銀行に硬貨の預け入れをすると、一定の枚数以上の取り扱いに手数料がかかるため、自宅に貯めている小銭を減らすために硬貨だけで支払いをしたいと考える方も少なくありません。
しかしながら、大量の硬貨で買い物をしようとすると会計時に受け取りを拒否されることがあります。この点、
このように考える方もいることでしょう。
また、「会計で硬貨を20枚以上出すと会計業務を停滞させたとして威力業務妨害になるのでは?」といった声を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、業務妨害に強い弁護士がこれらの疑問を解消していきます。
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硬貨20枚までの法的根拠とその理由
通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の7条には次の規定が設けられています。
(法貨としての通用限度)
第七条 貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律 | e-Gov法令検索
同法5条1項によると、「貨幣」とは「五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円」の6種類とされています。「法貨として通用する」とは、法律で認められた通貨として通用します、という意味です。
したがって、たとえば1万円の商品を500円玉20枚を使って購入することはできますが、100円玉を100枚使って購入することはできないということになります。
一度の買い物で多量の硬貨を使われた場合、店側がその計算や管理・保管に手間がかかってしまうため、こうした事態を避けるために一度に使える硬貨の数に制限がもうけられています。
なお、日本銀行法46条2項には、日本銀行が発行する銀行券(一万円、五千円、二千円、千円)は数の制限なく使用できる旨が定められています。
(日本銀行券の発行)
第四十六条 (省略)
2 前項の規定により日本銀行が発行する銀行券(以下「日本銀行券」という。)は、法貨として無制限に通用する。日本銀行法 | e-Gov法令検索
同一硬貨が20枚以上だと威力業務妨害になる?
威力業務妨害罪の「威力」とは、たとえば、暴行を振るう、大声をあげる、店に牛糞をまき散らすなど、人の自由意思を制圧するに足りる勢力を示す行為をいいます。
したがって、単に会計時に同一硬貨を20枚以上出すだけであれば、その行為がこの「威力」にあたると考えることは難しく、よって威力業務妨害で問われることはないものと考えられます。
もっとも、レジの店員に硬貨の受け取りを拒否されたことに腹を立てて怒鳴り散らすなどの行為をすれば威力業務妨害に問われる可能性はあるでしょう。
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