
風俗の裏引き(うらびき)とは、店舗を通さずにお客から直接お金を受け取る行為のことで、直引き(じかびき)とも呼ばれます。店の取り分がなくなる分だけ収入が増えるため、裏引きを考えたことがある方もいるかもしれません。
しかし、裏引きには収入面のメリット以上に深刻なリスクが伴います。「お客にストーカーされるようになった」「店にバレて高額な罰金を請求された」「お客の妻から不倫の慰謝料を請求された」といったトラブルに発展するケースは少なくありません。
この記事では、風俗トラブルに詳しい弁護士が、裏引きのメリットとその裏に潜む5つのデメリットについて解説します。具体的には以下のような内容を取り上げています。
- 風俗の裏引きが禁止されている理由と店側の対応
- 裏引きで身バレ・ストーカー被害・料金踏み倒しが起こる仕組み
- 店から罰金を請求された場合や不倫慰謝料を請求された場合のリスク
なお、裏引きに関するトラブルをすでに抱えていて早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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風俗の裏引き(直引き)とは?
風俗における裏引きとは、風俗嬢が店舗を通さずにお客に性的サービスを提供し、お客から直接お金を受け取る行為のことで、店の禁止行為とされています。
店を通すのが正規のやり方である「表(おもて)」であるという認識と対比して、店を通さずに秘密裡にお客からお金を受け取ることを「裏(うら)」と表現しているのです。
なお、裏引きに類似するものに「店外デート」がありますが、前者が店での性的サービスを外で行うという意味合いに対して、後者はデートすることが前提で店での性的サービスがなくても成立します。
もっとも、裏引きでもお客と飲食するなどデートに近いことをすることもありますし、逆に店外デートもその多くがデート後に有償での性行為を伴います。そのため裏引きと店外デートは明確に区別できるものではありません。
店外デートも店に内緒で外でお客と会う行為であり、基本的には裏引きと同様に店から禁止されていますが、一部風俗店では店外デートを許容していることがあります。これは、お店以外でデートを楽しんだ後に、自身が勤務する店舗に誘導して、同店舗内でサービスを提供することです。キャバクラやホストクラブの同伴出勤をイメージするとわかりやすいでしょう。
店外デートについて詳しくは「風俗嬢が店外デートで負う5つのリスク【お客もリスク有り】」で解説しています。
なぜ風俗では裏引きが禁止されているのか
風俗店が裏引きを禁止している理由は、主に以下の2つです。
- ①店舗の売上が低下するおそれがあるから
- ②女の子がトラブルを起こすと店の信用を失うこともあるため
①店舗の売上が低下するおそれがあるから
風俗ではお客が支払った代金が売上となり、その中から風俗嬢・スタッフに給料や報酬を支払っています。このように店舗側はコストをかけて店を構えることでお客を集めて各種サービスを提供しています。
しかし、風俗嬢が店舗を通さずに直接お客からお金を受け取ってしまうと、利益はすべて風俗嬢個人の懐(ふところ)に入ってしまうので、店舗としてはその分の売上が低下してしまうことになるのです。
そもそも、風俗店が女の子の宣伝やサポートに力を入れる理由は、女の子の人気を上げて店舗売上に直結させるためです。そのため女の子も、そのような店舗のバックアップ・後ろ盾があってこそ現在の人気や評判がある可能性があります。
したがって、風俗嬢による裏引き行為は、店舗側のこれまでの努力や貢献を無に帰するおそれがあるため、店と従業員の信頼関係を損なう裏切り行為と見なされるのです。
②女の子がトラブルを起こすと店の信用を失うこともあるため
裏引きに関しては、店舗に在籍している風俗嬢がいわば勝手にお客さんと取り引きしている状態です。そのためなんらかの法的な問題やトラブルが発生した場合に店舗としても対処することが難しくなります。
裏引きをしている風俗嬢の中には、お客に対して法外なサービス料を吹っ掛けたり、お金の貸し借りをしたりする事案もあります。これらがトラブルに発展してしまい、たとえばネットの掲示板などに「デリヘル〇〇の××ちゃんは借りた金を返さない詐欺師」「ヘルスで本番お願いしたらぼったくられた」といった口コミを投稿されると、当該風俗嬢のみならず店の評判まで落としてしまうリスクがあるわけです。
風俗嬢が裏引きをするメリットは?
風俗嬢が裏引きをするメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- ①収入が増える
- ②無駄な待機時間やお茶引きを回避できる
- ③お客を選別することができる
①収入が増える
風俗は高収入が期待できる仕事ですが、店を介さない裏引きの場合には、本人の仕事の負担量や提供するサービスの内容については店の中と同じでも、店に給料を中抜きされないため、お店の取り分も含めてすべて自分の手元に入ることで収入は増えるわけです。
また、お客との交渉次第では店の料金設定よりも高額なお手当てをもらえることもあります。
②無駄な待機時間やお茶引きを回避できる
風俗店の給料体系は店舗によって異なります。完全歩合制の場合には、仕事量が多ければ収入が増えることになりますが、指名が入らない限り給料が発生することもありません。
1日のほとんどが待機時間であったりお茶を引いたような日には「なんのためにシフトを入れたんだろう…」と憂鬱になることも少なくないはず。
この点、裏引きであれば、お客が指定した時間からサービスを開始することができるため、無駄な待機時間やお茶引きの心配もありません。
店から指示された出勤時間や待機時間に関係なく、自分で時間を調整して働いた分だけ利益が得られるという点は、風俗嬢にとってはメリットが大きいといえるでしょう。
③お客を選別することができる
風俗店の場合は、お客が在籍女性を指名するか、フリーのお客については基本的には店側がどの女性に接客させるかを決めます。
とはいえ、風俗嬢からしてみれば、お気に入りのお客もいれば、中には相手をしたくない不愉快なお客もいるのが現実でしょう。明確な理由もなく単に"気に入らない"といった理由でお客をNG扱いにすることは店側も許してくれないでしょう。
その点、裏引きであれば、風俗嬢が気に入ったお客だけを選べるようになるのです。
親密で気の置けない関係であれば、ストレスが少ないうえに収入が増えるというメリットがあります。
風俗で裏引きをするデメリット
風俗の裏引きは、上記で挙げたメリットがある反面、安全面や金銭面で様々なデメリット(リスク)が伴います。以下でしっかりと確認しておきましょう。
- ①身バレする
- ②お客の行動がエスカレートする
- ③料金を踏み倒される
- ④店舗から懲罰を受ける
- ⑤お客の妻から不倫の慰謝料を請求されるおそれがある
①身バレする
裏引き行為を続けていくと、身バレのリスクが高くなります。
風俗店に勤務する場合には、他の仕事と掛け持ちで働いている方も多いと思います。そのため風俗店で勤務するにあたって本名・住所・勤務先などがバレないように気をつけているはずです。
しかし、裏引きでお客とラブホテルなどに滞在している際に、カバンや財布の中を密かに見られてしまい、個人情報や昼職の会社などを知られてしまうこともあります。
また、「風俗店が電話番号を聞いてくる理由と悪用の可能性を弁護士が解説」でも解説していますが、携帯番号から個人情報を調べることもできます。お客と待ち合わせ等について連絡を取るために携帯番号を教えてしまうと、氏名や住所などプライベートな情報を調べられるおそれもあります。
②お客の行動がエスカレートする
裏引き行為は、基本的には店舗のルールに反する違反行為です。そのため裏引き行為を行う風俗嬢とお客との間にはある種、共犯関係のような関係が生じてしまいます。
そうすると、これまでは店側の目を気にして行動していたお客が、一線を越えたことでどんどん要求してくるサービスが過剰になっていく可能性があるのです。具体的には店舗では禁止されている本番行為や過激なプレイまで求められかねません。
また、お客の異常行動がエスカレートした結果、ストーカーに転じたり、盗撮されたり、避妊具なしで挿入され妊娠させられたり性病をうつされたりするなどの危険性もあります。
さらにお客から、「性的画像をSNSで拡散させる」「親や学校(あるいは本職の勤務先)に風俗勤務をバラす」「裏引きしていることを店にチクる」などと脅されて関係の継続や交際を強要される、無料でプレイさせられるなどのケースもあります。
加えて、待ち合わせ場所に行ったら見知らぬ男性が一緒にいたというケースも報告されています。店を通した接客であれば複数の男性客による利用を拒否できますが、裏引きではその場で断ること自体が難しく、身体的な危険に直結しかねません。
③料金を踏み倒される
裏引き行為は、風俗嬢が受け取れる収入が店を通さないことで増えるということにメリットがあるものでした。
しかし、実際に約束したとおりにお客がお金を支払ってくれるかどうかは別問題です。
裏引きの場合には、店舗を介さずに直接お客と金銭のやり取りをすることになるため、未払いのリスクはすべて本人が負わなければなりません。
お客の中には値引き交渉をしてきたり、持ち合わせがないから後日払うといってきたりする人もいます。結果的に料金を支払ってもらえずに踏み倒されてしまうリスクも増えます。
裏引き行為という性質上、客観的に合意内容が分かるような契約書や請求書などは存在していないことがほとんどでしょうから、事後的に請求することも困難になります。
④店舗から懲罰を受ける
裏引き行為は、上述のように風俗店側には何らメリットがない行為です。
したがって、裏引き行為が店側に発覚した場合には、なんらかのペナルティが課される可能性が高いです。
具体的には減給、クビ(解雇)・契約終了になったり、裏引き行為をしたことが流布され今後風俗業界で働くことが難しくなってしまったりするリスクもあります。
また、裏引きが風俗店にバレると「罰金(あるいは示談金)を払わないなら実家に連絡する・訴える・警察に被害届を出す」などと脅されることもあります。
⑤お客の妻から不倫の慰謝料を請求されるおそれがある
お客が既婚者であることを知っていて裏引きで性交渉を行っていた場合には、風俗嬢はお客の妻から不倫(不貞行為)の慰謝料を請求されるおそれがあります。
裏引きとは若干状況が異なるものの、過去には、ソープ嬢が店を辞めた後に、店の利用料金と同額のお金をお客から受け取って性的関係を継続していた事案で、お客の妻からソープ嬢に対する慰謝料請求を認めた判例があります(東京地方裁判所平成27年7月27日判決)。
不倫の慰謝料の相場は50万円~300万円程度ですので、お金を稼ぐために裏引きしたはずが多額の慰謝料を支払わなくてはならないとなると本末転倒です。
裏引きは店にバレる?よくある発覚パターン
ここまでデメリットを読んでも、「バレなければ大丈夫」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、裏引きが店に発覚するケースは非常に多く、隠し通すのは想像以上に難しいものです。
よくある発覚パターンとしてまず挙げられるのが、お客の口からバレるケースです。裏引きに応じてくれたお客がずっと黙っていてくれるとは限りません。たとえば店で別の女の子の接客を受けた際に、裏引きの誘いを持ちかけるつもりで「前に外で会ってくれた子がいてさ」などと話してしまうことがあります。また、裏引きの関係がこじれた後に腹いせでスタッフに暴露したり、「あの子は外でも会える」といった情報をネットの掲示板やSNSに書き込まれてしまうこともあります。
同僚の女の子からバレるパターンもあります。待機中の雑談でつい裏引きの話をしてしまい、それを聞いた女の子がスタッフに報告するというのはよくある話です。仲が良いと思っていた相手でも、何かのきっかけで関係が悪化すれば、裏引きの事実が店に伝わる可能性は十分にあります。
さらに、売上データの変化で店側が気づくケースもあります。それまで定期的に指名していた常連客が急に来なくなったり、特定の女の子の出勤日だけ売上が不自然に落ちたりすれば、経験豊富なスタッフであれば「裏引きでは?」と勘づきます。
そして見落としがちなのが、業界内での情報の広がりです。風俗業界では店舗同士が互いに情報交換をしていることが珍しくありません。ある店で裏引きがバレると、その情報が同じエリアの他店舗にも伝わることがあります。こうなると、今の店をクビになっただけでは済まず、近隣の風俗店でも採用を断られるリスクが出てきます。
このように、裏引きは本人がどれだけ隠そうとしても、お客・同僚・店舗の売上管理・業界内の情報網といった複数のルートから発覚する可能性があります。「自分だけは大丈夫」という考えは非常に危険です。
裏引きでトラブルになった場合の対処法
裏引きが原因でトラブルに発展してしまった場合、焦って相手の要求をそのまま受け入れてしまうと、状況がさらに悪化しかねません。ここでは、裏引きで特に多い3つのトラブルについて、それぞれの対処法を解説します。
裏引きがバレて店から高額な罰金を請求された場合
裏引きが発覚すると、店側から数十万円~数百万円の「罰金」や「違約金」を請求されることがあります。「払わなければ実家に連絡する」「訴える」などと威圧的な態度を取られ、恐怖から言われるままに支払ってしまう方もいますが、請求された金額をそのまま支払う必要はない可能性があります。
風俗嬢は、形式上は個人事業主として業務委託契約を結んでいるのが一般的です。しかし、実際にはお店のシフトに従い、お店が決めたルールのもとで働いている場合がほとんどです。このようにお店がシフトやサービス内容を管理し、実質的に雇用と同じ働き方をしている場合には、契約書上の名目がどうであれ労働者に該当すると判断されることがあります。その場合、労働基準法第16条により、あらかじめ違約金や損害賠償額を定める契約は禁止されているため、罰金条項そのものが法的に無効となります。
また、仮に労働者に該当しない場合であっても、店が被った実害に見合わないほど高額な違約金は、民法第90条(公序良俗違反)を根拠に一部または全部が無効と判断される可能性があります。
いずれにせよ、店から罰金を請求されたら、その場で支払いに応じたり借用書にサインしたりせず、まずは弁護士に相談することが重要です。詳しい法的根拠については「風俗で働く人への罰金は違法?店から請求されたときの対処法」をご覧ください。
お客から脅迫・ストーカー行為を受けている場合
裏引きの関係が崩れたことをきっかけに、お客から「風俗で働いていることを職場にバラす」「性的な画像をネットにさらす」などと脅されるケースがあります。また、裏引きを通じて知られた住所や勤務先に押しかけてくるなど、ストーカー行為に発展する場合もあります。
こうした状況では、相手の要求に応じ続けても事態は収まらず、むしろエスカレートするのが典型的なパターンです。「裏引きをしていた自分にも非があるから…」と我慢する必要はありません。
脅迫やストーカー行為は、裏引きの事実とは関係なく、それ自体が犯罪です。脅迫罪(刑法第222条)やストーカー規制法違反として警察に相談できますし、弁護士から相手方に警告書を送付することで、多くのケースでは行為が止まります。
一人で抱え込んでいると被害が長期化しやすいため、早い段階で弁護士や警察に相談してください。ストーカー被害への具体的な対処法については「風俗嬢のストーカーになりやすい客の特徴と対策を弁護士が解説」で詳しく解説しています。
お客の妻から不倫の慰謝料を請求された場合
裏引きの相手が既婚者だった場合、お客の妻から不貞行為を理由に慰謝料を請求されることがあります。前述のとおり、不倫の慰謝料の相場は50万円~300万円程度ですが、請求額がそのまま支払うべき金額とは限りません。
慰謝料の金額は、不貞行為の期間や頻度、婚姻関係への影響度、相手の婚姻の事実を知っていたかどうかなど、さまざまな事情を考慮して決まります。たとえば、お客が既婚者であることを知らなかった場合や、お客の夫婦関係がすでに破綻していた場合には、慰謝料が大幅に減額されたり、そもそも支払い義務が認められないこともあります。
また、相手方の弁護士や本人から届いた請求書に記載された金額は、交渉の出発点として高めに設定されていることがほとんどです。慰謝料請求の内容証明が届いたら、自分で返答する前に弁護士に相談し、適正な金額かどうかの判断を仰ぐことをおすすめします。
なお、慰謝料に限らず裏引きのトラブル全般を弁護士に依頼した場合の費用や解決までの流れについては「風俗トラブルの対処法|相談から解決までの流れと弁護士費用」でご確認いただけます。
裏引きでトラブルを抱えている方へ
裏引きには収入面のメリットがある反面、身バレやストーカー被害、店からの高額な罰金請求、お客の妻からの慰謝料請求といった深刻なリスクが伴います。隠し通すことも難しく、さまざまなルートから発覚する可能性があることは記事で解説したとおりです。
こうしたトラブルに一人で対処しようとすると、相手の不当な要求をそのまま受け入れてしまったり、対応を誤って事態がさらに深刻化するおそれがあります。弁護士が間に入ることで、法的根拠に基づいて店やお客との交渉を代理し、罰金の減額や脅迫行為の停止など適切な解決を目指すことができます。
「店から数百万円の罰金を請求されている」「お客に脅されていて怖い」「慰謝料の請求書が届いた」など、裏引きに関するトラブルは誰にも相談しづらく、精神的な負担も大きい問題です。お一人で抱え込まず、早い段階で専門家にご相談ください。
当事務所は風俗トラブルの解決を専門分野として数多くの事件を取り扱っており、裏引きや店外デートに関するトラブルについても豊富な実績があります。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、お困りの方はお気軽に当事務所までご連絡ください。
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この記事の監修者
風俗トラブルの解決に豊富な実績を持つ。本番行為や盗撮を理由とした高額な罰金請求、風俗店からの脅迫・恐喝被害など、他人に相談しにくいトラブルに数多く対応。「家族や職場に絶対に知られたくない」という依頼者の事情を最優先に、迅速かつ穏便な解決を心がけている。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会 代表理事。

