
「彼女を妊娠させてしまった…でも、結婚したくない」——そんな複雑な状況に悩んで、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
責任を取るべきか、でも結婚は現実的に無理。彼女や家族との関係が悪化するのではという不安。自分の法的責任がどこまで及ぶのか分からない。そんな葛藤を一人で抱えている方は少なくありません。
この記事では、実際に当事務所に寄せられた相談事例をもとに、妊娠させた相手との結婚を望まない場合、男性側にどのような法的責任が生じるのか、また、どう対応すべきかについて、妊娠トラブルに強い弁護士の視点から分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読むことで、結婚したくない選択をした場合でも、どこまで責任を果たすべきかが明確になり、将来的なトラブルを防ぐための適切な行動が見えてくるはずです。
記事を読んでみて、ご自身での対応が難しいと感じた方は、全国どこからでも無料で相談できる当事務所へ、どうぞお気軽にご連絡ください。経験豊富な弁護士が、親身かつ誠実にあなたをサポートいたします。
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目次
【相談内容】彼女を妊娠させたが結婚はしたくありません
私は20代の独身男性です。
現在交際している20代独身の彼女から、先日突然「妊娠した」と告げられました。正直、全く予想していなかった事態で、どうしていいか分からず困惑しています。
彼女は妊娠をとても喜んでいて、「できちゃった結婚になるけど、今どき珍しくないよね」「妊娠中でも結婚式挙げられるかな?」「お互いの両親に早く報告しよう」と、すでに妊娠=結婚という前提で話を進めています。
確かに、以前軽い気持ちで「いつか結婚しようね」と言ったことはありますが、私の中ではそれは将来的な漠然とした話であり、具体的な婚約が成立しているという認識は全くありませんでした。
彼女のことは嫌いではありませんし、大切に思っています。しかし、私自身まだ20代と若く、結婚に対して全く現実感がありません。今はちょうど転職も検討中で、経済的にも不安定な状況です。このような状況で、突然結婚に踏み切る気持ちには到底なれません。
そこで私は、正直な気持ちを彼女に伝え、「今は結婚するつもりがないから、中絶を考えてほしい」とお願いしました。すると、彼女は激しく動揺し、「もう親にも報告して、みんな結婚を楽しみにしている」「私はこの子を産みたい。妊娠させたのだから、あなたが責任をとって結婚すべきだ」と主張し、一歩も引いてくれません。
妊娠させてしまった以上、本当に結婚するしかないのでしょうか?もし結婚したくないという選択をした場合、私は彼女や生まれてくる子どもに対して、法的にどのような責任を負うことになるのでしょうか?
中絶費用や養育費、あるいは慰謝料といった金銭的な負担が発生するのかどうか、非常に不安です。私はどうすればいいのでしょうか?
【弁護士の見解】妊娠させたが結婚したくない場合の結婚義務と法的責任
彼女を妊娠させたが結婚したくないという状況に直面した男性から、「法的に結婚する義務があるのか」という相談をよく受けます。社会的なプレッシャーや相手からの要求があっても、法的な観点から冷静に判断することが重要です。
ここでは、妊娠させた場合の結婚義務の有無と、婚約が成立している場合のリスクについて、弁護士の視点から詳しく解説します。
妊娠させても結婚する義務はない
法律上、彼女を妊娠させたこと自体が男性に結婚の義務を生じさせることはありません。
結婚は、当事者双方の自由な意思に基づいて行われるべきものであり、たとえ妊娠という事実があったとしても、そのことが男性に結婚を強制する理由とはなりません。彼女が出産を望んでいても、男性に結婚したくないという意思があるのであれば、法律は男性に結婚を強制することはありません。
ただし、結婚したくない場合でも、後述するように、妊娠や出産に伴う一定の法的責任は発生します。結婚するか否かはあくまであなたの自由意思に委ねられますが、その選択には相応の責任が伴うことを理解しておく必要があります。
婚約が成立していれば慰謝料請求の可能性もある
正当な理由に基づかない婚約破棄は、慰謝料請求の原因になりえます。
しかし、相手方が慰謝料を請求するためには、前提として「有効に婚約が成立したこと」が必要になります。
婚約とは、男女が将来的に結婚するという約束を交わすことを指し、口約束でも成立し得ますが、法律上婚約が成立したと認められるには、単なる軽い発言だけでなく、結納の取り交わし、双方の両親への挨拶、結婚式場の具体的な予約、新居の準備など、客観的に見て結婚に向けた具体的な意思と行動が伴っていることが重要です。
今回の相談内容のように、単に「いつか結婚しようね」という言葉があっただけで、他に具体的な結婚準備を進めていた事実がなければ、婚約の成立が認められない可能性が高いといえます。
しかし、万が一婚約成立と判断された場合、正当な理由なく婚約を破棄すれば、慰謝料請求の対象となるため注意が必要です。
妊娠中の婚約破棄の慰謝料相場と女性から破棄した場合の請求可否
【弁護士の見解】結婚しなくても妊娠させた責任は負う
彼女を妊娠させたが結婚したくないという場合でも、妊娠に関する法的責任は免れません。結婚義務がないからといって、すべての責任から逃れられるわけではないのです。
ここでは、結婚したくない場合でも男性が負う具体的な責任について、中絶費用、慰謝料、出産時の養育費など、法的な観点から詳しく解説します。
中絶費用の負担
彼女が中絶を選択する場合、その費用は本来、男女で折半するのが原則とされています。妊娠は双方の合意に基づく性行為の結果であり、費用も公平に分担すべきという考え方があるためです。
しかし、今回の相談のように、彼女が妊娠を心から喜び、あなたとの結婚・出産を信じていた状況であることを踏まえると、単に折半を主張するだけでは彼女の心情をさらに傷つけかねません。
あなたの「結婚したくない」という意思表示が彼女にとって大きな衝撃であることを理解し、あなたが中絶費用を全額負担することも、誠実な対応の一つと言えるでしょう。
中絶は女性の身体的・精神的負担が非常に大きいため、責任の所在とは別に、あなたの誠意ある姿勢を示すことが、後のトラブルを避ける上で重要になります。
中絶に対する慰謝料が発生することがある
妊娠中絶自体が当然に慰謝料発生の原因となるわけではありません。
性行為が双方の合意に基づいて行われたものであれば、その結果としての妊娠・中絶に対して、一方のみに慰謝料責任を負わせることは原則としてありません。
しかし、男性の言動が原因で女性が精神的苦痛を負った場合には、例外的に慰謝料請求が認められるケースがあります。
例えば、あなたが妊娠させた彼女に対して、無責任な態度を取ったり、一方的に中絶を強要したり、暴言を吐いたりするなどの不誠実な対応をした場合です。このような言動は、女性への精神的苦痛を与える不法行為とみなされ、慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。
誠実な対応を心がけ、無用なトラブルを避けることが肝要です。
出産したら、認知・養育費・相続の問題が生じる
もし彼女が出産を選択した場合、あなたは子どもの生物学的な父親として法的な責任を負います。
あなたが任意での認知を拒否したとしても、女性側が家庭裁判所に認知の調停や訴訟を申し立て、DNA鑑定が行われれば、強制認知が認められる可能性が非常に高いでしょう。
そして、認知が成立すれば、あなたは法的にその子の父親となり、子どもが成人するまで、毎月一定額の養育費を支払う義務が生じます。養育費の金額は、あなたの収入や子どもの年齢、必要経費などを考慮して決定されます。
さらに、認知された子どもは、あなたの法定相続人となります。将来、あなたが別の女性と結婚して他の子どもができた場合でも、その子もあなたの遺産を共有する立場になるため、あなたの将来の財産計画や家族関係にも大きな影響が及ぶことを理解しておく必要があります。
彼女を妊娠させてしまったら?中絶費用・認知・養育費はどうなる?
【弁護士からのアドバイス】妊娠させたが結婚したくないときの適切な対応
彼女を妊娠させたものの、結婚の意思が持てない。そんな状況に置かれたとき、どのように振る舞うべきか悩んでいる方は少なくありません。無責任な対応をしてしまうと、法的トラブルに発展するだけでなく、相手女性やその家族との関係が深刻に悪化するおそれもあります。
ここでは、弁護士の立場から、妊娠させたが結婚したくない場合に男性が取るべき適切な対応について、重要なポイントを3つに分けて解説します。
- ①結婚・出産を期待していた彼女へ誠心誠意謝罪する
- ②安易に結婚を選択しない
- ③解決金(示談金)の提案を検討する
①結婚・出産を期待していた彼女へ誠心誠意謝罪する
たとえ法律上の婚約が成立していなかったとしても、彼女があなたの行動や発言から結婚や出産を真剣に期待し、喜びを感じていたのであれば、その期待を裏切られたことによる精神的ショックは計り知れません。さらに、彼女は両親にも報告済みで結婚を楽しみにしていたという状況ですから、その落胆はさらに大きいでしょう。
法的な義務の有無に関係なく、まずは彼女の気持ちに寄り添い、誠心誠意謝罪することが何よりも重要です。
あなたの無責任な態度が彼女の心に深い傷を残さないよう、真摯な言葉と姿勢で向き合いましょう。この誠意ある謝罪が、その後の話し合いを円滑に進めるための不可欠な前提となります。
②安易に結婚を選択しない
「妊娠させてしまった責任を取って結婚するしかない」と安易に考えて結婚を選択することは、非常に危険な決断です。
結婚は、一時的な感情や責任感だけで踏み切るべきものではありません。一度結婚すると、民法上、正当な離婚理由(不貞行為、悪意の遺棄など)がない限り、どちらか一方が一方的に離婚することは困難になります。
たとえ結婚後に「やはり無理だった」と感じても、簡単に解消できず、夫婦関係が破綻しても、なかなか婚姻関係を解消できないというリスクがあります。
妊娠させた責任と結婚は本来別々の問題として考えるべきです。「結婚したくない」という明確な意思があるのであれば、彼女の気持ちに配慮しつつも、できるだけ早く、そしてはっきりとその意思を伝えるべきでしょう。
③解決金(示談金)の提案を検討する
もし彼女が中絶を選択する場合であっても、妊娠と中絶は女性の心身に非常に大きな負担を強いるものです。加えて、今回は彼女が親に妊娠と結婚の報告をしていたため、彼女の親も「娘を傷つけられた」と感じ、あなたに対して強い怒りを抱いている可能性も考えられます。
このような状況において、女性の精神的ケアや、関係修復の一助として、謝罪の意味を込めた解決金や示談金の支払いを提案することが望ましいでしょう。
ただし、お金で全てを解決しようとするような印象を与えてしまうと、かえって彼女やその家族の感情を逆撫でし、事態がさらに悪化する可能性があります。提案時の言い方や態度には細心の注意を払い、誠意を込めることが不可欠です。
このようなデリケートな金銭交渉は、感情的なもつれを生みやすいため、男女問題に詳しい弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることを強くおすすめします。
妊娠させたが結婚を望まない場合は弁護士に相談
彼女を妊娠させたものの結婚したくないという状況は、あなた一人で解決するにはあまりにも複雑で、感情的な対立も避けられません。このようなデリケートな問題に直面した際は、できる限り早く弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談する最大のメリットは、まずあなたの法的な責任を明確に整理できる点です。
中絶の費用負担、養育費、慰謝料、そして将来的な認知や相続といった様々な法的義務について、あなたの具体的な状況に基づいて正確な見解を得ることができます。これにより、漠然とした不安から解放され、問題の全体像を把握した上で、現実的な対応策を検討できるようになります。
また、彼女との話し合いや交渉についても任せておくことができます。
感情的になりがちな話し合いを冷静かつ客観的に進めることができ、不当な要求に対しては法的な根拠に基づいて適切に対応します。彼女の親御さんなど、関係者が増えた場合でも、弁護士があなたの代理人となることで、直接的な対立を避け、精神的な負担を大きく軽減できるでしょう。
さらに、弁護士は将来的なトラブルを未然に回避するための対策を講じます。
合意内容を明確にし、法的に有効な示談書を作成することで、後になって「言った、言わない」の争いになることを防ぎます。無責任な対応が、かえって長期的な紛争や高額な金銭的負担につながるリスクを避けるためにも、専門家である弁護士の助けを借りてください。
妊娠させたが結婚したくない方は当事務所までご相談ください
彼女を妊娠させたが結婚したくないという状況は、感情や将来への不安が絡み合い、自分ひとりではどう判断すればよいか分からなくなるものです。特に、結婚の意思がない場合には、相手との関係悪化や法的な責任問題に発展するリスクもあり、慎重な対応が求められます。
当事務所では、妊娠させた場合の中絶、認知、養育費、示談金などに関するご相談を、全国どこからでも無料で承っております。これまでにも男性側の立場から多数の妊娠トラブルを解決してきた実績があり、豊富な経験に基づいて最適な解決策をご提案いたします。
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