風俗店・デリヘルの罰金は払わなくていい?本番など4ケースと対処法

デリヘルなどの風俗店から、本番や盗撮といった規約違反を理由に「罰金100万円」「迷惑料300万円」と請求され、本当に払わなければならないのかと不安を抱えていませんか。

まず結論からお伝えします。風俗店やデリヘルが「罰金」と呼んで請求してくる金銭に、法律上の支払義務はありません

店がそう呼ぶものは、刑事罰としての罰金とは異なり、法的な根拠がないからです。脅されてその場で支払いやサインを迫られていても、応じる必要はありません。

この記事では、風俗トラブルの解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 風俗店の罰金に支払義務がない理由
  • 罰金を請求される4つのケースと責任
  • 請求されたときにやってはいけないこと
  • 弁護士に依頼するメリットと解決の流れ

お読みいただくことで、店に払う必要のないお金と、相手の女性に負う責任とを切り分けて判断できます。

なお、店から罰金を求められてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。

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風俗店から請求された罰金に、法的な支払義務はない

冒頭で述べたとおり、風俗店やデリヘルから「罰金」を請求されても、それを支払う法的義務は原則として存在しません。

店側が支払いを求めるときに持ち出す根拠は、実務上「罰金」「違約金」「損害賠償」の3つに整理できます。以下では、それぞれの言い分がなぜ通らないのかを順に説明します。

「罰金」は国が科す刑事罰で、店が科せるものではない

そもそも罰金とは、法律上は刑事罰の一種です。刑法9条は、刑の種類について次のように定めています。

死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。刑法9条

つまり、罰金とは法律的には刑事罰であって、民間の一風俗店がお客に刑事罰を科すことはできません。罰金を科せるのは、刑事裁判を経た裁判所だけです。

よく、駐車場の看板に「無断駐車した場合は罰金○○万円頂きます」と書いてあるのと同じで何ら意味をもたないものです。店の利用規約や店内の張り紙に「罰金」と書いてあっても、それは店が勝手に決めたルールにすぎず、法律上の罰金とは無関係です。

実際、法律が定める罰金は、風俗の分野では次のように「営業する側」に向けられています。

  • 学校や図書館などの周囲200メートルの区域で店舗型の性風俗店を営んだ場合:5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方(風営法49条5号・28条1項)
  • 売春の周旋(客と売春をする人を引き合わせること)をした場合:2年以下の拘禁刑または5万円以下の罰金(売春防止法6条1項)

いずれも処罰の対象は店や営業者であり、利用客ではありません。なお、売春防止法3条は「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」と定めており、客も禁止の対象に含まれますが、この条文には罰則が置かれていません。客が売春防止法によって罰金を科されることは、原則としてないということです。

このように、法律上の罰金は国が営業者側に科すものであって、店が客から取り立てる仕組みはどこにも用意されていません。

「違約金だ」と言われても、高額なら無効になる

「罰金という書き方だが、それは違約金を意味している」と言われた場合はどうでしょうか。違約金とは、債務不履行があった場合に、債務者が債権者に支払うとあらかじめ約束した金銭のことです。民法420条3項は「違約金は、賠償額の予定と推定する」と定めており、有効な違約金の定めがあれば、店側は実際の損害額を立証しなくても請求できるのが原則です。

本番行為をすることは、風俗店の利用規約を守ってサービスを受けるといった債務の本旨に従った履行をしなかったことになるため、支払う必要があるようにも思えます。

しかし、「本番をしたら罰金100万円」といった利用規約は、暴利行為として民法90条の公序良俗に反し、無効となる可能性が高いといえます。このような高額な罰金を定める契約条項は、法的拘束力を持たないと考えられます。暴利行為とは、相手の窮迫・軽率・無経験に乗じて著しく過当な利益を獲得することを目的とする法律行為であり、公序良俗に反して無効とされます(大審院昭和9年5月1日判決・民集13巻875頁)。

風俗店から罰金を請求される場面は、まさに「店にとどめ置かれ、周囲に知られたくない」という客の弱みにつけ込む形で行われることが多く、この暴利行為にあたると評価される余地が大きいといえます。

なお、かつての民法420条1項但書には「裁判所は、その額を増減することができない」という定めがありましたが、この但書は2020年4月施行の改正民法で削除されています。したがって、仮に違約金の定めが全部無効とまではいえない場合でも、裁判所が金額を見直す余地が残されています。

「店に損害が出た」と言われても、店は被害者ではない

「店に損害が生じたので賠償金として罰金を払ってもらう」と言われた場合はどうでしょうか。

たしかに、本番行為を強要されたショックで風俗嬢がお店を辞めてしまったような場合には売上減少に繋がることもあるため、風俗店には実損害が生じます。

しかし、風俗トラブルにおける本番行為や盗撮の被害者はあくまで風俗嬢・キャスト個人であり、風俗店は被害者ではありません。また、裁判例においても、経営者には従業員が突然欠勤するなどの事態に備えて対策を講じておく義務があるとされており、顧客に対して損害賠償を求めることは認められないとされた例があります(東京高等裁判所昭和54年4月17日判決)。したがって、お客は風俗店に対し、損害賠償としての罰金の支払義務も原則として負いません

もっとも、店側が現実に被った損害を具体的に主張・立証できた場合にまで、賠償義務が生じる余地が完全にないわけではありません。ここで否定されるのは、あくまで店が一方的に決めた「罰金○○万円」という言い値の請求です。金額の根拠を示さないまま提示される定額の罰金に、応じる義務はないと考えてください。

風俗店が罰金を請求してくる4つのケース

風俗店が客に罰金を請求してくる場面は、おおむね次の4つのケースに分かれます。ケースによって、店に対する支払義務の有無と、相手の女性に対する賠償義務の有無は異なります。

請求されるケース 店への罰金の支払義務 相手の女性への賠償義務
本番行為をした 原則としてなし 生じることがある
盗撮・録音が発覚した 原則としてなし 生じることがある
サービス外の行為を求めた 原則としてなし 行為の態様によっては生じる
店外デート・連絡先交換が発覚した 原則としてなし 原則としてなし

表のとおり、どのケースでも、店に対して罰金を支払う義務は原則としてありません。一方で、相手の女性個人に対する責任は、ケースによって残ります。この2つを混同すると、払う必要のない相手に払い、払うべき相手に払わないという事態が起こります。以下、ケースごとに見ていきます。

本番行為をしたケース

風俗店が罰金を請求してくる場面として、まず挙げられるのが本番行為(性交渉)です。ソープランド以外の風俗店では、本番行為は利用規約で禁止されており、「本番をしたら罰金100万円」といった条項が置かれていることが少なくありません。

しかし、すでに説明したとおり、この罰金条項は暴利行為として無効となる可能性が高く、店に支払う義務は原則としてありません。金額が高額であるほど、無効と評価されやすくなります。本番行為が法的にどのような扱いを受けるのかについては風俗・デリヘルの本番行為は違法?犯罪と本番トラブルの対処法で詳しく解説しています。

注意すべきなのは、本番行為が「店との契約違反」であると同時に、相手の女性に対する不法行為になりうるという点です。女性の同意がないまま行為に至っていれば、不同意性交等罪という犯罪の成立が問題になることもあります。この場合の責任は、店ではなく女性本人に対して負うものであり、店に罰金を払っても解決しません。

なお、店側が「本番をしたのだから警察に通報する」と言ってくることがあります。もっとも、警察への通報や告発は誰でもできる一方(刑事訴訟法239条1項)、被害者として告訴できるのは女性本人に限られます(同法230条)。店が通報をちらつかせて金銭を要求する行為は、後述するとおり恐喝罪にあたる可能性があります。

関連記事:風俗・デリヘルでの本番強要は逮捕される?要件と対処法

盗撮・録音が発覚したケース

プレイ中の様子をスマートフォンや小型カメラで撮影・録音していたことが発覚すると、「迷惑料」「罰金」という名目で金銭を求められます。請求額は100万円から300万円といった高額になることが多く、その場で示談書を書かされることもあります。

このケースでも、店に対して罰金を支払う法的義務は原則としてありません。撮影されたことによる被害を受けたのは、映っている女性本人だからです。

ただし、盗撮行為自体は性的姿態等撮影罪などの犯罪にあたる可能性があり、女性本人に対する慰謝料の支払義務が生じることはあります。盗撮が発覚した場合の逮捕の可能性や刑事手続の流れについては風俗・デリヘル盗撮がバレたら?逮捕と対処法を弁護士が解説をご覧ください。

サービス外の行為を求めたケース

店が定めるサービス範囲を超えた行為(過度な言動、乱暴な扱い、指定外のプレイの要求など)を理由に、「キャストが出勤できなくなった」「ペナルティだ」と言われて罰金を求められることもあります。

この場合も、店の利用規約に基づく罰金の請求に応じる義務は原則としてありません。もっとも、行為の態様が悪質で、女性が怪我をした、精神的なショックで通院が必要になったといった具体的な被害が生じている場合は、女性本人に対する損害賠償責任が生じることがあります。

「サービス外の行為をした」という店側の主張自体が事実と異なるケースもあります。身に覚えのない請求を受けた場合、その場で認めてしまうと後から争いにくくなります。事実と違う点についてまで、認めたと受け取られる言動をしないことが大切です。

店外デート・連絡先交換が発覚したケース

キャストと個人的に連絡先をやり取りしたり、店を通さずに会ったりしたことが発覚し、「裏引き」「店外」を理由に罰金を請求されるケースです。この場合、女性側にも店から罰金・ペナルティが請求されていることがあります。

しかし、連絡先の交換や店外で会うこと自体は、客にとって犯罪でも不法行為でもありません。店と客の間に、そのような行為を禁止する有効な契約が成立していると評価できる場面も限られます。したがって、店に対する支払義務も、女性に対する賠償義務も、原則として発生しません。

このケースは、店が「規約違反」を口実に金銭を得ようとする性質が特に強く、支払いに応じるとさらに請求が続くおそれがあります。店外デートをめぐるリスクの全体像については風俗嬢が店外デートで負う5つのリスク【お客もリスク有り】で解説しています。

店に払う義務はなくても、相手の女性への賠償義務は残ることがある

上記の通り、風俗店に対して罰金を支払う必要はありません。ただし、合意なき本番行為は不法行為(民法709条)にあたります。相手の女性に損害が発生した場合は、男性客は賠償責任を負うことはあります。

ここを取り違えて「店に払わなくていいのなら、誰にも払わなくていい」と考えてしまうと、後から女性本人に被害届を出され、刑事事件に発展することがあります。支払うべき相手は店ではなく、被害を受けた女性本人です

賠償の内容は慰謝料・治療費・アフターピル代など

賠償責任の内容としては、例えば以下のようなものがあります。

  • 同意のない本番行為により風俗嬢が受けた精神的苦痛に対する慰謝料
  • 本番行為で風俗嬢に怪我させた場合の治療費や意図せず中に射精した場合のアフターピルの処方代など

どの賠償責任が生じるか、またその金額がどの程度になるかは、個別の事情によって異なります。

金額は、行為の態様、相手が受けた被害の程度、示談の時期などによって大きく変わります。本番行為や盗撮に関する示談金の相場については風俗・デリヘルの示談金相場は?盗撮・本番の示談の流れと注意点で解説していますので、金額の目安を知りたい方はそちらをご参照ください。

なお、店が「女性への慰謝料も含めてまとめて払え」と言ってくることがありますが、店が女性の代理人であるとは限りません。店に支払った金銭が女性に渡っていなければ、後から女性本人から改めて請求を受ける可能性があります。

賠償しないまま放置すると刑事事件になる

場合によっては、本番行為をしたことで不同意性交等罪(旧強姦罪・強制性交等罪)が成立することがあります。

店への罰金は不要でも、風俗嬢に慰謝料等の賠償をせずに放置しておくと、警察に被害届を出され逮捕される可能性もあります。ただちに逮捕に至るケースばかりではありませんが、放置すれば刑事事件へと発展するリスクがある点は、十分に認識しておく必要があります。

逮捕されれば、起訴・不起訴の刑事処分が決定するまで最大で23日間も身柄拘束され、家族や勤務先に隠し通せる状況ではなくなります。また、起訴されれば刑事裁判にかけられ、有罪となれば前科もつきますし、就業規則にもとづき会社を解雇されるリスクもあります。

このような事態を避けるためにも、本番行為をしてしまったらできるだけ早急に弁護士に相談し、賠償責任がある場合には弁護士に風俗嬢との示談交渉をお願いすべきでしょう(後述します)。被害届を出される前に対応できるかどうかで、その後の見通しは大きく変わります。被害届をめぐる対応についてはデリヘルで被害届を回避する方法は?取り下げてもらう方法も解説もあわせてご確認ください。

罰金を請求されたときにやってはいけない4つのこと

罰金を請求された直後の対応を誤ると、支払義務がないはずの金銭を払わされたり、後から争えなくなったりします。次の4つは避けてください。

  • その場で罰金を支払わない
  • 示談書・念書にサインしない
  • 身分証や名刺を渡さない
  • 請求を無視して放置しない

その場で罰金を支払わない

トラブルに乗じて金銭を巻き上げる目的で罰金要求をしてくる店も少なからずあります。こうした事例はデリヘルトラブルでよくある事例と逮捕の可能性|3つの対処法でも詳しく解説しています。

この手の店は、「警察にレイプされたと通報する。人生詰んじゃうよ」「訴訟を起こす」「家族や勤務先に知れることになるよ」といった常套句で脅し、罰金を要求してきます。

しかしここで、「罰金さえ払えば(払う約束をすれば)本番行為について責任追及しない」と風俗店から甘い言葉をかけられても、その場で罰金を支払う約束に絶対に応じてはいけません

「内密に解決できるなら高い勉強代だと思って払おう」と店から要求された罰金を支払ってしまう人がいますが、脅して金銭要求してきている時点でまっとうな店ではありません。健全に運営されている店であれば、不当な高額請求や脅し文句を用いず、出入り禁止程度の対応に留めることが多いと考えられるからです。

風俗店の脅しに屈して罰金を支払ってしまえば、カモ扱いされていつまでもたかられる羽目になりますので要注意です。書面を交わしてもそれを反故にされ、幾度となく金銭を毟り取られてから法律事務所に駆け込む人もいます。

その場では「金額の根拠がわからないので、持ち帰って確認します」とだけ伝え、支払いも約束もしないことが最も確実な対応です。

示談書・念書にサインしない

店は、罰金を支払うと約束する書面(示談書・念書・誓約書等の名目)を書くよう要求してきます。いったん署名してしまうと、店側は「本人が自分の意思で約束した」と主張してくるため、争いが長引きます。

もっとも、脅されて書かされた書面であれば、後から取り消せる可能性があります。民法96条1項は「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」と定めており、店にとどめ置かれた状態で、通報や職場への連絡をほのめかされながら署名した書面は、この強迫による意思表示にあたりうるからです。

ただし、取り消すためには、どのような状況で書かされたのかを具体的に説明できる必要があります。すでに罰金の支払いを約束する書面にサインしてしまった場合でも諦めず、その場のやり取りの記録(日時、言われた内容、同席者、録音があれば録音)をできるだけ早く整理しておいてください。

身分証や名刺を渡さない

風俗店は、会社の名刺を取り上げたり保険証や免許証のコピーをとり、お客が逃げられない状況を作ってから罰金の支払いを迫ってきます。勤務先や自宅がわかれば、その後の取り立てで「会社に連絡する」という圧力をかけられるためです。

身分証の提示や名刺の交付に応じる法的義務はありません。撮影されそうになった場合も、応じる必要はないと考えてください。

すでに渡してしまった場合は、それを理由に支払いを続ける必要はありません。勤務先や家族への連絡をほのめかす言動があれば、それ自体が後述する恐喝の証拠になります。やり取りは可能な限り記録に残しておきましょう。

請求を無視して放置しない

支払義務がないからといって、店からの連絡を一切無視してしまうのも、それはそれで危険です。店側が請求を続けるうちにエスカレートし、自宅や勤務先に直接連絡してくることがあるためです。

風俗店が、脅迫や暴行を用いて罰金を要求してきた場合には、恐喝罪や強盗罪が成立することもあります。このようなケースでは、お客が警察に被害届や告訴状を提出することで、事件に関係した従業員を逮捕してもらえる可能性もあります。

もっとも、警察に駆け込むことで自分も不同意性交等罪の容疑で逮捕されるのではと躊躇される方も多いはずです。そのため、ご自身のケースで逮捕の可能性があるのかどうか、まずは弁護士に相談したうえで、警察に被害申告をするかどうかを決める必要があるでしょう。

風俗店からの脅迫・恐喝行為への具体的な対処法については風俗・デリヘルの恐喝・脅迫|本番・盗撮などケース別の対処法でも詳しく解説しています。

支払わない、しかし放置もしない。この2つを両立させる最も確実な方法が、弁護士を窓口にして店との連絡を引き取ってもらうことです。当事務所では、地域を問わず無料相談を承っています。

裁判所は風俗店の罰金請求をどう判断したか

風俗店の罰金請求が実際に裁判で争われ、店側が負けた例があります。東京地方裁判所平成29年2月28日判決(平成27年(ワ)第36880号)です。

事案は、店舗型風俗店で客がジャケットに隠し持っていた別の携帯電話で盗撮し、店に発覚したというものです。店の入り口には「盗撮・盗聴は一切禁止です。発見時には迷惑料が発生します」と掲示されていましたが、金額は書かれていませんでした。この店は「罰金」ではなく「迷惑料」という名目を使っていますが、禁止行為をした客に店が独自に金銭を請求するという点で、本記事で扱っている罰金とまったく同じものです。店は迷惑料・慰謝料として100万円を請求し、翌日までに20万円、その10日後に残りの80万円を支払うという示談書に署名押印させました。客は翌日に20万円を現金で支払いましたが、その後に弁護士へ相談して残りの80万円の支払いを拒んだため、店が80万円と遅延損害金を求めて提訴しました。

裁判所は、店の請求を棄却しただけでなく、店が既に受け取っていた20万円を客に返すよう命じました。店の代表者が、容易に外へ出られないスペースに客をとどめ、何度も謝罪する客に対して「金で解決するほかない」と少なくとも20分ほど執拗に100万円を要求し、「払わないなら家に帰さない」と述べて携帯電話などの所持品も返さなかったため、客は「このままでは帰れない」という恐怖心から示談書を書かざるを得なかった、というのが理由です。こうした状況で書かされた示談は民法96条1項の強迫にあたるとして取り消され、示談が初めからなかったことになる以上、受け取った20万円も法律上の原因のない利得として返還義務があると判断されました。

この判決から読み取れるのは、①店に囲まれた状況で書かされた書面は、署名したという一点をもって有効とは限らないこと、②店が「迷惑料」「罰金」と名付けても、裁判所は名目ではなく実質を見て判断すること、の2点です。

一方で、この判決を「サインしても必ず取り消せる」と読むのは正確ではありません。強迫による取消しが認められるかどうかは事案ごとに異なり、どのような状況で署名させられたのかを具体的に示せるかどうかが分かれ目になります。また、この裁判では入り口の掲示に具体的な金額が書かれていなかったため、店と客の間に損害賠償の予定(民法420条)の合意があったとはいえないと判断されました。金額まで掲示されていれば、店側はその定めを根拠に請求してくる可能性があります。もっとも、裁判所は金額が掲示されていた場合に請求が認められるかまでは判断していませんし、「盗撮したら100万円」のような高額の定めは、前述のとおり暴利行為として公序良俗に反し無効と主張できる余地が大きいものです。

逆に、長時間その場にとどめ置いて署名を迫る店側の行為には、監禁罪や強要罪、恐喝罪が成立する可能性もあります。書面を書いてしまった後でも争える余地は残されていますので、あきらめる前に一度ご相談ください。

罰金請求を弁護士に依頼するメリット

風俗店からの罰金請求について交渉を自分だけで進めるのは、精神的な負担が大きく、うまくいかないことも少なくありません。弁護士に依頼した場合、次の4つのメリットがあります。

  • 支払義務がないことを法的に主張できる
  • 家族や勤務先に知られるリスクを抑えられる
  • 相手の女性との示談交渉まで任せられる
  • 脅迫・恐喝には刑事告訴で対抗できる

支払義務がないことを法的に主張できる

弁護士には代理交渉権がありますので、依頼者に代わって、罰金の支払い義務がないことを法律的に論理だてて店に説明することができます。

「払いたくない」という感情的な拒否と、「この請求には法的根拠がない」という法律構成に基づく拒否とでは、店側の受け止め方がまったく違います。民事と刑事の双方で責任を追及されれば店側も困りますので、弁護士との交渉に応じざるを得なくなります

すでに罰金の書面にサインしてしまった場合も、その状況によっては強迫による取消しを主張できる可能性がありますので、弁護士が見通しを立てたうえで対応します。

家族や勤務先に知られるリスクを抑えられる

弁護士が受任通知を送って窓口になると、店が依頼者本人や家族・勤務先へ直接連絡してくる事態は事実上抑えられ、風俗トラブルの事実を周囲に知られるリスクを大きく減らせます。

風俗店からの罰金請求では、金額そのものだけでなく「周囲に知られること」への不安も大きな負担になります。弁護士が窓口になれば、店からの電話やメッセージを弁護士が引き取ることで、日常生活への影響を抑えられます

相手の女性との示談交渉まで任せられる

弁護士に依頼することで、風俗店からのしつこい罰金請求をストップさせるだけでなく、風俗嬢との示談交渉も一任することができます。その場合も、妥当な金額で不備のない示談が結べるよう、弁護士が交渉してくれます。

具体的な示談金の水準は、行為の態様や示談の時期によって大きく異なります。

風俗嬢から警察に被害届を出される前に示談を成立させれば逮捕を回避できる可能性は高くなりますので、いかに早急に示談交渉をスタートさせるのかが鍵となります。また、風俗トラブルの示談交渉に長けた弁護士を選ぶことも、早期解決につながります。

脅迫・恐喝には刑事告訴で対抗できる

罰金の請求にあたって店側に脅迫的な言動があったのであれば、弁護士による刑事告訴を盾に有利な交渉が可能です。

「払わなければ会社に連絡する」「警察に通報する」といった発言は、その内容と状況によっては恐喝罪にあたります。弁護士が代理人としてこの点を指摘するだけで、店側が請求を取り下げることも珍しくありません。

ご相談から解決までの流れは、①無料相談で事実関係とご希望をうかがう、②ご依頼後ただちに店へ受任通知を送り、連絡窓口を弁護士に切り替える、③店との交渉と、必要に応じて女性本人との示談交渉を進める、という順に進みます。弁護士に依頼した場合の費用や解決までの流れについては「風俗トラブルの対処法|相談から解決までの流れと弁護士費用」もあわせてご確認ください。

風俗店の罰金請求でお困りの方へ

店が一方的に決めた罰金に、応じなければならない理由はありません。責任を負う相手がいるとすれば、それは店ではなく、被害を受けた女性本人です。

とはいえ、この切り分けをご本人が店に説明し、納得させるのは容易ではありません。弁護士が代理人として入れば、請求のうち法的根拠のある部分とない部分を切り分け、再請求を封じる形で決着させることができます。ご本人が店と直接やり取りする場面もなくなります。

「払わなければ警察に通報する」「職場にバラす」と告げられている状況は、金額そのもの以上に精神的な負担が大きくなります。すでに念書にサインしてしまった方、一度支払ってしまった方も、そこで終わりではありません。取り消しや返還を主張できる余地は残っています。

当事務所は、風俗店からの罰金請求を数多く取り扱ってきました。ご家族や勤務先に影響が及ばないよう配慮しながら、周囲に知られることなく収束させることを最優先に対応いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

風俗トラブルの解決に豊富な実績を持つ。本番行為や盗撮を理由とした高額な罰金請求、風俗店からの脅迫・恐喝被害など、他人に相談しにくいトラブルに数多く対応。「家族や職場に絶対に知られたくない」という依頼者の事情を最優先に、迅速かつ穏便な解決を心がけている。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会 代表理事。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
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