自己破産で財産隠しは厳禁!やってはいけない3つの理由とは?

ある程度以上高額な財産を持っている人が自己破産する場合、手続きによって財産が処分されることになります。
このため、自己破産する際に自分の財産を隠して自己破産しようとする人が稀に存在します

しかし、そのような行為が発覚した場合、せっかくの自己破産が失敗に終わったり刑事罰などを受ける可能性があるので注意が必要です。

今回は、自己破産する際の「財産隠し」についてご紹介します。

  • 財産隠しとはどのような行為のこと?
  • 財産隠しが見つかるとどうなるの?

みなさんがお持ちの上記のような疑問について、債務整理のプロがわかりやすく解説します。

なお、当記事は重要ポイントを赤ペンで強調してあります
お急ぎの場合には、そのポイントだけを読んでいただければ一通り理解可能です。
その場合、ほんの1~2分程度で最後まで目を通していただけるようになっていますので、ぜひ最後までお読みください。

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自己破産にある2つの処理方法|「管財事件」と「同時廃止事件」

世間ではひとくちに「自己破産」と言ったりしますが、自己破産を実際に処理する方法には以下のように2つの種類が存在します。

  • (1)管財事件
  • (2)同時廃止事件

それぞれについて確認していきましょう。

(1)「管財事件」

「管財事件(かんざいじけん)」とは、自己破産の処理方法としてもっとも原則的な手続きです。
ある程度以上高額な財産を持っている人が自己破産する場合、破産管財人が選任され破産手続きは非常に厳格に処理されることになります。

そのため自己破産申立人に20万円以上の財産がある場合、それら財産は基本的に処分・換金され借金の返済に充当されることになります。

(2)「同時廃止事件」

自己破産の処理方法が管財事件となる場合、上記のように一定以上高額な財産が処分されることになります。
これに対して破産の処理方法が「同時廃止事件(どうじはいしじけん)」となる場合には、財産が処分されることがありません。

裁判所において破産手続きに必要とされる費用を支払う財産すら持っていない場合、破産の処理方法は同時廃止事件とされるのが原則です。

破産管財人とは?

自己破産の処理方法が管財事件となる場合、裁判所によって破産管財人が選任され手続きが厳格に行われることになります。
破産管財人は、自己破産の申立人の財産を調査したり財産の差し押さえ・換価、免責不許可事由に該当する行為の有無の調査など多岐にわたる職務を遂行します。

どのような行為が財産隠しになるのか?

自己破産手続きによって、債権者を害するために自分の所有する財産が処分されることを逃れる行為を財産隠しと言います
単に財産を誰にも見つからないように隠す行為だけでなく、友人などに譲渡して見かけ上自分の所有物でないように装う行為も財産隠しに該当します。

具体的には、以下のような行為が財産隠しとして処罰の対象となります。

財産を隠したり壊したりする行為
現金や預貯金を隠したり、ある程度以上高額な財産を壊すような行為などが該当します。

財産を他人に譲渡する行為
財産を他人に譲渡してしまったり、見かけ上他人に譲渡したかのように偽装する行為などが該当します。

債務の負担を仮装する行為
実際には債務を負っていないのに、借りてもいない借金をしたかのように装う行為などが該当します。

財産をわざと減少させる行為
債権者を害する目的で自分の財産をわざと壊すなどして財産的価値を減少させる行為などが該当します。

債権者に不利益になるような財産の処分行為
債権者に不利益を与えるように財産を処分したり、債権者に不利益となる債務の負担をするなどの行為が該当します。

財産隠しが発覚する2つのパターン

自己破産の手続きにおいて財産隠しが発覚するのは、主に以下の2つのパターンに分けることができます。

  • (1)各種書類からバレるパターン
  • (2)事情聴取によってバレるパターン

それぞれ簡単に確認しておきましょう。

各種書類からバレるパターン

自己破産を申立てるためには、自己破産申立書のほかに収入や債務に関するものはもちろんのこと、所有している財産について数多くの書類を提出する必要があります。

財産隠しをするために自己破産申立書上、財産を持っていないと記載しても上記のような各種の書類から財産隠しがバレるパターンが多々あります。

自己破産で提出が必要となる書類

自己破産を裁判所に申立てるためには、主として以下のような各書類を提出する必要があります。

  • 預貯金通帳のコピー
  • 不動産の登記事項証明書(不動産を所有している場合)
  • 無資産証明書(不動産などを所有していない場合)
  • 所得証明書
  • 給与明細書(サラリーマンなどの場合)
  • 源泉徴収書
  • 車検証(自動車を所有している場合)

自己破産を申立てた人の事情によっては、上記以外にも複数の書類の提出が求められる可能性があります。

これら各書類は基本的に公的な第三者が発行しているものであるため、そもそも財産を隠すこと自体難しい行為です。
財産隠しを行うために、仮にこれらの書類を偽造などした場合には公文書偽造罪など犯罪行為となってしまいます。

郵便物は破産管財人に開封される

また自己破産が管財事件となった場合には、自己破産申立人あての郵便物は破産管財人に転送される扱いとなっています。
転送を受けた自己破産申立人あての郵便物は、破産管財人によって開封され、中身を確認されることになるのです。

このプロセスによって財産隠しが発覚することもあり、実際には財産を隠すことは非常に難しいのが実情です。

事情聴取でバレるパターン

自己破産する場合には、財産隠しがないかどうか事情聴取を受けることになり、その際に財産隠しの事実が発見されることがあります。

管財事件の場合|破産管財人による事情聴取を受ける

自己破産申立人に申告された物以外に財産がないかどうかについては、管財事件の場合は破産管財人によって厳格に調査されることになります。
この際、専門家である破産管財人の事情聴取は極めて巧妙であるため、このプロセスで財産隠しが発覚することがあります。

同時廃止事件の場合|裁判官による事情聴取を受ける

同時廃止事件の場合、破産管財人は選任されません。
しかし、その代わり「審尋(しんじん)」という手続きの際に裁判官によって各種の事情聴取を受けることになるので注意が必要です。

「審尋」とは何か?|裁判官と面接すること

自己破産の手続きには、審尋というプロセスがあります。
審尋とは、指定された日時に裁判所を訪れ、裁判官と直接面接し事情聴取などを受ける手続きです。
自己破産を成功させるためには、この審尋にうまく対処することが大切です。

財産隠しがバレるとどうなるか?

財産隠しが発覚した場合、以下のような点で不利益を受けることになります。

  • (1)自己破産に失敗する
  • (2)資格制限を受ける期間が長期化する
  • (3)刑事罰を受ける

順を追って、確認していきましょう。

(1)自己破産に失敗する|借金が残ってしまう!

財産隠しが発覚した場合、最終的に自己破産が失敗することになります。
自己破産は借金を帳消しにしてもらい、経済的に再生することを主な目的としますが、自己破産が失敗することによって借金はそのまま残ることになってしまいます。

自己破産の手続き中に財産隠しが発覚した場合、当然免責を受けることができず、自己破産に失敗することになります。

仮に破産手続き中では発覚することがなかったとしても、破産後に財産を隠していることが判明した場合、免責が取り消されることになります。
免責が取り消されると、せっかく帳消しになった借金がまた復活することになってしまいます。

(2)資格制限を受ける期間が長期化する

自己破産をした場合、裁判所から「免責(めんせき)」をもらい「復権(ふっけん)」するまでは一定の職業に就職することができなくなります。
このような制限のことを、「資格制限」といいます。

この資格制限は、自己破産手続きが成功することによって解除されることが一般的です。
通常のケースでは、数か月から6か月前後で資格制限は解除されます。
しかし自己破産に失敗した場合には、より長い期間資格制限を受けることになってしまいます。

免責とは?

自己破産によって借金の返済義務が免除されるためには、裁判所によって免責を受けることが必要です。
裁判所からの免責決定が確定することによって、借金の返済義務が法律上免除されることになるからです。

財産隠しが発覚した場合、手続き中であれば裁判所から免責を貰うことができなくなり、手続き後であれば免責決定が取り消しになります。
結果として、借金問題はまったく解決できないことになってしまうのです。

復権とは?

自己破産すると資格制限を受けるなど、一定の制限を受けることになります。
しかし、それらの制限も「復権」の効果が発生することによって解除されることになるのです。

(3)刑事罰を受ける|刑務所に入る可能性も!

財産隠しは、破産法によって刑事罰が定められています。
財産隠しをした場合、「詐欺破産罪(さぎはさんざい)」として10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(または両方)が科せられることになります(破産法265条1項)。

「詐欺破産罪とは?」

破産法では、破産犯罪の1つとして詐欺破産罪を定め厳しく取り締まっています。
自己破産を検討している状態では、たとえ自分の財産であってもうっかり処分してはいけません
その処分行為が財産隠しと判断され、あとで大きな問題となりかねないからです。

そのようなことを避けるためにも、どのような行為が詐欺破産罪となるか弁護士等に相談して適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

まとめ

今回は、自己破産手続きにおける「財産隠し」についてご紹介いたしました。

自己破産手続きの処理方法が管財事件となった場合、基本的に20万円以上の財産は処分されることになるのが原則です。
破産手続きによる処分を避けるために財産を隠した場合、自己破産が失敗するだけでなく刑事罰まで受けることになります。
財産隠しという行為は、立派な犯罪行為です。
ぜったいに行わないようにしてください。
どのような行為が財産隠しに該当するかについて悩んでいるなら、弁護士等の専門家に相談してみてください。

借金問題は、いつまで悩んでいても解決することはありません。
悩んでいればいるほど、借金問題は深刻化して解決することが難しくなってしまいます。
ご自分の自己破産手続きについて疑問や不安がおありの場合には、お気軽に当事務所にご相談ください。
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