
「彼女を妊娠させてしまったが、結婚しないといけないのか」「結婚しないなら、どんな責任を負うのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
結婚するかどうかはあなた自身が決められ、妊娠を理由に結婚を強いられることはありません。ただし、結婚しなくても、中絶なら費用、出産なら認知や養育費の責任が残り、対応が不誠実なら慰謝料を請求されることもあります。
まずは産婦人科で妊娠を確かめ、逃げずに彼女と話し合うことが、トラブルを大きくしないための第一歩です。
この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。
- 妊娠させてしまったら男性がまずやること
- 妊娠させたら結婚する義務はあるのか
- 結婚しなくても負う中絶費用や認知・養育費の責任
お読みいただくことで、結婚するかどうかを決める前に、自分が負う責任と今やるべきことを整理できます。
なお、彼女の妊娠でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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女性弁護士も在籍しています代表弁護士 若井 亮・弁護士 鳴海 裕子ほか、計10名が在籍
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妊娠させてしまったら男性がまずやること
彼女から妊娠を告げられると、動揺して何から手を付ければよいか分からなくなるかもしれません。妊娠させてしまったときの対処法として、男性がまずやることは次の6つです。
- 妊娠の事実を産婦人科で確かめる
- 妊娠週数と中絶できる期限を確認する
- 連絡を断たずに彼女と話し合う
- 産むかどうかは彼女の意思を尊重して決める
- 彼女と彼女の親に誠実に謝罪する
- 彼女の心身をケアする
妊娠の事実を産婦人科で確かめる
妊娠させてしまったかもしれないと分かったら、まず産婦人科で妊娠しているかを確かめてもらいましょう。市販の妊娠検査薬の結果は目安にすぎず、妊娠しているかどうかや妊娠週数は、医師の診察で確かめるものだからです。
彼女を疑うような言い方は避け、「一緒に確かめたい」と伝えて受診を勧めると、その後の話し合いにつなげやすくなります。妊娠していないのに妊娠したと告げられるケースもあるため、診察の結果を確かめる前に、お金を支払ったり結婚を約束したりするのは控えましょう。告げられた妊娠が本当かどうかの見分け方は「妊娠の嘘を見破る4つの方法|嘘をつく女性への対処法」で解説しています。
妊娠週数と中絶できる期限を確認する
妊娠させてしまった場合、産むか中絶するかを考えるうえで、妊娠週数の確認は欠かせません。国の通知で、中絶できるのは妊娠22週未満(21週6日まで)とされているためです。
母体保護法は、人工妊娠中絶を「胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期」に行うものと定めており、この時期の基準を示しているのが国の通知です。期限を過ぎると中絶を選ぶことはできなくなるため、話し合いを先延ばしにせず、診察で妊娠週数を早めに確認しましょう。
連絡を断たずに彼女と話し合う
妊娠させてしまったことに動揺しても、連絡を断ったり無視したりせず、彼女と向き合って話し合いましょう。不安を抱えている彼女にとって、相手と連絡が取れない状況は大きな苦痛になります。
妊娠させて逃げても、認知や養育費、慰謝料の責任がなくなるわけではありません。彼女が出産すれば、子どもを自分の子として法律上認める「認知」を裁判で求められることがあり、父子関係が認められれば子どもの生活費である養育費を支払う義務を負います。不誠実な態度そのものを理由に、慰謝料を請求される場合もあります。
話し合いでは、自分の考えを伝えるだけでなく、彼女がどうしたいと考えているかを聞くことも必要です。感情的になって話が進まないときは、弁護士に相談してください。
また、彼女とのメッセージのやり取りは消さずに残しておくと、後で言った・言わないの食い違いが生じたときの証拠として役立ちます。
産むかどうかは彼女の意思を尊重して決める
産むかどうかは、妊娠や出産で身体の負担を負う彼女の意思を尊重して決めることになります。妊娠させてしまったあなたが中絶してほしいと考えていても、彼女に中絶を無理強いすることはできません。
母体保護法14条1項は、人工妊娠中絶に「本人及び配偶者の同意」を求めています。この配偶者には事実婚の相手も含まれますが(同法3条1項)、事実婚でなければ、交際相手であるあなたの同意は法律上の要件ではありません。ただし、中絶を選ぶ場合は医療機関から同意書への署名を求められることがあるため、彼女と一緒に医療機関へ扱いを確認しましょう。
自分の考えを正直に伝えることは大切ですが、彼女が出産を望むなら、その選択を受け止めたうえで、父親として負う責任を考えていく必要があります。
出産しても育てることが難しい場合には、特別養子縁組という選択肢もあります。特別養子縁組は、家庭裁判所が成立させる養子縁組で、子どもは養親の子として育てられ、生みの親との法律上の親子関係は終わります。
彼女と彼女の親に誠実に謝罪する
法律上の義務があるかどうかに関係なく、妊娠させてしまった彼女に、心身の負担を負わせたことをまず誠実に謝罪しましょう。彼女が結婚や出産を期待していた場合、結婚しないと伝えれば落胆は大きいため、言い訳や責任逃れと受け取られる言葉は避けるべきです。
彼女がすでに親に妊娠を伝えている場合や、親が話し合いに加わる場合は、彼女の親にも直接謝罪することが望ましいです。誠意のある姿勢を示すことが、その後の話し合いを落ち着いて進めるための前提になります。
彼女の心身をケアする
妊娠させてしまった後、産む場合も中絶する場合も、身体と心に大きな負担を負うのは彼女です。病院への付き添いや必要な費用の用意など、自分にできることを具体的に申し出ましょう。
中絶を選んだ場合は、中絶手術の後も彼女の体調や気持ちを気遣う連絡を続けることが大切です。
妊娠させてしまったが結婚したくない男性からの相談事例
※本記事の相談内容は、よくあるご相談をもとにした設例です。
彼女が妊娠したものの結婚はしたくないと悩む、20代の男性の相談事例を紹介します。
私は20代の独身男性です。
現在交際している20代独身の彼女から、先日突然「妊娠した」と告げられました。正直、全く予想していなかった事態で、どうしていいか分からず困惑しています。
彼女は妊娠をとても喜んでいて、「できちゃった結婚になるけど、今どき珍しくないよね」「妊娠中でも結婚式挙げられるかな?」「お互いの両親に早く報告しよう」と、すでに妊娠=結婚という前提で話を進めています。
確かに、以前軽い気持ちで「いつか結婚しようね」と言ったことはありますが、私の中ではそれは将来的な漠然とした話であり、具体的な婚約が成立しているという認識は全くありませんでした。
彼女のことは嫌いではありませんし、大切に思っています。しかし、私自身まだ20代と若く、結婚に対して全く現実感がありません。今はちょうど転職も検討中で、経済的にも不安定な状況です。このような状況で、突然結婚に踏み切る気持ちには到底なれません。
そこで私は、正直な気持ちを彼女に伝え、「今は結婚するつもりがないから、中絶を考えてほしい」とお願いしました。すると、彼女は激しく動揺し、「もう親にも報告して、みんな結婚を楽しみにしている」「私はこの子を産みたい。妊娠させたのだから、あなたが責任をとって結婚すべきだ」と主張し、一歩も引いてくれません。
妊娠させてしまった以上、本当に結婚するしかないのでしょうか?もし結婚したくないという選択をした場合、私は彼女や生まれてくる子どもに対して、法的にどのような責任を負うことになるのでしょうか?
中絶費用や養育費、あるいは慰謝料といった金銭的な負担が発生するのかどうか、非常に不安です。私はどうすればいいのでしょうか?
結婚したくないときに気になるのは、結婚する義務があるのか、結婚しなくても何の責任を負うのかの2点です。次の章から順に解説します。
妊娠させてしまったら結婚する義務はある?
妊娠させてしまった場合でも、法律上、結婚する義務はありません。妊娠したら結婚しないといけない、子どもができたら結婚しなければならない、という決まりはなく、結婚するかどうかは本人の意思で決めることです。
日本国憲法24条1項は、婚姻(結婚)は両性の合意のみに基づいて成立すると定めています。彼女を妊娠させてしまったとしても、あなたに結婚する意思がなければ、彼女や彼女の親が結婚を強いることはできません。
ただし、すでに婚約が成立していた場合は、正当な理由なく婚約を破棄すると慰謝料を請求される可能性があります。二人が真剣に結婚を約束していれば口約束でも婚約は成立し得ますが、この相談のように「いつか結婚しようね」と軽く口にしただけでは婚約とは認められにくく、両親へのあいさつや結婚式場の予約など、結婚に向けた具体的な準備が進んでいたかが判断の目安になります。彼女が妊娠している場合の婚約破棄で請求される慰謝料の相場や、ほかに請求されうるお金は「妊娠中の婚約破棄の慰謝料相場と女性から破棄した場合の請求可否」にまとめています。
反対に、「責任を取って結婚するしかない」と思い込んで、安易に結婚を選ぶのも避けましょう。結婚した後で離婚したくなっても、相手が応じなければ、不貞行為や悪意の遺棄など法律が定める理由がない限り、裁判でも離婚は認められません(民法770条1項)。
妊娠したけど結婚したくないのであれば、結婚しない選択をすることができます。その場合は、できるだけ早く誠実に気持ちを彼女に伝えましょう。
結婚しなくても妊娠させてしまった責任は免れない
結婚しない選択をしても、望まない妊娠だったとしても、妊娠させてしまったことに対する男性の責任は消えません。彼女を妊娠させた男性の責任は、中絶なら費用、出産なら認知と養育費が中心で、どちらでも対応が不誠実なら慰謝料も加わることがあります。
妊娠の責任を取るとは、必ずしも結婚することではなく、中絶なら費用を負担し、出産なら子どもを認知して養育費を支払うことです。
中絶する場合は中絶費用を負担する
中絶する場合の男性の責任の取り方は、中絶費用を負担し、彼女の心身の負担に配慮しながら誠実に話し合うことです。
中絶費用の負担割合を定めた法律はないため、彼女と話し合って決めます。妊娠は二人の性行為の結果であり、妊娠させてしまった男性も少なくとも半分は負担するという考え方がありますが、身体と心の負担を負うのは彼女です。男性が全額を負担することも、誠実な対応の一つといえます。費用は医療機関や妊娠週数によって異なるため、金額を確かめたうえで話し合いましょう。
なお、相手が風俗店で働く女性の場合は、店から中絶費用とは別のお金を求められる例もあります。この場合の対応は「風俗嬢を妊娠させたら?中絶費用・示談と正しい対処法」をご覧ください。
中絶をめぐって慰謝料を請求されることがある
合意のうえでの性行為による妊娠なら、中絶したというだけでは、当然には慰謝料の支払い義務は生じません。
しかし、妊娠させてしまった後の男性の対応が不誠実な場合は、慰謝料を請求されることがあります。たとえば、一方的に中絶を迫る、中絶費用の分担を拒む、連絡を断って話し合いに応じない、暴言を吐くといった対応は、彼女に精神的苦痛を与える不法行為(民法709条・710条)にあたる場合があります。実際の判例や、請求されたときの対処法は「中絶の慰謝料は請求できる?認められるケースと相場・請求方法」で詳しく取り上げています。
こうした請求を避けるためにも、誠実な対応を心がけましょう。
また、あなたが結婚している場合は、彼女だけでなく、自分の妻から慰謝料を請求されることもあります。
この場合に妻から請求される慰謝料の考え方は「不倫相手が妊娠したら?最初にすべきことと産む・中絶の注意点」で解説しています。
出産したら子どもの認知を求められる
妊娠させてしまった彼女が出産した場合、あなたは子どもの父親として認知を求められることになります。結婚していない男女の間に生まれた子どもは、父親が認知することで、父親と法律上の親子になります。
あなたが自分から認知しない場合でも、子ども、または子どもに代わって母親である彼女が、認知の訴え(認知を求める裁判)を起こすことができます(民法787条)。訴えの前には、原則として家庭裁判所の調停(裁判所で話し合う手続き)を先に申し立てることになります。認知を拒否しても、DNA鑑定などで父子関係が認められれば、裁判によって認知が成立します(強制認知)。自分の子かどうかに疑問がある場合も、DNA鑑定で親子関係を確かめることができます。
認知の効力は、子どもが生まれた時にさかのぼって生じます(民法784条)。なお、彼女の承諾があれば、子どもが生まれる前に認知することもできます(民法783条1項)。認知届の出し方など、生まれる前に認知する場合の手続きは「胎児認知とは?妊娠中の手続き方法と拒否された場合の対策」をご参照ください。
認知した子どもの養育費と相続
あなたには、結婚していなくても、認知した子どもの養育費を支払う義務があります。認知によって法律上の親子になり、親は子どもに対する扶養義務を負うためです(民法877条1項)。
妊娠させてしまった場合の養育費の金額は、父母それぞれの収入や子どもの人数・年齢などをもとに話し合って決め、まとまらなければ家庭裁判所の調停や審判(裁判所が判断して決める手続き)で決めます。何歳まで支払うかも、取り決めや審判の内容によって決まります。子どもの成長に合わせて長い期間支払いが続くため、将来の生活設計にも影響します。
また、認知された子どもは、あなたの相続人になります(民法887条1項)。将来、別の女性と結婚して子どもが生まれても、子どもどうしの相続分は等しく扱われます。相続への影響や、認知を求められた場合の流れは「彼女を妊娠させてしまったら?中絶費用・認知・養育費はどうなる?」で詳しく解説しています。
妊娠させてしまったときに弁護士へ相談するメリット
妊娠させてしまったときは、弁護士に相談すれば、自分が負う責任の範囲を整理し、彼女との話し合いを任せることができます。
中絶費用や慰謝料、認知、養育費のうち、何をどこまで負担するのかは、交際の経緯や彼女の意向、あなたの収入などによって変わります。弁護士に具体的な事情を伝えれば、自分の状況で何を負うことになるのか見通しが立ち、漠然とした不安を整理しやすくなります。
当事者どうしでは感情的になりやすい話し合いも、弁護士が代理人として間に入ることで、冷静に進めやすくなります。彼女の親が話し合いに出てきた場合や、根拠の分からない高額な金銭を求められた場合にも、法的な根拠に基づいて対応できます。
話し合いで合意できたら、内容を書面に残しておくと安心です。支払う金額や方法とあわせて、書面に書いたこと以外は互いに請求しないと確認する条項(清算条項)を入れておけば、後から別の請求を受けるトラブルを防ぎやすくなります。謝罪の気持ちを込めて解決金を支払う形でまとめることもあり、こうした書面の作成も弁護士に任せられます。
また、彼女から「同意のない性行為だった」と主張された場合は、不同意性交等罪(刑法177条)の疑いをかけられ、刑事事件に発展するおそれもあります。一人で対応しようとせず、早い段階で弁護士に相談してください。
妊娠させてしまったが結婚したくない方は当事務所にご相談ください
結婚を選ぶかどうかとは別に、妊娠させてしまった男性には、中絶なら費用の負担、出産なら子どもの認知や養育費の支払いが求められます。
自分がどこまで負担するのかを早めに整理し、彼女や彼女の親との話し合いを冷静に進めるためにも、弁護士の助言を受けておくことが大切です。
彼女に結婚したくないと伝えられずにいる場合や、彼女の親から強く責任を求められている場合など、一人で抱えるには重い悩みもあるでしょう。
当事務所はこれまで、男性側の立場から妊娠をめぐるトラブルの解決に取り組んできました。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
不倫慰謝料、婚約破棄、妊娠トラブル、パパ活トラブル、元交際相手からのつきまといなど、男女トラブルのご相談に力を入れて取り組む。慰謝料を請求する側・請求された側のどちらのご相談も、お話を丁寧に伺ったうえで、相手方との交渉や調停・訴訟など状況に応じた手段を検討する。「家族や職場に知られたくない」といった事情にも配慮して対応している。











