現在借金を抱えていて、これから自己破産を検討している人は、
「自己破産した後だと、生活保護を受けることができないのでは?」と不安になる方もいることでしょう。
自己破産の前と後、どちらで生活保護の申請をしていいか悩みますよね。
また逆に、「今現在生活保護を受給しているが、自己破産できないのではないか?」という不安を抱える方もいることでしょう。
そこでここでは、債務整理に強い弁護士が、これらの疑問点を解消すべくわかりやすく解説していきます。
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自己破産をしても生活保護を受けることもできる
生活保護を受給するためには、以下の4つの条件すべてを満たしている必要があります。
- ①世帯全体の収入が最低生活費以下であること
- ②めぼしい財産がないこと
- ③生活を支援してくれる家族・親族がいないこと
- ④病気やケガなどによって働くことができないこと
上記の条件を満たしている以上、自己破産した後に生活保護を受給することも可能です。
自己破産と生活保護という制度は、そもそもまったく別の制度です。
自己破産は、返済することができないほど多額の借金を作ってしまった人を経済的に救済する制度。
生活保護とは、普通の生活を営むために必要な最低限度の収入を得ることができない人を助けるための制度です。
このため、「自己破産したから生活保護を受けることができない」などと考える必要はありません。
それぞれの制度を利用するための条件を備えていれば、どんな人でも利用することができるのです。
生活保護を受けていても自己破産することができる
上で触れたように、法律上、生活保護と自己破産はまったく別個の手続きです。
このため、現在生活保護を受給している方であっても、何の問題もなく自己破産することができます。
自己破産は裁判所で行う手続きですが、破産が認められる条件は主として以下の2つです。
- ①借金の返済ができない状態であること
- ②破産が許可されないような問題がないこと
つまり、借金額がいくらであろうと、債務者として返済が難しい状態であることが認められれば自己破産することができるということです。
すでに生活保護を受給している場合、一般的な会社員などよりも借金の返済が難しく、めぼしい財産がないことが明らかであるため自己破産が認められやすい傾向があります。
生活保護の申請は自己破産の前と後、どっちがいい?
これから生活保護の申請をしようと考えている方は、申請前に自己破産した方がいいのか、それとも先に申請してから自己破産をした方が良いのか迷いますよね。
この点、法律上は、手順についてとくに決まりはありません。
つまり、生活保護申請をする前に自己破産してもいいですし、申請をしてから自己破産してもいいですし、或いは、申請と並行して自己破産手続きを進めてもかまいません。
では、自己破産の前と後、どちらのタイミングで生活保護の申請をした方が良いのでしょうか。
自己破産した後に生活保護申請をするのが一般的
実務的なお話になりますが、借金を抱えてまだ自己破産していない段階で役所に生活保護申請に行くと、生活保護が下りないことがあります。
ケースワーカーから、「先に自己破産をして借金問題を解決してから申請に来てください」と言われてしまうことがあるのです。
その理由として、先に生活保護受給を開始してしまうと、生活保護費から借金の返済をしてしまう債務者がいることがあげられます。
生活保護費というのは、日本国憲法第25条1項で定められた、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保護するために支払われています。
そのため、生活保護費を個人の借金返済に回すことは禁じられていますし、違反が発覚すると生活保護が打ち切られることもあります。
こういった不正を防止するために、役所としては、先に自己破産をして借金をチャラにしてから生活保護を受けるよう指導しているのです。
また、生活保護の受給を認めるかどうかにあたり、役所側としては、申請者の今後の収入や支出を把握しておきたいと考えるのは当然ですので、金銭的な身辺整理をしてから申請して欲しいというのは自然な考えでしょう。
ただし、自己破産前に生活保護申請をすることも可能
繰り返しとなりますが、生活保護申請前に自己破産しなければならないという決まりはありません。
そのため、いくら役所が、先に自己破産するように指導してきても、法律で順序が決められていない以上は、先に生活保護受給を開始してから自己破産しても構わないのです。
この後に説明しますが、生活保護受給者が自己破産をすると、自己破産の手続きに掛かる費用の一部または全部の免除が認められるメリットがあります。
そのため、役所側が「自己破産を済ませてからでないと申請を通さない」といった主張をしてくるようであれば、弁護士同伴で交渉しにいくことをおススメします。
費用ゼロで自己破産する方法とは?
自己破産は、裁判所で厳格に行われる手続きです。
自分自身で手続きすることができないわけではありませんが、自己破産は弁護士などに依頼して手続きを行うのが一般的です。
その場合、裁判所への費用のほかに弁護士等へ支払う報酬なども用意する必要があります。
これら自己破産にかかる費用は、裁判所と弁護士などにかかる費用を合計すると最低でも30万円以上はかかることになり、生活保護の受給をしている(または検討している)人にとって大きな負担です。
しかし、つぎに述べる方法を利用することによって、まったく費用の負担をせずに自己破産することが可能となるのです。
法テラスを利用すると費用ゼロで自己破産が可能!
「法テラス」とは、国によって全国に設置されている機関です。
国民の法律問題の解決を援助するため、無料法律相談や弁護士費用の一時立て替えなど各種のサービスを提供しています。
生活保護を受給している方が、法テラスの提供する「民事法律扶助(みんじほうりつふじょ)」という制度を利用した場合、弁護士費用などを免除してもらうことが可能です。
本来であれば民事法律扶助によって援助してもらった弁護士などの費用は、一時的に法テラスによって立替えてもらうだけであり、その後分割で返済する必要があります。
しかし生活保護受給者が同制度を利用する場合には、自己破産の手続きが終了した時点においても生活保護を受けていることを条件として、立替金の返済義務を免除してもらうことができるのです。
上記のとおり、法テラスによって援助してもらうことのできるのは、弁護士などにかかる費用に制限されるが原則です。
しかし、つぎにご紹介するように、一定の要件を満たした場合には裁判所にかかる費用まで免除の対象となる可能性があります。
一定の場合には裁判所への費用も援助してもらえる
通常の場合、法テラスの民事法律扶助で援助の対象となるのは弁護士などにかかる費用だけであり、裁判所費用は自分で負担する必要があります。
自己破産が同時廃止事件となる場合、裁判所にかかる費用は1万数千円程度ですので、それほど大きな負担になることはないかもしれません。
しかし管財事件となる場合には、最低でも20万円以上かかることになり、生活保護受給者としては負担することが不可能なほど高額な費用が必要となります。
そのような場合でも生活保護受給者または同等の生活水準の方に関しては、民事法律扶助を利用すれば裁判所費用を立て替えてもらうことも可能となっています。
そして、自己破産の手続きが終了した時点においても生活保護を受給している場合または同等の生活水準にある場合には、裁判費用の立て替え分に関しても返済義務が免除してもらえるのです。
まとめ
今回は、「生活保護と自己破産」について解説させていただきました。
生活保護を受給されている方にとって、借金は非常に大きな負担となってしまいます。
返済することが難しいほどの借金を抱えてしまっている場合には、自己破産することをおすすめします。
自己破産するためには通常、裁判所や弁護士などに対して一定の費用がかかります。
しかし、法テラスを上手に利用することで、費用負担ゼロで自己破産することもできるのです。
もしすでに生活保護を受給している方や、これから受給を検討されている方は今回ご紹介した知識を活用して自己破産されてはいかがでしょうか?
借金問題でお悩みの場合には、お気軽に当事務所にご相談ください。ベテラン弁護士が、迅速に対応させていただきます。
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