内縁関係を証明する11個の証明書類や証拠を弁護士が解説

内縁関係であることを証明する方法、必要となる書類や証明書を知りたい…

このようなことでお悩みではないでしょうか。

普段、内縁を証明しなければならない場面はそう多くはないため、いざ証明が必要な場面に遭遇した場合にどのようにして証明すればいいのか分からない方も多いことでしょう。

そこでこの記事では、男女問題に強い弁護士が、

  • 内縁関係を証明する必要があるケース
  • 内縁関係を証明する証明書類・証拠

についてわかりやすく解説していきます。

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内縁関係を証明する必要があるケース

内縁関係とは、法律上の夫婦のように、同居して共同生活を営んでいるものの、役所に婚姻届を提出していないため、法律上の夫婦とは認められない関係性のことをいいます

内縁関係は、「婚姻に準ずる関係」として判例(最高裁昭和33年4月11日判決)上も保護されています。

そのため、例えば、

  • 浮気・DVが原因で内縁解消に至った場合の慰謝料請求
  • 内縁の夫(妻)の浮気相手に対する慰謝料請求
  • 不当に内縁関係を解消された場合の慰謝料請求
  • 内縁関係解消の際の財産分与請求

といった場面でも、法律婚と同等の保護を受けることができます。

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もっとも、あなたがいくら「内縁関係にあります」ということを主張して保護を受けようとしても、相手から内縁関係にあることを否定されることも想定されます。

そのため、あなたが上記でご紹介したような保護を受けるためには、あなたが相手と内縁関係にあること、あるいはあったことを証明する必要が出てくるのです

なお、次のようなケースでも内縁関係にあることの証明が求められます。

  • 扶養控除を申請する場合
  • 社会保険の被扶養者申請をする場合
  • 遺族年金を受給する場合
  • 住宅ローンの連帯保証人になる場合 など

内縁関係を証明するための方法(証明書・必要書類)

では、どのような方法、書類を使って相手と内縁関係にあることを証明していくのでしょうか?

この点、法律婚の場合は役所に婚姻届を提出し、受理された段階で、通常は夫を筆頭者とする戸籍に婚姻の事実や配偶者(あなた)の氏名などが記載されます。そのため、その戸籍によって法律婚であることを証明することができます。

一方、内縁関係の場合は、役所に婚姻届を提出していないことが前提ですから、上記のような戸籍は作成されず、戸籍以外の書類や方法で内縁関係を証明していくほかありません

証明するべき事項は、内縁関係が認められる条件である以下の2点です。

  • ①互いに婚姻意思を持っていること
  • ②一定期間同居し、夫婦同然の共同生活の実態があること

以下では、内縁を証明するための証明書類や証拠について解説していいますが、どれか一つがあれば内縁関係を証明できるというものではなく、様々な要素を考慮して内縁関係にあるかどうかが判断されることに注意が必要です。

住民票

住民票は、内縁関係であることを証明するための書類の中でももっとも証拠価値の高い書類です

住民票の「続柄」の欄に「妻(未届)」、「夫(未届)」と記載しておけば、絶対ではありませんが、内縁関係にあると判断されやすくなります

他方で、「続柄」の欄に「妻(同居人)」、「夫(同居人)」と記載されている場合は「婚姻意思はない」とみなされ、上記と比べて内縁関係にあると判断されにくくなりますが、少なくとも「同居して共同生活をしていること」を証明するための証拠として使うことは可能です。

なお、一定の条件(法律上の婚姻条件)を満たしている場合は、役所で手続きをすることで続柄の記載を「同居人」から「未届」に変更することも可能です。

いかなる条件を満たすと変更できるのか、手続きをするために何を持参すればよいかなど不明な点がある場合は、事前に役所に問い合わせてみるとよいでしょう。

自動車保険

自動車保険の契約の中で、内縁の妻(または夫)が配偶者として補償を受ける対象となっている場合には、内縁関係を証明する証拠として使用できる場合があります

自動車保険においては、内縁関係にある妻・夫も、法律上の配偶者と同様に扱われます。保険会社は当事者が内縁関係にあることを確認したうえで契約することになるため、そのような自動車保険は内縁関係を証明するひとつの証拠となりうるのです。

賃貸借契約書など

同居しているお住いが賃貸物件の場合は、不動産会社から交付を受けた賃貸借契約書をよく確認してみましょう。

賃貸借契約書の「同居人」の欄に、「内縁の妻」、「内縁の夫」、「妻(未届)」、「夫(未届)」などと記載されている場合は内縁関係を証明するための証拠として使えます

これから相手と賃貸物件を探して同棲を始める方は、契約の際、担当者に「同居人」の欄に上記の文言を入れるよう申し出ておくとよいでしょう。

また、賃貸借契約書以外にも、たとえば、家具・家電を購入した際の契約書、代金を支払った際に受け取った領収書なども、相手との内縁関係があることの証拠として使えます

遺族年金証書

内縁関係にあった相手が死亡し、遺族年金を受け取っている場合は、遺族年金証書を相手との内縁関係を証明するための証拠として使うことができます

もっとも、遺族年金を受け取るには、内縁関係にあったこと(夫婦のように、同居して共同生活を送ってきたこと)、相手によって生計を維持してきたことを各種書類によって証明する必要があります。

そのため、遺族年金証書も大切ですが、いかなる書類を提出して遺族年金を受け取ることができたかという点がより重要です。

後述する健康保険証についても同じことがいえます。

健康保険証

あなたが、相手が加入している「健康保険証」を持っている場合は、その健康保険証を、相手と内縁関係にあることを証明するための証拠として使うことができます

ご存知のとおり、健康保険証は健康保険の「被保険者」や「被保険者の被扶養者」に交付されるものですが、健康保険について規定する健康保険法では、「被保険者の配偶者で届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものの父母及び子であって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの」は被扶養者に含まれると規定されています。

つまり、相手と内縁関係にあるあなたも、相手の被扶養者となり、相手が加入する健康保険の健康保険証を取得できる可能性があるということです。

もっとも、相手の扶養に入るためには、相手と同一世帯に属すること(住民票上の世帯主を相手としておくこと)、主として相手により生計を維持していること(あなたの年収が130万円未満であること)などの条件をクリアする必要があります。

給与明細書

相手が毎月、会社から扶養手当(家族手当)、住宅手当を受け取っており、その金額が相手の給与明細書に記載されている場合には、その給与明細書も、相手と内縁関係にあることを証明するための証拠として使うことができます

相手が扶養手当、住宅手当を受け取っているということは、少なくともあなたは、相手の会社からは相手の被扶養者であると認められたことを意味しています。

相手が扶養手当、住宅手当を受け取ることができるかどうかは、会社の就業規則の内容などによります。

結婚式・披露宴の予約、実施に関する各種証拠

結婚式・披露宴をこれから開く予定があるという場合は、申込書の控え、内金を支払った際に受け取った領収書、親族、知人・友人等に送付した案内状・招待状、送付者のリストなど、婚約指輪を受け取っている場合はその婚約指輪自体が「婚姻意思を有していること」を裏付ける証拠とすることができます。

また、すでに結婚式、披露宴を開いた後の場合は、参列者の証言、結婚式・披露宴の動画、写真などは有力な証拠とすることができます。

相手と取り交わした契約書

あなたがいくら相手と内縁関係にあると認識していても、相手は内縁関係にはないと認識しているなどの認識のズレから、法的保護を受けられず、不安定な立場に立たされる可能性もあります。

そのため、安心して内縁生活を送るために、相手と契約書を交わしておくことも一つの方法です。

そして、契約書を交わした場合には、その契約書を内縁関係にあることを証明するための証拠として使うことができます

契約書に含める内容は法律で決まっているわけではありませんが、内縁が解消された場合のことを想定した内容のものとすることが基本です。

民生委員が作成する証明書

民生委員は、地域社会の福祉活動を支援する非常勤の地方公務員です。内縁関係の証明書を作成することは一般的な業務ではありませんが、地域住民の相談に基づき、特定の状況や関係性に関する確認書や証明書を作成する場合があります。ただし、この証明書は公式の法的書類ではないため、その法的な有効性は限定的です。

内縁関係の証明書を作成するには、内縁の夫婦が民生委員に相談し、その関係や状況を説明します。民生委員は、関係の実態や生活状況を把握した上で内縁関係を確認する書類を作成しますが、地域や民生委員の対応に差があるため、事前に確認が必要です。また、証明書の作成は福祉サービスの支援目的であり、法律に触れる問題には対応しません。

民生委員が作成した証明書の証拠価値は、民生委員がどこまで関係性や生活実態を把握しているかに依存します。それ如何によっては証拠価値のない単なる紙切れに終わってしまう可能性もあるので注意しましょう。

LINE、メール、相手との会話を録音したICレコーダー

相手が婚姻意思を有していることを証明しうるものであれば証拠とすることができます。

相手がどういう経緯、意図で発言しているのか、会話の前後からよく吟味することも大切です。

周囲から夫婦としての扱いを受けている

周囲から夫婦として扱われているという事情も内縁関係を証明するひとつの証拠となりえます。

親族・友人・勤務先の人たちから、法律上の夫婦と同様に取り扱われている例としては、「親族の葬式に夫婦として香典を出している」「結婚式には夫婦として招待状が届いている」などといったケースが挙げられます。

これらはあくまで補充的な事実であるため、他の証拠とあわせて主張することで内縁関係を立証する1つの証拠となりうるといえます

内縁関係の証明で困ったら弁護士に相談

以上この記事では、内縁関係の証明が必要なケース、内縁関係を証明する方法などを解説してきました。内縁関係は法律婚のように戸籍を見れば一発でわかるというものではありません。

いくつか有効な証拠・資料を提示して主張・立証していく必要があるため、内縁関係の証明は簡単なものとはいえません。

住民票は証拠として非常に強力なものといえますが、手続きに応じて他の証拠と組み合わせることで簡易・迅速に内縁関係を立証することができます。

内縁関係を証明することに不安を抱えている方は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、ご自身の状況を丁寧にヒアリングしたうえで、どのような資料を集めて、どのように証明すればよいのかを、適切に判断・アドバイスを受けることが期待できます。

内縁関係を証明できなかったため法的な給付や優遇措置を受けられなかった、という事態を回避するためにも、内縁関係の証明にご不安・疑問がある方は、当事務所の弁護士にお気軽にご相談ください。

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