マリッジブルーとは、結婚を控えた人が間近に迫った結婚生活に突然不安や憂鬱を感じる精神状態を指す言葉です。
ここで、
このようにお考えになる方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、マリッジブルーが原因で婚約破棄をした場合には、婚約破棄をされた側は慰謝料請求ができる可能性が高いです。
この記事では、婚約破棄の問題に強い弁護士が、
- マリッジブルーとは
- マリッジブルーで婚約破棄をするとどうなるのか
- マリッジブルーの婚約破棄で後悔しないための乗り越え方
について詳しく解説していきます。
なお、マリッジブルーで婚約破棄をした方、逆に、婚約破棄をされた方で、この記事を最後まで読んでみたもののご自身では慰謝料や損害賠償の問題を解決できないと感じられた方は、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
マリッジブルーとは?
マリッジブルーの意味
マリッジブルーとは、結婚を控えた人が間近に迫った結婚生活に突然不安や憂鬱を感じる精神状態を指す言葉です。
本来結婚というものは、夫婦になるカップルが希望してするものですので、喜ばしいことのはずです。しかし、結婚によってこれまでの生活が大きく変わってしまうこともまた事実です。実家を出て夫婦2人で暮らし始めたり、新しい住まいで新生活を始めるカップルも多いでしょう。
そして、「自分が結婚する」という自覚が大きくなればなるほど、家庭を築くことへの不安や迷いが現れてくることがあります。
「本当にこのまま結婚してよいのか」「今ならまだ引き返せるのではないか」などという思いを巡らすことで精神的に落ち込んでしまう方は少なくありません。
そして、マリッジブルーと聞くと、女性特有の精神状態であると考えてしまう人が多いですが、男性であってもマリッジブルーになる可能性はあります。
結婚による精神的な影響については男女で異なります。女性の場合には、結婚式の直前やプロポーズの承諾後などに不安に襲われる方が多いですが、男性の場合は、経済的な不安やパートナーとしての適格などプロポーズする以前に不安に襲われてしまう方が多い印象です。
マリッジブルーの症状
気分が落ち込みやすくなる
マリッジブルーになった場合には、気分が落ち込みやすくなるという症状が見られます。
普段であれば軽く受け流せるようなことや発言についても、気になりはじめ、些細なことでもショックを受けてしまうというという精神状態に陥ってしまう方もいます。例えば、仕事でミスを指摘されたり、人間関係で意見が食い違ったりしただけでも、簡単に気分が落ち込んでしまい持ち直すのに時間がかかってしまう可能性があります。
男女問わず、結婚のことを考えると気分が落ち込みやすくなるという場合には、マリッジブルーになっているおそれがあります。
イライラする
結婚が近づく・結婚のことを考えると、イライラするという場合もマリッジブルーになっている可能性があります。
このような症状が見られる場合、気分が落ち込むケースとは異なり、攻撃的・感情的になる方が少なくありません。普段は気にならない事柄や相手の発言に対して、「どういうつもり?」「そんな態度をとるなんてひどい」という感情が溢れてくることになります。
イライラの症状が見られると、パートナーや周囲の人との口論や衝突が顕著になります。
やる気がなく疲れやすくなる
なんとなくだるい・やる気が出ない・いつも疲れている状態が増えた場合も、マリッジブルーになっている可能性があります。
例えば、これまでのように仕事に意欲的に取り組めない、身なりを気にしなくなった、食事も自炊が減り買ってきたもので済ますようになった場合には、マリッジブルーになっているおそれがあります。
マリッジブルーにより落ち込んだ気分が元に戻らないことによって慢性的な疲労感や倦怠感が持続している可能性があります。
食欲がない・眠れない
マリッジブルーになると、食欲がなくなり、不眠の症状が現れることもあります。
「以前に比べて食べる量が減った」「急激に体重が減った」という場合には、マリッジブルーになっている可能性があります。
また、眠りにつく前に結婚のことを考えると、悩みや不安がぐるぐる頭の中を巡り眠れなくなってしまうということもあります。眠れない場合には、スマホやタブレットを操作して気分を紛らわせようとする方がいますが、覚醒してしまい逆効果となるおそれがあります。
マリッジブルーになりやすい時期と期間
時期
マリッジブルーになりやすい時期については、個人差がありますが、一般的に結婚式の準備期間中や婚姻届の提出直前が多いと言われています。
結婚式の準備期間については、挙式や披露宴の打ち合わせや出席者への連絡・調整など、やることが非常に多くなります。新婦の場合には数あるウェディングドレスの中から理想にマッチするものを選ぶ必要があります。お色直しの衣装や花など新郎に比べて決めなければならないものが多いです。
衣装などについては男性の関心が低いこともあり、パートナーとの間に意見の食い違いが顕著に現れるということがあります。結婚式の準備に協力的な姿勢を示さない・相手の意見を尊重しない場合には、マリッジブルーの引き金になるおそれがあります。
また、婚姻届を提出する直前期は、今後の結婚生活について具体的にイメージするようになります。結婚生活が現実味を帯びてくると、「この結婚は正しいのか」「これから大丈夫だろうか」という不安に襲われる方が多くいます。
期間
マリッジブルーになる期間についても個人差があるため一概には言えませんが、一般的に数日〜1か月程度の期間が多い印象です。
多くの人は数週間以内に症状が改善されることが多いため、過度に心配する必要はありません。あくまで、結婚準備期における新環境に対する適応への不安感という一過性の症状に過ぎないということを理解しておくことが重要です。
しかし、ひどい場合には3か月〜半年程度症状が続いたという人もいるため、長期戦になる可能性もあります。
マリッジブルーの原因
結婚準備によるストレス・焦り
マリッジブルーになる原因として、結婚式の準備に対する不安や焦りが挙げられます。
結婚式の準備には、式場探しから始まり衣装選び、招待客のリストアップ・招待状の作成、引き出物選びなど期限内に決めなければならないことがたくさんあります。そのいずれにも費用がかかり、少しでもコストを浮かせようとすると自作で用意する必要があります。そうすると余計に時間や手間がかかりストレスや焦燥感が蓄積されてしまいます。
そのような中でパートナーに非協力的な態度を取られてしまうと、相手に対する不満・不平の気持ちが湧いてきてしまいます。このようなすれ違いがマリッジブルーの引き金となってしまうことがあります。
パートナーやその親族に対する不安
マリッジブルーの原因には、これから結婚するパートナーに対する不安もあります。
交際期間中には見えていなかったパートナーの一面が結婚式の準備などによって見えてくるようになります。特にこれまで別々に離れて暮らしていたカップルが婚約を契機に同棲を開始した場合、生活スタイルや価値観などのカルチャーギャップに驚くこともあると思います。
このような小さな積み重ねによって、ふと「本当にこの人で良かったのだろうか」と考えてしまうことがあります。
さらに、義理の父母になるパートナーの両親との関係への不安も、マリッジブルーの原因になりえます。相手の親の個性が強い場合には、「合わないかも」と考えて今後の関係性に不安を覚えることもあります。
このようにパートナーやその親族に対する不安が、マリッジブルーの原因になることがあります。
経済的な不安
結婚式や新生活に向けた準備は金銭的な負担も決して小さくありません。
そして、結婚後は夫婦が協力して生活を営んでいく必要があります。それぞれの稼ぎが少ない場合や、働いていない場合には、将来の生活に関して経済的な不安が立ち上がってきます。
さらに、パートナーの金遣いが荒い・ブランド物や貴金属を好んで買うといった場合には、家計を維持していくことに不安を感じる可能性があります。
夫婦で財布をひとつにする場合には、独身の時とは異なり自分が自由に使えるお金の範囲が少なくなってしまうとして、結婚に対して後ろ向きな気持ちを抱いてしまいます。
結婚後の生活に対する不安
経済的な不安に関わらず、パートナーとの今後の生活全般に対する漠然とした不安がある場合にも、マリッジブルーの原因になることがあります。
知り合いが減ったり、仕事が変わったりするとそれだけでストレスになります。
特に、結婚後に生活スタイルが大きく変わる場合には、大きな不安に駆られる方も少なくありません。これまで実家や家族の近くに住んで、親族に頻繁に会ったり援助を受けたりしていたけれど、結婚を機に別の地域に引越すような場合には、孤独感や孤立感を感じる可能性もあります。
生活環境が大きく変わる場合には、新しい生活に対する不安がマリッジブルーの原因になることがあります。
マリッジブルーを理由に婚約破棄したらどうなる?
マリッジブルーを理由に婚約破棄することは可能です。婚約は契約の一種ですが、結婚はお互いの婚姻意思が合致して初めて成り立つものです。そのため、一方が途中で結婚する意思を失った場合でも、それを強制することはできません。
しかし、マリッジブルーによって婚約を破棄した場合、相手から慰謝料・損害賠償責任を追及されるおそれがあります。
慰謝料請求される
マリッジブルーを理由に婚約を破棄した場合、相手から慰謝料を請求される可能性があります。
婚約とは、婚姻の予約という契約です。
そのため、契約に対して債務不履行がある場合には、損害賠償請求ができる場合があります。また、婚約破棄が相手の人格権などの権利・利益を侵害する場合には、不法行為に基づく損害賠償を請求できる可能性もあります。
そして、慰謝料とは、婚約破棄によって当事者が受けた精神的な苦痛という損害を補償するために支払われる賠償金のことです。
婚約破棄を理由に慰謝料請求をするためには、以下の要件が必要です。
- ①婚約が成立していること
- ②正当な理由なく婚約を解消したこと
そして、マリッジブルーによる婚約破棄は「正当な理由」には当たらない可能性が高いです。正当な理由については、婚約期間や婚約破棄に至った経緯、当事者が受けた被害の大きさなどさまざまな事情を考慮して判断されることになります。具体的には、次のようなケースでは婚約破棄に「正当な理由がある」と判断される可能性があります。
- 相手が自分以外の人と性的な関係があった
- 相手からDVやモラハラ被害を受けた
- 相手が自分を残して行方不明になった
- 相手が職業・勤務先を偽っていたり、年収に大幅な嘘があった など
他方で、マリッジブルーによる婚約破棄は、結婚間近の人を襲う漠然とした不安や憂鬱を原因とするものであり、性格の不一致や価値観の相違による婚約破棄と同様に、婚約破棄の正当な理由とはなりません。
婚約破棄に正当な理由について詳しくは、婚約破棄で慰謝料を請求できる正当な理由と慰謝料相場をご覧になってください。
慰謝料以外の財産的損害についても請求される
婚約の不当破棄によって財産的な損害が発生した場合には、相手から財産的損害の賠償を請求されるおそれがあります。賠償請求が認められるためには、婚約破棄行為によってその損害が発生することが社会通念上相当と認められる関係(相当因果関係)が必要とされています。
一般的に、婚約の不当破棄と相当因果関係が認められている損害には、以下のようなものがあります。
- 結納金
- 結婚式場のキャンセル料
- 新婚旅行のキャンセル料
- 結婚指輪の購入費
- 新居の購入費・賃貸費用
- 新居で使用する家具・家電の購入費
- 結婚を理由に退職した場合の逸失利益
- 妊娠・出産した場合の養育費 など
婚約破棄で後悔しないためのマリッジブルーの乗り越え方
マリッジブルーの期間は短期的、一時の気の迷いであることも多いため、婚約破棄をしてから後悔することがないようにする必要があります。婚約破棄で後悔しないためにはどのようにマリッジブルーを乗り越えればいいのでしょうか。
不安に感じていることを全て書き出してみる
マリッジブルーの症状に悩まされる場合には、不安に感じていることを全て書き出してみることが重要です。
漠然と「あれもこれも不安」と考えている精神状態は健全とは言えません。時間をとって実際に紙とペンで不安の原因を洗い出す作業は重要です。
紙に書き出すことで自分が何に悩んでいるのかについて正確に把握することができます。また、頭の中に不安を抱えている状態から、紙の上に移動させることで脳の容量に余裕が生まれます。頭の中に不安を溜め込んでいる状態から書き出すことで、悩みを客観的に捉えることができるため、人によってはこの書き出す作業をすることによって、気分が楽になるケースもあります。
不安を解消するために必要なことを書き出してみる
不安を紙に書きだした後は、その不安を取り除くために必要なことや行動を書き出してみてください。
例えば、「彼氏/彼女のマネーリテラシーが低い」という不安・悩みについては、「家計管理アプリを利用してお金の動きを見える化する」などの解決策を書いてみてください。解決方法・対策が思いつくことができる不安や悩みについては、必ず乗り越えることができます。
そして、すべての悩みについて解決策を思いつく必要もありません。解決策・解決方法が分からない悩みや不安についてのみ、今後は悩めばよいのです。
この作業によって悩むべき問題を減らすことができ、本当に大事な問題だけをピックアップすることができます。
家族や友人など信頼でいる第三者に相談する
両親や兄弟姉妹、友人など口が堅い第三者にマリッジブルーであることを相談することも効果的です。
中には過去にマリッジブルーを乗り越えた経験がある人もいるかもしれません。
相談相手からアドバイスをもらえ、自分だけでは見つけられなかった解決策を見つけることができるかもしれません。
十分な休息をとる
マリッジブルーと聞くと誰もが「心の不調」であると考えがちです。しかし、精神的に疲弊している場合には、肉体的な疲労が蓄積している可能性が高いです。
そのため、結婚式の準備や新生活の準備で疲れた体をしっかりと休ませる必要があります。
できれば、マリッジブルーであることをパートナーに伝えたうえで、一緒に休息をとれると理想的です。お互いの気持ちや状況を共有したうえで、協力してハードルを乗り越えていく必要があります。
パートナーとしっかりと話し合う
マリッジブルーに悩まされていることをパートナーに相談して、しっかりと話し合うことも必要です。
マリッジブルーの原因が何に起因していて、どうすれば不安を解消できるのかということを話し合ってください。
問題を解決する方法を探ることも重要ですが、それよりも重要なことは、お互いの不安や悩みを共有し理解するように努めることです。お互いに気持ちや考えを話し合う機会を設けることで、不安が一定程度軽減される可能性もあります。
理想の結婚生活を思い描いてみる
世の中の不安の9割は実現しません。不安を書き出して把握することができれば、次は理想の結婚生活を想像してみましょう。喜びや楽しみについても具体的に思い描くことが重要です。
「休日は夫婦でどのように過ごしたいのか」「2人で各地を旅行したい」など楽しい結婚生活を想像することで、前向きな気持ちになれるでしょう。
結婚生活には楽しみや喜びもたくさんあるはずです。考えすぎてマリッジブルーになってしまっている方は、ポジティブな思考を巡らすことでマリッジブルーを乗り越えることができます。
結婚のスケジュールを見直してみる
マリッジブルーの症状がひどく不安が解消できないという場合、結婚のスケジュールを見直すことも検討してください。
まずは、スケジュールを再確認して整理することで、優先度の高いことだけに取り組み、負担になっていることは中止するなどして、無理のないスケジュールに組み直すことが重要でしょう。
慰謝料などお金のことで話し合いがつかない場合は弁護士に相談
マリッジブルーを理由に婚約を破棄した場合など金銭トラブルが発生した際には、弁護士に相談するようにしてください。
ご自身が請求する側・される側のいずれであっても、弁護士を入れることにはメリットがあります。弁護士が当事者の間に入ることで、スムーズかつ迅速に婚約破棄の問題を解決できる可能性が高まります。また、解決内容・方法についても弁護士によるサポート・アドバイスを受けられるため、合理的な内容で解決することが期待できます。
婚約破棄の問題は精神的な負担が大きく、周囲の人たちにも心配や迷惑をかけるおそれがあります。婚約破棄に正当な理由がない場合には、慰謝料を請求されてしまうリスクもあります。弁護士を介入することで任意の話し合いや、裁判手続きについても対応を任せておくことができます。
まとめ
以上この記事では、マリッジブルーの症状や原因、その乗り越え方について解説しました。
マリッジブルーは婚約破棄の正当な理由とは認められないことが一般的です。そのため、双方が納得したうえで婚約を解消できない場合には不当破棄として慰謝料を請求されてしまうおそれがあります。
婚約破棄トラブルでお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。婚約破棄は双方にとって大きな傷となります。対立関係が明らかになった場合には、対応を代理人弁護士に依頼することが良いでしょう。
当事務所では、婚約破棄に伴うトラブルの解決を得意としており、豊富な解決実績があります。親身に誠実に弁護士が依頼者のために全力を尽くしますので、マリッジブルーで婚約破棄をされた方や婚約破棄をした方でお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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