自己破産するために必要な期間と手続きの流れについて詳しく解説

「自己破産をするためには、どれくらい時間がかかるのだろうか?」
「裁判所では、どのような流れで手続きが進んでいくのだろう?」

自己破産を検討する場合には、上記のような各種の疑問を抱くものです。

自己破産は借金を帳消しにする手続きであるため、裁判所で厳格に手続きが行われます。

そのため手続きが終了するまでには、最低でも数か月の期間がかかることになります。

今回は、自己破産するために必要となる期間や手続きの具体的な流れについてご紹介します。

冒頭のような各種の疑問に対して債務整理のプロがわかりやすく解説いたします。

なお、当記事は重要ポイントを赤ペンで強調してありますので、強調部分だけに目を通していただければ1~2分で一通り理解可能です。

ぜひ最後までお読みください。

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自己破産手続の流れ

自己破産をする場合、弁護士などの専門家に依頼することが一般的です。

弁護士への報酬など多少費用はかかりますが、手続きがスムーズになり自己破産に成功する可能性が高まるなど数多くのメリットを受けることができます

相談から裁判所への申し立てまでの流れ

自己破産の手続きを弁護士などに依頼する場合には、実際に裁判所に破産の申し立てを行う前につぎのようなプロセスを経ることになることが一般的です。

  1. 借金問題の相談
  2. 債務整理の依頼
  3. 債務状況や財産などの調査
  4. 債務整理方針の決定
  5. 自己破産申立書などの作成
  6. 裁判所への申立て

順次、簡単に確認しておきましょう。

①借金問題の相談

返済しきれないほど多額の借金を抱えてしまった場合、まずは弁護士などに相談することが大切です。

借金に関する問題は、いつまで一人で悩んでいても解決しません。

それどころか解決までに時間がかかればかかるほど利息が膨らみ、問題はさらに深刻なものになってしまいます。

借金で困っている場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談するようにしてください。

②債務整理の依頼

相談の結果、借金問題解決のために何らかの法的手続きが必要だと判断された場合には、弁護士に債務整理を依頼することになります。

債務整理とは、借金問題を法律的に解決する方法のことで自己破産も債務整理の中の1つの方法です。

③債務状況や財産などの調査

依頼を受けた弁護士は、裁判所に自己破産の申し立てを行う前に現時点での債務状況や依頼人の所有する財産などについて必要な調査を行います。

④債務整理方針の決定

調査の結果、債務整理の方法として自己破産が最適であると弁護士が判断した場合には本格的に破産の申し立てに向けて手続きを進めることになります。

ただし上記調査の結果、自己破産以外の債務整理方法が適していると判断された場合には、依頼人と相談の上で自己破産以外の債務整理を行うケースも存在します。

消費者金融会社から借り入れをしている期間が長い場合などには、過払い金が発生しているケースも数多くあります。

⑤自己破産申立書などの作成

借金問題の解決方法として自己破産が最適と判断された場合には、破産申立書や添付書類の作成・収集を行うことになります。

添付書類の中には、作成するのに数か月かかるものもあります。

⑥裁判所への申立て

破産申立書の作成が完了し、添付書類や必要費用などの用意ができた場合には地方裁判所に自己破産の申し立てを行います。

破産の申し立てが裁判所に受理されることにより、自己破産の手続きが正式に開始されることになるのです。

自己破産には2種類の方法がある!

世間ではひと口に「自己破産する」などと言ったりしますが、実際に裁判所で破産の手続きが行われる場合には2つの種類があります。

それが「管財事件」と「同時廃止事件」です。

管財事件は自己破産手続における原則的な方法で、時間も費用も掛かる手続きです。

これに対して例外的な手続きである同時廃止事件では、管財事件で必要とされる手続きが大幅に簡略化されることになっています。

このため裁判所にかかる費用も少なく、手続きに要する時間も短く済む傾向があります。

管財事件とは?

管財事件とは、上記のように自己破産が裁判所で行われる場合における原則的な手続きです。

管財事件では、自己破産申立人が所有する一定以上高額な財産が処分・換金され、破産債権者に対する返済に充当されることになります。

同時廃止事件とは?

同時廃止事件とは、自己破産を申し立てた人がある程度以上高額な財産を持っていないなど一定の条件を満たしている場合に採用される例外的な自己破産処理方法です。

個人が自己破産する場合において、破産申立人が20万円以上の財産を持っていないような場合には同時廃止事件となる可能性があります(ただし、破産手続を行う裁判所によって扱いが異なります)。

破産の処理方法が同時廃止事件となった場合には、管財事件で必要とされる複雑な手続きが省略されるため、裁判所にかかる費用も時間も節約できます。

自己破産申し立て後の流れ

自己破産を申し立てた場合、破産の処理方法が管財事件となるか同時廃止事件となるかによって以下のように手続きの流れが異なります。

管財事件の流れ

破産の処理方法が管財事件となった場合、裁判所によって破産管財人が選任されます。

「破産管財人(はさんかんざいにん)」は、破産申立人の財産や免責不許可事由の有無などの調査、財産の換価や破産債権者への配当など破産手続で重要な職務を行います。

管財事件の場合、手続きの大まかな流れはつぎのようになります。

  1. 破産手続開始決定
  2. 破産管財人の選任
  3. 破産管財人との面談
  4. 破産管財人による調査
  5. 債権者集会の開催
  6. 免責許可決定
  7. 免責許可決定の確定

順を追って解説いたします。

①破産手続開始決定

破産申立書や添付書類などに不備がない場合、裁判所は破産手続開始決定を行います。

これによって正式に破産手続きが始まることになります。

②破産管財人の選任

管財事件では、裁判所によって破産管財人が選任されることになっています。

管財人は、弁護士の中から選任されることが一般的です。

③破産管財人との面談

破産管財人が選任された場合、破産申立人は管財人と面談することになります。

面談では、管財人が必要と判断する事項に関して質疑応答などが行われます。

④破産管財人による調査

破産管財人は破産申立人の所有する財産や免責不許可事由の有無など、破産手続に必要な事項に関して調査を行います。

⑤債権者集会の開催

破産手続の開始後、一般的には2~3か月程度で債権者集会が開催されます。

債権者集会では、破産申立人の財産に関する調査結果について報告が行われます。

破産債権者への返済に充当できる財産がある場合には配当が行われる可能性もありますが、破産者が個人の場合には配当金が出ないケースが大半です。

また同様に、個人の自己破産手続における債権者集会では出席する債権者が一人もいないということも多々あります。

⑥免責許可決定

免責手続で調査した結果、破産申立人に対して免責許可を与えることが妥当と裁判所が判断した場合には、免責許可決定が出ることになります。

「免責(めんせき)」とは、借金の支払い義務を法律上免除することです。

自己破産は、裁判所から「免責」をもらうことが最大の目的と考えてよいでしょう。

⑦免責許可決定の確定

無事に免責許可決定を受けた場合、その旨が官報に公告されることになっています。

免責許可決定は官報に掲載された日から2週間経過することによって、法律上確定します。

免責許可決定が確定することによって法律上、借金の支払い義務が消滅することになります。

以上をもって、管財事件による破産手続きは終了します。

同時廃止事件の流れ

破産の処理方法が同時廃止事件となった場合、管財事件に比べて破産に関する手続きが大幅に簡略化されます。

具体的には、つぎのような流れで手続きが進むことになります。

  1. ①破産手続開始・破産手続廃止決定
  2. ②免責手続
  3. ③免責許可決定
  4. ④免責許可決定の確定

具体的に見ていくことにしましょう。

①破産手続開始・破産手続廃止決定

同時廃止事件の場合には、破産手続開始決定と同時に破産手続廃止決定が行われます。

破産手続開始決定を行う時点において破産申立人にめぼしい財産がないことが明らかな場合、破産に関する手続きは同時廃止事件として処理されることになります。

ただし、めぼしい財産がない場合でも免責不許可事由が存在する恐れがある場合には、管財事件となるケースも存在するので注意が必要です。

②免責手続

同時廃止事件では、破産手続が一切行われず免責手続だけが行われます。

「免責手続(めんせきてつづき)」とは、破産申立人に対して借金の免除を許可してよいかどうかを審査する手続きです。

③免責許可決定

免責手続きの結果、破産申立人に対して免責を与えることが妥当と判断した場合には、裁判所は免責許可決定を行います。

④免責許可決定の確定

管財事件のケースと同様に免責許可決定が出た場合には、官報にその旨が掲載されることになります。

官報に掲載された日から2週間以内に破産債権者などから異議の申出がない場合には、免責許可決定が確定します。

免責許可決定が確定した場合、それまで背負っていた借金に関する法律上の支払い義務が消滅します。

逆に言えば、免責許可決定が確定するまでは借金の支払い義務は消滅していないことになります。

自己破産手続きにかかる期間とは?

自己破産の手続きが終了するまでに要する期間は、つぎのように破産処理方法の種類によって異なります。

自己破産手続に要する期間(管財事件の場合)

裁判所によって異なりますが、破産手続が管財事件として処理される場合には数か月から半年前後かかることが一般的です。

借金が高額だったり多くの財産を持っているような場合などには、もっと時間がかかることも珍しくはありません。

自己破産手続に要する期間(同時廃止事件の場合)

同時廃止事件の場合、破産の申立てから手続きの終了まで数か月程度かかることが一般的です。

自己破産のデメリット

自己破産が裁判所で認められた場合、それまで背負っていた借金はすべて帳消しになります(非免責債権とされる特殊な債権を除く)。

つまり、法律上借金の支払い義務が消滅するため、それ以降は一切借金を支払う必要がなくなるのです。

このような大きなメリットがある反面、自己破産する場合には主として以下のような各種のデメリットを受けることになります。

  • 財産を処分されてしまう可能性がある
  • 各種自由の制限を受ける可能性がある
  • 一定の期間職業の制限を受けることがある
  • 個人信用情報機関でブラックリストに載る

一度自己破産してしまうと、ある程度長期間デメリットを受け続ける可能性がありますので、自己破産する際にはデメリットに関して充分に熟知しておく必要があります

上記のように数あるデメリットの中で、ある意味もっとも気になるのが

「③一定の期間職業の制限を受けることがある」

「④個人信用情報機関でブラックリストに載る」

という2点ではないでしょうか?

なぜなら職業制限を受ける場合には最悪のケースとして失業する可能性がありますし、個人信用情報機関においてブラックリストに載ってしまうとローンやクレジットカードなどが一定期間利用できなくなってしまうからです。

今回は自己破産のデメリット中、これらの点に焦点を当てて解説してみたいと思います。

職業の制限を受ける期間とは?

自己破産した場合には、法律によって定められている一定の職業に就職することができなくなることがあります。

これを「資格制限(しかくせいげん)」といいます。

資格制限を受ける場合、その期間は自己破産の開始決定から免責許可決定が確定するまでの数か月となることが一般的です。

ローン・クレジットカードが利用できるようになるまでの期間とは?

ローンやクレジットカードを利用する場合、金融機関に申し込みを行うことになります。

申し込みを受けた金融機関では、申込者に関する信用情報を個人信用情報機関に照会し確認します。

「信用情報」とは、その人が過去において金融機関をどのように利用してきたのかというデータです。

過去において借金返済を長期間延滞していたりした場合には、その人の信用情報には事故情報が記録されることになっています。

信用情報の中に事故情報が記録されている状態を一般的には「ブラックリストに載る」「ブラック入り」などと言います。

事故情報が記録されている場合(ブラックリストに載っている状態)、新たにローンを組んだり新しくクレジットカードを作ったりすることができなくなることが通常です。

個人信用情報機関では、自己破産したという事故情報を5年あるいは10年保存するという扱いになっています。

このため自己破産した場合には、最低でも5年、長ければ10年間はローンやクレジットカードを利用することができなくなります

その期間内は金融機関からお金を借りたりすることができなくなるため、自分の収入の範囲内で生活する必要があります。

まとめ

今回は、自己破産する場合に必要となる期間や手続きの流れに関して解説させていただきました。

返済しきれないほど多額の借金を抱えてしまった場合には、自己破産することでその支払い義務から逃れることができます。

借金の額が高額になればなるほど、毎月の利息の支払いだけでも難しくなることが少なくありません。

もし現在、借金の返済でお困りの場合には、自己破産など債務整理を前向きに検討したほうがよいでしょう。

自己破産すれば、現在背負っている借金は基本的にすべて帳消しにすることが可能です。

しかし、その反面として各種のデメリットを受けることになるため、自己破産する際には慎重に判断することが重要です。

しかし借金問題の解決方法は、債務者の状況によって千差万別

ベストな解決方法を見つけるためには、弁護士に相談することが一番の近道なのです。

当事務所には、債務整理の問題解決に精通したベテラン弁護士が多数在籍しています。

もし借金問題でお悩みの場合には、お気軽にお問い合わせください。

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