賭博罪とは?該当行為・罰則・時効を弁護士がわかりやすく解説

賭博罪(とばくざい)とは、金銭や物品を賭けて偶然の勝敗を争うギャンブルや賭け事を行うことで成立する犯罪です。仲間内で行う賭け麻雀・賭けポーカーや、海外サイトを通じたオンラインカジノなども、原則として賭博罪に該当します。

「友人同士の少額の賭け事は大丈夫では?」「海外のオンラインカジノなら日本の法律は関係ないのでは?」と考えている方もいるかもしれませんが、日本の刑法では金額の多寡や国境を越えた利用であっても賭博罪が成立する可能性があります。

この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 賭博罪が成立する2つの要件
  • 賭博罪にあたる行為・あたらない行為
  • 賭博罪3類型の罰則と時効
  • 逮捕された場合の流れと不起訴を目指す方法

なお、賭博罪についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。

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賭博罪の構成要件

賭博罪は、自分の財産を自分の好きなところに投入しているだけで他人の権利を侵害するわけではないにもかかわらず、なぜ処罰されるのでしょうか。判例によれば、賭博が国民の勤労意欲を損ない、また暴行・脅迫・窃盗などの副次的犯罪を誘発するおそれがあるためとされています(最高裁判所大法廷昭和25年11月22日判決)。

賭博罪の構成要件(成立要件)は次の通りです。

  • ①偶然の勝敗により財物の得喪を争うこと
  • ②一時の娯楽に供する物ではない財物を賭けていること

①偶然の勝敗により財物の得喪を争うこと

「賭博」とは、「偶然の勝敗」によって「財物や財産上の利益」について「得喪を2人以上の者が争う」行為をいうと考えられています。

「偶然の勝敗」とは、勝敗が偶然に左右されることで、当事者において勝敗が確実に予見できず、自由に支配し得ない状態によって勝敗が決まることをいいます。将棋・囲碁、スポーツのように勝敗が技量の巧拙・能力の有無によって影響を受ける場合であっても、その日の本人の体調や運といった少しの偶然で勝敗が左右される余地があれば「偶然の勝敗」によると言えます。実際の判例でも、将棋(大判昭和12年9月21日)や囲碁(大判大正4年10月16日)のような能力が勝敗に大きく影響するゲームであっても、多少の偶然性が認められるとして「偶然の勝敗」にあたると判断されています。

なお、片方の当事者だけがあらかじめ結果を操作できるようないわゆるイカサマ行為の場合、そもそも勝敗が偶然によらないため賭博罪は成立せず、代わりに詐欺罪(刑法246条)の問題となります。

「財物または財産上の利益」とは、お金以外にも、宝石やブランド品、ゲームのトレーディングカードなど一定の財産的価値を有するものが含まれます。オンラインゲームにおけるアイテムの取得なども財産上の利益に含まれる場合があります。

「得喪を争う」とは、勝者が財物を得て、その反対に敗者がそれを失うことをいいます。賭博が成立するためには双方に負けるリスクがあることが前提です。この点から、当事者の一方が危険を負担せずに常に利益を取得する仕組みの場合には賭博罪とはなりません。

そのため、景品や現金が当たるビンゴゲーム・福引・懸賞などは、「偶然の勝敗によって財産の獲得を争う」面はあるものの、参加者が自分の財産を失う危険を負担していない以上、賭博にはあたりません。

②一時の娯楽に供する物ではない財物を賭けていること

また刑法185条では、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は、例外的に賭博罪の成立が否定されています。

「一時の娯楽に供する物」とは、即時娯楽のために費消するような寡少なもののことを指します。

このようなものの典型例は、食事やタバコなどを賭けるケースです。このような場合には可罰的違法性が乏しいと考えられているため処罰を否定する趣旨で規定されています。

たとえば「負けた人が勝った人に自動販売機の飲み物をおごる」ような、じゃんけんで飲食物そのものの負担を争う行為は、「偶然の勝敗により財物の得喪を争う場合」にあたりますが、賭けているのが即時に費消される飲食物であるため賭博罪は成立しません。また同様に、料理の支払いを賭けて争うテレビ番組企画(「男気じゃんけん」「ゴチになります」など)が賭博として摘発を受けないのも「一時の娯楽に供する物」だと考えられているからです。

他方で、金銭や金券、宝石等の装飾品、ブランド品、オンラインゲームのアイテムなど、その場で費消されるものではなく長期的に価値を有するものを賭けの対象とした場合には賭博罪に該当します。

なお、「賭博罪が成立するのは賭け金がいくらからなのか。賭け金の金額が何円までなら罪に問われないのか」と考える方もいるかもしれませんが、判例(最高裁昭和23年10月7日判決)によると、金銭は、賭ける金額が少額であっても「一時の娯楽に供する物」ではないとされています。

賭博罪で逮捕される可能性がある行為・逮捕されない行為

逮捕される可能性がある行為

前述の通り、判例では、金銭は賭ける金額が少額であっても「一時の娯楽に供する物」ではないとされていますので、僅かな金額であっても金銭を賭けて以下のような賭博を行えば賭博罪に問われることになります。

  • 賭け麻雀・賭け花札・賭け将棋・賭けポーカー(トランプ)
  • 賭けゴルフ・賭けボウリング
  • 丁半博打・チンチロ
  • 闇スロット・違法パチスロ
  • 裏カジノ・オンラインカジノ
  • 野球・ボクシング・格闘技等のスポーツ賭博
  • 換金性のあるオリパ(オンラインオリパを含む)・NFTガチャ など

もっとも、捜査機関も家族間といった身内や、サラリーマン、学生、友達同士が行っているような些細・軽微な賭け事を逐一、検挙・逮捕しているわけではありません。可罰的違法性の小ささや、捜査機関のマンパワーの問題も絡んでくるためです。

近年はトレーディングカードのオリパ(オリジナルパック)やNFTガチャといった新興の仕組みにも摘発事例があり、封入カード・NFT等の景品に換金性が認められれば賭博罪の対象となります。ゲーム内の「有償ガチャ」も仕組み次第で議論の対象となりますが、現状では景品の換金性がないため賭博罪には該当しないとされています。

検挙される可能性が高いのは、その賭博がヤクザなど反社会的勢力の資金源となっているパターンです。反社会的勢力が絡む賭け事に関与した場合、逮捕のリスクは格段に高まります。

逮捕されない行為

以下で挙げる行為は特別法でこれを行うことが認められており、所轄省庁の承認を得て運営されていることから、違法性がなく、逮捕される心配もありません。

公営ギャンブル(競馬・競輪・競艇・オートレース)

賭博罪に当たらないものの中に、公営競技・公営ギャンブルというものがあります。

公営競技とは競馬・競輪・競艇・オートレースです。競馬には「競馬法」、競輪には「自転車競技法」、競艇には「モーターボート競走法」、オートレースには「小型自動車競走法」という根拠法が制定されており、それぞれ違法性が阻却されているため賭博罪の対象とはならないのです。

宝くじ

「宝くじ」とは、当せん金付証票法に基づき発行されている富くじのことです。ロトやナンバーズ、年末ジャンボ宝くじなどがそれにあたります。宝くじは同法により適法に運営されており、浮動購買力を吸収して地方財政資金の調達に役立っていると説明されています。法に基づいて販売されている以上、販売者・購入者双方とも当然逮捕されることはありません。なお、サッカーやバスケットボールの試合結果を予想するスポーツ振興くじ(toto、BIG等)は、スポーツ振興投票の実施等に関する法律という別の法律に基づき運営されており、こちらも賭博罪の対象とはなりません。

ただし、宝くじを発売できるのは、同法で定められた都道府県と指定都市に限ります。個人や一般の会社等が発売すると「富くじ発売罪(刑法187条1項)」により処罰されます。

(富くじ発売等)
第百八十七条 富くじを発売した者は、二年以下の拘禁刑又は百五十万円以下の罰金に処する。
(省略)

刑法 | e-Gov法令検索

パチンコ

パチンコ店は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」によって営業が認められていることから、パチンコ店経営者も利用者も罪に問われることはありません。

風営法では現金・有価証券を商品として提供することは認められていません。しかしパチンコ店の周辺には、パチンコで得た特殊景品を買い取る景品交換所が設置されています。パチンコ店・景品交換所・景品問屋の3つの業者を経由することで、パチンコをした者は違法性を問われない形でパチンコ玉を現金化できます。

(遊技場営業者の禁止行為)
第二十三条 第二条第一項第四号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)を営む者は、前条第一項の規定によるほか、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
一 現金又は有価証券を賞品として提供すること。
(省略)

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 | e-Gov法令検索

このような方法を「三店方式」と言います。しかしこの三店方式については賭博罪の脱法行為ではないかという意見も依然として主張されています。

オンラインカジノ(オンカジ)は賭博罪で違法になる?

海外の事業者が運営するオンラインカジノ(オンカジ)であっても、日本国内からアクセスして利用すれば賭博罪が成立します。「サーバーが海外にあれば合法」「日本では取り締まれない」といった情報がネット上で拡散されていますが、これは明確な誤りです。

日本の刑法は、「日本国内において罪を犯したすべての者に適用する」(刑法1条1項)とされており、賭博行為の一部が日本国内で行われている以上、カジノ事業者が海外にあっても日本の賭博罪が適用されるというのが警察庁や政府の公式見解です。令和6(2024)年のオンラインカジノ関連の摘発件数は全国で279人と、令和4年の約4.7倍に急増しており、仮想通貨の追跡や有名人の書類送検事例も相次いでいます。

オンラインカジノの違法性・摘発されやすいケース・利用してしまった場合の具体的な対処法については、「オンラインカジノは違法!罰則と逮捕リスク・利用した場合の対処法」で詳しく解説しています。

賭博罪の3つの種類と罰則

賭博罪は、その態様に応じて単純賭博罪・常習賭博罪・賭博場開帳等図利罪の3つに分けられ、それぞれ罰則の重さが異なります。まずは3類型を一覧で確認してから、それぞれの成立要件と刑罰を解説します。

罪名 刑罰 どんな人が問われるか
単純賭博罪 50万円以下の罰金又は科料 賭け麻雀や違法パチスロなどに一度でも参加した客
常習賭博罪 3年以下の拘禁刑 反復継続して賭博を行う習癖のある者
賭博場開帳等図利罪 3月以上5年以下の拘禁刑 違法カジノや闇スロ・オンカジ運営の主宰者

単純賭博罪(50万円以下の罰金又は科料)

単純賭博罪(刑法第185条)とは、「賭博をした者」に成立する犯罪です。賭博場や遊興施設で実施されているような大々的なものでなくとも、個人間の賭け事であっても賭博に該当するため摘発の対象となります。

単純賭博罪で逮捕されるのは、違法な裏カジノのような場所で賭博行為をしていたり、高額な金銭・財産を賭けて賭博をしたりしている場合です。

単純賭博罪が成立する場合には、「50万円以下の罰金または科料」が科せられます。法定刑に拘禁刑の規定がないため、仮に有罪となっても刑務所に収監されることはありません。単純賭博罪の初犯であれば、起訴猶予による不起訴処分や、略式起訴による罰金刑で終わるケースが多く見られます。

ただし個人間の賭博については金額が非常に低額な場合や一時的な場合には逮捕まではされていないケースが大半です。この点は、前述の通り、可罰的違法性の小ささや、捜査機関がマンパワーを割く司法経済の問題がかかわる微妙な領域です。

(賭博)
第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

常習賭博罪(3年以下の拘禁刑)

「常習として賭博をした者」は常習賭博罪(刑法第186条1項)が成立します。この「常習性」については、賭博を反復継続する習癖がある者を指し、必ずしも博徒(賭博によって生計を立てている者)だけを指すわけではありません。

賭博の「常習性」については、賭博の種類、かけ金の多寡、賭博が行われた期間・度数、前科の有無など諸般の事情を斟酌して裁判所が判断することになります。長期間営業を継続する意思で多額の資金を投下して賭博遊技機を設置した遊技場の営業を開始した者にも「常習性」が認められています。

常習賭博罪が成立した場合には、「3年以下の拘禁刑」が科されます。法定刑に罰金の選択肢がないため、常習賭博罪では初犯であっても執行猶予付きの拘禁刑判決が下されるのが一般的で、賭博の規模・頻度・前科状況によっては実刑となる可能性も否定できません。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の拘禁刑に処する。
(省略)

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賭博場開帳等図利罪(3月以上5年以下の拘禁刑)

「賭博場を開帳し」または「博徒を結合し」利益を図った者には、「賭博場開帳等図利罪(とばくじょうかいちょうとりざい)(刑法第186条2項)」が成立します。

「賭博場を開帳」とは、利益を図る目的で犯人自ら主宰者となって賭博をする場所を開設することを指します。「利益を図る目的」とは、賭博者から寺銭(てらせん)や手数料等の形で、賭博場を設けた見返りとして違法な財産上の利益を得ようという意図のことをいいますが、実際に利益を得たかどうかは要件になっていません。

「博徒を結合」するとは、常習的・職業的な賭博者(博徒)と親分子分のような関係を結び、自己の縄張り内で随時賭博を行えるよう便宜を提供することを指すとされています。

裏カジノなどを経営する行為が賭博場開帳等図利罪の典型例です。

賭博場開帳等図利罪が成立した場合には、「3月以上5年以下の拘禁刑」が科されることになります。法定刑の下限が「3月以上の拘禁刑」と重いため、賭博規模が大きい場合や反社会的勢力が関与している場合には、初犯でも実刑判決が下されることがあります。

(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 (省略)
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。

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賭博場開帳等図利罪の成立要件や摘発事例については「賭博場開帳図利罪とは?」で詳しく解説しています。

賭博罪の時効は何年?

賭博罪を過去に行ってしまった方にとって、時効がいつ成立するのかは切実な関心事でしょう。犯罪行為が終わってから一定の期間が経過すれば、検察官は起訴できなくなります。この期間は犯罪の法定刑の重さに応じて刑事訴訟法250条で定められており、賭博罪の時効は罪の種類によって3年または5年です。

賭博罪の種類別の時効期間は以下のとおりです。

罪名 法定刑 公訴時効
単純賭博罪(刑法185条) 50万円以下の罰金又は科料 3年
常習賭博罪(刑法186条1項) 3年以下の拘禁刑 3年
賭博場開帳等図利罪(刑法186条2項) 3月以上5年以下の拘禁刑 5年
富くじ発売罪(刑法187条1項) 2年以下の拘禁刑又は150万円以下の罰金 3年

時効の起算点と時効完成後の扱い

公訴時効は、犯罪行為が終わった時点から起算されます(刑事訴訟法253条1項)。例えば、単純賭博罪であれば賭博行為が終わった日から3年、賭博場開帳等図利罪であれば賭博場の運営を終えた日から5年がその期間です。なお、公訴時効は被疑者の利益のために設けられた制度であるため、初日を1日目としてカウントします(刑事訴訟法55条1項ただし書)。

常習賭博の場合、「常習性」は反復継続する習癖として評価されるため、複数の賭博行為を包括して1罪と捉える考え方(包括一罪)があります。この場合、一連の常習行為のうち最後の賭博行為が終わった時点が起算点となります。つまり、過去に賭博を行っていても、習癖として賭博を続けている限り時効は進行しないのです。

時効が完成すると検察官は公訴を提起することができなくなり、仮に起訴されても裁判所は免訴の判決を言い渡します。ただし、時効完成を期待して自首や通報を遅らせるのは得策ではありません。前述のとおり常習賭博罪では最後の賭博行為から時効がカウントされますし、新たな賭博行為を行えば、その行為について改めて時効期間が進行することになります。賭博をやめない限り、時効によって刑事責任を免れる可能性は事実上ないと考えるべきでしょう。

オンラインカジノの時効も3年または5年

オンラインカジノの利用も賭博罪として扱われるため、時効期間は通常の賭博罪と同じです。オンラインカジノの客として利用した場合は単純賭博罪または常習賭博罪にあたり時効は3年、日本国内からオンラインカジノを運営していた場合は賭博場開帳等図利罪にあたり時効は5年となります。

また、2025年9月25日に施行された改正ギャンブル等依存症対策基本法により、違法オンラインギャンブル等に誘導する情報の発信(SNSでの宣伝、紹介サイトの運営、誘導リンクの設置など)が法律上明確に禁止されました。同法自体に罰則は定められていませんが、アフィリエイト契約に基づくオンラインカジノの勧誘行為が常習賭博幇助罪で検挙された事例もあり、刑事責任を問われるリスクがある点には注意が必要です。

もっとも、オンラインカジノは利用履歴やアクセスログ、送金記録が運営者側や金融機関に長期間残るため、時効完成前に警察が把握し捜査が始まるケースが少なくありません。過去の利用を理由に後日逮捕される事例も報告されているため、「時効まで逃げ切れる」という発想は極めてリスクが高いと言えます。

賭博が発覚して逮捕される経緯

現行犯逮捕されるケース

賭博罪での逮捕としては、「現行犯」として逮捕されるパターンがあります。現行犯とは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」です。

捜査機関が予め目をつけていた賭博場を検挙する場合、その場に居合わせた被疑者は現行犯逮捕されます。現行犯逮捕の場合は、逮捕状なしで被疑者の身柄を拘束できます。違法カジノや違法パチスロの場合には、その運営者だけでなくその場に参加している客も現行犯逮捕される可能性があります。

現行犯以外(後日逮捕・芋づる式)で逮捕されるケース

賭博行為は複数名で行うのが通常ですので、自分が逮捕されていない場合であっても、賭博に参加したことがある別の第三者が逮捕され、そこから捜査機関に関与が発覚するパターンもあります。また、負けが込んだ客が腹いせでタレコミをすることで発覚することもあります。

特に近年は、押収したスマートフォンに残るLINEやメッセージアプリのやり取り、銀行口座や仮想通貨ウォレットの送金履歴から共犯者や客が次々と特定されるケースが増えています。オンラインカジノ関連では、警視庁が令和6年に仮想通貨の追跡ツールを全国で初めて導入し、24都府県警が客57人を摘発した事例も報告されています。

その場合には、捜査機関によってある程度の裏付け捜査が実施され、後日裁判官が発する逮捕状を携行した警察官が被疑者の自宅を訪れて逮捕されるというケース(通常逮捕)が考えられます。

賭博罪で逮捕された後の流れは?

もし賭博罪で逮捕されてしまったら、その後はどうなるのでしょうか。刑事事件の手続きは次のような流れで進みます。

  1. 検察官に送致される
  2. 勾留される
  3. 検察官による起訴・不起訴が判断される
  4. 刑事裁判で判決を受ける

①検察官に送致される

闇スロットや違法パチスロの場合には、現場で現行犯逮捕されることがありますが、オンラインカジノや野球賭博などの場合には、逮捕状を携行した警察官が自宅を訪れ通常逮捕されることもあります。

警察官により逮捕された場合、取調べが行われ供述調書が作成されます。警察は、留置の必要があると判断したときは、逮捕から「48時間」以内に事件を検察官に送致しなければなりません。

犯罪事実が軽微で検察官送致の必要がないと判断された場合には、警察署での逮捕だけで釈放されるケースもあります(微罪処分)。

例えば、違法賭博店を利用していただけの客の場合には、単純賭博罪の嫌疑で逮捕されたとしても、微罪処分に付されて警察署限りの手続きで解放されることもあります。

②勾留される

検察官は、被疑者の身柄を受け取った時から「24時間」以内、かつ最初に身体を拘束されたときから「72時間」以内に、被疑者を釈放するか、裁判官に勾留を請求するかを判断しなければなりません。

被疑者が勾留された場合には、さらに「10日間」の身体拘束が継続します。そのうえで、捜査のため必要がある場合には、もう「10日」を上限として勾留が延長されることもあります。

以上のように逮捕・勾留された場合には、最長として「23日間」の身体拘束が続く可能性があるのです。

また、賭博罪は組織的に行われているケースもあるため、そのような場合には、共犯者との接触や逃亡・罪証隠滅を防ぐためにも接見禁止命令が出されることがあります。

接見禁止命令が出された場合には、弁護人以外の第三者とは自由に接見できなくなります。一方で弁護人との接見交通は被疑者の権利として保障されているため、接見禁止命令が出された場合であっても自由に接見が認められます。

なお、警察から勤務先に逮捕の事実が直接通知されるわけではありませんが、長期の身体拘束による無断欠勤、マスコミ報道、捜査機関による事情聴取などがきっかけで発覚するケースもあります。警察から会社への連絡の有無や発覚経路の詳細は「逮捕されたら会社に連絡はいく?【原則として連絡はされない】」で解説しています。

③検察官による起訴・不起訴が判断される

勾留期間中に捜査がなされ、被疑者に刑罰を科すべきだと検察官が判断した場合には、検察官は裁判所に公訴を提起(起訴)します。

単純賭博罪の初犯など違法性が小さい場合には、起訴猶予として不起訴処分となる可能性があります。

また、単純賭博罪では略式起訴となる場合もあります。

略式起訴とは、正式な裁判を開かずに書類審査だけで処分を決定する簡略化された刑事手続きのことです。100万円以下の罰金または科料に相当する事件で、かつ本人が同意している場合に略式起訴が選択されます。

単純賭博罪の法定刑は50万円以下の罰金または科料であるため、略式起訴が選択されることもあります。略式起訴されると必ず罰金か科料が言い渡され、逮捕・勾留されていた場合は罰金・科料の支払いをもって身柄を釈放されます。

ただし、罰金・科料で済むといっても拘禁刑などと同じく有罪判決であることに違いありませんので、賭博行為が事実無根などの場合には、略式起訴への同意は慎重に判断すべきでしょう。

④刑事裁判で判決を受ける

賭博罪で正式起訴された後は、保釈が認められない限り、裁判まで引き続き身柄が拘束されます。

違法賭博事件の公判は、以下のような手続きで行われます。

  1. 冒頭手続き
  2. 証拠調べ手続き
  3. 弁論手続き
  4. 結審、判決の言い渡し

起訴から約1〜2か月後に裁判が開かれ、審理を経て判決の言い渡しを受けます。単純賭博事件の場合、否認しているなどの事情がなければ1回目の裁判で審理が終了し、その約2週間後に判決が言い渡されるのが通常です。

賭博罪で有罪判決が下されると、前科が残ることになります。実刑判決、執行猶予付き判決、罰金刑、科料のいずれも有罪判決であることに変わりはなく、判決が確定した時点で「前科」として記録されます。弁護士や警備員などの資格制限、就業規則上の懲戒事由、一部の国へのビザ申請への影響など、日常生活に生じうる具体的な影響については「前科があると就職できない?様々な疑問に弁護士が解説」をあわせてご確認ください。

賭博罪で逮捕され有罪となった判例

バカラ賭博店の経営で執行猶予と多額の追徴金が科された判例

被告人Xが共犯者らとともに常習として、店舗において不特定多数の賭客を相手方として多数回にわたり賭客に換金可能なポイントを1ポイント当たり1円で購入させて、そのポイントを賭けさせて店舗内のパソコンを利用して通称「バカラ」と称するゲームによる勝敗を争う方法の賭博をした事例です。懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金100万円、追徴金1億6030万円を言い渡されています(神戸地方裁判所令和4年1月12日判決)。

Xらは無許可で風俗営業を営み、以下のように認定されています。

  • 賭金合計1億6000万円以上が犯罪収益であるがそのほとんどが費消され没収できない
  • インターネット賭博店の経営により金儲けをしようという動機に斟酌の余地はない
  • Xは賃借物件の確保、備品の購入、必要なポイントの購入など中心的な役割を果たしていた
  • Xは賭博の売り上げから約760万円の多額の利益を得ていた

しかし、以下のような事情があったことで懲役刑については執行猶予が付されました。

  • 犯罪事実を真摯に認めて反省の態度を示し今後は正業に従事する旨を述べていること
  • 両親による今後の監督が見込まれること
  • 他に前科がないこと

なお、この事例で命じられた1億6030万円の追徴金は、組織的犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)13条・16条に基づき、組織的な賭博行為によって得た犯罪収益を剥奪するために科されたものです。反社会的勢力や組織が継続的に運営している賭博事件では、刑法上の刑罰に加えて犯罪収益の没収・追徴が科される可能性がある点にも注意が必要です。刑法上の没収制度とその対象となる物については「没収とは?刑法における意味と没収される物、押収との違いを解説」で詳しく解説しています。

プロ野球選手が野球賭博への関与で有罪判決となった判例

この事案は、被告人Yが当時の現役プロ野球選手として、同僚選手に野球賭博の胴元を紹介したり、賭博の申込みを仲介したりするなどして、胴元による賭博開帳行為を手助けしたとして、賭博開帳図利幇助の罪で起訴された事件です。

被告人Yはチームメイトに対して胴元への賭博の申込みを取り次ぐ仲介や、賭金の授受に関与するなどの幇助行為を行ったとして、賭博開帳図利幇助罪の成立が認められています。

  • 犯罪事実を認めたうえで本件野球賭博の捜査に協力して実態解明に寄与したこと
  • 今後は二度と賭博に関与しない旨を述べていること
  • 前科がないこと

上記のような事情が考慮され被告人Yには懲役1年2か月、執行猶予4年が言い渡されています(東京地方裁判所平成28年10月5日判決)。プロスポーツに関わる者が野球賭博に関与した場合、幇助的な関与であっても重い量刑が下される点が示された事例といえます。

賭けポーカーで有罪判決が出された判例

この事例は、被告人Xが経営する飲食店内に「ゴールデンポーカー」という賭博機械を設置したうえで常習として客を相手方として賭博機械を使用して金銭を賭けて画面に現れるトランプカード5枚の組み合わせなどにより持ち点の得喪を争う方法の賭博をしたとして起訴された事件です。懲役1年執行猶予3年、追徴金589万2300円を言い渡されています。

犯罪行為として特定されていないという被告人側の反論に対して、裁判所は、「常習賭博罪のような集合犯においても、処罰の対象となるのが個々の賭博行為であることはいうまでもない。そして、個々の賭博行為はその日時、場所、態様、相手方、回数、賭金の額などを特定することにより個別的具体的に認定するのが本筋であるが、事案によっては、それらの要素の一部を特定するまでもなく、ある程度概括的に行為の存在を主張立証すれば足りる」と判示しています。

そして個々の行為の存在が一定期間における同種行為の継続的な反覆という形で把握できる本件では、犯罪事実は充分特定されていると判断しています(東京地方裁判所昭和58年10月24日判決)。

賭博罪で逮捕回避・不起訴を狙うには?

警察の捜査を受けている方、通っていた店の摘発で芋づる式の逮捕がご不安な方、すでに逮捕されたご家族の方はどう対応すべきでしょうか。取るべき対策を以下で解説します。

自首する

捜査機関に賭博の犯人として特定される前であれば、自ら進んで賭博の事実を申告することで「自首」が成立します。自首することにより逮捕の根拠である「罪証隠滅や逃亡のおそれ」がないと判断されて逮捕を回避できる可能性があります。

もっとも、自首すれば必ず逮捕されないわけではないため、弁護士に依頼し、逮捕の回避に向けた対策をとった上で自首することが望ましいといえます。弁護士に自首同行を依頼する具体的なメリットや費用については「自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?」で詳しく解説しています。

事実を認めて真摯に反省する

前述の有罪となった事例の中でも、賭博を行った事実を早期に認め、真摯に反省し、捜査に協力的な姿勢を示すことは被疑者の処遇にとって有利な事情となる可能性が高いです。

最初は罪を否定していたり、証拠を隠滅しようとしたりした場合には身体拘束の継続、刑事罰に処せられる可能性が高まります。事実は素直に認める姿勢が重要です。

また、賭博罪は被害者のいない犯罪ですので、示談によって反省の態度を示すことはできませんが、一定の金額を弁護士会や日本財団などの団体に寄付する「贖罪寄付」によって、罪を認め深く反省している思いを客観的に証明できます。その結果、情状面で有利に働き、起訴される前であれば不起訴や釈放、起訴された後であれば執行猶予や刑の減軽、保釈などの効果が期待できます。贖罪寄付の具体的な効果・手続きの流れは「贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れ」をご参照ください。

再犯防止策を示す

賭博にのめり込む人はギャンブル依存症の傾向が強く、ご自身だけの力で克服することは困難です。そのため、再犯防止に向けた取り組みが必要です。

具体的には、ギャンブル依存症を克服するために今後は専門の医療機関で治療を受けることを証明したり、通院のサポートや本人の行動の監督・監視をしてくれる家族がいることを警察や検察、裁判所に示すことで、早期釈放や不起訴処分、執行猶予付き判決や刑の減軽も期待できます。

賭博罪でお悩みの方は弁護士にご相談ください

ここまで解説してきたとおり、賭け麻雀やオンラインカジノなど身近な行為であっても賭博罪は成立し、常習性や組織性が認められれば重い刑罰を科されるおそれがあります。

逮捕されてしまった場合、単独で警察や検察の取り調べに対応するのは精神的にも戦略的にも極めて困難です。弁護士に早期にご依頼いただくことで、自首の同行、取り調べへの対応助言、贖罪寄付や再犯防止策の立証、ご家族からの身元引受書の提出など、逮捕回避・早期釈放・不起訴処分や執行猶予獲得に向けた具体的な弁護活動をご提供できます。

警察から事情聴取を求められている方、すでに書類送検された方、あるいはご家族が賭博罪で逮捕されてしまった方は、一人で抱え込まずにできるだけ早くご相談ください。賭博事件は、捜査の初期段階での対応が結果を大きく左右します。

当事務所は、賭博罪をはじめとする刑事事件を多数取り扱ってきた実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が親身かつ迅速に対応し、全力でお守りします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

気軽に弁護士に相談しましょう
  • 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
  • 逮捕回避・早期釈放・不起訴・執行猶予の獲得を得意としております。
  • 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。

この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に刑事事件の解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

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