
「詐欺罪で警察に逮捕してもらいたい」
「できればお金も取り戻したい」
至極当然の感情でしょう。
とはいえ、
- そもそも自分は本当に風俗嬢に騙されたのか?
- 騙されたとして、詐欺罪は成立するのか?お金を取り返すことはできるのか?
こういった疑問をお持ちの男性も多いはずです。
そこでこの記事では、
- 風俗嬢が男性客を騙すための典型的な手口
- 詐欺罪での逮捕があり得るのか
- 騙し取られたお金を取り戻すポイント
につき弁護士がわかりやすく解説していきます。
全て読み終えるのに4分ほどかかりますが、もし読んでもわからないことがあったり、お金を取り戻すためにどうすべきかもっと具体的に聞きたい方は、弁護士に気軽に相談してみましょう。
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目次
風俗嬢による騙しの手口
同じ風俗嬢を何度も指名していると親しくなって、店外デートをしたり、個人的な話をしているうちに恋心を抱くこともあるでしょう。
そういった被害者の恋愛感情をうまく利用し、以下のような嘘の悩みを打ち明け、男性客からお金を騙し取ります。
- 「学校に通いたいけど学費がないから風俗をするしかない」
- 「風俗から足抜けしてあなたと結婚したいけど、この借金がどうにもならない」
- 「店に多額の借金があるから払い終わるまでは辞められない」
- 「今お店を辞めるなら高額な罰金を払わないといけない」
- 「親(兄弟)が病気で治療費を稼ぐために風俗で働いている」
- 「あなたと交際したいけど、生活が苦しいから辞めるわけにいかない」
性風俗に限らず、キャバクラ等の水商売の女性が使う、男性客の恋心や独占欲を刺激してお金を引っ張る王道的な手口です。
風俗嬢自ら「困っているのでお金を貸してほしい」と申し出るケースもありますが、多くは男性客の方から「貸してあげる」「援助してあげる」「返さなくていいよ」「これはあげるものだよ」と言わせるように仕向けるのが上級テクニックです。
そして、関係が拗れたり、男性客の自分に対する恋愛感情や表現が重たく感じてきた時点でフェードアウトするか、「貰ったものは返す必要がない」と開き直ります。
風俗嬢は詐欺罪で捕まる?
詐欺罪(刑法246条)とは、人を欺いて(騙して)お金や物(財物)を交付させる犯罪で、10年以下の懲役刑です。
詐欺罪の成立要件
詐欺罪が成立するには、以下の5つの要件をクリアする必要があります。
- ①人を欺く行為(欺罔行為)があること
- ②その欺く行為により被害者が騙されてしまったこと(錯誤に陥るといいます)
- ③錯誤に陥った被害者が、欺いた者等に財産を渡してしまう(処分する)こと
- ④①~③に因果関係(「アレがなければコレなし」という関係)があること
- ⑤欺く行為をした者に最初から故意(金品を騙し取る意思)があったこと
以下で、風俗嬢がお客を騙してお金を引き出した行為につき、詐欺罪の成立要件を満たすのかを検討してみましょう。
風俗嬢の行為は詐欺罪の成立要件を満たす?
例として、「店に多額の罰金を払わないと辞められない」と客を騙して、騙された客が不憫に思って風俗嬢に100万円を貸したケースを考えてみましょう。
まず、風俗嬢が嘘で客を騙し、客は100万円を渡しているので①~③の条件は満たしています。また、風俗嬢が嘘をつかなければ、客も騙されてお金を貸すことはなかったといえますので④の因果関係の条件も満たしています。
問題は⑤の、「最初から金品を騙し取る意思(故意)」があったかなかったかです。
故意があったかなかったかはどう判断される?
この点、人の内心の意思まで他人は知りようがありません。
では、「たしかに嘘をついてお金を借りた(またはもらった)けど、後でちゃんと返すつもりだった」と風俗嬢が主張すれば、”最初から騙し取る意思はなかった”として詐欺罪が成立しないのでしょうか。
そうはなりません。
例えば、オレオレ詐欺で逮捕された犯人が「たしかに息子を装ってお年寄りからお金を騙し取ったけど、後でちゃんと返すつもりだった」と主張したところで、「はいそうですか」と警察が犯人を釈放してくれないことは周知の事実でしょう。
”客観的に見て故意があった”と認められるのであれば、警察が逮捕に踏み切ることもあるのです。
とくに、風俗嬢が交際や結婚を匂わせて金品を騙し取ったのであれば、悪質性の高い交際詐欺や結婚詐欺として警察が動いてくれる可能性は高まります。
逮捕事例の紹介
実際に、風俗嬢が男性客に嘘をついて多額のお金を借りた事案につき以下のような逮捕事例もあります。
「保育士の研修のためにフランスに行きたい」などといって男性から240万円をだまし取ったとして、京都府警亀岡署は31日、詐欺の疑いで、京都市右京区の無職の女(25)を逮捕した。女は男性と、かつて働いていた風俗店で知り合い、実際には渡仏していなかった。同署によると、容疑を認めている。
引用:産経ニュース
詐欺の疑いで逮捕されたのは、横浜市に住む風俗店従業員の女(25)です。
女は2018年、勤務する香川県の風俗店に客として来た男性(49)に対し、「弟の学費を払っているが、空き巣に入られて現金を盗まれた。何とか助けてほしい」「100万円って厳しいかな」などと架空の内容をSNSで送信し、現金100万円をだまし取った疑いが持たれています。
警察によると、男性は他にも借金返済や入院費などの名目で約3000万円を渡していましたが、女から返済がなかったため警察に相談したということです。
女は「お金を返すつもりだった」と話しているということですが、警察はだまし取った金の使い道などを調べています。
引用:Yahoo!ニュース
風俗嬢から騙されたお金を取り返すための重要ポイント
ここで騙されたお金を取り返すために重要なポイントは、以下の3点です。
- ①風俗嬢に渡したお金が贈与によるものなのか、貸したものなのか
- ②男性客からお金を引き出すための発言内容の真否
- ③恋愛感情を利用する積極的態様の有無
この3つのポイントを念頭に入れ、貸したケースと、あげた(贈与した)ケースに分けて、お金を取り返すポイントを見ていきましょう。
貸したケース
お金の貸し借りは法律上、”金銭消費貸借契約”といいます。「返すつもり」「今は返せない」など、貸し借りであったことを風俗嬢に認めさせる言質をとることができれば、契約に基づいて請求することができます。
借用書がないケースでも、メールやLINE等でお金を”貸した”ことがわかるやり取りが残っていればそれも”貸し借り”の証拠となります。
そういったやり取りすら一切残っていない場合には、後付けでも構いませんので、「あの”貸したお金”はいつ返してくれるのか」等、貸し借りであることを前提に連絡しましょう。
ただし、連絡手段として、メールやLINE等は避けた方が良いでしょう。なぜなら、こちらが送ったメッセージに対して風俗嬢に返答内容を考える時間を与えてしまいます。風俗嬢が友人や知人に相談し、「借りたと認めない方がいいよ。貰ったものと思っていたと返信した方がいいよ」などと入れ知恵をされる怖れがあります。
スマホの通話録音アプリ等で録音の準備をしたうえで電話し、周囲に相談したり考えたりする時間を風俗嬢に与えないようすることが重要です。
贈与したケース
贈与は、原則として、既にあげてしまったお金については取り戻すことができません(民法550条)。
ただし、「親が病気で手術費用が必要」「違約金を払わないと風俗店を辞められない」等の風俗嬢の虚偽の発言を受け、アナタがその発言を重要視してお金を渡したとします。その場合、民法96条の詐欺取消を主張して、その贈与を取消して返金を求める余地があります。交際や結婚をちらつかせて騙した場合も同様です。
風俗嬢の嘘が営業の許容範囲内か否かが重要
ただし、性風俗を含む水商売全般に言えることですが、水商売において女性が男性にお金を使わせるために色恋営業トークを使うことは世間に認識されています。
仮に女性が嘘をついて男性からお金を引っ張ったとしても、水商売における営業トークの一環として捉えられてしまえば、仮に訴訟になった場合にも詐欺とは認められません。
- ”自分は、もしかして結婚詐欺・恋愛詐欺の被害にあった?”
- ”自分のケースでは騙し取られたお金を風俗嬢から取り返せるのか?”
- ”風俗嬢の本名も住所もわからないけど回収できるのか?”
と悩まれている方は、当法律事務所までお気軽にご相談ください。親身誠実に、アナタの大切なお金を回収できるよう弁護士が全力を尽くします。相談する勇気が解決への第一歩です。
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