贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れ

贖罪寄付(しょくざいきふ)とは、刑事事件の被疑者・被告人が反省の意思を示すために、弁護士会や慈善団体に寄付を行うことです。贖罪寄付を行い、その証明書を検察官や裁判所に提出することで、不起訴処分や執行猶予の獲得、刑の減軽につながる可能性があります

「被害者が示談に応じてくれない」「薬物事件のように被害者がいない」といった場合でも、贖罪寄付であれば反省の態度を客観的な形で示すことができます。

この記事では、贖罪寄付の仕組みや効果について刑事事件に強い弁護士が解説します。

  • 贖罪寄付の効果と供託との違い
  • 贖罪寄付を検討すべき2つのケース
  • 贖罪寄付の金額の考え方と手続きの流れ

なお、贖罪寄付について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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贖罪寄付とは

贖罪寄付とは、刑事犯罪の疑いをかけられた被疑者・被告人が、罪を認め、深く反省している思いを形にするため、一定の金額を以下でご紹介する弁護士会などの団体に寄付することをいいます。寄付したお金は各団体が決めた使途にしたがって使われています。

※ 2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事では改正後の名称である「拘禁刑」を使用しています。

【贖罪寄付先】

  • 各都道府県の弁護士会
  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター
  • 日本司法支援センター(法テラス)
  • 日本財団

※ 日本ユニセフについては、団体の趣旨とは異なることを理由に、被告人またはその刑事弁護人からの贖罪寄付を受け付けていません。

贖罪寄付の効果

贖罪寄付すると、寄付先から贖罪寄付したことの証明書(弁護士会の場合「贖罪寄付を受けたことの証明書」)が発行されます。これを検察官や裁判所に提出することで、反省の意思を客観的に証明することが可能となるのです。その結果、情状面で有利に働き、起訴される前であれば不起訴や釈放、起訴された後であれば執行猶予や減軽、保釈などの効果を得ることが期待できます

確かに、罪を認め、深く反省していることは言葉で伝えることも可能です。しかし、犯した罪の内容や前科・前歴の有無などによっては、いくら反省の弁を繰り返しても検察官や裁判官に伝わらないこともあります。贖罪寄付という金銭的な負担をする、すなわち、罪を認め、深く反省していることを行動で示すことで、言葉で伝えるよりかはより思いが伝わりやすくなるのです。

供託との違い

供託とは、債務者がお金を支払う準備をして債権者にお金を支払う旨の意思表示をしたにもかかわらず、債権者がお金の受領を拒んだ場合に、法務局にその金を預けることでお金の支払い義務を免れることができる制度のことです。

ここでいう「債務者」とは刑事犯罪の加害者、「債権者」とは被害者のことです。つまり、加害者が被害弁償金や示談金を支払う準備をし、被害者にその意思表示をしたにもかかわらず、被害者がこれを拒んだ場合に利用できるのが供託です。

供託すれば、被害者はいつでも供託金を受領できる一方で、加害者は被害弁償金や示談金を支払う義務を免れます。また、供託すれば、贖罪寄付と同様、反省と贖罪の意思を客観的な形で示すことができます。

このように、贖罪寄付と供託は「被害者以外の第三者にお金を支払う」という点では同じです。ただ、贖罪寄付は弁護士会や慈善団体などへ、供託は法務局というように、お金の支払い先が異なります。また、後述しますが、贖罪寄付は被害者が存在せず、被害者弁償や示談ができない罪でも行いますが、供託は被害者が存在する犯罪でしか行わないという点でも違いがあります。

贖罪寄付を検討すべきケース

贖罪寄付を検討すべきケースは、

  • ①被害者が存在しない罪に問われているケース
  • ②被害者は存在するが、被害者が示談に応じてくれないケース

などです。

①被害者が存在しない罪に問われているケース

被害者が存在しない罪とは、たとえば、

道路交通法違反 信号無視、スピード違反、無免許運転、飲酒運転、あおり運転 など
薬物犯罪 大麻、覚せい剤、麻薬 など
社会に影響を及ぼす犯罪 通貨偽造罪、文書偽造罪、公文書・私文書偽造罪、賭博罪 など
国家的法益に影響を及ぼす犯罪 公務執行妨害罪、逃走罪、偽証罪、贈収賄罪 など

があります。

被害者が存在しない犯罪では示談も供託もできませんから、贖罪寄付することを検討します。大麻事件で不起訴を目指す方は「大麻所持で不起訴になるケースとなぜ不起訴になるのかを解説」もあわせてご確認ください。

②被害者は存在するが、被害者が示談に応じないケースなど

窃盗罪、盗撮、痴漢、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪など被害者の存在するケースでも、被害者が示談に応じないケースや応じてはくれるものの、示談金等の条件面で折り合いがつかずに示談できないケースがあります。こうした場合にも贖罪寄付が有効な選択肢となります。

ただ、被害者が存在する罪では供託することも可能ですから、贖罪寄付と供託との使い分けが問題となります。

この点、そもそも被害者が連絡先を教えることを拒否する、交渉のテーブルについてくれないなど、はじめから示談に応じてくれない場合は贖罪寄付を選択するのが基本です。

一方で、被害者と示談交渉したものの、条件面で折り合いがつかずに示談できなかった、というケースでは供託のほうが適しています。被害者の気が変わって供託金を受け取る可能性があり、仮にそうなれば示談と同じ効果が期待できるからです。また、被害者の慰謝のために努力し続けたことを検察官や裁判官にアピールすることにもつながります。

もっとも、供託金が、被害者が望んでいる金額に比して著しく低い金額だと被害者の怒りを買ってしまい逆効果となるおそれがあります。被害者が望んでいる金額に比して著しく低い金額でしか供託できない場合は贖罪寄付を選択した方がよい場合もあります。示談の具体的な進め方やメリットについては「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」で詳しく解説しています。

贖罪寄付するためにやるべきこと

後述しますが、贖罪寄付の手続きは被疑者・被告人についている弁護人が行います。ただ、その前に、被疑者・被告人自身がやるべきことがあります。それは以下のとおりです。

罪を認め、深く反省する

まずは問われている罪を認め、深く反省することが大前提です。また、罪を認めたとしても起訴され、何らかの刑罰(拘禁刑、罰金)を受ける可能性も否定はできません。そこで、罪を認める以上、将来、何らかの刑罰を受けることになっても致し方ない(受け入れるしかない)、という覚悟をもつことも必要です。その先に不起訴などの有利な結果がついてくるということを自覚しましょう。

お金を用意する~贖罪寄付の金額

次に、贖罪寄付するためのお金を用意しましょう。被害者が存在する罪では、贖罪寄付は示談の代わりのような役割を果たしますが、示談ではありませんので、示談金よりも若干低めでも問題はありません。

贖罪寄付の金額に決まりはありませんが、安すぎる金額では反省の意思が伝わりにくく、かといって示談や供託ほどの効果は見込めないため、過度に高額にする必要もありません。罪の内容や被害金額、罰金刑として科されうる金額、ご自身の資力などを踏まえて、弁護士と相談のうえ決めるのがよいでしょう

贖罪寄付の流れ

通常、贖罪寄付の手続きは被疑者・被告人についている弁護士を通じて行います。もっとも、身柄を拘束されていない在宅被疑者の場合は私選弁護人しか選任することができません。そこで、在宅被疑者で、かつ、私選弁護人を選任していない場合はご自分で手続きする必要があります。

贖罪寄付から証明書の提出までの流れは次のとおりです。

弁護士を通じて行う場合 自分で行う場合
弁護士に寄付金を預ける 寄付先を探して申し込む
寄付金を納める
証明書を検察官や裁判官に提出する

贖罪寄付の手続きを行うのは、はやくて事件が検察庁に送検された後です。そして、不起訴獲得を目指す場合は、検察官が起訴、不起訴の判断をする前に③までの手続きを終えておかなければなりません。したがって、前述のお金もはやめに準備しておきましょう。

贖罪寄付をお考えの方は弁護士にご相談ください

贖罪寄付は、示談や供託が難しい状況でも反省の意思を客観的な形で示すことができる手段です。証明書を検察官や裁判所に提出することで、不起訴処分や執行猶予の獲得、刑の減軽につながる可能性があります。

ただし、贖罪寄付をすれば必ず処分が軽くなるわけではありません。ご自身のケースで贖罪寄付が適切か、供託を選択すべきか、金額や寄付先をどうすべきかは、事件の内容や被害者との関係によって異なります。弁護士に相談することで、最も効果的な対応を選択することができます。

「被害者が示談に応じてくれず、どうすればいいかわからない」「薬物事件で逮捕され、少しでも処分を軽くしたい」など、刑事処分への不安を抱えている方は、おひとりで悩まず早めにご相談ください。

当事務所は刑事事件に注力しており、贖罪寄付の手続きから示談交渉、検察官や裁判所への対応まで一貫してサポートいたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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