内縁関係を解消した場合に財産分与を受けることはできる?

これから内縁関係にある相手と内縁を解消する場合、

相手とこれまで築いてきた財産を分け合う財産分与ができないだろうか…

と考える方は多いでしょう。

法律婚の夫婦と同等、あるいはそれ以上に、親密に共同生活を送ってきた内縁関係の男女も多いでしょうから、上記のような疑問を抱くことも当然といえます。

結論から言うと、内縁関係を解消する場合であっても財産分与を受けることができます。ただし、内縁の夫婦の一方が亡くなった場合には、財産分与を受けることはできません

この記事では、内縁関係を解消する際の、

  • 財産分与の対象となる財産
  • 財産分与の方法

に加え、死別の場合でも財産を引き継ぐための対策について、内縁問題に強い弁護士が解説していきます。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでもメールや電話、LINEでの無料相談ができます
  • 24時間年中無休ですので早急な対応が可能です
  • 男女問題を穏便かつ早急に解決することを得意としております

内縁関係の解消でも財産分与は受けられる

内縁関係とは、役所に婚姻届を提出せず、法的な婚姻関係にはないものの、法的な婚姻関係にある夫婦同様に共同生活を送っている男女の関係のことをいいます。役所に婚姻届を提出し受理され婚姻した「法律婚」に対して「事実婚」と呼ばれることもあります。

財産分与とは、法律婚の夫婦が離婚する場合に、婚姻中に夫婦が協力して築き上げてきた財産を、それぞれの貢献度に応じて分配することです。

財産分与は、本来、法律婚の夫婦が離婚する場合に認められる権利です(民法768)。しかし、判例(最高裁平成12年3月10日判決)は、「内縁の夫婦について、離別による内縁解消の場合に民法の財産分与の規定を類推適用することは、準婚的法律関係の保護に適するものとしてその合理性を承認し得る」と判示しており、内縁関係を解消する場合でも財産分与を受けることができると認めています

内縁の妻とは?内縁の妻の条件やメリット・デメリットを弁護士が解説

内縁を証明する必要性と証明に役立つ証拠について解説

財産分与の対象となる財産は?

内縁関係の解消で財産分与の対象となるのは、内縁関係が成立してから内縁関係が解消されるまでの間に、内縁の夫婦が協力して形成してきた財産です。

例えば、

  • 現金・預貯金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 保険解約返戻金
  • 退職金
  • 家財道具

などが財産分与の対象となります。

内縁関係成立後に取得した財産であれば、名義や夫婦のいずれが財産の形成に貢献したかは問われません。たとえば、夫が会社員、妻が専業主婦の場合で、主に夫の給与や賞与が振り込まれている夫名義の銀行口座の預貯金も財産分与の対象となります。

財産分与の割合は原則的には内縁の夫婦共2分の1ですが、財産形成について夫婦の一方の寄与度が大きい場合、例えば、夫が医師であったり、上場企業の代表取締役であるなど、本人の努力や才能により高収入を得ていたようなケースでは2分の1の原則が崩れることもあります。また、夫婦の協議により一方が受け取る財産を多くすることもできますし、内縁解消に至る原因(例えば不貞行為やDV・モラハラなど)を作ったことへの慰謝料も加味して財産分与の割合を決めることができます。

また、内縁関係成立前から夫婦の片方が所有していた財産や、夫婦の片方が自身の親族の死亡で相続により得た財産など、夫婦の協力によって形成されたものではない個人的な財産(特有財産といいます)は財産分与の対象とはなりません

なお、財産分与の対象となるのは、預貯金などのプラスの財産のみならず、住宅ローンや生活・子供の教育のための借金などのマイナスの財産も対象となる点に注意が必要です。

内縁関係の解消で慰謝料請求できる4つのケースと慰謝料相場を弁護士が解説

内縁関係で浮気されたら慰謝料請求できる!相場は?弁護士が解説

財産分与の方法は?

相手に財産分与を請求するには、まず、内縁関係後に所得した財産をすべてリストアップします。前述のとおり、財産分与はプラスの財産のみならずマイナスの財産も対象となりますから、両方をすべてリストアップしましょう。

リストアップする際は財産の裏付けとなる資料(預貯金であれば通帳の写し、借金であれば償還表など)を集めておきます。すべての財産を把握できたら、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて割り出した財産が財産分与の対象となる財産です。

不動産や自動車など単純に半分ずつで分けることができない財産は、専門業者に依頼して評価額を出してもらった上で、売却して余ったお金を半分ずつ分け合う、いずれかが所有し評価額とローンの残高との差額分の半分を分け合う(いずれもアンダーローンの場合)などの方法を取る必要があります。

財産分与の対象とできる財産を把握できたら、まずは話し合いで財産分与の割合を決めます。話し合いで合意できればその内容で財産分与をすることができます。ただし、後で言った言わないと揉めないよう、口約束ではなく、合意内容を公正証書などの書面に残しておくようにしましょう。

話し合いで話がまとまらない場合は、家庭裁判所に対して「内縁関係調整調停」を申し立てて、調停委員を間に入れて話し合いを行います。それでも、話がまとまらない場合は自動的に審判へ移行し、裁判官から判断を示されます。

内縁関係で死別した場合は財産分与は受けられない

内縁関係にある相手がお亡くなりになった場合は、財産分与によって財産を分けてもらうことはできません。財産分与は「離婚」を契機として夫婦で協力して築いた財産を清算して分配することであるためです。

死別の場合に財産を引き継ぐ契機となるのは「財産分与」ではなく「相続」です。しかし内縁配偶者は法定相続人ではありませんから、基本的には相手との死別によって遺産相続をすることもできません。

つまり、内縁関係の夫婦の一方が死亡した場合は、もう一方は財産分与も相続も受けることは出来ず、原則的には一切の財産を引き継ぐことができません

ただし、相手の生前、死後に以下の方法を取ることによって、死別の場合でも財産を引き継ぐことが可能となります。

死別の場合でも財産を引き継ぐための対策

相手に遺言書を作成してもらう

相手が作成する遺言書の中に、内縁配偶者であるあなたを対象として財産を引き継ぐ旨の文言を入れてもらうことであなたも遺産を取得することができます

もっとも、法定相続人の中でも被相続人の配偶者や子供には、遺産の最低限の取り分である「遺留分」が確保されています。遺言書の内容が遺留分を侵害していると、被相続人の配偶者や子供から「遺留分を侵害している分は返して欲しい」という請求を受ける可能性があります。

また、遺言書の内容によっては、被相続人の配偶者や子供らと遺産分割協議に参加しなければならず面倒なことになります。遺言書の書き方には注意が必要ですので、弁護士に遺言書の作成を依頼することをお勧めします。

生命保険金、死亡退職金の受取人に指定してもらう

相手の死亡によって発生する生命保険金は、受取人を特定の人に指定している場合は、その人の固有の財産となり、相続の対象となる財産(=相続財産)とはなりません。すなわち、生前、内縁関係にある相手に、内縁配偶者であるあなたを生命保険金の受取人と指定してもらえれば、あなたはその生命保険金を受け取ることができるというわけです。

また、死亡退職金についても、相手が勤める会社の退職金規定に内縁配偶者であっても受取人となることができる旨の規定が設けられている場合は受け取ることができます。

なお、生命保険金と死亡退職金は、相続税上は「みなし相続財産」となり、内縁配偶者の場合は非課税枠の適用がないことなどから、相続税を納付しなければならない可能性が高くなる点に注意が必要です。

生前贈与を受けておく

生前贈与とは、生存している間に財産を別の者に贈与することです。内縁関係の夫婦の一方が他方に生前贈与をしておくことで確実に財産を残してあげることができます。

ただし、生前贈与をした方が亡くなった後で、その法定相続人から本当に生前贈与があったのかどうか疑われて揉めることもありますので、贈与契約書を作成しておくべきでしょう

また、年間で110万円を超える贈与を受けた場合は贈与税が課税されます。一括で多額の生前贈与を受けると高額な贈与税を負担しなくてはならない可能性があるため注意が必要です。

特別縁故者になる

特別縁故者とは、被相続人に配偶者や子供などの法定相続人がいない場合に、被相続人と一定の身分関係にあり、かつ、家庭裁判所によって被相続人の財産を引き継いでもよいと認められた方のことです。

内縁関係者も一定の身分関係があった者として、特別縁故者になれる可能性があります。

特別縁故者として被相続人の財産を引き継ぐには、被相続人に相続人がいないと確定してから3か月以内に、家庭裁判所に対して申し立てを行う必要があります。

まとめ

内縁関係の解消(離別)では財産分与が可能です。ただし、死別の場合は財産分与も相続も受けることはできません。もっとも、死別の場合でも、遺言等によって財産を引き継ぐことは可能です。

弊所では、内縁関係の解消に伴う財産分与や慰謝料請求の交渉、調停・審判・訴訟の代理、遺言書や贈与契約書の作成に至るまで経験豊富な弁護士が対応しております。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、まずは弁護士までご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでもメールや電話、LINEでの無料相談ができます
  • 24時間年中無休ですので早急な対応が可能です
  • 男女問題を穏便かつ早急に解決することを得意としております
男女問題・男女トラブルの弁護士無料相談

全国どこからでも、24時間、弁護士による男女問題・男女トラブルの相談を受け付けております。

穏便に解決したいがどう対処していいか分らない…
トラブルになっていて怖い・苦しい。今すぐに解決方法を知りたい

そのような悩みを抱えているのであればお気軽に当法律事務所までご相談下さい。きっとあなたのお力になれるはずです。

男女問題・男女トラブルが生じる前の、穏やかで安心した生活をおくれるよう、弁護士が全力であなたを守ります