婚約破棄で指輪はどうする?返す必要があるかは原因で決まる

「婚約破棄になったら、婚約指輪は返さないといけないの?」「贈った指輪は返してもらえるの?」と、その後の指輪の扱いに迷っていませんか。婚約指輪は原則として返す必要がありますが、婚約破棄の原因が主に指輪を贈った側にあるときは返す必要はありません。返す必要があるかどうかは、婚約破棄の原因がどちらにあるかで決まります。

相手から突然「指輪代を現金で払ってほしい」と言われた方や、すでに売ってしまって不安な方もいるでしょう。現物で返せばよいのか、お金で清算しなければならないのかも、原因の所在や、指輪が手元に残っているかによって変わってきます。

この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 指輪を返す必要があるケース・ないケース
  • 指輪代を請求されたときや売却済みのときの扱い
  • 返さなくてよい指輪を保管・売却してよいか
  • 結納金・慰謝料も含めた合意書での清算

お読みいただくことで、自分の立場で返すべきか、返してもらえるのかを判断し、相手と話し合う前に何を確かめておけばよいかを整理できます。

なお、指輪の返還や指輪代の請求でお悩みの方は、おひとりで抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。

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婚約破棄で指輪は返す必要がある?原因がどちらにあるかで変わる

婚約指輪を返すべきかどうかは、どちらが婚約破棄の原因を作ったかによって結論が変わります。原則は返すことになりますが、指輪を贈った側に原因があれば、受け取った側は返さなくてよいと考えられています。

原因ごとの結論を図にまとめると、次のとおりです。

婚約破棄で指輪を返すかどうかの判断(贈った側に原因なら返さなくてよい・受け取った側に原因なら返す・双方に原因なら責任の重さで決まる・原因なしや合意での解消なら現物を返すのが基本)

婚約指輪は結婚を前提とした贈与なので原則は返す

婚約指輪を贈ることは、法律上は「贈与」(無償で物を与える契約)にあたります。ただし、何の前提もない贈り物ではなく、二人が結婚することを前提として贈られたものと考えられています。

ここでいう前提とは、結婚に至らなかったときには贈与の効力がなくなる、ということです。将来起こるかどうか分からない出来事が起きたときに効力がなくなる契約を「解除条件付き」の契約といい、婚約指輪の場合は、婚約破棄がこの条件にあたると考えられています。解除条件付きの契約は条件が成就した時から効力を失うため(民法127条2項)、婚約が破棄されると、指輪の贈与も効力を失います。

効力を失った贈与契約で受け取った指輪は、法律上の理由なく手元にある利益(不当利得)となるため、贈った側は受け取った側に指輪の返還請求ができます(民法703条)。つまり、婚約破棄となった場合、受け取った側は原則として指輪を返さなければなりません。婚約指輪に限らず、贈り物の返還義務について詳しくは「あげたものを返せと言われたら法律的に返す義務はある?」で解説しています。

婚約破棄で指輪の返還を求められた場合は、指輪の現物を返却するのが一般的です。「購入店に返品もできないし、物で返されても困るから指輪代金相当を払え」と言われても、手元に指輪があるなら、原則として現物を返却すれば足ります。ただ、婚約破棄の原因が受け取った側にあり、指輪をすでに手放していたときは、指輪代に相当するお金の支払いを求められることもあります。

婚約中に二人で用意した結婚指輪も、結婚を前提に用意したものとして、婚約指輪と同じように婚約破棄の原因がどちらにあるかで整理されることが多いです。ただし、誰が費用を出したかなどによって扱いが変わることがあります。

なお、ここで説明している返還の考え方は、二人の間で婚約(結婚の約束)が成立していたことが前提です。どのような事情があれば婚約があったと認められるかについては「口約束で婚約は法的に成立する?婚約破棄の慰謝料は請求できる?」をご参照ください。

贈った側に原因があれば返さなくてよい

指輪を贈った側の浮気やDV、正当な理由のない一方的な婚約破棄など、婚約破棄の原因を専ら贈った側が作った場合には、受け取った側は婚約指輪を返却する必要はありません。

結納(婚約のしるしとして贈る金銭や品物)の返還について、次の判例があります。

結納の授与者が自らの有責事由によって婚姻不成立の事態を招来したり、あるいは正当な事由もないのに婚約を破棄した場合には、信義則上、授与者はその返還を求め得ないと解すべきである。

出典:大阪地裁 昭和43年1月29日判決

婚約指輪の授受も結納と同様の性質を持つことから、自分で婚約破棄の原因を作った側が指輪の返還を求めることは、信義則(権利の行使や義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならないという民法1条2項の原則)に反すると考えられています。

受け取った側に原因があれば返す必要がある

反対に、指輪を受け取った側が浮気をした、正当な理由もなく一方的に婚約をやめたなど、婚約破棄の原因が受け取った側にあるときは、原則どおり指輪を返す必要があります。贈った側は、返すよう求めることができます。

気をつけたいのは、指輪をすでに手放していた場合です。婚約破棄の原因が受け取った側にあり、すでに売ったり処分したりしていた場合は、購入価格に相当する金額の賠償を求められることがあります(金額は購入価格そのままとは限りません)。

双方に原因があれば責任の重さで決まる

婚約破棄の原因が双方にある場合は、どちらの責任がより重いかによって、指輪を返す必要があるかが変わります。この点についても、結納の返還に関する次の判例が参考になります。

結納者及び結納受領者双方に婚約解消についての責任が存するときは、信義則上ないし権利濫用の法理からして、結納者の責任が結納受領者の責任より重くないときに限り結納等の返還を許し、より重いときはその返還を請求することはできないと解するべきである。

出典:福岡地裁小倉支部 昭和48年2月26日判決

権利濫用の法理とは、形のうえでは権利の行使であっても、社会的に許されない使い方は認めないという考え方です。婚約指輪と結納は同様の性質を持つことから、贈った側の責任が受け取った側の責任より重くなければ指輪を返す必要があり、贈った側の責任のほうが重ければ返さなくてよいことになります。

どちらの責任が重いかは、婚約破棄に至るまでの経緯や二人のやり取りを踏まえて判断されます。

どちらにも原因がない・話し合いで解消したなら現物を返す

価値観の違いなどから話し合って婚約解消に至った場合や、どちらにも婚約破棄の原因があるとはいえない場合は、原則どおり指輪を返すことになります。

この場合も、手元に指輪があれば現物を返せば足り、指輪代まで支払う必要はないのが一般的です。もっとも、返すかどうかや返し方は当事者の話し合いで決めることもできるので、決めた内容は後で触れる合意書(話し合いで決めた内容をまとめた書面)に残しておくと安心です。

返さなくてよい指輪は保管・リメイク・売却してもよい

婚約破棄を招いたのが贈った側であるなど、指輪を返す必要がない場合、その指輪は受け取った側のものとして扱われます。そのまま身につけても保管しておいてもよく、デザインを作り替えるリメイクに出すことも、売ったり処分したりすることも、受け取った側が自由に決められます。

ただし、原因がどちらにあるかで相手と争いがあるうちに売ると、後から指輪の値段分のお金を支払うよう求められるおそれがあるため、売ったり処分したりする前に、話し合いの結論が出るのを待つほうが安全です。

婚約指輪は思い出の詰まった品でもあるため、婚約破棄後は手元にあるだけでつらいと感じる人もいるでしょう。気持ちの整理がつかないときは、すぐに結論を出さずに保管しておき、落ち着いてから手放すかどうかを考えるのも一つの方法です。

婚約破棄で指輪・結納金・慰謝料を清算するときは合意書を作る

婚約破棄では、婚約指輪や結婚指輪のほかにも結納金や結婚式場のキャンセル料、慰謝料など、清算が必要なお金が出てくることがあります。口約束だけで済ませると、後から「まだ返してもらっていない」「話が違う」と争いが再燃するおそれがあるため、話し合いがまとまったら、その内容を合意書(示談書)に残しておきましょう。

合意書には、指輪を返すかどうか、返す場合の方法と期限、送料などの費用をどちらが負担するかを書きます。最後に「この合意書に定めるもののほか、互いに何も請求しない」という清算条項を入れておくと、後から別の請求をされることを防ぎやすくなります。

結納金を渡していた場合も、指輪と同じく、婚約破棄の原因がどちらにあるかで返す必要があるかが変わります。上で紹介した2つの判例も、もともとは結納の返還について判断しています。

結婚式場のキャンセル料や新生活のために用意した費用など、結婚に向けて支出したお金も、婚約破棄の原因を作った側に損害賠償請求ができる場合があります。

慰謝料は、指輪の返還とは別の請求です。理由もなく一方的に婚約をやめられた側や、相手の浮気などが原因で婚約破棄に至った側は、精神的苦痛に対する慰謝料請求ができる可能性があります。指輪を返した、あるいは返してもらったからといって慰謝料の問題が片づくわけではないので、合意書ではあわせて取り決めておくことが大切です。慰謝料の金額や請求できるケースについては「婚約破棄の慰謝料はいくらもらえる?相場や請求できるケース」で解説しています。

話し合いの前には、婚約していたことや、婚約破棄の原因が相手側にあることを示すLINE・メールなどのやり取りと、指輪を購入したときの領収書や保証書などの書類を確認しておきましょう。相手が原因を認めない場合や、示された金額に納得できない場合に、自分の言い分を裏づける証拠になります。

婚約破棄の指輪トラブルは弁護士にご相談ください

婚約指輪の扱いは、婚約破棄を招いたのがどちらかで結論が分かれます。返さなくてよい指輪は手元に残せますが、自分の側に原因があるのにすでに売ってしまった場合は、購入価格に相当する金額を求められることもあります。

ただ、どちらに原因があるかをめぐって言い分が対立すると、当事者どうしでは話し合いが進まないこともあります。弁護士が間に入れば、経緯を法的な観点から整理したうえで解決を目指せます。指輪だけでなく、結納金や慰謝料も含めて合意書の形でまとめることができます。

婚約破棄は気持ちの面でも負担が大きく、相手と直接やり取りすること自体がつらい場合もあるでしょう。「指輪代を支払うよう求める内容証明が届いた」「贈った指輪を返してもらえない」といった状況でしたら、おひとりで抱え込まずにご相談ください。

当事務所は、婚約破棄に伴う男女トラブルの解決に力を入れています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

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不倫慰謝料、婚約破棄、妊娠トラブル、パパ活トラブル、元交際相手からのつきまといなど、男女トラブルのご相談に力を入れて取り組む。慰謝料を請求する側・請求された側のどちらのご相談も、お話を丁寧に伺ったうえで、相手方との交渉や調停・訴訟など状況に応じた手段を検討する。「家族や職場に知られたくない」といった事情にも配慮して対応している。

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