
「大麻で捕まったけれど、不起訴になることはあるのか」「初犯で量も少ないのに、前科がついてしまうのか」。大麻の所持や使用で逮捕・捜査を受け、こうした不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
令和6年の統計では、2024年12月の法改正前の大麻取締法違反で起訴・不起訴の判断を受けた人のうち、半数超が不起訴処分となっています。不起訴には、証拠が足りない場合の嫌疑不十分や、初犯で所持量が少ない場合などに見込める起訴猶予(罪を認めていても、事情を考えて起訴を見送る処分)があります。いずれの場合も、刑事裁判は開かれず、前科(有罪判決を受けた経歴)もつきません。
もっとも、何もせずに待っていればよいわけではありません。逮捕されている場合、検察官が処分を決めるまでの期間は限られており、その間に、罪を認める場合は反省や再犯防止の取り組みを示すこと、身に覚えがない場合は事実と違う調書に署名しないことが重要になります。また、2024年12月12日からは大麻の使用も「使用罪」として処罰の対象となったため、使用の疑いだけで捜査を受けることもあります。
この記事では、薬物事件の刑事弁護に取り組む弁護士が、次の点について解説します。
- 大麻事件で不起訴になるのはなぜか
- 所持・使用で不起訴になりやすいケース
- 不起訴を目指すために今すべきこと
- 起訴された場合の刑罰と執行猶予の見通し
お読みいただくことで、ご自身やご家族のケースに不起訴の見込みがあるか、そして今から何をすべきかを整理できます。
なお、逮捕・捜査を受けてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。地域を問わずご相談を承っています。
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大麻事件で逮捕されても不起訴になるのはなぜ?
逮捕されても不起訴になることがあるのは、検察官が証拠と情状(本人や事件に関する事情)の両面から、起訴するかどうかを判断するためです。
大麻事件では、令和6年に半数を超える人が不起訴になりました。令和7年版犯罪白書によれば、令和6年の大麻取締法違反(白書の区分。使用罪の新設前)の起訴率(起訴と不起訴の合計に占める起訴の割合)は44.1%でした。起訴率が74.2%の覚醒剤取締法違反と比べると、大麻事件は起訴されずに終わる割合が高かったことが分かります。
不起訴とは、検察官が刑事事件を裁判にかけないと決める処分です。不起訴の主な理由には、次のようなものがあります(事件事務規程75条2項)。
- 嫌疑なし:犯人でないことや、犯罪を認定する証拠がないことが明らかな場合
- 嫌疑不十分:犯罪の成立を認定する証拠が足りない場合
- 起訴猶予:犯罪は認められるものの、事情を考えると裁判にかける必要がないと判断された場合
嫌疑なし・嫌疑不十分は証拠の面から、起訴猶予は情状の面から決まる処分です。所持の認識を否定している場合、自分が大麻を所持していたと裏付ける証拠がそろわなければ、嫌疑不十分による不起訴となります。
一方、罪を認めている場合でも、検察官は、本人の性格や年齢、置かれた境遇、罪の重さや情状、事件後の状況を考慮して起訴を見送ることができます(刑事訴訟法248条)。初犯で所持量が少なく、反省して再犯防止に取り組んでいれば、起訴猶予となることがあります。
不起訴が決まると、刑事裁判は開かれないため前科はつかず、身柄を拘束されていれば釈放されます。
大麻所持・使用で不起訴処分になりやすいケースは?
大麻の所持・使用の疑いで捜査を受けても、次のようなケースでは不起訴処分となる見込みがあります。ただし、初犯である、所持量が少ないといった事情に当てはまるだけで必ず不起訴になるわけではなく、検察官は複数の事情をあわせて判断します。
- ①初犯である場合
- ②所持量が少ない場合
- ③証拠不十分である場合
- ④共同所持の疑いをかけられたが、関与が認められなかった場合
①初犯である場合
初犯であれば、起訴猶予として不起訴になる可能性が高まります。薬物事件の前科(有罪判決を受けた経歴)や前歴(被疑者として捜査の対象になった経歴)がなければ、常習的に大麻を使っていたとはみられにくく、反省の態度や再犯防止の取り組みが評価されやすいためです。
ただし、初犯であることは不起訴を求めるうえでの出発点にすぎず、そこに反省の態度や再犯を防ぐ具体的な行動を示せるかどうかで、起訴猶予の見込みは変わってきます。
反対に、薬物事件の前科・前歴がある場合は、繰り返し使っていたと疑われ、起訴される見込みが大きくなります。
②所持量が少ない場合
所持していた大麻がごく少量で、自分で使うためのものだった場合も、悪質性が低いとみられ、不起訴になる見込みがあります。
もっとも、所持量について「何グラム以下なら不起訴」という基準は法令にありません。乾燥大麻で0.5グラム以下を少量の目安とする見方もありますが、あくまで目安にすぎず、量だけで処分が決まるわけでもありません。当事務所が扱った大麻事件でも、大麻の量がごくわずかだったことを、弁護士が初犯であることや反省の態度とあわせて検察官に伝えた結果、起訴猶予による不起訴となったケースがあります(後述の事例1)。
これに対し、量が多く、売るためだった(営利目的)と疑われる場合は、初犯でも起訴されやすくなります。
③証拠不十分である場合
捜査を尽くしても犯罪を裏付ける証拠が足りない(証拠不十分)と検察官が判断した場合は、嫌疑不十分として不起訴になります。たとえば、知人などの供述をきっかけに疑いをかけられ、家宅捜索を受けても大麻が見つからず、ほかに裏付けとなる証拠もない場合などです。
使用の疑いでは、尿検査の結果が重要な証拠になります。尿から大麻の成分が検出されなければ、使用したことの立証が難しくなり、不起訴となる見込みがあります。反対に陽性の結果が出た場合、2024年12月の法改正前は大麻を持っていなければ罪に問えませんでしたが、現在は大麻を持っていなくても使用の罪で起訴されることがあります。
④共同所持の疑いをかけられたが、関与が認められなかった場合
大麻の「所持」は、手に持っている場合に限らず、自宅や車の中など、自分が管理・処分できる状態に置いていることを指すと解されています。2人以上でこうした状態にあると、共同所持として全員が疑われることがあります。
しかし、同居人や同乗者が持っていた大麻について、自分はその大麻があることを知らなかった場合には、所持の罪は成立しません。罪を犯す意思のない行為は処罰されないためです(刑法38条1項)。このような場合は、嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴となる見込みがあります。
注意したいのは、人から預かった物でも、中身が大麻などの違法な薬物かもしれないと分かっていながら保管していれば所持にあたりうる点です。一緒に購入した、共同で管理していたといった事情があれば、共同所持として起訴されることもあります。
不起訴を目指すためにすべきこと
大麻事件で逮捕された場合、起訴・不起訴の判断は短い期間のうちに下されます。その間に検察官へ示せる材料を増やすため、本人と家族は次の3つに取り組むことが大切です(3つ目は罪を認めている場合の取り組みです)。
- ①早期に弁護士を依頼する
- ②取調べには弁護士の助言を受けて臨む
- ③反省を示し、再犯防止の環境を整える
①早期に弁護士を依頼する
大麻事件は、職務質問や所持品検査、家宅捜索などで発覚し、その場で現行犯逮捕されることもあります。逮捕後は、警察が48時間以内に事件を検察官に送り(送検)、検察官は24時間以内に勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するかを決めます(刑事訴訟法203条・205条)。勾留は原則10日間で、さらに最大10日間延長されることがあり(同法208条)、身柄を拘束されたまま起訴されるか、不起訴などで釈放されるかは、逮捕から最大23日のうちに決まります。
逮捕されずに捜査が進む大麻の在宅事件では、23日のような期間の制限はありません。ただ、処分が決まるまでに、検察官へ示す材料を整えておく必要があるのは同じです。
逮捕から勾留が決まるまでの間は、家族でも被疑者(本人)と面会できないことが多い一方、弁護士はこの段階から接見(面会)して取調べへの助言ができます。また弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを示して勾留しないよう働きかけ、勾留が決まった後も準抗告(裁判官の判断に対する不服申立て)で釈放を求められます(刑事訴訟法429条1項2号)。早く釈放されれば、学校や仕事への影響を抑えやすくなります。
早期に弁護士へ依頼する際にかかる費用の相場や選び方については「大麻で逮捕されたら弁護士へ|費用の相場と選び方のポイント」で解説しています。
②取調べには弁護士の助言を受けて臨む
取調べの手続きでは、言いたくないことを話さなくてよい権利(黙秘権)が保障されています(刑事訴訟法198条2項)。作成された供述調書(取調べで話した内容をまとめた書面)について、本人は読み聞かせを受けて誤りの訂正を求めることができ、署名押印を拒むこともできます(同条4項・5項)。
大麻が自分の物ではない、あるいは大麻だと知らなかったという場合に、事実と違う内容の調書に署名すると、不利な証拠として扱われるおそれがあります。反対に罪を認める場合は、入手の経緯などを正確に話し、反省の気持ちを伝えることが、起訴猶予とするかどうかの判断に影響します。どちらの方針で臨むべきかは事件によって異なるため、取調べを受ける前に弁護士の助言を受けておくことが重要です。
③反省を示し、再犯防止の環境を整える
起訴猶予による不起訴を目指すには、反省しているだけでなく、二度と大麻に手を出さない環境が整っていることを検察官に示す必要があります。具体的には、次のような取り組みです。
- 大麻の入手先や、一緒に使っていた仲間との連絡を断つ
- 依存の傾向があれば、専門の医療機関や相談機関につながる
- 家族が同居や見守りによって本人を監督すると約束する
家族の協力は、再犯のおそれが低いことを示す大きな材料になります。本人が一人で環境を変えるのは難しいため、家族が治療先を一緒に探したり、生活のリズムを整える手助けをしたりすることも大切です。
弁護士は、こうした取り組みや家族による監督の約束を弁護活動として意見書(検察官に処分についての意見を伝える書面)にまとめ、不起訴が相当であることを主張します。一人で抱え込まず、まずは弁護士に相談してください。
大麻事件で起訴されたらどうなる?刑罰と執行猶予の見通し
大麻事件は、不起訴にならず起訴されると、刑事裁判が開かれます。日本の刑事裁判で無罪となる人はごくわずかで、有罪判決が確定すれば前科がつきます。身柄を拘束されたまま起訴された場合は、保釈(保証金を納めて釈放してもらう制度)を請求して釈放を求められます(刑事訴訟法88条1項)。
所持・使用の刑罰と2024年12月の法改正
2024年12月12日、大麻に関する改正法(令和5年法律第84号)が施行され、大麻は麻向法(麻薬及び向精神薬取締法)上の「麻薬」として扱われることになりました。これにより大麻の所持や譲渡は麻向法で処罰され、使用も、医療上の例外を除いて新たに処罰の対象となりました(いわゆる使用罪)。なお、改正前の大麻取締法は、題名が「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改められ、栽培の規制を担っています。
現在の主な刑罰は次のとおりです。
| 行為 | 根拠となる条文 | 法定刑 | 営利目的の場合 |
| 所持・譲渡・譲受 | 麻向法66条 | 7年以下の拘禁刑 | 1年以上10年以下の拘禁刑。情状によっては、これに300万円以下の罰金が加わる |
| 使用 | 麻向法66条の2 | 7年以下の拘禁刑 | 1年以上10年以下の拘禁刑。情状によっては、これに300万円以下の罰金が加わる |
| 輸入・輸出・製造 | 麻向法65条 | 1年以上10年以下の拘禁刑 | 1年以上の有期拘禁刑。情状によっては、これに500万円以下の罰金が加わる |
| 栽培 | 大麻草の栽培の規制に関する法律24条 | 1年以上10年以下の拘禁刑 | 1年以上の有期拘禁刑。情状によっては、これに500万円以下の罰金が加わる |
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役と禁錮を一本化した刑罰です。
いずれの行為も、犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった場合(未遂)も処罰されます。また、どの行為も、罰金は拘禁刑に加えて科される形でしか定められていないため、罰金刑だけで終わることはありません。
2024年12月11日以前の行為には、改正前の大麻取締法の罰則が適用されます(改正法附則8条)。たとえば所持は5年以下の懲役です(旧大麻取締法24条の2第1項)。改正前の大麻取締法には、大麻を吸うなどの使用そのものを一般に処罰する規定がなかったため、2024年12月12日より前のこうした使用が罪に問われることはありません。
なお、大麻以外の薬物を含む麻向法の罰則や対象薬物については「麻薬及び向精神薬取締法違反の罰則を弁護士が解説」をご参照ください。
執行猶予はつく?実刑になりやすいケース
不起訴にならず起訴された後の大きな分かれ目は、執行猶予(刑の執行を一定期間見送り、その間に罪を犯さなければ刑を受けずに済む制度)がつくかどうかです。大麻事件で起訴されても、初犯で、自分で使うための所持にとどまる場合は、執行猶予がつく見込みが大きいといえます。令和7年版犯罪白書によると、令和6年に地方裁判所で、改正前の大麻取締法違反(使用罪の新設前)により有期の懲役を言い渡された人のうち、刑の全部の執行を猶予された人は84.2%で、実刑(刑務所に収容される判決。刑の一部だけ執行を猶予する一部執行猶予を含む)となった人は15.8%でした。
執行猶予は、3年以下の拘禁刑を言い渡す場合に、前に拘禁刑以上の刑を受けたことがない人などを対象として付けることができます(刑法25条1項)。警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」によると、令和7年の大麻事犯の初犯者率(検挙された人に占める初犯者の割合)は72.6%で、検挙される人の多くは初犯です。執行猶予を付けるかどうかは、裁判所が所持量や反省の態度に加え、家族の監督など再犯防止の環境も総合して判断します。
一方、次のような場合は実刑を言い渡されやすくなります。
- 営利目的で所持・譲渡していた場合
- 薬物事件の前科があり、繰り返し使っていたことがうかがえる場合
- 執行猶予の期間中に再び罪を犯した場合
なお、実刑を受けて刑の執行を終えた日から5年以内に拘禁刑以上の刑に処せられる場合は、法律上、刑の全部の執行猶予を付けることができません(刑法25条1項2号)。
大麻事件で不起訴になった事例
当事務所の弁護士に刑事弁護を依頼して、大麻所持事件で不起訴を獲得した事例を紹介します(プライバシー保護の観点から内容を一部加工しています)。
事例1:勾留5日目に釈放され、起訴猶予で不起訴
車を運転中に警察官から職務質問と所持品検査を受け、車内から大麻が見つかって、大麻所持の疑いで逮捕・勾留された事案です。逮捕直後にご両親から依頼を受けた弁護士がすぐに本人と接見し、取調べへの対応を助言しました。
そのうえで弁護士は、所持していた大麻が微量であること、初犯であること、本人が罪を認めて反省していることを検察官に伝え、入手経緯や入手先についても説明しました。家族が監督を誓約していることから再犯のおそれがないことも強調した結果、勾留5日目に釈放され、その後、起訴猶予による不起訴となりました。
事例2:所持の認識を否認し、嫌疑不十分で不起訴
自宅マンションで警察の捜索を受け、クローゼットの中の洋服ダンスから大麻を差し押さえられて、大麻所持の疑いで逮捕・勾留された事案です。逮捕直後にご両親から依頼を受けた弁護士が接見すると、本人は「差し押さえられた大麻は自分の物ではない」「自宅に大麻があるとは知らなかった」と話し、所持の認識を否認していました。
さらに詳しく話を聴くと、本人はかつて知人と同居していたことがあり、その知人から大麻を使用しているという話を聴いたことがあったため、大麻はその知人の物ではないかという疑念が浮かびました。弁護士は、本人が自白しないよう取調べの助言をするとともに、現場で警察官にした話の内容、大麻が発見された際の本人の反応、発見された場所などから本人の話には合理性があり、無罪であることを検察官に訴えました。その結果、勾留10日目に釈放され、嫌疑不十分による不起訴となりました。
弁護士の働きかけも含めた2つの事例の詳しい経過は「大麻所持で不起訴処分を獲得した事例」で紹介しています。
大麻所持・使用で不起訴を目指す方は弁護士にご相談ください
大麻事件は、証拠が足りなければ嫌疑不十分として、罪を認めていても初犯・少量で反省と再犯防止の環境が整っていれば起訴猶予として、不起訴になる道があります。
ただ、逮捕されている場合は最大23日のうちに処分の方向が決まり、その間に取調べへの対応や早期釈放の働きかけ、検察官に示す材料の準備を進めなければなりません。弁護士が早く関わるほど、打てる手は多くなります。
「前科がついたら将来はどうなるのか」と、ご本人もご家族も大きな不安を抱えていることと思います。すでに逮捕されている場合や、警察から呼び出しを受けている場合は、一人で判断せずにご相談ください。
当事務所は、大麻所持を含む薬物事件で不起訴を獲得してきた実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。学校や職場に影響が及ばないよう配慮しながら対応いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

