安くなる金額です。
(1)任意整理
民事法律扶助制度を利用して任意整理する場合、弁護士等にかかる費用は以下のようになります。
債権者数(業者の数) | 着手金 | 実費等 | 合計 |
---|---|---|---|
1 社 | 32,400円 | 10,000円 | 42,400円 |
2 社 | 48,600円 | 15,000 円 | 63,600円 |
3 社 | 64,800円 | 20,000 円 | 84,800円 |
4 社 | 86,400円 | 20,000円 | 106,400円 |
5 社 | 108,000 円 | 25,000 円 | 133,000円 |
6~10社 | 151,200 円 | 25,000 円 | 176,200円 |
11~20 社 | 172,800 円 | 30,000 円 | 202,800円 |
21社以上 | 194,400円 | 35,000 円 | 229,400円 |
なお、法律扶助制度では、減額報酬が発生しません。
※「実費」とは、裁判所に納付する印紙代・鑑定費用・記録謄写料・通訳費用・弁護士等が事件の処理のために遠隔地に行く際の交通費などのことを言います。
(2)個人再生
個人再生するに際して民事法律扶助制度を利用した場合、弁護士にかかる費用は以下のようになります。
なお、住宅ローン特約付きの個人再生をする場合でも費用は同額です。
費用の内訳 | 弁護士へ依頼した場合 |
---|---|
着手金 | 162,000円 ※3 |
実費 | 35,000円 |
合計 ※1、※2 | 197,000円~359,000円 |
※1上記費用のほか、裁判所に予納金を収める必要があります。
予納金としては、官報掲載費用として1万数千円、再生委員が選任される場合には15万円~20万円が必要となります(金額は各裁判所によって異なる)。
なお、予納金は同制度による立替えの対象とならないので自分で用意する必要があります(生活保護受給者でも立替えの対象とはなりません)。
※2立替えてもらった費用に関しては、原則として2か月後から分割によって返済することになります。
ただし、生活保護受給者やそれに類する経済状態にある方に関しては返済義務が猶予・免除されることがあります。
※3弁護士に依頼した場合で事件処理が特に困難とされるケースでは、着手金が増額され最高324,000円となることがあります。
(3)自己破産
民事法律扶助制度を利用して自己破産する場合、弁護士や司法書士にかかる費用は以下のようになります。
費用の内訳 | 弁護士へ依頼した場合 |
---|---|
着手金 | 129,600円 ※3、※4 |
実 費 | 23,000円 |
合計 ※1、※2 | 152,600円 |
※1上記費用以外にも、裁判所に予納金を収める必要があります。
予納金の額は、同時廃止事件の場合には1万数千円、管財事件となる場合には最低でも21万円以上かかることが一般的です。
予納金は、同制度による立替えの対象外です。ただし、生活保護受給者の場合には立替え対象となります(限度額20万円)。
※2立替えてもらった費用に関しては、分割によって返済することが原則です。
ただし、生活保護受給者やそれに類する経済状態にある方に関しては返済義務が猶予・免除されることがあります。
※3弁護士に依頼した場合、破産処理が管財事件となるケースでは着手金が増額されることがあります(最大216,000円まで)。
※4弁護士に依頼した場合で、事件処理が特に困難とされるケースでは着手金が増額されることがあります(最大275,657円まで)。
法テラスで債務整理する流れ
法テラスを利用して債務整理する場合の流れは、以下のようになります。
- 法テラスに連絡する
- 法律相談の予約をする
- 無料相談を受ける
- 専門家に依頼する
(1)法テラスに連絡する
まず、お近くの法テラスに連絡し、民事法律扶助について相談してみましょう。
各法テラスの窓口のほか、電話やメールなどによって情報提供を受けることができます。
なお、申込先となるのは原則として住所または勤務地の所在する都道府県内にある法テラスとなります。
参考:「お近くの法テラス」
(2)法律相談の予約をする
民事法律扶助を受ける条件を満たしている場合には、無料の法律相談を受けることになるので、まずはその予約をします。
なお、メールでの予約はできません。法テラス窓口または電話で予約するようにしてください。
(3)無料相談を受ける
予約した日時に無料の法律相談を受けます。
なお、法律相談は同一問題に関しては3回まで無料で受けることができ、各回の相談時間は30分までとなっています。
(4)専門家に依頼する
無料法律相談の結果、債務整理をお願いしたい場合には法テラスに対して「代理援助申請」の申し込みをすることになります。
審査の結果、申請が認められた場合には法テラスから担当となる弁護士や司法書士の紹介を受けます。法テラスおよび弁護士などと委任契約を締結してください。
以上の手続きをすることによって、正式に債務整理手続きが始まることになります。
法テラスを利用する際に注意すべきポイント
法テラスを利用すると債務整理にかかる費用を最低限に押さることができるなど各種のメリットがありますが、下記のようなデメリットも存在します。
- (1)要件を満たさないと民事法律扶助を利用できない
- (2)依頼先の弁護士などを自分で選べない
- (3)借金の取り立て停止までに時間がかかる
(1)要件を満たさないと民事法律扶助を利用できない
すでにご紹介したように民事法律扶助制度を利用するためには、法テラスの定める条件を満たす必要があります。
もし1つでも条件を満たしていない場合は制度を利用できませんので、専門家への依頼費用のほか、法律相談も有料となってしまうので注意が必要です。
(2)依頼先の弁護士などを自分で選べない
民事法律扶助制度で相談・依頼することのできる専門家は、あくまでも法テラスによって紹介を受けた弁護士などに限定されます。
このため普段から相談している弁護士などがいる場合でも、その専門家に依頼することはできません。
法テラスから紹介を受けた弁護士などが債務整理のベテランだったり親身に相談を受けてくれればよいのですが、残念ながらそうでないケースもあるようです。
債務整理に関する手続きは、すぐに終了するようなものではありません。
数か月かかるのは当然で、場合によっては半年以上かかることもあります。
その間、弁護士などとは何度もやり取りすることになるため、相手との性格的な相性も軽視することはできません。
自分と相性のあった専門家を選べないという点は、法テラスを利用するうえで大きなデメリットと考えるべきかもしれません。
「持ち込み方式」であれば担当弁護士を自分で選べる
「持ち込み方式」とは、ネットなどで法テラスに登録している弁護士などを自分で検索し、直接依頼した弁護士などを経由して法テラスの援助を申請する方法です。
法テラスに対応している事務所では、ホームページ上に「法テラス登録済み」「法テラス利用可能」「民事法律扶助対応」などと記載していることが一般的です。
持ち込み方式で法テラスを利用する場合には、これらHPを確認したうえで事務所に連絡するとよいでしょう。
住所近辺の弁護士等が法テラスに対応しているかどうか不明な場合には、電話をかけて「民事法律扶助は利用できますか?」とストレートに質問してみましょう。信頼できる事務所であれば、丁寧に対応してくれるはずです。
なお、各都道府県に設置されている法テラス事務所のHPでは、法テラスに登録している弁護士等を調べることができるケースがあります。まずは、お近くの法テラスのHPを確認してみてはいかがでしょうか。
(3)借金の取り立て停止までに時間がかかる
債務整理を弁護士などに依頼した場合、金融業者などからの取り立て(督促)の連絡がすぐにストップすることが一般的です。
これは債務整理の依頼を受けた弁護士などは、すぐに受任通知を相手業者に発送するためです。
これに対し、法テラスを利用して債務整理する場合は、援助の決定に審査期間(2週間~1ヶ月程度)が必要なうえに担当弁護士を決めるのにも時間がかかるため、正式に債務整理を依頼するためには比較的長い時間がかかります。
このため、その間は業者から取り立ての電話などを受けることになってしまいます。
まとめ
今回は、債務整理を行う際に強い味方となってくれる「法テラス」についてご紹介しました。
一定の条件を満たす必要はありますが、法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば債務整理にかかる費用の負担を最低限度に抑えることが可能となります。
万一、債務整理するためのお金がない場合でも法テラスに費用を立て替えてもらうことで、すぐにでも借金問題の解決に踏み出すことができるのです。
債務整理の検討をしている場合には、本記事に記載した知識を活用して法テラスを利用されてはいかがでしょうか?
もし借金問題でお悩みの場合には、お気軽にご相談ください。
当事務所では年中無休、1日24時間全国どちらからのご相談・ご依頼でも承っております。
初回相談料に関しても基本的に無料ですので、この機会にぜひ当事務所をご利用いただければ幸いです。
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