
匿名で浮気を会社にばらされたとき、多くの方が最初に抱くのは「誰が送ったのか」「このままクビになるのではないか」という二つの不安ではないでしょうか。
結論からお伝えすると、私生活上の浮気だけを理由に解雇することは、法律上の制約から原則として認められません。また、送り主を民事の手続きだけで突き止めるのは容易ではなく、特定の可能性が出てくるのは警察が動いた場合です。
そしてもう一つ。浮気の事実そのものとは別に、それを職場へ広めた行為の違法性が問われる場合があります。伝えた範囲や方法によっては、送り主の側が責任を負います。ばらされた側は、一方的に責められるだけの立場ではありません。
この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。
- 匿名でばらされたと分かった直後の動き方
- 浮気を理由に解雇されることはあるのか
- 匿名で送ってきた相手を特定できるのか
- ばらした相手に責任を追及する方法
- 慰謝料を請求されたときの考え方
お読みいただくことで、いま手元にある材料のうち何を残すべきか、そして会社と相手方それぞれにどう対応すべきかを整理できます。
なお、会社への説明の進め方や、これ以上広めないための対応をご検討中の方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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【相談内容】匿名で会社に浮気をばらされました…誰がやったか特定できますか?
※本記事の相談内容は、よくあるご相談をもとにした設例です。
私(30代・会社員)は、半年ほど前から交際していた相手に配偶者がいることを後から知り、関係を解消しました。
ところが先日、会社の人事部宛に、差出人の記載がない封書が届いたそうです。中には、私と相手のやり取りをプリントアウトしたものと、二人で写っている写真が入っていました。匿名で浮気を会社にばらされた形です。
その日のうちに上司から会議室に呼ばれ、「こういうものが届いているが事実か」と事情を聞かれました。動揺してうまく説明できず、その場は「後日また話す」ということで終わりましたが、それ以来、周囲の視線が気になって仕事が手につきません。
封筒には消印しか手がかりがなく、誰が送ったのかは分かりません。相手の配偶者ではないかと思っていますが、確証はありません。相手本人が別れ話のもつれから送った可能性も考えられます。
今後、会社から解雇や処分を言い渡されることはあるのでしょうか。また、送り主を特定して、責任を追及することはできるのでしょうか。
会社にも家族にもこれ以上広まってほしくありません。どう動けばよいのか、弁護士の先生のご意見を伺いたいです。
【弁護士の見解】匿名で浮気を会社にばらされたときにまずやるべきこと
会社にばらされた直後は、送り主への怒りや、職場での立場への焦りから、行動を誤りやすい場面です。
この段階でやるべきことは、送り主を突き止めることではなく、後から動けるように材料を残しておくことと、社内での事態の広がりを止めることの二つです。順に説明します。
会社に届いた文書やメールをそのまま保全する
最初にすべきなのは、ばらされた事実そのものを裏づける証拠を残すことです。
具体的には、会社に届いた封書・はがき・メールの本文、人事部や上司から受け取った通知、面談で示された資料などが対象になります。会社が原本を保管している場合は、写しの交付を求めてかまいません。断られたときは、その場で見た内容と、断られたという事実を、その日のうちにメモに残しておいてください。面談の日時、示された書類の内容、担当者の発言も同じように記録します。
保全のポイントは、内容だけでなく、いつ・誰宛に・どの経路で届いたのかが分かる形で残すことです。封筒であれば消印と宛名、メールであれば送信日時と宛先、社内チャットであれば投稿日時と閲覧範囲が、後の判断を左右します。
自分に不利に見える資料であっても、削除したり処分したりしてはいけません。会社への説明でも、相手方との交渉でも、匿名でばらされた経緯を示す資料が欠けていると、事実関係を説明しにくくなります。
社内で送り主を探したり、反論を広めたりしない
匿名で会社にばらされたとき、誰が送ったのかを同僚に聞いて回る行為は、避けてください。
聞き込み自体が新たな噂の火種になりますし、会社からは「自分から職場を巻き込んでいる」と受け取られかねません。まだ知らなかった同僚にまで事情が伝わり、ばらされた範囲を自分で広げてしまうことにもなります。
社内チャットやメールで長文の弁明を送ることも、同じ理由で避けたほうがよいでしょう。私生活の詳細を自分から書けば書くほど、社内に残る記録が増えていきます。
送り主に心当たりがあっても、その場で連絡を取って問い詰めるのは得策ではありません。感情的なやり取りは、こちらの発言が脅迫や名誉毀損と受け取られる余地を作ります。相手から慰謝料を求められている場合には、その場のやり取りが後の交渉で不利に働くこともあります。
会社から事情を聞かれたら、業務への影響を中心に説明する
匿名でばらされた側として会社に説明するとき、会社側が確認したいのは、私生活の細部ではなく、業務や職場の秩序に影響が出ているかどうかです。
そのため説明では、勤務時間中に私的なやり取りをしていないこと、社用のパソコンや携帯電話を使っていないこと、取引先や同じ部署の同僚との関係で業務に支障が生じていないことを、事実に沿って整理して伝えます。聞かれていない交際の経緯まで話す必要はありません。
最初の面談で動揺してうまく答えられなかったとしても、そこで決まってしまうわけではありません。次に呼ばれるまでに、社用の端末やシステムを使っていたかなど、会社が確認しうる範囲を自分で洗い出しておき、匿名でばらされた事実そのものではなく、業務への影響という軸で説明を組み立て直します。その場で即答を求められても、確認して回答したい旨を伝えて持ち帰ってかまいません。
その場で退職届や合意書に署名を求められても、応じる義務はありません。自宅待機、異動、懲戒処分、退職勧奨(会社が退職を勧めること。断ったこと自体は解雇の理由になりません)といった話が出た場合は、根拠となる就業規則の条項と理由を書面で示してもらい、内容を持ち帰って確認してください。
面談の日時、聞かれた内容、自分が答えた内容も記録に残しておきましょう。後で会社が取った措置の当否を検討するとき、この記録が判断材料になります。
送り主が匿名かどうかにかかわらず、知られた後の動き方は共通する部分があります。基本的な流れは「浮気(不倫)を会社にバラされた時の5つの適切な対処法を解説」で整理しています。
【弁護士の見解】浮気を会社にばらされたことで生じるリスク
匿名で会社にばらされたことで実際に起こりうるのは、解雇だけではありません。
処分の重さは、浮気の事実そのものよりも、それが業務や職場にどう影響したかで決まります。ここでは、起こりうる事態を段階に分けて整理します。
浮気だけを理由に解雇されるのは原則として難しい
私生活上の浮気があったというだけで解雇が有効になることは、原則としてありません。
労働契約法16条は、解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。浮気のような私生活上の出来事は基本的に業務と直接の関係がないため、それだけを理由とする解雇は、この要件を満たさないと判断される可能性が高いといえます。ただしこれは「解雇を言い渡されない」という意味ではなく、言い渡された解雇を無効だと主張して争えるという意味です。
もっとも、ばらされた浮気の内容に次のような事情が含まれていると、会社が重く見る余地が出てきます。
- 同じ部署の同僚や、指揮命令関係にある上司・部下との社内不倫だった
- 勤務時間中に私的な連絡を繰り返していた、社用の端末や社内システムを使っていた
- 取引先の担当者との関係で、会社に苦情が入るなど取引に影響が出た
- 会社に押しかけられるなどして、実際に業務が中断した
- 調査に対して虚偽の説明をしたり、資料を隠したりした
匿名でばらされた内容がこれらに当たるからといって、解雇がそのまま認められるわけではありません。そもそも、差出人の分からない文書は、それ単独では事実認定の土台として弱いという性質があります。会社が処分を検討するのであれば、文書の内容が事実かどうかを、本人の説明を含めて確かめる必要があります。
解雇に至らなくても懲戒処分や配置転換を受ける可能性はある
匿名で会社に浮気をばらされた結果、懲戒解雇までは至らなくても、戒告、けん責、減給、降格、出勤停止といった処分を受ける可能性は残ります。
この点についても、労働契約法15条が、懲戒権の行使が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には無効になると定めています。前提として、就業規則に懲戒の根拠となる定めがあることも必要です。
懲戒処分ではなく、業務上の判断として配置転換や担当変更を命じられるケースもみられます。異動それ自体を違法と決めつけることはできません。もっとも、こちらの言い分を確かめないまま退職を促す、あるいは不利益の重さが理由に見合わない扱いであれば、その当否を争う余地があります。
職場での信用が下がり、働きにくくなる
懲戒処分に至らなかった場合でも、匿名でばらされた影響は、社内での評価や人間関係に及び、職場での信用という形で残ることがあります。
同僚の視線が気になって業務に集中できない、必要な連絡がしづらくなる、重要な役割から外される。こうした形で働きにくさが続くほか、噂が家族の耳に入り、家庭の問題へ発展するおそれもあります。
この二次的な広がりを抑えるには、社内で自ら反論を広げないことに加えて、会社に対して情報の共有範囲を必要最小限にとどめるよう求めることが現実的です。具体的には、面談の場で人事の担当者に「この件を知る範囲を、人事と直属の上司までにとどめていただきたい」と口頭で伝え、そう伝えたこと自体もメモに残しておきます。会社の側も、従業員の私生活に関する情報を必要以上に社内へ共有してよいわけではありません。
【弁護士の見解】匿名で浮気を会社にばらした相手を特定できるのか
匿名で送られた場合、送り主を特定できるかどうかは手段によって大きく異なります。
結論から申し上げると、民事の手続きだけで送り主にたどり着くのは、いずれの手段でも容易ではありません。特定の可能性が出てくるのは、警察が捜査に着手した場合です。以下、手段ごとに整理します。
匿名の手紙は筆跡や指紋から特定できるのか
手書きの封書が届いた場合、筆跡や指紋は残っている可能性がありますが、受け取った側がそれを鑑定に出しても、送り主を割り出すことはできません。
鑑定は「比較する対象」があって初めて成り立つためです。送り主の筆跡や指紋のデータが手元になければ、照合する先がありません。
一方、匿名でばらされた行為について警察が捜査を始めた場合には、過去に採取された指紋の記録や、押収した書類の筆跡と照合できる場合があります。封筒の消印から投函された地域を絞る、使われた便箋や筆記用具の入手経路をたどるなど、手紙そのもの以外の手がかりが積み重なることもあります。
中身が印刷された文書や写真だった場合、筆跡から追う方法は使えません。ただし、送られた資料そのものが手がかりになります。そのやり取りや写真を持ち得た人は限られるはずです。誰なら入手できたかを書き出しておくと、後の判断や捜査の材料になります。消印の局名から分かる投函地域も、心当たりのある人物の生活圏と重なるかどうかという形で、絞り込みの手がかりになりえます。
非通知の電話は発信元をたどれるのか
匿名でばらす手段として非通知や公衆電話が使われた場合、受け取った側が自分で発信元を調べる方法はありません。
弁護士が受任している事件については、弁護士の申出を受けて所属弁護士会が公務所や公私の団体に照会し、必要な事項の報告を求める制度があります(弁護士法23条の2)。照会するのは個々の弁護士ではなく弁護士会です。日本弁護士連合会は、照会を受けた側は原則として回答・報告する義務があるとの立場を示しています。
もっとも、電気通信事業法4条1項は「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」と定めています。誰がいつどこへ電話をかけたかという通信の記録は、この通信の秘密の中心にあたる情報です。番号が分かっている電話の契約者を照会するのとは異なり、非通知の発信元をこの制度でたどるのは容易ではありません。
これに対して、匿名でばらされた行為が犯罪にあたる疑いがあれば、警察は捜査として公務所や公私の団体に照会し、必要な事項の報告を求めることができます(刑事訴訟法197条2項)。事案によっては、裁判官の令状を得て通信履歴の提出を受けることもあります。非通知の着信が繰り返されている場合、着信日時を記録して残しておくと、後の捜査で手がかりになります。
フリーメールは発信者情報開示請求で特定できるのか
インターネット上の誹謗中傷でよく使われる発信者情報開示請求は、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)5条に基づく制度です。同法2条1号は、対象となる「特定電気通信」を「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」と定義しています。
つまり、掲示板やSNSのように誰でも見られる場に投稿された情報が対象であり、会社の担当者宛てに1通だけ送られたメールは、この制度の対象になりません。匿名のフリーメールで会社にばらされたケースで、「弁護士に頼めば発信者情報開示請求でIPアドレスを調べてもらえる」と考えるのは誤りです。
では、匿名でばらされたまま泣き寝入りするしかないのかというと、そうではありません。送られた内容が名誉毀損などの犯罪に当たりうる場合、送り主が分からなくても、犯人を「氏名不詳」としたまま刑事告訴や被害届の提出を検討できます(刑事告訴とは、捜査と処罰を求める意思表示のことです)。告訴・告発は検察官または司法警察員にすることとされており(刑事訴訟法241条1項)、実務上は勤務先や自宅を管轄する警察署に持参するのが一般的です。捜査が始まれば、捜査機関がメールサービスの提供元に照会し、アカウント作成時やログイン時の記録から発信元をたどれる場合があります。
ただし、警察が実際に動くかどうかは、内容の悪質性や被害の程度によります。金銭の要求や、繰り返しの送信、虚偽の内容が含まれている場合は、捜査に至る可能性が相対的に高くなります。逆に、一度きりの送信で内容も事実の範囲にとどまる場合、事件として扱われないこともあります。つまり、匿名の文書が一度届いただけというケースでは、送り主が分からないまま終わる可能性のほうが高いのが実情です。だからこそ、特定に労力を割くより、社内での広がりを止めることを先に置くほうが、結果として失うものが少なくて済みます。
【弁護士の見解】ばらした相手に法的責任を追及できるか
特定に至らないまま終わる可能性は高いものの、送り主が判明したとき、こちらから何ができるのかは押さえておく意味があります。匿名でばらした行為の内容によっては、法的な責任を追及できます。
浮気の事実が本当であっても、それを職場に広める行為が当然に許されるわけではありません。伝えた相手の範囲、伝え方、その目的によっては、次のような責任が生じます。
| 問題となりうる罪 | 該当しうる行為の例 |
| 名誉毀損罪(刑法230条1項) | 社内の複数の部署や同僚宛てにメールを送る、社内チャットに書き込む |
|---|---|
| 侮辱罪(刑法231条) | 同僚の面前で、事実を示さずに人格を否定する言葉を投げつける |
| 威力業務妨害罪(刑法234条) | 会社に押しかけて大声を出し、業務を止める |
| 偽計業務妨害罪(刑法233条) | 事実と異なる内容を混ぜて会社に伝え、業務を混乱させる |
| 恐喝罪(刑法249条) | 「会社にばらす」と告げて金銭を要求する |
| 脅迫罪・強要罪(刑法222条・223条) | 「会社にばらす」と告げて、交際の継続や退職を迫る |
匿名の文書が届いただけのケースで中心になるのは、表のいちばん上にある名誉毀損と、後述するプライバシーの侵害です。それ以外は、押しかけや金銭の要求といった態様になったときに問題となる罪です。なお、業務妨害罪が守っているのは会社の業務です。この罪の告訴ができるのは原則として業務の主体である会社ですが、業務妨害罪は親告罪ではないため、告訴がなくても捜査や起訴が行われることはあります。
このうち名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪で、告訴がなければ起訴できません(刑法232条1項)。親告罪の告訴は「犯人を知った日から6か月」を過ぎるとできなくなりますが(刑事訴訟法235条)、起算点は犯人を知った日であるため、送り主が分からないうちは期間が進みません。
ただし、これとは別に公訴時効があります。名誉毀損罪・侮辱罪の公訴時効は3年で(刑事訴訟法250条2項6号)、こちらは犯罪行為が終わった時から進行します(同法253条1項)。匿名でばらされた被害の側としては、送り主の判明を待ち続けられるわけではないため、早い段階で証拠を整え、刑事告訴をするかどうかを検討しておくことが大切です。
プライバシーの侵害や名誉毀損を理由に損害賠償を請求する
名誉毀損罪は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」と定められています(刑法230条1項)。
条文にあるとおり、摘示された事実が真実であっても成立しうる点が特徴です。条文が「その事実の有無にかかわらず」と定めており、人の社会的評価を低下させるおそれのある行為そのものを処罰の対象としているためです。「浮気は本当のことだから名誉毀損にならない」という理解は正しくありません。
例外として、刑法230条の2第1項は、その行為が公共の利害に関する事実に係り、目的が専ら公益を図ることにあり、かつ真実であることの証明があったときは罰しないと定めています。私的な交際関係を職場に広める行為は、通常この3つの要件を満たしません。
「公然と」とは、不特定または多数の人が認識できる状態を指します。匿名で人事担当者1人に宛てて送られた通報であっても、その情報が社内に伝わっていく可能性がある場合には、公然性が認められることがあります。もっとも、受け取ったのが職務上の守秘が期待される立場の担当者に限られる場合には、公然性が否定されることもあり、この点の判断は事案によって分かれます。
刑事責任とは別に、民事上の責任も問題になります。他人の権利を侵害して損害を与える行為は「不法行為」と呼ばれ、民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。私生活上の事実を必要な範囲を超えて職場に広めた行為は、名誉やプライバシーの侵害として損害賠償請求の対象になり得ます。
もっとも、匿名でばらされたケースで実際に認められる金額は、拡散の範囲や態様、生じた不利益の程度によって大きく変わります。会社を退職せざるを得なくなったといった具体的な損害を主張する場合には、その処分や退職と、ばらされた行為との結びつきを示す資料が必要です。
どのような伝え方であれば違法と評価されるのか、その線引きは「浮気相手の配偶者にばらすと罪になるケースとリスクを徹底解説」で詳しく解説しています。
ばらした相手が誰かで取れる手段は変わる
送り主が判明した場合、その相手との関係によって、現実的に取りうる手段は変わります。
交際相手の配偶者だった場合、その相手はこちらへ慰謝料を請求できる立場でもあります。この場合、送り主の行為の違法性を単独で争うよりも、慰謝料の交渉の中で双方の事情として整理するほうが、解決までの時間と負担を抑えられることが少なくありません。
匿名でばらしたのが交際相手本人だった場合は、別れ話のもつれが背景にあることが多く、感情的な対立が続きやすい状況です。同じ職場であれば双方が処分の対象になる可能性もあるため、接触を断つ内容の合意を書面で交わすことを検討します。
いずれの場合も、こちらが直接連絡を取ると事態が悪化しやすいため、弁護士を窓口にして、今後の連絡や第三者への口外を禁じる形で合意をまとめる方法が現実的です。合意書には、勤務先や取引先へ再び連絡しないこと、SNS・掲示板へ投稿しないことを条項として入れておくと、再び会社にばらされる事態を防ぎやすくなります。
広められた先が職場ではなく友人・知人だった場合も、責任追及の考え方は共通します。詳しくは「友達に浮気をバラされた…罪になりますか?慰謝料は請求できる?」をご確認ください。
【弁護士のアドバイス】慰謝料を請求されている場合は減額交渉の材料になる
まだ請求が来ていない方も、今後、交際相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。そして、すでに請求されている状況で匿名で会社にばらされた場合、その事実は減額交渉の材料になります。
まず前提として、不貞行為に基づく慰謝料の問題と、職場に広められたことによる損害の問題は、法律上は別のものです。職場に広められたからといって、慰謝料の支払義務が当然になくなるわけではありません。
そのうえで、提示された金額を、そのまま受け入れなければならないわけでもありません。慰謝料の金額は、婚姻期間の長さ、関係の期間や回数、離婚や別居に至ったかどうか、発覚前の夫婦関係の状況など、さまざまな事情を総合して決まります。相手が提示した請求額は、それが高額であっても、あくまで相手の主張にすぎません。
そもそも支払う義務があるのか、義務が認められない場合があるのかについては「浮気相手から慰謝料請求された!支払義務と認められる例外」で解説しています。
交渉の場では、匿名で会社にばらされたことで事情聴取を受け、処分の不安を抱え、精神的苦痛を受けたという事情を、こちらの主張として整理して伝えます。相手の行為がプライバシーの侵害や名誉毀損に当たりうる場合には、双方の請求を差し引いて解決する形を目指すこともあります。
なお、相手に責任があるからといって、自分の判断で支払額を減らしたり、支払わずにおいたりする対応は避けてください。民法509条は、悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務などについて、相殺(互いの請求を差し引いて清算すること)を制限しています。ここでいう「悪意」は相手を害する意図を指すため、不貞の慰謝料がそのまま当てはまるとは限りませんが、法律上の相殺が認められない場合があることに変わりはありません。差し引きによる解決を目指す場合も、交渉や示談の中で調整するのが本来の進め方です。
また、示談でまとめるときは、支払額と並んで、相手が今後どう行動するかを条項に落とし込んでおく必要があります。会社や取引先へ重ねて連絡しないこと、第三者に口外しないこと、SNSに投稿しないことを定めておかなければ、同じ被害が繰り返されるおそれがあります。
匿名で浮気を会社にばらされてお困りの方は当事務所にご相談ください
匿名で会社に浮気を知られたとき、送り主を突き止めることより先に手をつけるべきなのは、届いた文書やメールを残しておくことと、会社への説明を業務への影響に絞って組み立てることです。ここを誤ると、後から取り返すのに時間がかかります。
送り主が分からない段階でも、弁護士に依頼できることはあります。会社への説明方針の整理、告訴をするかどうかの判断、今後の慰謝料請求への備え。送り主が判明した後は、相手方との交渉、慰謝料減額の交渉、再び広められないための合意書の作成までを一貫してお任せいただけます。相手との連絡窓口を弁護士に一本化すれば、ご自宅や勤務先へ書類が届くことを避けられる場合もあります。
匿名でばらされたことによる職場での立場と、相手方からの請求。二つの不安を同時に抱えるのは、精神的にも大きな負担です。すでに上司から呼び出しを受けている方、慰謝料の通知書が届いている方、送り主から再び連絡が来ている方は、事態が広がる前にご相談ください。
当事務所は不倫問題に注力しており、これまで数多くのケースに対応してまいりました。ご家族や職場への影響にも配慮しながら、穏便な解決を目指します。ご相談の内容が勤務先に伝わることはありません。面談のメモや届いた文書の写しをお手元にご用意のうえ、全国どこからでも無料でご相談いただけますので、おひとりで悩まず、弁護士にお話しください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

