内縁関係でも慰謝料請求できる?条件と相場・手続きの流れ

「籍を入れていない内縁でも、相手の浮気や一方的な別れに慰謝料を請求できるのか」と悩む内縁の妻や夫の方もいるでしょう。

結論からいうと、相手の浮気や、正当な理由のない一方的な別れがあれば、内縁関係でも慰謝料を請求できます。相場は50万〜300万円程度です。ただし、浮気の前から関係が破綻していた場合などは認められにくく、籍がない分、関係の証明も必要です。

この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点を解説します。

  • 内縁で慰謝料を請求できるケース・できないケース
  • 相場と金額が変わる事情
  • 請求の条件と証明に必要な証拠
  • 内縁の慰謝料を請求する手続きの流れ

なお、内縁のパートナーとのトラブルでお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。

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内縁関係とは?単なる同棲との違い

内縁関係(事実婚)とは、お互いに結婚する意思を持ちながら、婚姻届を出さずに夫婦と変わらない共同生活を営む男女の関係をいいます。

結婚する意思は、婚約や挙式の有無、親族から夫婦として扱われているかなど、客観的な事情で判断されます。

共同生活の実態は、同居期間や生計の共有、共有財産の有無などから総合的に判断されます。何年以上でなければならないという明確な決まりはなく、期間はあくまで判断要素の一つです。

婚姻意思のない同居は単なる「同棲」であって、同居が長く続いていても、それだけで内縁関係になるわけではなく、内縁としての慰謝料請求の前提を欠きます。同棲の場合は「恋人が浮気!未婚でも慰謝料を請求できるケースと慰謝料相場」が参考になります。

事実婚の詳しい解説は「事実婚とは?法律婚との違いとメリット・デメリット、必要な手続き」をご参照ください。

内縁関係で慰謝料請求ができるケース・できないケース

内縁関係は法律的には婚姻に準ずるものとして保護されるべき生活関係にあたるとされています(最高裁判所の判例・昭和33年4月11日判決)。そのため内縁の夫婦にも、同居義務や貞操義務(パートナー以外と性的関係を持たない義務)などがあると考えられています。

内縁の妻(夫)が慰謝料を請求できるのは、主に次の3つのケースです。

①正当な理由なく内縁関係を解消・別居されたケース

当事者の一方が正当な理由なく内縁関係を解消することを内縁の「不当破棄」といい、慰謝料の請求が可能です。

正当な理由の有無は、解消された側に不貞や暴力など、法律婚の離婚原因にあたる事情があったかを目安に判断されると考えられています。

内縁の当事者の一方が正当な理由なく別居した場合は、前述の同居義務(法律婚では民法752条)に反する「悪意の遺棄」(同居・協力・扶助の義務を果たさないこと)にあたり、別居された側が慰謝料を請求できることもあります。

別居中の生活費については「内縁関係で別居したらお金はどうなる?生活費を請求できる場合とは」をご覧ください。

解消をめぐる注意点は「内縁関係を解消する時の注意点と別れてくれない場合の対処法」をご参照ください。

②内縁の夫(妻)に不貞行為があったケース

内縁の当事者の一方が異性と不貞行為を行った場合、慰謝料請求できます。不貞行為とは、内縁の相手以外の異性と肉体関係を持つことをいい、肉体関係のない親しいやり取りだけでは、原則として不貞行為にはあたりません。

また、内縁相手の浮気相手に対しても同様に慰謝料請求できます。ただし、浮気相手への請求が認められるのは、その人が二人の内縁関係を知っていたか、注意すれば気づけた場合です(民法709条)。浮気相手が「内縁の相手がいるとは知らなかった」と争うこともあるため、内縁関係を知っていたとわかるやり取りも残しておきましょう。

浮気の慰謝料について詳しくは「事実婚(内縁)で浮気されたら慰謝料請求できる!相場は?」をご覧ください。

③内縁の夫(妻)が既婚者であることを隠していたケース

相手が結婚している事実を隠して内縁関係を結んだ場合には、貞操権(誰と性行為をするのかを自分で決定する権利)を侵害したことを理由として慰謝料請求が認められるケースもあります。

関連記事:貞操権侵害とは?独身と偽った交際相手への慰謝料相場と請求方法

慰謝料請求ができないケース

一方で、次のような場合は、内縁の相手に慰謝料を請求しても認められにくくなります。

まず、単なる同棲の場合や、内縁関係を証明できない場合です。慰謝料請求は二人が内縁関係にあったことが前提のため、結婚する意思がなく一緒に暮らしていただけの同棲では、内縁としての請求は認められません。また、相手が内縁関係を否定したときに、内縁関係にあったことを示す証拠がなければ、請求は認められにくくなります(証明に使える資料は後述します)。

次に、相手の不貞行為などがあった時点で、二人の関係がすでに破綻していたと判断される場合です。たとえば、長期間別居が続いていた場合などは、その後に相手が浮気をしても、慰謝料を請求できない場合があります。

最後に、相手に配偶者がいると知りながら内縁関係を結んだ場合です。一方または双方に配偶者がいる内縁を「重婚的内縁」といい、この場合は、相手の不貞行為や一方的な解消があっても、慰謝料を請求できないことがあります。相手の法律婚が破綻している場合などの例外は「重婚的内縁とは?法の保護を受けるための条件を解説」で解説しています。

内縁関係での慰謝料の相場

内縁関係で認められる慰謝料額は、おおむね50万〜300万円程度の幅に収まることが多いといえます。

金額は、裁判では以下のような事情を考慮して決まります。

  • 内縁関係の期間
  • 内縁解消に至った理由
  • 精神的苦痛の程度
  • 相手の行為の悪質さや頻度
  • 相手の資力
  • 子の有無 など

なかでも内縁関係の期間は重要で、10年など長期間続いた関係ほど、壊されたときの精神的苦痛が大きいと評価され、慰謝料が高くなる傾向があります。こうした事情によっては、50万〜300万円の幅を下回ることも上回ることもあります。

実際の金額は経緯や証拠によっても変わるため、弁護士に見通しを確認しておくと安心です。

慰謝料請求の条件として証明が必要な2つのこと

不当破棄や不貞行為を理由に請求する場合は、「二人が内縁関係にあったこと」と「関係を壊した責任が相手にあること」の2つを証明する必要があります。

①内縁関係であることを証明すること

内縁関係にあったことは、次のような資料で立証します。

  • 住民票の続柄欄(「夫(未届)」「妻(未届)」の記載)
  • 賃貸借契約書の同居人欄
  • 生計が同じだとわかる家計簿
  • 結婚式や披露宴の写真など
  • 婚約指輪など婚約していたとわかるもの
  • 健康保険の被扶養者記録
  • 相手方とのメッセージなどの記録
  • 友人・知人などの証言

相手が内縁関係を認めていれば、これらの証拠を出す必要はありません。ただし、後から否定された場合に備え、「内縁関係を証明する方法と11の書類・証拠を解説」を参考に集めておきましょう。

関連記事:内縁の妻とは?メリット・デメリットと認められる条件を解説

②内縁の夫(妻)に責任があることを証明すること

相手に責任があるとは、内縁関係を正当な理由なく一方的に解消したことや、不貞行為をしたことなど、慰謝料の原因となる行為をしたことをいいます。

一方的に内縁関係を解消された場合は、次のようなものが証拠になります。

  • 解消を告げるメールやLINEの記録
  • 話し合いの録音

不貞行為があった場合は、次のようなものが証拠になりえます。

  • ラブホテルへの出入りの写真や動画
  • クレジットカードの利用履歴
  • 肉体関係をうかがわせる浮気相手とのメッセージ

慰謝料請求を有利に進めるには、こうした証拠が欠かせません。自分だけで集めるのが難しい場合は、探偵事務所に調査を依頼することも検討するとよいでしょう。

内縁の夫(妻)への慰謝料請求の手続きと流れ

慰謝料請求は、主に次の流れで進めます。

内縁関係の慰謝料を請求する流れ(当事者同士で話し合う→内容証明郵便で請求する→内縁関係調整調停→慰謝料請求訴訟)

①当事者同士で話し合う

当事者同士で話し合い、相手方に直接請求するのがもっとも基本的な方法です。後から相手が内縁関係や不貞行為を否定することもあるため、証拠をそろえてから話し合いましょう。

②内容証明郵便で請求する

話し合いが難しい場合や、すでに別居している場合は、電話やメールでも請求の意思は伝えられますが、できれば内容証明郵便を使うとよいでしょう。内容証明郵便とは、送った文面を郵便局が証明する郵便です。法的な強制力はなくても、強い請求の意思を示せます。

内容証明郵便は時効対策にもなります。不法行為(違法に他人の権利を侵害する行為)にもとづく慰謝料の請求権は、損害と加害者を知った時から3年(暴力でけがをしたなど身体を害された損害は5年)、不法行為の時から20年で時効(期間の経過で請求できなくなること)により消滅します(民法724条・724条の2)。

内容証明郵便で慰謝料を催促すれば、時効の完成を6ヶ月猶予できます(民法150条1項)。猶予は一度きりのため、その間に調停や訴訟を起こす必要があります。

③裁判所を利用して請求する

合意できない場合は、内縁関係調整調停を家庭裁判所に申し立てます。

内縁関係調整調停とは、当事者の間に調停委員を挟み、内縁関係の解消について話し合う手続きです。詳細は「内縁関係調整調停(裁判所サイト)」をご確認ください。この調停の中で、財産分与のほか、慰謝料についても協議できます。財産分与は「内縁関係を解消した場合に妻(夫)は財産分与を受けられる?」で解説しています。

調停は双方が合意しなければ成立しないため、まとまらない場合は慰謝料請求訴訟を起こします。訴訟では、主張と証拠を法的に整理して示す必要があるため、弁護士への依頼も検討するとよいでしょう。

内縁関係の慰謝料請求でお悩みの方へ

内縁関係でも、相手の一方的な関係の解消や浮気に対しては、慰謝料を請求できることがあります。ただし内縁関係の場合は、関係の成立そのものが争われやすく、証拠が欠かせません。

弁護士に相談すれば、請求の見込みや必要な証拠、金額の目安がわかり、相手との交渉も任せられます。請求には時効があるため、早めに動き出しましょう。

内縁の相手への慰謝料請求を検討している方は、一人で悩まず、男女トラブルに精通した当事務所の弁護士にご連絡ください。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

不倫慰謝料 妊娠トラブル 婚約破棄 パパ活トラブル ストーカー被害 男女間の金銭トラブル
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
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