贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れ

検察官が起訴・不起訴を決める場合や、刑事裁判で裁判官が刑事処分を決めるにあたり、被害者への被害弁償や謝罪が行われたか、示談が成立しているかどうかが大きく影響してきます。しかし、被害者が謝罪の手紙を受け取らず、示談に応じてくれないこともあります。また、そもそも被害者が存在しない犯罪では謝罪や示談をすることもできません

その場合、検察官や裁判官に、自分が犯した罪につき反省している思いを態度で示すための行為として、「贖罪寄付」があります。

この記事では、

  • 贖罪寄付とはなにか
  • 寄付することでどのような効果があるのか
  • どのようなケースで贖罪寄付を検討すべきか
  • 寄付金の相場や手続きの流れ

について、刑事事件に強い弁護士がわかりやすく解説していきます。最後まで読んでみて、「自分での対処・解決が難しい」と思われた方は、弁護士までお気軽にご相談ください。

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贖罪寄付とは

贖罪寄付とは、刑事犯罪の疑いをかけられた被疑者・被告人が、罪を認め、深く反省している思いを形にするため、一定の金額を以下でご紹介する弁護士会などの団体に寄付することをいいます。寄付したお金は各団体が決めた使途にしたがって使われています。

贖罪寄付先
  • 各都道府県の弁護士会
  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター
  • 日本司法支援センター(法テラス)
  • 日本財団

※ 日本ユニセフについては、団体の趣旨とは異なることを理由に、被告人またはその刑事弁護人からの贖罪寄付を受け付けていません。

贖罪寄付の効果

贖罪寄付すると、寄付先から贖罪寄付したことの証明書(弁護士会の場合「贖罪寄付を受けたことの証明書」)が発行されます。これを検察官や裁判に提出することで、被疑者・被告人が罪を認め、深く反省していることを客観的に証明することが可能となるのです。その結果、情状面で有利に働き、起訴される前であれば不起訴や釈放、起訴された後であれば執行猶予や減軽、保釈などの効果を得ることが期待できます

確かに、罪を認め、深く反省していることは言葉で伝えることも可能です。しかし、犯した罪の内容や前科・前歴の有無などによっては、いくら反省の弁を繰り返しても検察官や裁判官に伝わらないこともあります。贖罪寄付という金銭的な負担をする、すなわち、罪を認め、深く反省していることを行動で示すことで、言葉で伝えるよりかはより思いが伝わりやすくなるのです。

供託との違い

供託とは、債務者がお金を支払う準備をして債権者にお金を支払う旨の意思表示をしたにもかかわらず、債権者がお金の受領を拒んだ場合に、法務局にその金を預けることでお金の支払い義務を免れることができる制度のことです。

ここでいう「債務者」とは刑事犯罪の加害者、「債権者」とは被害者のことです。つまり、加害者が被害弁償金や示談金を支払う準備をし、被害者にその意思表示をしたにもかかわらず、加害者がこれを拒んだ場合に利用できるのが供託です。

供託すれば、被害者はいつでも供託金を受領できる一方で、加害者は被害者弁償金や示談金を支払う義務を免れます。また、供託すれば、贖罪寄付と同様、罪を認め、深く反省していることを客観的に証明することが可能です。

このように、贖罪寄付と供託は「被害者以外の第三者にお金を支払う」という点では同じです。ただ、贖罪寄付は弁護士会や慈善団体などへ、供託は法務局というように、お金の支払い先が異なります。また、後述しますが、贖罪寄付は被害者が存在せず、被害者弁償や示談ができない罪でも行いますが、供託は被害者が存在する犯罪でしか行わないという点でも違いがあります

贖罪寄附を検討すべきケース

贖罪寄付を検討すべきケースは、

  • 被害者が存在しない罪に問われているケース
  • 被害者は存在するが、被害者が示談に応じてくれないケース

などです。

被害者が存在しない罪に問われているケース

被害者が存在しない罪とは、たとえば、

道路交通法違反信号無視、スピード違反、無免許運転、飲酒運転、あおり運転 など
薬物犯罪大麻、覚せい剤、麻薬 など
社会に影響を及ぼす犯罪通貨偽造罪、文書偽造罪、公文書・私文書偽造罪、賭博罪 など
国家的法益に影響を及ぼす犯罪公務執行妨害罪、逃走罪、偽証罪、贈収賄罪 など

    があります。

    被害者が存在しない犯罪では示談も供託もできませんから、贖罪寄付することを検討します。

    被害者は存在するが、被害者が示談に応じないケースなど

    窃盗罪、盗撮、痴漢、強制わいせつ罪、強制性交等罪(旧強姦罪)など被害者の存在するケースでも、被害者が示談に応じないケースや応じてはくれるものの、示談金等の条件面で折り合いがつかずに示談できないケースがあります。こうした場合にも贖罪寄付することを検討します。

    ただ、被害者が存在する罪では供託することも可能ですから、贖罪寄付と供託との使い分けが問題となります。

    この点、そもそも被害者が連絡先を教えることを拒否する、交渉のテーブルについてくれないなど、はじめから示談に応じてくれない場合は贖罪寄付を選択するのが基本です。

    一方で、被害者と示談交渉したものの、条件面で折り合いがつかずに示談できなかった、というケースでは供託を選択するのが基本です。被害者の気が変わって供託金を受け取る可能性があり、仮にそうなれば示談と同じ効果が期待できるからです。また、被害者の慰謝のために努力し続けたことを検察官や裁判官にアピールすることにもつながります。

    もっとも、供託金が、被害者が望んでいる金額に比して著しく低い金額だと被害者の怒りを買ってしまい逆効果となるおそれがあります。被害者が望んでいる金額に比して著しく低い金額でしか供託できない場合は贖罪寄付を選択した方がよい場合もあります。

    贖罪寄付するためにやるべきこと

    後述しますが、贖罪寄付の手続きは被疑者・被告人についている弁護人が行います。ただ、その前に、被疑者・被告人自身がやるべきことがあります。それは以下のとおりです。

    罪を認め、深く反省する

    まずは問われている罪を認め、深く反省することが大前提です。また、罪を認めたとしても起訴され、何らかの刑罰(懲役、罰金)を受ける可能性も否定はできません。そこで、罪を認める以上、将来、何らかの刑罰を受けることになっても致し方ない(受け入れるしかない)、という覚悟をもつことも必要です。その先に不起訴などの有利な結果がついてくるということを自覚しましょう。

    お金を用意する~贖罪寄付の金額

    次に、贖罪寄付するためのお金を用意しましょう。被害者が存在する罪では、贖罪寄付は示談の代わりのような役割を果たしますが、示談ではありませんので、示談金よりも若干低めでも問題はありません。

    以下、主な罪ごとの寄付金の相場をご紹介します。

    犯罪の種類寄付金の相場
    道路交通法違反1万円~50万円
    薬物犯罪10万円~30万円
    性犯罪10万円~100万円

    贖罪寄付の流れ

    通常、贖罪寄付の手続きは被疑者・被告人についている弁護士を通じて行います。もっとも、身柄を拘束されていない在宅被疑者の場合は私選弁護人しか選任することができません。そこで、在宅被疑者で、かつ、私選弁護人を選任していない場合はご自分で手続きする必要があります。

    贖罪寄付から証明書の提出までの流れは次のとおりです。

    弁護士を通じて行う場合自分で行う場合
    弁護士に寄付金を預ける寄付先を探して申し込む
    寄付金を納める
    証明書を検察官や裁判官に提出する

    贖罪寄付の手続きを行うのは、はやくて事件が検察庁に送検された後です。そして、不起訴獲得を目指す場合は、検察官が起訴、不起訴の判断をする前に③までの手続きを終えておかなければなりません。したがって、前述のお金もはやめに準備しておきましょう。

    刑事処分の軽減を目指すならまずは弁護士に相談

    贖罪寄付をしても必ず刑罰の軽減の効果があるわけではありません。そのため、ご自身(あるいはご家族)のケースでは贖罪寄付をすべきかどうか、寄付するにしても寄付先や額をどうすべきかについて、法律の専門家である弁護士に相談しましょう

    弁護士に相談することで、贖罪寄付にすべきか供託にすべきかのアドバイスも貰えます。情状面で有利に働く再発防止に向けた取り組み(監督者の準備、治療・更生のためのカウンセリングを受ける等)についても教えてもらうことができます。

    また、犯罪被害者がいる場合に不起訴処分や執行猶予判決を獲得するためには、被害者への謝罪が済んでいるか、示談が成立しているかどうかを検察官や裁判官は重視しますので、示談交渉に慣れた弁護士に依頼した方が得策です。

    加害者とは一切接触したくない被害者であっても、示談交渉に慣れた弁護士が粘り強く説得することで、謝罪文を受け取り、示談成立に至ることも少なくありません。

    当法律事務所では、犯罪を犯してしまったアナタやアナタの家族に寄り添い、アナタの反省と謝罪の気持ちが被害者に届くよう、また、示談に応じて貰えるよう、弁護士が全力で対応します。親身誠実をモットーとしておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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