- 不倫がバレて慰謝料請求されている…踏み倒せないだろうか?
- 慰謝料を踏み倒すとどうなってしまうのだろう…
この記事では、不倫の慰謝料問題に強い弁護士が、これらの疑問を解消していきます。
記事を最後まで読んで問題解決しない場合は、お気軽に弁護士までご相談ください。
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目次
不倫の慰謝料は踏み倒せる?
不倫慰謝料を踏み倒せるかどうかは、あなたに不倫慰謝料を支払う法的義務が発生しているかどうかが一つの分かれ道となります。法的義務が生じていない場合は踏み倒せる可能性がありますし、反対に生じている場合は踏み倒せない可能性があるといえます。そこで、以下では、ケース別に不倫慰謝料を支払う法的義務が生じているかどうかみていきましょう。
一方的な請求であれば払う必要はない
まず、相手が一方的に不倫慰謝料を請求してきている段階では、あなたに不倫慰謝料を支払う法的義務は生じていません。法的義務が生じていない以上、相手の請求に応じる義務はありません。
また、そもそも、不倫慰謝料を支払う法的義務は、あなたと不倫相手とが肉体関係をもってはじめて生じます。加えて、あなたと不倫相手とが肉体関係をもったことを相手が証明しなければいけません。
しかし、単なる浮気や不倫だけで不倫慰謝料を支払わせることができると考えている方も多く、肉体関係に関する確たる証拠をつかないまま不倫慰謝料を請求してきている可能性もあります。相手が肉体関係を証明できない以上は、不倫慰謝料を支払う法的義務は生じません。
時効が完成した場合も払う必要はない
次に、時効期間が満了し、かつ、あなたがその時効完成を援用(時効の完成を主張すること)するという手続をとった場には相手の不倫慰謝料請求権が消滅する、すなわち、あなたの不倫慰謝料を支払う法的義務が消滅します。
不倫の時効は、原則として、被害者が不貞(性行為のほか、オーラルセックス等の性類似行為も含みます)の事実及び加害者を知ったときから3年、あるいは不貞行為のときから20年です。
ここで時効の起算点(時効の進行がスタートする日)について確認しておきましょう。
まず、アナタが既婚者と不倫をしてしまい、その不倫相手の配偶者から慰謝料請求されている場合には、時効の起算点は、原則通り、「不倫相手の配偶者が不貞の事実と加害者(アナタ)を知った時」です。
一方、アナタが既婚者で、ご自身の配偶者から慰謝料請求されている場合の時効の起算点は複雑です。
配偶者はアナタと離婚をせずに(つまり、結婚生活を続けたまま)「不倫の慰謝料」を請求することもできれば、離婚をして「離婚の慰謝料」を請求することができます。配偶者がアナタと離婚をせずにアナタに不倫の慰謝料請求をする場合には、原則通り、配偶者が不貞の事実と加害者(アナタ)を知った時が時効の起算点です。一方、配偶者がアナタとの離婚を選択し、アナタに離婚の慰謝料を請求する場合には、離婚した時が時効の起算点となります。
そして、時効の起算点から3年(もしくは不貞行為の時から20年)が経過してから慰謝料請求をされた場合には、アナタは時効完成を援用して慰謝料を支払わなくて済むようになります。
支払に同意した場合は踏み倒せない
一方、不倫慰謝料を支払うことに同意している場合は不倫慰謝料を支払う法的義務が生じています。同意の形式が口約束であろうが書面であろうが同様です。
もっとも、口約束では、慰謝料の額、支払い期限、支払い方法などについて、当事者でどのように合意したのか形に残っていないため、言った・言わないのトラブルとなりやすく、話を曖昧にしたまま踏み倒せる可能性は残っているといえます。
一方、公正証書や示談書にサインしている場合や調停で支払いを合意している場合は、合意内容(書面に書かれてある内容)に従って不倫慰謝料を支払う必要があります。仮に、合意内容を履行せず、不倫慰謝料を踏み倒した場合は後述する事態に発展する可能性があります。
不倫の慰謝料を踏み倒すとどうなる?
では、不倫慰謝料を踏み倒した場合、どのような事態に発展する可能性があるのかみていきましょう。
給与等を差し押さえられる可能性がある
公正証書(※)にサインしている場合、調停で不倫慰謝料の支払いに合意している場合は、あなたの給与などを差し押さえられる手続きをとられてしまう可能性があります。仮に、給与を差し押さえられると、その一部を慰謝料の未払い分に充てられてしまいます。また、裁判所から給与の差押命令が発せられると、裁判所から職場へ差押命令書が送達されるため、給与の差押え手続きをとられたことが職場内に知られてしまいます。
※相手が給与などの差押え手続きをとることができるのは、あなたが強制執行認諾付公正証書にサインした場合です。強制執行認諾付公正証書とは、慰謝料をはじめとする金銭を支払わなかった場合に、あなたの給与などの財産を差し押さえる手続きをとってもかまいません、というあなたの承諾文言を盛り込んだ公正証書のことです。
訴訟を提起される可能性がある
一方、公正証書ではない示談書などの私製文書で慰謝料を支払う約束をしたのであれば、ただちに給与などの財産を差し押さえられる手続きをとられることはありません。ただ、だからといって不倫慰謝料を簡単に踏み倒せるかといえばそういうわけでもありません。なぜなら、訴訟を提起される可能性があるからです。
訴訟では示談書も証拠の一つとして提出されるでしょう。当然ながら、示談書には「あなたが不倫相手と肉体関係をもったことを認めたこと」や「あなたに不倫慰謝料の支払義務があること」が記載されているからです。そして、裁判官が示談書に書かれてあるとおりの事実を認定すれば、不倫慰謝料の支払いを命じられます。
また、示談書等の文書を取り交わしていなかった場合でも、裁判で相手が不貞の事実を立証した場合も、不倫慰謝料の支払いを命じる判決が出されます。
さらに、慰謝料の支払いを命じた裁判が確定すれば、いつでも給与などの財産を差し押さえる手続きをとれる状態となります。裁判で命じられたとおりに不倫慰謝料を支払わない場合は、給与などの財産を差し押さえる手続きをとられる可能性があります。
遅延損害金を請求される可能性がある
遅延損害金とは金銭の支払が遅れたことによる賠償金のことです。遅延損害金は「支払いが遅れている金額×利率÷365×遅延日数」の計算式で計算します。支払いが遅れている金額や利率、遅延日数によっては無視できない金額となる可能性もあります。示談書などにサインしている場合は遅延損害金に関する項目がないか今一度見直してみましょう。
利率は当事者間で合意した約定利率と法律で定める法定利率があり、約定利率について合意している場合は約定利率を適用し、合意していない場合に法定利率が適用されます。法定利率は年率3%で、3年を1期とし、1期ごとに変動することとなっています。
慰謝料を払えないときの対処法
最後に、不倫慰謝料を払えないときの対処法をご紹介します。
減額交渉する
まず、減額交渉してみることです。
そもそも、当初、相手は相場以上の慰謝料をあなたに提示してきている可能性が高いです。相手は、可能性こそ低いものの、あなたが相場以上の慰謝料の支払いに合意してくれれば儲けものと考えていますし、仮にあなたが合意しない場合は、あなたからの減額交渉をもちかけられることを想定しているからです。したがって、相手から提示された金額をそのまま受け入れる必要はまったくないといってよいでしょう。
相手に減額に応じてもらうには、まずは誠心誠意謝罪することや現在の経済状況から支払いが難しいことを丁寧に説明することはもちろんですが、慰謝料の代わりとなる代替案(たとえば、月々の養育費の金額を数万円アップさせるなど)を提示することも一つの方法です。また、不倫慰謝料の額は不倫の期間や肉体関係をもった回数などの個別具体的な事情を踏まえて決定すべきものです。そこで、そもそも、相手から提示された金額が現状に見合った金額なのか、弁護士の意見を取り入れながら一度検討してみるのも一つの方法です。それでも、相手が自分の主張にこだわり、話し合いが平行線をたどるようであれば、弁護士に依頼して対応してもらうことも検討しましょう。
分割払いを申し出る
次に、不倫慰謝料の減額が難しい場合は、分割での支払いをもちかけてみることです。相手にとって分割払いとするメリットは少ないため、相手からは一括での支払いを求められることが多いですが、分割払いを希望する理由を丁寧に説明することで同意してくれる可能性がないとはいえません。
もっとも、一回に支払う金額があまりにも少額だと、長期間にわたって不倫慰謝料を支払い続けなければいけません。相手からは「長期間にわたってきちんと支払ってくれるおだろうか」と不安に思われてしまい、分割払いに同意してくれない可能性があります。また、相手と離婚することとなった場合は離婚後も相手との関係が続くことになります。こうした状態は相手にとってもあなたにとっても望ましいものとはいえません。そこで、できる限り、一回で支払う金額は多めに、支払い回数は少なめに設定することが、相手に分割払いを認めてもらうコツといえます。
相手が一括払いにこだわり、話し合いが平行線をたどるようであれば、減額交渉と同様に弁護士に対応を依頼することも検討しましょう。
自己破産する
最後に、減額や分割にも応じてもらいえない、他に借りるあてもなく不倫慰謝料を払うことができないという場合は自己破産も検討します。自己破産手続の中で、裁判所から免責許可決定を受けることができれば、不倫慰謝料の支払義務を免除されます。
もっとも、裁判所に自己破産を申立てたからといって、必ず免責許可決定を受けることができるわけではありません。また、自己破産には一定の財産を手放す必要がある、ブラックリストに登録される(その結果、クレジットカードが利用できなくなる、ローンを組めなくなる)、一定の職に就けなくなるなどのデメリットがあります。そのため、安易に自己破産の選択をするのではなく、他の選択肢がなくなった場合の最終手段として考えておきましょう。
分割・減額の交渉に強い弁護士に依頼する
前述のとおり、相手に種々の手段を講じて減額、分割をもしかけても応じない場合は弁護士に対応を依頼することも検討しましょう。
弁護士に依頼することで、ご自分で交渉する必要がなくなり、精神的な負担を大きく軽減することができます。また、不倫慰謝料の話し合いではどうしてもお互いが感情的になり、話し合いが紛糾してしまうことが多くあります。しかし、弁護士であれば感情的にならず、冷静に話し合いを進めることができ、かつ、お互いの妥協点をうまく織り交ぜながら話をまとめることが可能です。
弊所では、慰謝料の減額交渉を得意としており豊富な解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますのでまずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。
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