結婚前や結婚当初は愛しあっていたはずなのに、不倫に至ってしまう原因は何でしょうか?
何事にも原因があるのと同様に、不倫に至るのにも原因があるはずです。
本記事では、不倫の原因やその対処法、対応に困った場合の相談先について解説します。
この記事が不倫で悩む皆様の一助となれば幸いです。
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目次
①不倫の原因の代表例は4つ
そもそも不倫に至ってしまう原因はどこあるのでしょうか?
不倫の原因には様々なものがあり、様々な原因が積み重なって不倫に至ってしまうことが多いとは思いますが、以下では代表的な例である4つの原因とその対処法について考えてみました。
セックスレス
男性も女性も不倫をしてしまう原因として最もよく挙げるのがこの「セックスレス」です。
婚姻前や婚姻後子供ができるまでは、時間やお金をお互いのためだけに使うことができることが多く、お互いを一人の「男性」、「女性」としてみることができていたと思います。
しかし、婚姻後の共同生活が長くなればなるほど、当然お互いに年齢を重ねますし、交際当初ほどの新鮮味がなくなってお互いに「飽き」が生じてきます。
さらに、女性が妊娠・出産を経て子供を産むと、多くの夫婦では共働きしながら子育てしなければならず、そうすると時間やお金をお互いのためだけに使うことができなくなってしまいます。
セックスは夫婦間の心の絆をつなげ深めるものですが、婚姻後のライフイベントを通じて夫婦間に心の隙間ができるとセックスすることができずにセックスレスに陥ってしまう、というのが典型的なケースです。
対処法はとにかく夫婦が共有できる時間を増やすことです。
仕事、家事・育児などで時間が取れないことは誰もが同じことです。
しかし、相手との心の絆を取り戻したいという気持ちがあるのであれば、敢えて夫婦が共有できる時間を作ってみることも一つの方法です。
子供を早く寝かしつけて夫婦でお酒を飲みながら好きなテレビ番組や映画を見る、子供を両親に預けて夫婦だけで旅行をするという時間を設けてみてもよいでしょう。
(関連記事:セックスレスを理由に離婚する場合に必要な証拠と慰謝料相場)
異性としての魅力がなくなった
これはセックスレスの原因といってもよいかもしれません。
婚姻前や婚姻後子供ができるまでは、お互いを「異性」としてみることができていたと思います。
それは、その頃はまだお互いのことをよく知らないという場合も多く、自分の思い描いている理想や相手に求める欲求で、その相手の知らない部分を補って相手をみていたからとも考えられます。
また、お互いによく見られようと思い、身だしなみや言葉遣い、体型維持に努める方も多いのではないでしょうjか?
しかし、婚姻後は、共同生活を通じて、それまで秘密のベールに包まれていたお互いの性格や価値観、生活スタイルが徐々に見えてきます。
そうすると、自分の思い描いていた理想や相手に求める欲求と婚姻後に見えた現実との間に乖離が生まれ、「こんな人ではなかった」、「私が思っていた人と違っていた」などという感情を抱いてしまいます。
また、婚姻後はついつい気が緩んでしまって活動的でなくなり、暴飲暴食にはまるなどして体型を崩してしまい、婚姻前のような輝きを失ってしまいがちなのも事実です。
対処法は、お互いの悪い部分ではなく良い部分を見つめ、そこをお互いに尊重して感謝する気持ちを持つことです。
あなたがどんなに相手を異性としてみることができなくなったとしても、相手に良いことは必ずあるはずです。
そこを見つめ直すことで、再び、相手を異性としてみることができるかもしれません。
また、相手に「異性としてみることができなくなった」とはっきり意思表示することもときには大切です。
意思表示しないままでいると、相手は現状に満足してこれ以上、何も変わらない可能性があります。
自分も変わりたい、でも相手にも変わって欲しいという場合ははっきり意思表示することです。
家庭で安らげない、ストレスが溜まる
婚姻前や婚姻後子供ができるまでは、自分の時間を確保できる一方で、二人の時間を共有することもでき、恋人感覚で接することができていた方も多いのではないでしょうか?
誰しも、お付き合いでストレスを溜めることはあると思いますが、婚姻前や婚姻後子供ができるまでは、自分の時間もある程度確保することができ、上手にストレスを発散しながら相手と付き合うこと可能だったと思います。
ところが、婚姻後や婚姻後子供ができた後はそういうわけにはいきません。
会社員である夫は、特に家族を経済的側面から支えるために会社で働きます。
しかし、その会社でも、会社で置かれた立場や人間関係などによって様々なストレスを受けることでしょう。
会社で受けたストレスを家で発散することができれば問題ないでしょうが、妻や子供との関係が悪いと家でもうまくストレスを発散することができないでしょう。
そのため、夫は外で発散しようと考え、会社の飲み会や夜の街に出掛ける機会が多くなり、不倫に走ってしまうのです。
他方で、残念ながら今の日本の実情では、妻は夫よりも家事や育児に追われることが多いでしょう。
家事や育児には正解がなく、夫の以外の誰からか点数をつけてもらったり、対価を配られるなどして評価してもらえるものではありません。
また、家事や育児は身内の問題であることから、誰にも相談できず自分一人で抱え込んでしまいストレスを溜めやすいです。
夫と関係がよければ、夫に相談して家事、育児の問題を解決できるでしょうが、夫との関係が悪いとそうもいきません。
そのため、夫以外の人に相談しようと第三者に相談したところ、その第三者と不倫に陥るというケースは少なくありません。
対処法は、自分の抱えている悩みやストレスを相手にストレートに伝え、自分も相手の悩みやストレスに素直に耳を傾けることです。
お互いがストレスを抱えているため、自分の主張ばかりして相手に押し付けるようなことをしても埒があきません。
受け入れるかどうかは別として、まずは「相手の悩みやストレスをいったん受け入れよう」という広い心を持つことが大切です。
それを踏まえて、相手にしてあげられることは何か、何をしたら悩みやストレスを取り除いてあげられるのか考えることが相手への感謝や思いやりの気持ちが芽生え、関係改善にもつながりやすくなります。
精神的な距離がある
本来であれば、婚姻後に起こる様々なイベントについて夫婦で協力し合って乗り越えていくことができれば、夫婦の精神的距離は縮まるはずです。
しかし、これまで見てきたような不倫の原因(セックスレス、異性としての魅力を感じない、家庭で安らげない・ストレスが溜まる)が夫婦間で沸き起こると、反対に、夫婦間の精神的距離は徐々に広がっていくことも考えられます。
そこで、お互いにコミュニケーションを取ることができれば精神的距離を回復することができるのでしょう。
しかし、特に婚姻期間が長い夫婦にはお互いに「慣れ」が生じてしまい、あえて積極的にコミュニケーションを取らなくても生活できてしまうため、コミュニケーション取らないまま、知らず知らずのうちに徐々に精神的距離を広げてしまう可能性があります。
そうすると、お互いが心の隙間を埋めようとして、夫又は妻以外の第三者に関心を持ち始めるようになり、第三者と接触したことをきっかけに不倫に走ってしまうようになるでしょう。
対処法は、やはり、お互いによくコミュニケーションを取ることです。
コミュニケーションを取るといっても、積極的に話すことだけがコミュニケーションを取ることではありません。
食事も一緒に摂ることもコミュニケーションの一つです。
一緒に食事を摂ることができていないのであれば、食事を摂ることから始めてみてもよいでしょう。
忙しい夫婦にとって、一緒に食事を摂ることだけでも夫婦の時間を共有することができますし、夕食であればその日一日の出来事を会話しながら食事することができますので、お互いの話に耳を傾けることができるよいチャンスです。
共働きのご家庭にとって難しいことかもしれませんが、一日のうち夕食のみとか、週のうちせめて土日のみなどと決めて始めてみるのもよいと考えます。
②不倫かな?と思った場合の対処法
①では不倫の原因とその対処法について解説しましたが、それでもやはり不倫を防止できない場合があります。
不倫されたかな?と思ったら、後々にトラブルとなる離婚や慰謝料のことを考えて、早い段階から次のことを行っておきましょう。
不倫を裏付ける証拠を集める
不倫を理由に離婚しよう、慰謝料請求しようと思って相手を問い詰めるだけでは相手を説得することはできません。
ここで大切なことは、不倫を裏付ける証拠を確保することです。
不倫を裏付けるきちんとした証拠を確保し、不倫の事実を証明することができれば、相手がいくら不倫の事実を否定しても、離婚を成立させ、慰謝料請求を実現させることが可能です。
もっとも、まず証明すべきは単なる「不倫」ではなく不貞行為、すなわち、肉体関係があったこと、あるいは肉体関係があったことをうかがわせる事実です。
なお、不貞行為は裁判上の法定離婚事由ですから、離婚の話を協議、調停を経て、訴訟に持ち込んだ場合、相手の不貞行為の事実を証拠により証明できなければ離婚できない可能性があります(不貞行為の立証が難しい場合は、証拠により証明できる不倫、浮気が「婚姻を継続し難い重大な事由」(法定離婚事由の一つ)に当たるかどうかを検討する必要があります)。
また、慰謝料はそもそも不貞行為、すなわち、不法行為によって被った精神的苦痛に対する賠償ですから、不法行為の事実を証拠により証明する必要があります。
「肉体関係があったこと」を証明する証拠としては、肉体関係を持ったことを認める(自白する)不倫した配偶者や不倫相手の話が典型です。
仮に、不倫した配偶者や不倫相手から上記のような話を引き出す機会がある場合は、あらかじめボイスレコーダーを用意し、会話を録音しておきましょう。
また、実際に肉体関係に関する話を引き出せた後はボイスレコーダーのみで満足せず、肉体関係を持ったことを認める書面(念書、誓約書など)を残すことも大切です。
「肉体関係をあったことをうかがわせる事実」を証明する証拠としては、不倫当事者同士が二人でラブホテルなどに出入りしている場面をビデオ撮影した動画、写真などが典型です。
いつ、何時に入り、何時に出てきたのかを証明できるよう、あらかじめ正確な日時に調整しておきましょう。
その他、肉体関係があったことをうかがわせる事実を証明し得る証拠(不倫の状況証拠)としては以下のものを挙げることができます。
- 領収書(ラブホテルなどを利用したことが分かるものなど)
- カードの利用明細書(同上)
- GPS記録(同上)
- スマートフォンの通話履歴、アドレス帳
- 交通機関のICカードの履歴
- Facebook、Twitter、LINEなどでのメール
- 手紙
- 探偵会社、興信所の調査報告書 など
(関連記事:これは浮気・不倫の証拠になるもの?と迷った人のための情報まとめ)
離婚するかしないか決める
不貞行為に関する証拠を集めることができたら、離婚するかしないかを自分自身で決める必要があります。
まずは、配偶者の不倫を許してもう一度、関係改善に努めることはできないか、離婚するとした場合、離婚後の生活を具体的にイメージできるか、経済的・精神的な負担の面はクリアしていけるか、などについてよく考えてみることが必要です。
もっとも、離婚するかしないかはご自身やお子様の将来の人生に関わる重要な問題ですから、そう簡単に答えを出すことはできません。
その場合は、「③不倫で離婚するかどうか悩んだ場合の相談先」で紹介する相談先に相談してみるのも一つの方法です。
そして、もう一度、関係改善に努めてみると決めた場合は、まずはご自身で配偶者のためにできることを考えた上で、配偶者に話し合いを切り出し、関係改善のためにお互いが何をすべきかよく話し合います。
話し合いできない場合は、家庭裁判所に調停(夫婦関係調整調停(円満))を申し立て、調停委員に間に入って解決することも検討しましょう。
離婚を切り出す
他方で、離婚後の生活にも一定の目途を付けることができ、離婚すると決めた場合は、相手に離婚を切り出しましょう。
切り出し方は口頭で伝える方法が基本です。
メールや手紙で伝える方法もありますが、証拠として残り、内容しだいでは後々不利な証拠として使用される可能性があることには注意しましょう。
いずれの方法を取るにせよ、始めはシンプルに「離婚したい」旨を相手に伝えましょう。
相手から理由を聞かれた場合は、正直に「不倫・不貞行為」を理由に挙げてかまいませんが、証拠でつかんだ事実や証拠の内容をその場で相手に見せる必要はありません。
証拠は、後々の話し合いの際や話がまとまらなかった場合の調停、訴訟の際に使えばよいのです。
離婚を面と向かって切り出すことが難しい場合は、弁護士などの第三者に入ってもらうことも検討しましょう。f
離婚を切り出した後は、慰謝料をはじめとする離婚の条件(親権、面会交流、養育費、財産分与など)について話し合います。
話がまとまらなければ、裁判手続き(調停、訴訟)を検討する
夫婦間で話がまとまらなければ、離婚調停(夫婦関係調整調停(離婚))を申立て、離婚調停での解決を目指します。
離婚調停では、お互いが条件を譲らず話がまとまらない場合、相手が離婚調停に出席せずに調停が成立する見込みがないと判断された場合は、調停不成立となります。
なお、調停不成立後も相手と話し合うことはできますが、多くのケースでは、訴訟を提起し、離婚裁判で解決を図ります。
離婚裁判の終わらせ方としては、和解(お互いが譲歩しないながら話し合いが解決する)、認諾(被告が負けを認める)、判決(裁判官が一方的に判断をくだす)がありますが、約4割の夫婦が和解を選択していると言われています。
不倫で離婚するかどうか悩んだ場合の相談先
「離婚するかしないか決める」でも述べましたが、判断に迷った場合は一人で悩まず、以下の各種専門家に相談すべきです。
離婚カウンセラー(夫婦問題カウンセラー)
離婚カウンセラーは、特定非営利法人(NPO)日本家族問題連盟が認定する資格で、別名「夫婦問題カウンセラー」とも呼ばれます。
メンタル面からのカウンセリングを得意とし、以下で紹介する専門家との橋渡し役ともなってくれます。
そのため、相談することで精神的に楽になり、解決への道筋をつけることができる場合もあります。
他方で、行政書士や弁護士と異なり、法的な問題を解決してくれるわけではありません。
探偵人
「②不倫かな?と思った場合の対処法」でも述べたように、不倫を理由に離婚しよう、慰謝料を請求しようという場合は、まず何よりも優先して不倫の証拠を集めることが大切です。
この証拠集めで最も力を発揮してくれるのが探偵人です。
探偵人は刑事事件における警察官のような役割の人で、証拠集めのスペシャリストといってもよいでしょう。
ご自身での証拠収集に限界を感じた場合は、一度、相談してみるのもよいでしょう。
行政書士や弁護士と連携している探偵人に依頼すると、法的解決へとスムーズに移行することができるでしょう。
行政書士
行政書士は、書面を作成する際に力になってくれる専門家です。
たとえば、不倫した相手に、「今後、二度と不倫をしないこと」を誓約させる際の「誓約書」、不倫相手に慰謝料を請求する際の「内容証明」、協議離婚する際に作成する「離婚協議書」などの書面を作成してくれます。
また、行政書士が書面を作成する過程では、法的なアドバイスを受けることも可能でしょう。
もっとも、行政書士はあなたの代理人として相手と交渉することができません。
また、仮に、調停や訴訟まで発展した場合も、あなたの代理人として活動してくれるわけではありません。
弁護士
弁護士は、法的問題のみならずそれ以外の問題についてもアドバイスしてくれますし、書面作成やあなたの代理人として交渉、裁判での活動など、ありとあらゆることを行うことができます。
その分、弁護士費用はこの4者の中では最も高額となるのがデメリットといえます。
まとめ
不倫に至るには何かしらの原因があるはずです。
まずは、その原因が何なのか突き止め、関係改善に努めるのであればご自身なりの対処法を考える必要があるでしょう。
他方で、離婚、慰謝料請求を考えるのであれば、証拠を集めることから始める必要があります。
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