
配偶者の不倫が発覚し、「あの2人に何らかの制裁を与えなければ気が済まない」と感じていませんか。不倫した配偶者と不倫相手には、慰謝料の請求や誓約書の作成など、法律に沿った方法で制裁を与えることができます。
ただし、会社やSNSに不倫を知らせるといった社会的制裁(周りに広めて相手の評判を落とすこと)は、逆に法的な責任を問われたり、受け取れる慰謝料が減ったりするおそれがあります。
この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。
- 不倫した2人に制裁を与える合法的な方法
- 慰謝料を請求するときの準備と流れ
- 会社やSNSに知らせる社会的制裁のリスク
お読みいただくことで、感情に任せて動く前に、自分の状況で選べる制裁と避けるべき行動を整理できます。
なお、不倫の制裁でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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不倫した配偶者と不倫相手に制裁を与える合法的な方法
法律の範囲で取れる制裁の中心は慰謝料の請求で、配偶者と不倫相手のどちらにも求めることができます。そのうえで、配偶者とは離婚するかどうかを、不倫相手とは今後の関係をどう断たせるかを決めていくことになります。
離婚を選ぶかどうかで使える手段が分かれるため、全体の流れを図にまとめました。
慰謝料を請求する
慰謝料は、不倫をした配偶者のほか、既婚者だと知りながら(または注意すれば気づけたのに)関係を持った不倫相手にも請求できます。配偶者以外の人と肉体関係を持つこと(不貞行為)は不法行為(故意や過失で他人の権利を侵害し、損害を与える行為)にあたり、不倫された側は精神的な苦痛への賠償を求められるからです(民法709条・710条)。別居や離婚をしなくても請求はできます。ただし、肉体関係を持った時点で、長い別居などによって夫婦関係がすでに破綻していた場合は、原則として不倫相手には請求できません。
慰謝料の金額は、婚姻期間や不倫の期間、離婚に至ったかどうかなどで変わります。目安としては、離婚も別居もしない場合で数十万円〜100万円程度、不倫が原因で離婚した場合で100万円〜300万円程度です。離婚の有無による金額の違いと、不倫相手へ請求する時期の考え方については「浮気相手に慰謝料請求するタイミングは?離婚前・離婚後で変わる」で解説しています。
金額を左右するのは、肉体関係を示す証拠がそろっているかどうかでもあります。証拠の集め方は、次の章で説明します。
離婚を切り出す
配偶者の不貞行為(肉体関係を伴う不倫)は、裁判で離婚を求められる理由の一つとして法律に定められています(民法770条1項1号)。配偶者が離婚を拒んでも、不貞行為を証拠で示せれば、裁判で離婚が認められる見込みがあります。
離婚すれば、配偶者は家庭での生活を失います。離婚するときは、慰謝料のほかに財産分与や養育費なども取り決めます。財産分与は結婚している間に夫婦で築いた財産を分けること、養育費は子どもを育てる親が受け取る費用です。
条件が決まらないまま離婚を急ぐと、受け取れるはずのお金を取りこぼすおそれがあります。条件は離婚の前に話し合い、書面に残しておきましょう。
離婚を求められても応じない
反対に、不倫した配偶者のほうが離婚を望んでいるなら、離婚に応じないことも制裁になります。不倫をした配偶者からの離婚の請求は、簡単には認められません。
最高裁判所は、不倫をして夫婦関係を壊した側(有責配偶者)からの離婚請求でも、次のような事情があれば認められることがあるとしています(最高裁判所大法廷昭和62年9月2日判決)。
- 夫婦の年齢や同居していた期間と比べて、別居が相当長く続いていること
- 未成熟の子ども(経済的に自立していない子ども)がいないこと
- 離婚によって相手方が精神的・社会的・経済的にきわめて苛酷な状態に置かれないこと
離婚に応じなければ、配偶者は不倫相手との再婚などの望みをすぐにはかなえられません。離婚しないと決めた場合は、次に説明する誓約書や接触禁止の約束とあわせて、不倫が繰り返されないようにしておくことが大切です。
誓約書や謝罪文を書かせる
誓約書や謝罪文は、配偶者と不倫相手のどちらに対しても、書くよう求めてかまいません。誓約書には、不倫の事実を認めること、相手との関係を断つこと、約束を破ったときに支払う違約金の額などを書きます。
本人が署名した誓約書は、不倫の事実を認めた証拠になり、のちに慰謝料を請求したり離婚を求めたりする場面でも役立ちます。謝罪文は、相手に自分の言葉で反省を示させるもので、気持ちに区切りをつけるきっかけにもなります。
不倫関係の解消と接触禁止を約束させる
不倫相手には、配偶者との関係を断ち、今後は連絡も接触もしないと約束するよう求められます。口約束だけでは関係が続いてしまうことがあるため、慰謝料の支払いとあわせて示談書を作り、連絡や面会をしないことと、破ったときの違約金を書いておきます。
このような約束を接触禁止条項といい、配偶者にも同じ内容を誓約書に書いてもらえば、双方から関係を断つ形にできます。接触禁止条項の具体的な内容や例文については「不倫の接触禁止条項とは?拒否できる?離婚後の効果と例文を解説」もあわせてご確認ください。
慰謝料を請求するときの準備と流れ
慰謝料という制裁を確実にするには、請求する前の準備と進める順番が大切です。証拠を集め、内容証明郵便で請求し、合意した内容を示談書に残す、という順に進めます。
不倫の証拠を集める
慰謝料を請求する前に、不貞行為(肉体関係)があったことを示す証拠をそろえておきます。証拠がないまま問いただすと、否定されたときに反論できないからです。
証拠になりやすいのは、2人でラブホテルに出入りする場面や、相手の自宅で長時間過ごしたことが分かる写真・動画、肉体関係があったことがうかがえるLINEやメールのやり取り、不倫を認めた本人の書面や録音などです。自分で集めるのが難しい場合は、探偵の調査報告書も証拠の一つになります。どのような証拠が有力か、集めるときに何に注意すべきかは「不倫・浮気の証拠になるものは?集め方と注意点を解説」で詳しく紹介しています。
内容証明郵便で請求する
証拠がそろったら、慰謝料を請求する書面を内容証明郵便で送ります。内容証明郵便は、送った日付と文面の内容を郵便局が証明してくれる郵便で、請求した事実が記録に残ります。
請求書を送るには、不倫相手の氏名と自宅の住所が分かっている必要があります。分からない場合は、弁護士に依頼すると調べられることがあります。請求書の書き方や例文は「不倫の内容証明で慰謝料請求する方法|書き方と弁護士に頼むメリット」で解説しています。
合意した内容を示談書に残す
相手が請求に応じ、話し合いがまとまったら、合意した内容を示談書に残します。示談書には、慰謝料の金額と支払方法・期限、不倫関係を断つこと、接触禁止とそれを破ったときの違約金などを書きます。
口頭の合意だけでは、あとで「そんな約束はしていない」と言われたときに、約束の内容を示せません。合意の内容として盛り込むべき項目については「不倫の示談書の書き方と注意点を弁護士が解説【テンプレートあり】」をご参照ください。
不倫の社会的制裁でやってはいけない行為とリスク
怒りが収まらなくても、不倫の事実を周りに広めて相手の評判を落とすような社会的制裁は避けてください。たとえ不倫が事実でも、不特定または多数の人に伝わる形で相手の社会的な評価を下げるような事実を示せば、名誉毀損罪にあたるおそれがあります(刑法230条1項)。
刑事責任とは別に、プライバシーの侵害などを理由に、相手から損害賠償を請求されるケースもあります。さらに、社会的制裁をしたことが、受け取れる慰謝料を減らす事情として扱われることもあります。慰謝料の交渉でも、相手からその点を反論の材料にされかねません。
職場や会社に知らせる
不倫相手や配偶者の勤務先に不倫を知らせるのは、やめておきましょう。上司や同僚など職場の人に伝われば、不倫が事実であっても名誉毀損やプライバシーの侵害にあたるおそれがあります。同じ職場での不倫で、業務に関わる問題だと考えて上司に報告する場合も同じです。
また、不倫は私生活の問題なので、会社に知らせて制裁を加えようとしても、相手が処分されるとは限りません。相手が職場にいづらくなって退職し、収入が減れば、慰謝料の支払いが難しくなり、かえって回収に不利に働く場合もあります。
慰謝料の支払いを求める場面で会社への連絡を持ち出すと、脅迫罪や恐喝罪に問われるおそれがあります(刑法222条・249条)。「払わなければ会社に知らせる」という言い方は、相手の名誉などに害を加えると告げて支払いを迫ることにあたりうるためです。不倫の事実を盾に支払いを迫ると具体的にどのような処罰の対象になりうるのかは「浮気相手の配偶者にばらすと罪になるケースとリスクを徹底解説」で紹介しています。
SNSやネットに書き込む
SNSや掲示板に不倫の事実を書き込むのも、やめたほうがよいでしょう。名前を出していなくても、勤務先や写真などから誰のことか分かれば、名誉毀損やプライバシーの侵害にあたりうる行為です。
ネットの書き込みは短い時間で広まり、投稿を消しても、スクリーンショットなどで残り続けるかもしれません。制裁のつもりの書き込みが自分に返ってくることもあるため、感情が高ぶったときほど控えてください。
親や家族に知らせる
相手を責めるために配偶者の親や不倫相手の家族に不倫の事実を知らせると、プライバシーの侵害にあたるおそれがあります。不倫相手の親に知らせる行為が法的にどこまで問題になるのかは「浮気相手の親に浮気をばらす行為は違法?NGな理由を解説」で整理しています。
不倫相手の家族に不倫を広めたり、代わりに慰謝料を払うよう求めたりするのは避けてください。不倫相手が既婚者なら、その配偶者へ知らせる場合も同じリスクがあります。
何度も連絡する・つきまとう
不倫相手に何度も電話やLINEを送ったり、自宅や職場の近くで待ち伏せしたりするのも控えてください。こうした行為は、内容や目的によってはストーカー規制法の対象となり、警察から警告を受けることがあります。相手を怖がらせる言葉を送れば、脅迫罪にあたるおそれもあります。
相手が請求に応じないときこそ、自分で連絡を重ねるより、弁護士に交渉を任せるほうが安全です。
慰謝料の請求や交渉を弁護士に任せるメリット
慰謝料請求は自分でもできますが、弁護士に任せると、手元の証拠で請求が認められそうかを前もって見極めてもらえます。証拠が足りなければ、何を補えばよいかの助言も受けられます。
不倫相手の氏名や住所が分からない場合も、弁護士会照会という制度を使い、携帯電話会社などに問い合わせて調べられる場合があります。分かっている情報ごとの具体的な調べ方は「不倫相手の住所がわからない!慰謝料請求のための3つの調べ方」をご参照ください。
金額や支払方法、接触禁止の条件をめぐる交渉、内容証明郵便や示談書の作成も任せられるため、相手と直接やり取りする負担を大きく減らせます。制裁のつもりで勤務先やSNSに不倫を知らせてしまい、逆に責任を問われるといった事態も避けやすくなります。
離婚を考えている場合は、慰謝料に加えて財産分与や養育費、親権などの条件もまとめて相談できます。
不倫の制裁を考えている方は弁護士にご相談ください
不倫の制裁として法的に認められているのは、慰謝料の請求、離婚するかどうかの選択、誓約書や接触禁止の約束などです。反対に、職場や家族、ネットに不倫を広める行為は、自分が責任を問われたり、慰謝料が減ったりする原因になりかねません。
どの手段を選ぶかは、離婚を望むかどうかや証拠の内容によって変わります。証拠の見極めから相手との交渉、示談書の作成までを弁護士に任せれば、法律の範囲で着実に制裁を進められ、感情的な行動で不利になる心配も減らせます。
配偶者に裏切られた悔しさや怒りを、一人で抱え続けるのはつらいものです。すでに相手と話し合いを始めている方も、まだ何から手をつければよいか分からない方も、まずは弁護士の意見を聞いてみてください。
当事務所は不倫・男女問題を数多く取り扱ってきた実績があり、ご相談者様の状況に合わせて最適な進め方をご提案いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

