このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。
先にお伝えしますが、女性の同意の有無に関らず、男性からの婚約破棄も法的に認められます。婚約はあくまでも結婚の予約契約であるため、離婚する場合のように別れるための事由(離婚事由)は法的に求められていないためです。もっとも、婚約も契約の一種ですので、正当な理由なく一方的に契約を破棄すれば法的責任、すなわち、損害賠償責任を負うことになります。
この記事では、婚約破棄の問題に強い弁護士が、上記内容につき詳しく解説するとともに、
- 婚約破棄を男からする理由
- 婚約破棄を男からする場合の注意点
について解説していきます。
なお、婚約破棄でトラブルが生じてしまいお困りの方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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婚約破棄を男からする理由
ここでは、当事務所に婚約破棄のトラブルでご相談に来られた男性から弁護士が聞いた、「婚約破棄をしたいと考えた理由」の中でも特に回答が多かったものを紹介します。ご自身に当てはめてみると共通する理由が見つかるかもしれません。もし女性がこの記事を読まれているようでしたら、婚約破棄をしたい男性心理を知ることができるでしょう。
①彼女に対する不満が溜まった
交際している最中には大きな問題はなかったものの、いざ結婚して夫婦になることを意識すると彼女に対する不満の数々が爆発してしまうことがあります。
彼女が料理ができない、掃除・洗濯をまったくしない、専業主婦を希望して一切外で働くつもりがないこと、など共同生活を続けていくのであれば、改善して欲しい点が多々出てくることは少なくありません。
このように、彼女に対する小さな不満が積もり積もって、婚約破棄につながるケースがあります。
②結婚にデメリットを感じ出した
「結婚にはデメリットばかり」と感じてしまう男性は少なくありません。
独身の間は、自分が稼いできた給料を趣味やレジャーにつぎ込んでも問題ありませんでした。彼女に使う予算も交際中であれば、たまの旅行やレストランにかかる費用くらいでしょう。
しかし、結婚すると家庭にお金を入れる必要があります。自由に飲み会に行くことも難しくなり、休日の過ごし方にも制限が出てくるおそれがあります。
③他の女性を好きになってしまった
結婚する前に婚約者以外の女性が気になったり、好きになったりしてしまう男性もいます。
結婚を直前に控えると、他の選択肢がより魅力的に映るという場合があります。
このような場合には、別の女性の方が彼女よりも好きだと感じたり、現在の彼女に対して不必要に不満を感じたりする可能性があります。
彼女のことをベストパートナーと思えなくなると婚約破棄という結論に至ることがあります。
しかし、女性にとって「君よりも好きな女性ができた」と言われてしまうのは、婚約破棄の理由の中でも精神的なショックが大きい部類でしょう。
④彼女の浮気が許せない
結婚適齢期には、多くの異性と交際しておくことが合理的だと考えられます。
このような理屈は女性に対してもあてはまりますが、他の男性と恋愛関係にあったことを許せない男性もいます。結婚しても他の男性を好きになる可能性を懸念して、婚約を破棄する決断に至る可能性があります。
今まで一途な女性だと思っていた彼女がそうではなかったと感じられることで、結婚できないと感じてしまう方もいます。
⑤結婚に対する重積に耐えきれなくなった
結婚することで発生する責任の重さに耐えかねて、婚約を破棄する人もいます。
男性の場合、結婚すると一家の大黒柱として、妻と子どもを経済的・精神的に支えていかなければならないと、大きな責任を感じる方もいます。
学生時代・独身時代には、勝手気ままに生活できていたけれど、結婚するとそうもいきません。家族を養っていくという責任に耐えかねて結婚することをためらってしまう人も少なくありません。
⑥友人・知人に結婚を反対された
友人や知人に結婚を反対されたことで、結婚を破棄する男性もいます。
しかし、結婚という重大なライフイベントを取りやめる場合、他人の意見に左右されたというよりは、他に隠れた理由が存在していることの方が多い印象です。結婚を破棄する場合、自分が矢面に立たないように、あえて「〇〇(友達)に反対されたから」という理由を後付けしている感もいなめません。
最終的に第三者の意見が本人の決断を後押しする結果になったと考えられます。
⑦彼女との共同生活は無理だと感じた
彼女との共同生活を無理だと感じた・嫌気がさしたような場合にも、結婚破棄につながる可能性があります。特に彼女が結婚前に「遊ぶのは今のうち」と言って、遊びまわっていると、今後一緒にやっていけるのか不安になる男性もいます。
結婚直前に羽目を外すのもいいですが、度が過ぎると彼氏に幻滅されて、結婚破棄の理由にされてしまうおそれがあります。
⑧彼女の希望や束縛が苦痛
誰しも理想の結婚感や将来の夢・目的を持っているものです。
ウエディングドレス・披露宴・結婚式・新婚旅行・マイホームと、理想を追い求めればどこまでも追及することができます。その後も家族サービスのあり方、子育て方針など、将来の夢や希望を事細かに指定してしまうと、引いてしまう男性もいます。
男性は将来にわたって束縛を受けると感じて、婚約破棄に至ってしまう可能性があります。
⑨彼女の経済的トラブルが発覚した
女性に多額の借金を抱えていたり、過度の浪費家であることが分かってしまうと婚約破棄につながるおそれがあります。
多額の負債を抱えて結婚しようとした場合、騙されていたと感じる男性は少なくありません。
特に、ブランド物や高級品ばかりを買って首が回らなくなっている彼女の場合には、結婚してお金の管理を任せるわけにはいきません。
⑩彼女の親族とトラブルになった
彼女との親族との間に人間トラブルを抱えた場合にも、婚約破棄の理由となりえます。
彼氏と彼女の親・親族がお互いを嫌っていたり、喧嘩をしたりしてしまうと、結婚後の親戚付き合いを続けることが億劫に感じてしまいます。
彼女の親が娘の彼氏に対して不満点や改善して欲しい点を逐一指摘することも不仲の原因になる可能性があります。
⑪彼女の家族に大きな問題があった
彼女の家族に大きな問題が発覚した場合にも婚姻破棄の原因になります。
例えば、親族に犯罪を犯した親族や、金銭トラブルを抱えている親族、経済状況が悪く自己破産をした親族がいる場合などには、そのような人と親類になりたくないと考える男性もいるでしょう。
この場合、問題のある親族のみならず、彼女のことも信用できなくなってしまうおそれがあります。
⑫彼女の親が過保護すぎる
彼女の親が過保護すぎる場合にも、関係が破綻する可能性があります。
結婚式やマイホームなどについて、過剰に口を出してきたり、本人たちの生活スタイルやお金の使い方についても介入してくる場合には、先が思いやられます。
彼女の親が過保護であることに端を発して、親族との関係が悪化する可能性もあります。
⑬彼女が相手の親と不仲の場合
彼女が彼氏の親と仲が悪い場合にも、婚約破棄につながる可能性があります。
特に彼氏が大事に育てられている場合や、自分の親の言うことを何でも聞く場合には、結婚するかどうかの判断にも影響を与える可能性があります。そのような場合、彼氏の親に反対されたことで婚約が破談になることがあります。
⑭親同士の仲が悪すぎる
まれに親同士の仲が悪いという場合もあります。結婚式や2人の住む場所などをめぐって意見の対立が起こるケースや、それぞれの親の言動に問題や偏見・差別意識があるケースでは、親族同士が不仲になってしまうことがあります。そのような場合には、当事者がそれぞれの親族の間で板挟みとなってしまうため、婚約が上手くいかなくなる可能性があります。
⑮結婚よりも優先したいことがあった
彼女のことは好きでも、仕事や趣味など結婚よりも優先したいことがあるとして、婚約破棄に至ることもあります。
男性と女性の結婚を望むタイミングは必ずしも一致するとは限りません。自分はまだ結婚したくないと彼氏が考える場合には、結婚の話が白紙になってしまう可能性があります。
⑯漠然とした不安
特に明確な理由はないものの、結婚に対する漠然とした不安を理由に、婚約が破談になることもあります。
経済状況や健康状態、生活スタイルなどさまざまな理由から結婚に積極的に踏み出せず、取りやめたいと考える男性もいます。
しかも漠然とした不安には、明確な理由がないことから有効な対処法がありません。
婚約破棄は男からでも認められる
婚約とは、男女が将来婚姻することを誠実に約束することで成立します。法律上では婚姻の予約契約が結ばれたものと考えられています。
しかし、婚約の破棄については、当事者の片方からの一方的な申し出によって行うことができるため、女性の同意の有無に関わらず白紙撤回することができるのです。
もっとも、婚約破棄が正当な理由に基づかない場合には、相手に賠償金の支払いを請求できるケースがあります。婚約とは、婚姻の予約という契約です。
そのため、契約に対して債務不履行がある場合には、損害賠償請求ができる場合があります。また、婚約破棄が他方に対する人格権などの権利・利益を侵害する場合には、不法行為に基づく損害賠償を請求できる可能性もあります。
婚約破棄に正当な理由がある場合とは、以下のような場合です。
- 女性側に不貞行為があった
- 女性から暴力を受けた
- 女性から常軌を逸した侮辱を受けた など
女性側に上記のような理由がある場合には、逆に女性側が賠償金を請求されてしまうおそれもあります。
婚約破棄を男からする場合の注意点
①後悔しないか気持ちを再確認する
婚約を破棄したあとから後悔する男性も少なくありません。
結婚に対する不安から彼女との婚約を破棄してしまったけれど、彼女以上に理想的な女性はいないことに気づく男性がいます。一般的に婚約破棄をする場合、事後的に彼女との関係を元に戻すことは難しくなります。不用意に婚約破棄をしてしまい後悔しないように気持ちの整理をしておきましょう。
②気持ちが固まったら出来るだけ早く女性に伝える
婚約を破棄する気持ちが固まった場合には、出来るだけ早く気持ちを伝える必要があります。
女性の場合には、婚姻適齢期・出産適齢期が存在しています。特に出産に関しては、高齢出産になると母体や胎児に大きな影響が発生してしまうリスクが上ってきます。そのため、相手との関係について曖昧な状態を続けていると、女性の貴重な時間を奪うことになります。
現在のパートナーと上手くいかないことが分かれば、次の出会いに向けて早めに再スタートを切ることができます。
③謝罪と誠意を尽くした説明をする
結婚を考えるまでの相手に別れを告げられた人の精神的ショックの度合いは計り知れません。
また、相手は両親や親戚、勤務先関係者、友人知人に婚約の事実を伝えていることも多いでしょうから、婚約破棄となれば恥ずかしい思いもするでしょう。
そのため、たとえ婚約破棄の原因が相手方にあったとしても、辛い思いをさせたことについてはしっかりと謝罪しましょう。
④正当な理由がある場合は証拠を保全しておく
婚約破棄に正当な理由がある場合には、証拠を保全しておくことが重要です。
女性から法外な慰謝料を請求された場合や、逆に男性から女性に対する慰謝料などの損害賠償を請求する際に、揉めた場合に備えて確たる証拠を持っておく必要があります。
正当な理由のある婚約破棄であることを証明するための証拠としては、以下のようなものがあります。
- 婚約者と浮気相手とのやり取りを記録したLINEやメールの文面
- 婚約者と浮気相手の会話・通話の録音データ
- 婚約者と浮気相手がホテル・自宅に出入りしている動画・画像
- 浮気相手から受けた暴行・虐待で病院に通院した通院記録
- 暴行・虐待の際の診療記録やカルテ
- 浮気相手からの暴言や侮辱を記録した録音 など
なお、ご自身が申し出た婚約破棄に正当な理由があるかどうか詳しく知りたい方は、婚約破棄で慰謝料を請求できる正当な理由と慰謝料相場も合わせて読んでみてください。
⑤女性とトラブルになったら弁護士に相談
婚約破棄を申し出たことで女性とトラブルになった場合には、弁護士に相談するようにしてください。
婚約を破棄したい旨を伝えたことで、女性が憤慨したり、感情的になったりしてまったく話し合いができない状況である場合や。不当に高額な慰謝料・迷惑料などを請求されている場合には、弁護士に対応を依頼すべきでしょう。
婚約破棄を皮きりに2人の関係が悪化した際には、嫌がらせを受けたり、相手がストーカー化してしまうというケースも存在しています。つきまとい・待ち伏せ・押し掛け、面会や交際の要求、乱暴な言動、無言電話や拒否しているにもかかわらず、何度も電子メール・SNSメッセージ・文書等を送信してくることも、ストーカー規制法上のつきまとい行為に該当します。
そのような場合には、彼女との対応については代理人である弁護士に一切任せて、相手と直接やり取りしないこともできます。
交渉のプロである弁護士であれば、冷静に話し合いを行ったうえで、女性との間のトラブルについても穏便に解決できる可能性があります。
まとめ
男性側が彼女との婚約を破棄したいのに、相手が拒否したり・法外な金銭を要求した利してくる場合には、すぐに弁護士に相談しましょう。
相手に破綻の原因がある場合には、慰謝料等の損害賠償請求ができるケースもあります。しかし、婚約破棄を受け入れてくれない相手に一人で対応するのにも限度があります。
そのような場合は、男女トラブルに強い弁護士に相談し、どう対処すべきかアドバイスを貰うとともに、必要に応じて弁護士に相手との対応を依頼しましょう。
男女トラブルに関する案件を多く取り扱った経験のある弁護士であれば、自分が相手に上手に伝えきれなかった気持ちを代弁してくれ、相手に別れを現実的に受け入れてもらえる可能性が高まるでしょう。
婚約を解消したいが、納得のいかないお金を請求されていたり、相手が同意してくれなくて困っている方は、弁護士が当事者の間に入って対応することで、スムーズにトラブルを解決できる可能性が高まります。
当事務所では、婚約破棄で生じる様々なトラブルの解決を得意としており多数の実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者のために全力を尽くして対応します。婚約破棄でお困りの男性の方はまずは当事務所までお気軽にご相談ください。
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