婚約破棄で慰謝料請求された!払わなくていいケースと対処法

婚約破棄をしたら相手から慰謝料請求された…どう対処すればいいのだろう」
「慰謝料を払わなくていいケースはあるのだろうか…

このようなことでお困りではないでしょうか。

先にお伝えしますと、婚約破棄をしたからといって、必ずしも慰謝料を支払わなければならないとは限りません。そもそも婚約が成立していない場合や、婚約破棄に正当な理由がある場合には、慰謝料の支払い義務は発生しないため、請求を拒否できる可能性があります。

この記事では、婚約破棄に詳しい弁護士が以下のポイントをわかりやすく解説します。

  • 慰謝料を払わなくてよいケースとは?
  • 慰謝料の相場や増減の要因は?
  • 請求された場合の正しい対処法
  • 慰謝料請求を回避・減額できた実際の解決事例

記事を最後まで読むことで、ご自身のケースで慰謝料を支払う必要があるのかどうか、どのように対応すればよいのかが明確になります

なお、「一人で対応するのが不安…」という方は、全国対応・相談無料の弁護士まで、まずはお気軽にご相談ください

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婚約破棄で慰謝料を請求された場合、支払義務はあるのか?

婚約破棄とは、婚約が成立した後に、一方が一方的にその婚約を解消することを指します。正当な理由がないまま婚約を破棄した場合には、損害賠償責任を負う可能性があります

慰謝料請求の法的根拠としては、婚約が将来の結婚を約束する契約の一種と解されることから、その約束を破る行為は契約違反(債務不履行)と評価され、これに基づく損害賠償請求が認められる場合があります。さらに、婚約破棄の態様が社会通念上著しく不誠実であると評価されるような場合には、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が認められることもあります。

不当な婚約破棄によって生じた損害には、式場のキャンセル料、引き出物や婚礼家具の購入費、新居の契約に要した費用などの実損に加え、精神的苦痛に対する慰謝料が含まれることがあります。

婚約破棄しても慰謝料を払わなくていいケースとは

前述のとおり、婚約が成立しているにもかかわらず、正当な理由なく婚約を破棄した場合には、慰謝料の支払義務が発生します。

しかし、次のような場合には、たとえ婚約を破棄したとしても、慰謝料を支払う法的義務はありません。

  • ①婚約がそもそも成立していない場合
  • ②婚約破棄に正当な理由がある場合
  • ③慰謝料請求権が時効により消滅している場合

それぞれのケースについて、以下で詳しく解説します。

①婚約が成立していない場合

婚約が成立していない場合には、婚約破棄を理由とする慰謝料請求は認められません

婚約とは、将来婚姻をするという真摯な意思の合致によって成立する契約の一種です。書面がなくても口頭の合意で成立する場合がありますが、「結婚できたらいいね」「いつか結婚したい」といった曖昧な発言は、婚約の成立を認めるには不十分です。

また、婚約の有無が争われた場合、当事者間の言い分だけでは証明が困難となることも多く、訴訟では客観的な事情を踏まえて判断されます。たとえば、以下のような事実があるかどうかが考慮されます。

  • 両親や親族、職場関係者など第三者に結婚の意思を表明していた
  • 新居を契約し、同棲を開始していた
  • 結婚式場を予約したり、婚約指輪の交換や結納を行っていた

こうした事情が認められない場合には、婚約の成立自体が否定され、慰謝料請求に応じる必要はありません。

なお、婚約の成立や不成立を主張する際には、客観的な証拠の有無が極めて重要です。たとえば、以下のような証拠が婚約の有無を裏付ける材料となり得ます。

  • 両家の顔合わせの写真や出席者名簿
  • 結婚式場の予約確認書や見積書
  • 婚約指輪の購入記録やレシート
  • 結納品の写真や納品書
  • 結婚に関するやり取りが記載されたLINEやメールのスクリーンショット

逆に、こうした証拠が存在しない場合には、「婚約は成立していなかった」と主張する上で有利な材料となることがあります。婚約の有無が争点となる場合は、これらの資料を可能な限り集めておくことが重要です。

②婚約破棄に正当な理由がある場合

慰謝料の支払義務が生じるのは、正当な理由がないまま婚約を破棄した場合に限られます。したがって、婚約破棄に合理的な事情がある場合には、慰謝料を支払う必要はありません

婚約破棄における「正当な理由」としては、次のような事情が挙げられます。

  • 相手に不貞行為(他の異性との性関係)があった
  • 相手が結婚前に行方不明となった
  • 相手から暴力や虐待を受けた(DV・モラハラなど)
  • 相手に性交不能など重大な性的問題がある
  • 回復の見込みがない精神疾患・重病を患った

これらはいずれも、結婚生活の前提が崩れる重大な事情であり、婚約破棄に対する正当な理由として認められる可能性が高いです。

一方、次のような理由では、原則として正当性は認められません。

  • 性格や価値観の不一致
  • 相手の家族とそりが合わない
  • 浪費癖がある
  • 家事が苦手、料理ができない

あくまで、客観的に見て婚約関係を継続することが著しく困難といえる事情が必要です。

③慰謝料請求権が時効により消滅している場合

婚約破棄に関する慰謝料は、たとえ請求されたとしても、時効が成立していれば、慰謝料を支払う必要はありません

この時効期間は、慰謝料の法的な位置づけによって異なります。慰謝料請求が「不法行為」に基づくものであれば3年、「債務不履行(契約違反)」に基づく場合であれば5年です。婚約破棄があった日から、それぞれの期間が経過すると、原則として請求権は消滅します。

どちらが適用されるかは、婚約破棄の状況や主張の仕方によって異なりますが、時効が成立していれば、慰謝料を支払わずに済む可能性があります

相手から突然慰謝料を請求された場合でも、まずは時効の有無を確認することが大切です。判断に迷う場合は、弁護士に相談して支払いの必要があるかを早めに確認するようにしましょう。

婚約破棄で慰謝料請求された場合の相場は?

婚約破棄に関する慰謝料には、法律上明確な"相場"が定められているわけではありません。しかし、過去の裁判例などをもとにすると、一般的には50万円〜200万円程度の範囲で認定されることが多いとされています。

もっとも、慰謝料の金額は一律ではなく、個別の事情をもとに判断されます。以下では、金額が減額される場合と高額化する場合の典型的な要因をご紹介します。

慰謝料が低く抑えられる・減額される可能性があるケース

以下のような事情がある場合、慰謝料の金額は比較的低く抑えられる可能性があります。

  • 交際・婚約期間が短い
  • 破棄された側にも一定の落ち度や原因がある
  • 結婚準備がほとんど進んでいない
  • 精神的・経済的な損害が限定的

慰謝料の金額はあくまで個別の事情によって決まるため、請求額がそのまま認められるとは限りません

慰謝料が高額になる主なケース

次のような事情がある場合、婚約破棄による慰謝料が高額になる傾向があります。

  • 交際・婚約期間が長い
  • 結婚の準備が進んでいた(式場予約、指輪購入など)
  • 相手が婚約を機に退職していた
  • 妊娠・中絶・出産があった
  • 婚約破棄によって健康状態が悪化した
  • 不貞行為や暴力など破棄した側に有責性がある

これらの要因が重なるほど、精神的・経済的損害が大きいと評価され、慰謝料も高額になる可能性があります。

請求された金額が妥当なのかわからない場合は?

裁判で認められる慰謝料には、ある程度の相場が存在します。とはいえ、慰謝料を請求する側が相場より高い金額を提示してくることは珍しくありません。請求されたからといって、必ずしもその金額を支払う義務があるわけではないことに注意が必要です。

なかには、減額交渉を見越して高めの金額を提示されるケースもあります。そのため、まずは請求の根拠や金額がどのように算出されているのかを確認しましょう。

ただし、慰謝料の妥当性を正確に判断するには、法的な観点からの検討が不可欠です。金額が妥当なのか判断がつかない場合や納得できない場合には、弁護士に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士であれば、金額の妥当性についての助言に加え、必要に応じて相手方との減額交渉や対応方針の策定までサポート可能です。

婚約破棄の慰謝料はどのように決まる?

婚約破棄に関する慰謝料は、まず当事者間での協議によって金額や支払方法が決められるのが一般的です。協議が成立した場合には、その内容を書面化し、合意書として残すことが推奨されます。支払いが分割など長期にわたる場合には、公正証書を作成しておくと、後日のトラブルを防ぎやすくなります。

一方で、話し合いがまとまらない場合には、損害賠償請求訴訟(裁判)によって決着を図ることになります。まれに民事調停が用いられることもありますが、最終的には裁判となることが多いため、早期に弁護士を介して協議を進めることが望ましいです。

婚約破棄の慰謝料請求をされた場合の対処法

婚約破棄をして慰謝料請求をされた場合の対処法は次の通りです。

  • ①無視はしない
  • ②婚約不成立または正当な理由のある婚約破棄であることを主張する
  • ③減額交渉をする

①無視はしない

相手から慰謝料を請求された場合、請求書や連絡を無視して放置するのは避けてください。

たとえ納得がいかない請求であっても、何の対応もしないままでいると、家庭裁判所に調停を申し立てられたり、民事訴訟を提起されたりする可能性があります。

特に、訴訟に発展し裁判所からの呼び出しを無視してしまうと、相手の主張が一方的に認められ、支払命令(判決)を受けて財産を差し押さえられるリスクもあります

調停の段階でも、あなたの立場や主張を明確にし、誠実に対応することで、慰謝料の金額を抑える結果につながることがあります。いずれにしても、無視する対応は避けるべきです。

②婚約不成立または正当な理由のある婚約破棄であることを主張する

調停や訴訟になった場合、あなたにとって重要なのは、「支払義務がないこと」を法的に主張・立証することです。

まず、婚約自体が成立していなかった場合には、慰謝料請求を拒否できます。婚約が成立していたかどうかは、原則として相手方(請求者側)が証拠をもとに立証すべき事項です。そのため、客観的な証拠がない場合には、あなたは「婚約不成立」であったことを主張できます。

また、婚約の成立は認めるとしても、破棄に「正当な理由」がある場合には、慰謝料の支払義務は生じません。たとえば、相手の不貞行為やDV、重大な経済的事情などが正当な理由として認められることがあります。

このような場合、正当な理由の存在を裏付ける証拠の提出が必要となるため、証拠の整理・準備は極めて重要です。

なお、調停や訴訟は慣れない手続きであり、ご自身だけでの対応に不安を感じる方も多いでしょう。請求を受けた段階で、できるだけ早く弁護士に相談し、主張の準備を進めることをおすすめします

③慰謝料が高すぎる場合は減額交渉をする

正当な理由がないと判断された場合でも、請求された金額をそのまま支払わなければならないとは限りません。事案の内容や経緯によっては、慰謝料の減額が認められる余地があります

婚約破棄の慰謝料額が高すぎると感じる場合には、まずはその金額が妥当かどうかを冷静に見極めることが大切です。たとえば、以下のような事情がある場合には、慰謝料の金額が抑えられる可能性があります。

  • 婚約や交際の期間が短かった
  • 相手方にも婚約破棄に至る原因や過失があった
  • 実際に発生した損害や精神的苦痛が比較的軽微であった

※これらの具体的な事情や判断基準については、前述の「慰謝料が減額される要因とは?」のセクションで詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

こうした事情をもとに、相手との交渉によって慰謝料の減額を図ることが可能です。
交渉や訴訟対応には専門的な判断が必要となるため、弁護士に依頼して対応することで、より有利な解決につながる可能性が高まります

婚約破棄で慰謝料請求されたが解決に至った事例

ここでは、婚約破棄を理由に慰謝料を請求された方が、弁護士に相談することで適切な解決に至った実際の事例をご紹介します。
ご自身の状況と似ているケースがあれば、解決の可能性を感じられるかもしれません。

慰謝料を減額できた事例|妊娠・中絶があったケース

この事案では、マッチングアプリで出会い交際を始めた男女間で、男性が一方的に婚約を破棄したとして女性から約400万円の慰謝料を請求されたものです。女性は男性の子どもを妊娠し、中絶を余儀なくされたことを主張していました。

ご相談を受けた弁護士は、以下の2点に着目しました。

  • 婚約の成立自体が曖昧であり、明確な証拠がなかったこと
  • 妊娠・中絶については男性にも一定の責任があること

女性側は訴訟を提起しましたが、交際中に何度も別れと復縁を繰り返していた経緯があり、婚約の成立が明確とは言い切れない状況でした。弁護士は粘り強く減額交渉を行い、最終的には約100万円の解決金を支払う内容で裁判上の和解が成立しました

慰謝料を支払わずに済んだ事例|親族トラブルによる合意解約

このケースでは、結婚準備の段階で男性側の親族が女性に対して度重なる干渉を行い、両者の関係が悪化。最終的に当事者同士で話し合いの末、婚約を解消することになりました。

ところが、後日になって相手方から一方的に「婚約破棄された」として慰謝料を請求される事態に発展しました。

弁護士は、婚約が双方の合意によって解消されたものであり、不当な婚約破棄ではないことを法律的に整理。丁寧な説明と交渉を行った結果、相手方は請求を取り下げ、慰謝料を支払うことなく解決に至りました。

婚約破棄をして慰謝料請求されたら弁護士に相談

婚約破棄を理由に慰謝料を請求されてしまった場合、「本当に支払わなければならないのか」「減額できる余地はないか」など、不安や疑問を感じる方は少なくありません。

婚姻とは異なり、婚約は明確な書面や届出によるものではなく、個別の事情や証拠から成立の有無が判断される非常にデリケートな問題です。そのため、婚約破棄に関する慰謝料トラブルでは、正確な法的知識と的確な主張・立証が不可欠です。

また、たとえ慰謝料の支払い義務がある場合でも、婚約期間の長さや相手方の行動などを踏まえれば、減額できる可能性は十分あります

こうした複雑な問題に対しては、婚約破棄トラブルに詳しい弁護士に相談することで、証拠の収集や交渉の方向性が明確になり、不安を軽減しながら最善の解決を目指すことができます。

当事務所では、婚約破棄に関するご相談を多数受けており、慰謝料請求への対応・交渉にも豊富な実績があります。
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