「借金があると生活保護を受けられないのだろうか?」
「生活保護を受けるときに注意すべきポイントとは?」
病気や失業、その他のやむを得ない事情によって家計が厳しく生活していくことが難しい場合、生活保護という制度を利用することができます。
生活保護とは、憲法で保障された権利です。
しかし実際に生活保護を受けようとする場合には、冒頭のような各種の疑問を持つこと多いのも事実。
借金を抱えた人が生活保護を受ける場合には、ぜひとも知っておいていただきたいポイントがいくつかあるのです。
今回は、借金がある人が生活保護を受ける際に注意しておくべきポイントなどを中心にご紹介させていただきます。
なお、当記事は重要ポイントを赤ペンで強調してあります。
赤ペン部分だけに目を通せば1~2分で一通り理解可能ですので、ぜひ最後までお読みください。
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借金があっても生活保護を受けることは可能
借金をすでに抱えてしまっている場合でも、生活保護を受けることは可能です。
なぜなら、生活保護受給の条件はただ1つ。
その人の収入や資産などが、国の定める基準を下回っていることだけだからです。
ただし、生活保護費を受給するためには、以下に掲げる対策を講じても生活の維持が困難という場合でなければいけません。
- ①働くことができる場合には働くこと(自分の能力を活用すること)
- ②持っている財産を利用すること
- ③家族や親族などからの援助を受けること
- ④年金など生活保護制度以外の制度を活用すること
上記各条件について、もう少し詳しく確認しておくことにしましょう。
①働くことができる場合には働くこと(自分の能力を活用すること)
生活保護を受けるためには、働ける人は極力働く努力をする必要があります。
心身ともに健康で働く気になれば働けるにもかかわらず、働きたくないから……などという理由で受給することはできません。
生活保護は単に憲法で保障された最低限度の生活の維持を目的とするものではなく、本人の自立を支援する制度でもあるからです。
働く意思はあるけれど、何らからの病気など特別な事情で働けない場合には生活保護が認められる可能性があります。
②持っている財産を利用すること
仮に失業中で収入がいっさいなかったとしても、預貯金や不動産など財産を持っている場合には生活保護を受給することはできません。
それら財産を利用・売却すれば、生活費を調達できると判断されるからです。
自動車も財産であるため、基本的には売却する必要があります。
しかし、それを手放すと生活に困るような事情があれば福祉事務所の担当者と話し合いをすることで売却せずに済む可能性もあります。
お困りの場合には、相談してみるとよいでしょう。
③家族や親族などからの援助を受けること
家族や親族などがいる場合、生活保護の申請に際してはそれらの人たちから援助を受けるよう促されることがあります。
民法上、親子などの直系血族と兄弟姉妹などの親族には扶養義務が定められています。
このため、これらの親族がいる場合には福祉事務所の担当者などから連絡が行く扱いとなっています。
ただし実際の運用においては、一定の親族に扶養義務があるといっても援助が強制されることはありません。
しかし、それらの親族が経済的に豊かであり援助が十分可能である場合には、まず援助を受けることをすすめられる可能性が高いでしょう。
④年金など生活保護制度以外の制度を活用すること
年金や各種の福祉手当などを受給することが可能な状態であり、それらを受給すれば生活が成り立つ場合には生活保護を受けることはできません。
生活保護は、あくまでもあらゆる手段を使っても生活することが困難であるようなケースにおいて受給が認められる制度なのです。
上記のような対策を講じても、なお生活が厳しい場合には、仮に借金がある方でも生活保護を受けられる可能性が高くなります。
借金のある人が生活保護を受ける際に注意すべき2つのポイント
生活保護の条件を満たし受給が決定すれば、その後は定期的に生活保護費を受け取ることができるようになります。
ただし、ここで注意しなければいけないのは、生活保護費の使い道にはある程度の制限があるということです。
また生活保護を受けている以上、禁止される行為などもあります。
具体的には、以下の2つのポイントに注意してください。
- (1)受給した生活保護費で借金を返済しないこと
- (2)新たな借金をしないこと
両ポイントについて、それぞれ確認しておきましょう。
(1)受給した生活保護費で借金を返済しないこと
生活保護は生活に困っている人を支えるための制度です。
決して借金の返済を援助するためのものではありません。
生活保護費は、元をただせば国民の税金で賄われているものです。
このため、それを借金の返済にあてることは許されません。
生活保護を受けながら借金の返済をすることは原則として禁止されています。
ただし借金額が少額だったり、残り数回の支払いで完済となるようなケースでは自己破産が認められないという事情を考慮して借金の返済が認められるパターンもあり得ます。
生活保護を受けながら借金を返済してしまったことが福祉事務所にバレた場合、最悪のケースとして生活保護が打ち切りされてしまう可能性もあります。
生活保護費で借金の返済は絶対にしないようにしてください。
もし借金がある場合には、後述するように自己破産するなど債務整理して解決するようにしましょう。
(2)新たな借金をしないこと
生活保護を受けていれば毎月安定したお金を受給できるようになるため、借金をせずに生活できるようになるはずです。
生活保護を受けている状態で借金など作ってしまうと、それ以降毎月返済に追われ、また苦しい生活を始めることになってしまいます。
けっして新たな借金を作らないようにしてください。
生活保護をもらう前に作った借金をどうするか?|債務整理がベスト
借金の返済のために生活が苦しくて生活保護の申請を考えている場合、まずは借金問題の解決をすることが大切です。
借金問題を解決するためには弁護士や司法書士などに相談し、最適な方法で債務整理する必要があります。
債務整理とは?|借金問題を根本から解決する法的手続き
債務整理がどのようなものであるかを一言で言えば、「借金問題を解決する法的な手続き」ということができます。
具体的には、借金の減額や返済義務の免除などを受けるための手続きと考えてよいでしょう。
債務整理することによって借金問題が解決すれば、生活が楽になるため生活保護を受ける必要がなくなる可能性もあります。
債務整理には4つの方法がある
債務整理には、以下のように4つの方法があります。
- (1)任意整理
- (2)自己破産
- (3)特定調停
- (4)個人再生
このうち、生活保護の受給を検討している方に向いているのは「任意整理」と「自己破産」です。両者について簡単にご紹介します。
(1)任意整理
任意整理は、消費者金融会社など借金の貸し手である債権者と、お金を借りた債務者との間で借金の返済条件などに関して交渉を行う手続きです。
交渉が成功した場合には、将来利息がカットされたり、返済期間を延長することで毎月の返済額を減少するなど返済条件を有利にすることが期待できます。
しかし任意整理は基本的に交渉が成立した後、残りの借金を返済していくことが必要となるため、ある程度以上安定した収入があることが最低限の条件となると考えてください。
もし任意整理でも返済できる見込みがない場合には、自己破産が有力な選択肢となります。
なお、業者との交渉の過程において過払いが判明した場合、借金と相殺することで借金が少なくなる可能性があります。
調査の結果、多額の過払い金があることが判明した場合には借金はゼロになり、逆に業者からお金が戻ってくるケースもたくさん存在します。
金融業者との付き合いが長い場合には、弁護士などに相談してみるとよいでしょう。
(2)自己破産
自己破産するためには裁判所で必要な手続きを行う必要がありますが、破産が認められた場合には基本的にすべての借金の支払い義務が免除されます。
すべての借金をゼロにしてもらえるという大きなメリットがありますが、自己破産した場合には財産を処分されたり官報に名前が載るなどデメリットも存在します。
自己破産を検討する際には、メリットだけでなくデメリットも考慮して手続きを行うことが大切です。
生活保護をもらっている場合は自己破産で借金をゼロにするのがベスト
すでにご紹介したように、生活保護を受けながら借金の返済をすることは基本的に許されません。
借金がある場合には、債務整理することによって問題の解決を図るようにしてください。
借金問題を法律的に根本から解決する方法である債務整理には、すでにご紹介したように任意整理や個人再生など4つの方法があります。
生活保護を受けている方が債務整理する場合にもっとも適している債務整理方法は、ズバリ自己破産ということになるでしょう。
自己破産以外の債務整理方法では手続き後に借金が残るため、どうしても生活保護費を借金の返済に充てる形になりがちです。
しかし破産すれば、借金のすべてを免除してもらうことができるため借金を返済する必要がなくなるからです。
自己破産するためには裁判所にかかる費用のほか弁護士などへの報酬が発生しますが、法テラスを利用することで費用を立て替えてもらうことができます。
また、一定の条件を満たした場合には立替えてもらった費用の返済義務が免除されるため、実質的に無料で自己破産することも可能です。
自己破産を検討している場合には、弁護士等に相談してみることをおすすめします。
まとめ
今回は、借金を抱えている方が生活保護を受ける際に必要となる各種の知識についてご紹介いたしました。
本文でご紹介しましたように、借金を抱えている場合でも生活保護を受給することは可能です。
ただし、受給した生活保護費を借金の返済に使ってしまってはいけないなど、各種の注意すべきポイントがあります。
生活保護の手続きをする際には、今回ご紹介した知識を活用していただければ幸いです。
当事務所は、日本一相談のしやすい法律事務所を目指しています。
借金問題を早く解決するためには、なるべく早く弁護士に相談することがベストです。
ひとりで悩んでいるうちは、借金問題は一生解決できない大問題のように思うもの。
しかし弁護士等に相談すれば、実はあっけないほど簡単に解決してしまったりするものなのです。
いつまでも一人で悩まず、まずはお気軽にご相談いただければ幸いです。
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