
婚約破棄をしたところ、相手方から慰謝料を請求され、「本当に支払わなければならないのか」「言われた金額を払うしかないのか」と不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もっとも、請求を受けたことと、支払義務があることは別の問題です。法的に婚約が成立していなかった場合や、婚約破棄に正当な理由が認められる場合には、そもそも支払義務が生じない可能性があります。
支払義務がある場合でも、請求額が過大であれば、減額の余地は十分にあります。
なお、慰謝料を請求する側の方は「婚約破棄の慰謝料はいくらもらえる?相場や請求できるケース」、すでに訴えを起こされている方は「婚約破棄で訴えられた!まずやるべき対応と解決までの流れ」をご覧ください。
この記事では、婚約破棄の慰謝料トラブルに強い弁護士が、以下の点について解説します。
- 慰謝料の支払義務が生じる2つの条件
- 婚約破棄で慰謝料を払わなくていい3つのケース
- 請求された場合に取るべき3つの対処法
- 弁護士の介入で慰謝料を回避・減額できた解決事例
なお、慰謝料について早急に対応したい方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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婚約破棄で慰謝料を請求された場合、支払義務はあるのか?
婚約を破棄したからといって、破棄した側に慰謝料の支払義務がただちに生じるわけではありません。支払義務が認められるのは、次の2つの条件をいずれも満たす場合に限られます。
- 法的に「婚約」が成立していたこと
- 正当な理由がないまま婚約を破棄したこと
婚約は将来の結婚を約束する契約の一種と解されており、正当な理由なくこの約束を破った場合には、契約違反(債務不履行)として損害賠償を求められることがあります。また、同じ行為が不法行為(民法709条)にあたるとして損害賠償を請求されることもあります。
不当な婚約破棄によって生じた損害には、式場のキャンセル料、引き出物や婚礼家具の購入費、新居の契約に要した費用などの実損に加え、精神的苦痛に対する慰謝料も含まれます。
婚約破棄で慰謝料を払わなくていいケース
双方の合意による「婚約解消」は婚約破棄とは異なり、原則として支払義務は生じません。もっとも、話し合って解消したつもりでも、後日になって相手から「一方的に破棄された」と主張されることは珍しくありません。相手が婚約破棄だと主張している場合でも、払わなくていいケースは次の3つです。
- ①婚約が成立していない場合
- ②婚約破棄に正当な理由がある場合
- ③慰謝料請求権が時効により消滅している場合
それぞれのケースについて、以下で詳しく解説します。
①婚約が成立していない場合
婚約が成立していない場合には、婚約破棄を理由とする慰謝料請求は認められません。
婚約とは、将来婚姻をするという真摯な意思の合致によって成立する契約の一種です。書面がなくても口頭の合意で成立する場合がありますが、「結婚できたらいいね」「いつか結婚したい」といった曖昧な発言は、婚約の成立を認めるには不十分です。
婚約の有無が争われた場合、当事者間の言い分だけでは証明が困難となることも多く、裁判では客観的な事情を踏まえて判断されます。たとえば、以下のような事実があるかどうかが考慮されます。
- 両親や親族、職場関係者など第三者に結婚の意思を表明していた
- 新居を契約し、同棲を開始していた
- 結婚式場を予約したり、婚約指輪の交換や結納を行っていた
こうした事情が乏しい場合には、婚約の成立が認められず、慰謝料請求に応じる必要がないケースもあります。
なお、婚約の成立や不成立を主張する際には、客観的な証拠の有無が結論を大きく左右します。たとえば、以下のような証拠が婚約の有無を裏付ける材料となり得ます。
- 両家の顔合わせの写真や出席者名簿
- 結婚式場の予約確認書や見積書
- 婚約指輪の購入記録やレシート
- 結納品の写真や納品書
- 結婚に関するやり取りが記載されたLINEやメールのスクリーンショット
逆に、こうした証拠が存在しない場合には、「婚約は成立していなかった」と主張する上で有利に働きます。婚約の有無が争点となる場合は、相手がどのような資料を持っているのかを早めに把握しておくことが重要です。口約束のみで婚約が成立するかどうかの判断基準については「口約束で婚約成立?婚約破棄で慰謝料請求できる?弁護士が解説」で詳しく解説しています。
②婚約破棄に正当な理由がある場合
婚約破棄に合理的な事情がある場合には、慰謝料を支払う必要はありません。
この合理的な事情が、婚約破棄の「正当な理由」にあたります。具体的には次のようなものが挙げられます。
- 相手に不貞行為(他の異性との性関係)があった
- 相手が結婚前に行方不明となった
- 相手から暴力や虐待を受けた(DV・モラハラなど)
- 相手に性交不能など重大な性的問題がある
- 相手が回復の見込みがない重大な精神疾患や重病を患った
これらはいずれも、結婚生活の前提が崩れる重大な事情であり、正当な理由があったと評価されやすくなります。
一方、次のような理由では、原則として正当性は認められません。
- 単なる性格や価値観の不一致
- 単に相手の家族と気が合わない
- 家事が苦手、料理ができない
あくまで、客観的に見て婚約関係を継続することが著しく困難といえる事情が必要です。
③慰謝料請求権が時効により消滅している場合
婚約破棄に関する慰謝料は、たとえ請求されたとしても、時効が成立していれば、慰謝料を支払う必要はありません。
時効期間は、慰謝料の法的な位置づけによって異なります。「不法行為」に基づく請求は、請求する側が損害と加害者を知った時から3年、「債務不履行(契約違反)」に基づく請求は、権利を行使することができることを知った時から5年です。いずれも起算点は請求する側が知った時点であり、通常は婚約破棄を伝えられた時点がその目安になります。
これとは別に、不法行為に基づく請求は婚約破棄の時から20年、債務不履行に基づく請求は権利を行使できる時から10年が経過した場合にも、請求権は消滅します(不法行為・債務不履行のいずれの場合も、2つの期間のうち先に到来したほうで時効が完成します)。
不法行為と債務不履行のどちらが適用されるかは、婚約破棄の状況や主張の仕方によって異なりますが、時効が成立していれば慰謝料の支払いを免れるケースも少なくありません。
相手から突然慰謝料を請求された場合でも、まずは時効の有無を確認することが大切です。判断に迷う場合は、弁護士に相談して支払いの必要があるかを早めに確認するようにしましょう。
婚約破棄の慰謝料請求をされた場合の対処法
請求された金額をそのまま支払わなければならないとは限りません。過去の裁判例をもとにすると、一般的には50万円〜200万円程度の範囲で認定されることが多いとされています。請求額がこれを大きく上回る場合は、減額を求める余地があります。
婚約破棄をして慰謝料請求をされた場合の対処法は次の通りです。
- ①無視はしない
- ②婚約不成立または正当な理由のある婚約破棄であることを主張する
- ③減額交渉をする
①無視はしない
相手から慰謝料を請求された場合、請求書や連絡を無視して放置するのは避けてください。
たとえ納得がいかない請求であっても、何の対応もしないままでいると、調停を申し立てられたり、民事訴訟を提起されたりするおそれがあります。
特に、訴訟に発展し裁判所からの呼び出しを無視してしまうと、相手の主張が一方的に認められ、相手の請求どおりの判決を受けて財産を差し押さえられるリスクもあります。
相手方の弁護士から内容証明や通知書が届いた場合の具体的な対応については「弁護士からの内容証明・通知書の連絡を無視はNG!対応方法を解説」で詳しく解説しています。
②婚約不成立または正当な理由のある婚約破棄であることを主張する
請求を受けた場合、あなたにとって重要なのは、「支払義務がない」といえる事情を整理して主張することです。
まず、婚約自体が成立していなかった場合には、慰謝料請求を拒否できます。婚約が成立していたかどうかは、原則として相手方(請求者側)が証拠をもとに立証すべき事項です。そのため、客観的な証拠がない場合には、あなたは「婚約不成立」であったことを主張できます。
一方、婚約の成立を認める場合でも、前述の「正当な理由」にあたる事情があれば、支払義務は生じません。この場合は、いつどのような出来事があったのかを時系列で整理し、それを裏付ける資料とあわせて示す必要があります。やり取りの記録や診断書など、手元に残っているものから先に確保しておきましょう。
請求を受けた段階で、できるだけ早く弁護士に相談し、主張の準備を進めることをおすすめします。訴訟に発展した場合の具体的な流れや対応については「婚約破棄で訴えられた!まずやるべき対応と解決までの流れ」もあわせてご確認ください。
③減額交渉をする
支払義務が認められる場合でも、請求額をそのまま受け入れるしかないわけではありません。事案の内容や経緯によっては、慰謝料の減額が認められる余地があります。
慰謝料を請求する側は、減額交渉を見越して相場より高い金額を提示してくることが珍しくありません。請求額が高すぎると感じる場合は、感情的にならず、まずその金額が妥当かどうかを冷静に見極めましょう。たとえば、以下のような事情があれば、慰謝料を減額できる根拠になり得ます。
- 婚約や交際の期間が短かった
- 破棄された側にも、婚約破棄に至る原因や落ち度があった
- 結婚の準備がほとんど進んでいなかった
- 実際に発生した損害や精神的苦痛が軽微であった
実際の裁判でどのような金額が認められているかについては「婚約破棄の裁判例25選|破棄の理由の実例や判決金額が分る」で具体的な事例を紹介しています。
こうした事情をもとに、相手との交渉によって慰謝料の減額を図ることが可能です。交渉には専門的な判断が必要となるため、弁護士に依頼することでより有利な条件での解決が期待できます。
交渉がまとまった場合は、合意した内容を示談書(合意書)として書面に残しておくことが大切です。支払う金額と支払方法に加えて、これ以上の請求は行わないという約束まで書面に残しておくと、後日の追加請求を防ぎやすくなります。
婚約破棄で慰謝料請求されたが解決に至った事例
当事務所の弁護士が介入し、婚約破棄の慰謝料トラブルを解決に導いたケースをご紹介します。
慰謝料を減額できた事例|妊娠・中絶があったケース
この事案では、マッチングアプリで出会い交際を始めた男女間で、男性が一方的に婚約を破棄したとして女性から約400万円の慰謝料を請求されたものです。女性は男性の子どもを妊娠し、中絶を余儀なくされたことを主張していました。
ご相談を受けた弁護士は、以下の2点に着目しました。
- 婚約の成立自体が曖昧であり、明確な証拠がなかったこと
- 妊娠・中絶については男性にも一定の責任があること
女性側は訴訟を提起しましたが、交際中に何度も別れと復縁を繰り返していた経緯があり、婚約の成立が明確とは言い切れない状況でした。弁護士は粘り強く減額交渉を行い、最終的には約100万円の解決金を支払う内容で裁判上の和解が成立しました。
慰謝料を支払わずに済んだ事例|親族トラブルによる合意解約
このケースでは、結婚準備の段階で男性側の親族が女性に対して度重なる干渉を行い、両者の関係が悪化。最終的に当事者同士で話し合いの末、婚約を解消することになりました。
ところが、後日になって相手方から一方的に「婚約破棄された」として慰謝料を請求される事態に発展しました。
弁護士は、婚約が双方の合意によって解消されたものであり、不当な婚約破棄ではないことを法律的に整理。丁寧な説明と交渉を行った結果、相手方は請求を取り下げ、慰謝料を支払うことなく解決に至りました。
婚約破棄の慰謝料についてよくある質問
婚約した覚えがないのに慰謝料を請求されました。拒否できますか?
法的に婚約が成立したと認められない限り、婚約破棄を理由とする慰謝料の支払義務は生じません。婚約の成立を主張するのは請求者側ですので、結納や婚約指輪の交換、両家の顔合わせなどの客観的事実がなければ、婚約の成立自体が認められないケースも少なくありません。「結婚できたらいいね」程度の発言だけでは、法的に婚約が成立したとは評価されにくいでしょう。
性格の不一致だけを理由に婚約破棄した場合、慰謝料を払う必要がありますか?
性格の不一致のみを理由とした婚約破棄は、原則として正当な理由とは認められず、慰謝料の支払義務が生じる可能性があります。ただし、相手から頻繁に非常識な言動をとられていたなど、性格の不一致の背景に婚約を継続しがたい具体的な事情がある場合には、正当な理由として認められる余地もあります。個別の事情によって結論が異なるため、判断に迷う場合は弁護士にご相談ください。
慰謝料の請求を無視したらどうなりますか?
慰謝料の請求を無視し続けると、相手方から訴訟を起こされるリスクが高まります。裁判所からの呼び出しにも応じなかった場合、相手の主張がそのまま認められ、預貯金や給与を差し押さえられるおそれがあります。請求内容に納得がいかない場合であっても、放置は最も不利な結果を招くため、早い段階で弁護士に相談して対応方針を決めることが大切です。
婚約破棄の慰謝料請求でお悩みの方は弁護士にご相談ください
婚約破棄をきっかけに慰謝料を請求された場合であっても、婚約の成立が認められないケースや破棄に正当な理由があるケースでは支払義務が生じません。支払義務がある場合であっても、交渉次第で大幅な減額に至ることは珍しくありません。
ただし、支払義務の有無や金額の妥当性を見極めるには法的な判断が欠かせません。弁護士に依頼すれば、相手方の主張に対する反論の組み立てから、証拠の整理、減額交渉まで一貫して任せることができ、ご自身で直接やり取りする精神的負担からも解放されます。
「ある日突然、相手の弁護士から通知が届いた」「請求された金額が妥当なのかわからない」など、お一人で判断がつかないまま時間だけが過ぎている方もいらっしゃるかもしれません。対応が遅れるほど相手方のペースで手続きが進み、不利な結果につながるリスクが高まります。
当事務所は、婚約破棄に関する慰謝料トラブルを数多く解決してきた実績があり、慰謝料の支払い回避や減額に向けた交渉を得意としています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お一人で抱え込まず、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

