彼女が妊娠しましたが別れたいです…どうすればいいですか?

「彼女が妊娠した。でも、このまま結婚していいのかわからない」——そう悩む男性は少なくありません。

交際中は見えなかった価値観の違いや生活習慣のズレ、そして将来への不安。それでも、妊娠という現実の前に、身動きが取れなくなってしまう方もいるでしょう。

しかし、女性にとって妊娠は身体的にも精神的にも非常に大きな負担を伴うものです。男性側が誠実に向き合わなければ、思わぬ法的責任や金銭的な請求が生じるリスクもあります。

この記事では、実際に寄せられた相談事例をもとに、妊娠中のパートナーと別れを考えている男性に向けて、婚約破棄、中絶費用、慰謝料、認知、養育費などの法的責任について、女性への配慮を前提とした正しい対応方法を弁護士の視点から丁寧に解説します

対応を誤れば、取り返しのつかない結果になる可能性もあります。この記事を最後まで読むことで、今なにをすべきかが明確になり、後悔のない選択をするための判断材料が得られるはずです

もし、記事をお読みいただいたうえで「自分だけでは対応が難しい」と感じた場合は、全国どこからでも無料で弁護士にご相談いただけます

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【相談内容】彼女が妊娠しましたが別れたいです…どうすればいいですか?

私は、30代・会社員の男です。

3年前に20代後半の彼女と交際を始め、1年前からは結婚を前提に同棲生活を送っています。両家の顔合わせも済ませ、先日には二人でいくつかの結婚式場を見学し、親しい友人や同僚には婚約の報告も済ませていました。

しかし、同棲生活が始まってから、彼女の生活習慣や金銭感覚、些細なことでの感情の起伏など、これまで見えなかった部分が気になるようになりました。

たとえば、整理整頓が苦手で、家の中はすぐに彼女のものでいっぱいになります。また、奨学金の返済があり、決して余裕があるわけではないのに、家計を気にせず高価なブランド品を頻繁に購入します。そして、納得のいかないことがあるとすぐに不機嫌になってしまい、正直、結婚相手としてこのまま共に人生を歩むことに強い不安を感じるようになっていました

一度は結婚を決めたものの、気持ちは徐々に冷めていき、今は惰性で交際を続けているような状態です。そんな中、先日、彼女の妊娠が発覚しました

妊娠した彼女に対して申し訳ない気持ちはありますが、どうしても別れたいという思いが強くあります

しかし、このような状況で彼女に別れを切り出した場合、法的にどのような責任を負うことになるのでしょうか。

また、もし彼女が中絶を選択した場合、中絶費用は私が負担するべきなのでしょうか? その際に慰謝料は発生するのでしょうか? もし彼女が出産を選んだ場合、私には子どもの養育費を支払う義務が生じるのでしょうか?

今後どのような対応をすればいいのかわからず、困っています

【弁護士の見解】妊娠している彼女と別れる場合に負う法的な責任

婚約中であっても、また妊娠中であっても、法的に結婚が成立していない以上、一方的に別れを告げること自体は可能です。しかし、その場合でも、状況によっては法的責任が発生する可能性があるため、慎重な対応が求められます。

妊娠中の彼女と別れたいと考えた場合、感情面だけでなく、法的責任が発生する可能性があります。以下のような点を理解しておく必要があります。

  • ① 婚約破棄に伴う慰謝料のリスク
  • ② 中絶費用と中絶に関する慰謝料の負担
  • ③ 出産された場合の養育費・認知・相続の問題

① 婚約破棄に伴う慰謝料のリスク

彼女と別れる場合、2人の間に法的な「婚約」が成立しているかどうかが、まず重要な検討事項となります。

婚約は、将来的に夫婦となることを約束する男女間の合意であり、法的な拘束力を持ちます。必ずしも書面による契約が必要というわけではなく、口頭での約束や、社会通念上婚約と認められるような状況があれば、法的に成立すると判断される可能性があります。

ご相談のケースでは、3年間交際し、1年前から結婚を前提に同棲を開始、結婚式場の見学や親しい友人、同僚への婚約報告も済ませているとのことですので、これらの事実から法的に婚約が成立している可能性が極めて高いと言えるでしょう。

そして、有効な婚約を、正当な理由なく一方的に破棄した場合、破棄した側は相手方に対して精神的な苦痛を与えたとして、慰謝料を支払う義務を負う可能性があります

「正当な理由」と認められる婚約破棄の例としては、一般的に以下のようなものが挙げられます。

  • 相手方の不貞行為
  • 相手方からの暴力や虐待(DV・モラハラ)
  • 相手方の重大な犯罪行為の発覚
  • 相手方の深刻な病気や経済状況の悪化により、結婚生活を維持することが困難になった場合 など

ご相談のケースでは、性格の不一致や生活習慣の違いが目立ち始めたことが別れを考える理由とのことですが、これらの点は、結婚生活においてある程度予見される範囲であり、一方的な婚約破棄の正当化事由とはなりにくいのが一般的です。

特に、妊娠という重大な事態が発生している状況での婚約の不当破棄は、女性に与える精神的苦痛が非常に大きいと考えられるため、一般的には100万円から300万円程度の慰謝料が認められるケースも少なくありません。

② 中絶費用と中絶に関する慰謝料の負担

中絶費用については、法律上の明確な規定はありませんが、一般的には、妊娠という結果を招いた責任の一端は双方にあると考えられています。そのため、当事者間で協議し、原則として折半することが妥当とされています。

ただし、今回のようなケースでは、彼女が妊娠という身体的・精神的な負担を負うだけでなく、妊娠中に婚約破棄というさらなる精神的ダメージを受けることになります。そのため、トラブルを未然に防ぎ、誠意を示すという意味においても、男性側が中絶費用の全額負担を提案することも検討すべきでしょう。

なお、性行為が両者の自由な意思に基づいて行われ、妊娠もその結果として生じているため、原則として、中絶自体に対する慰謝料請求は認められません

ただし、妊娠発覚後に男性が一方的に連絡を絶つ、責任を放棄する、今回のケースのように婚約を突然破棄するなど、不誠実な対応によって女性に精神的な苦痛を与えた場合には、不法行為に基づき、別途慰謝料請求が認められる可能性があるため、注意が必要です。

例えば、交際中に男性の子を妊娠した女性に2度中絶をさせたうえ、突然連絡を絶ち他の女性と結婚したという事例では、男性側に114万円の賠償金の支払いが命じられた裁判例があります(東京地方裁判所平成21年5月27日判決)。

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③ 出産された場合の養育費・認知・相続の問題

女性が出産を選択した場合、男性は子どもの父親として、その子に対する扶養義務を負うことになります。

もし、男性側が認知を拒否した場合でも、女性は家庭裁判所に認知調停や認知訴訟を申し立てることができるため、DNA鑑定などの科学的な証拠に基づいて、強制認知が認められる可能性が高いでしょう。

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強制認知が認められれば、たとえ別れて暮らしていたとしても、男性は父親として月々の養育費の支払義務を負うことになります。

養育費の金額は、一般的に、双方の収入、子どもの年齢や人数、地域の物価水準などを考慮して、裁判所の定める算定表に基づいて算出されます。

また、法律上の親子関係が認められれば、子どもは男性の相続人となります。したがって、男性が亡くなった場合には、他の相続人と同様に、遺産を受け取る権利を有することになります。

【弁護士からのアドバイス】妊娠した彼女と別れたい場合の対応方法

妊娠中の彼女と別れたいと考える場合、法的責任だけでなく、相手の心情や健康への配慮が不可欠です。以下のような点を踏まえ、誠実に対応しましょう。

  • ① 彼女に別れを告げる際は最大限の配慮をする
  • ② 中絶後すぐの別れは避ける
  • ③ 中絶を強要しない
  • ④ 弁護士に相談して冷静な対応を図る

①彼女に別れを告げる際は最大限の配慮が必要

女性との婚約を破棄する行為自体が、相手にとって大きな悲しみになることは想像に難くありません。そのうえ、妊娠中という状況下で別れを告げる際には、細心の注意を払い、彼女を傷付けない言葉を選ぶ必要があります

まず、妊娠したという事実を決して軽視してはなりません。

別れを考えているとはいえ、妊娠という結果に対する責任を全く感じていないという印象を与えないよう、責任を取る意思があることは明確に伝えましょう

一方的で感情的な伝え方は、彼女を深く傷つけ、混乱させるだけでなく、その後の話し合いを困難にする可能性を高めます。

「君の気持ちはとても分かる」、「つらい思いをさせて本当に申し訳ない」といった共感の言葉を添えることも、状況によっては必要でしょう。

また、中絶という選択肢、あるいは出産という選択肢、いずれを選ぶにしても、費用、認知、養育費といった現実的な問題から目を背けてはなりません

これらの問題について、しっかりと向き合い、彼女と共に解決に向けて話し合う姿勢を示すことが、誠実な対応と言えるでしょう。

②中絶後に別れを告げるような行動はしない

もし彼女が中絶という決断をした場合、それは身体的にも精神的にも、女性にとって想像を絶するほどの大きな負担を伴うものです。

そのような時期に、「これで関係が終わった」とばかりに冷たく別れを告げるような行動は、彼女に更なる深い傷を負わせ、その後の人生に大きな影を落とす可能性があります。

また、「先に別れを告げると、彼女が中絶に応じてくれないのではないか」といった打算的な考えに基づいて行動することは、彼女の心情を深く傷つけるだけでなく、その後のトラブルや慰謝料請求の火種となるおそれもあります。

かつては結婚まで考え、共に未来を歩むことを約束した相手であることを改めて認識し、中絶というつらい経験をした直後だからこそ、最大限の誠実さと配慮をもって接することが重要でしょう。

③中絶を強要しない

妊娠した女性が、出産するか中絶するかを決める権利は、女性本人にあります。男性が、自身の都合や希望を一方的に押し付け、中絶を強要することは許されません

中絶の強要は、場合によっては刑法上の罪に該当する可能性もあります。

例えば、相手を脅して中絶を迫った場合には脅迫罪(刑法第222条)が、暴行を用いて無理やり中絶させようとした場合には強要罪(同223条)や暴行罪(同208条)が成立する可能性があります。

これらの罪は、自由を侵害する重大な犯罪であり、刑事罰の対象となります。彼女から不法行為に基づく慰謝料を請求されてしまうリスクもあります。

④弁護士に相談する

今回のように、単なる男女間の別れ話に留まらず、婚約破棄、中絶、出産、認知、養育費、慰謝料など、法的な問題が複雑に絡み合っている場合には、できるだけ早く弁護士に相談するようにしてください

弁護士は、法的な知識に基づいて、それぞれの選択肢がどのような法的帰結を伴うのかを丁寧に説明し、具体的なアドバイスを提供することができます

また、弁護士を介して話し合いを進めることで、感情的な対立を避け、冷静かつ客観的な視点から問題解決に取り組むことができます。

特に、慰謝料の金額や支払い方法、養育費の取り決めなど、金銭的な問題については、専門家である弁護士が間に入ることで、法的な相場や妥当な範囲に基づいた交渉が可能となり、双方が納得できる解決を目指しやすくなります

妊娠トラブルについては当事務所にご相談を

妊娠中の彼女と別れたいという悩みは、誰にも相談しづらく、一人で抱え込んでしまいがちな問題です。しかし、対応を誤れば、相手女性に深い傷を残すだけでなく、婚約破棄や慰謝料、認知、養育費といった重大な法的責任につながるおそれもあります

当事務所では、これまで数多くの妊娠トラブルに対応してきた実績があり、弁護士が親身かつ誠実に、全力でサポートいたします

一人で悩み続ける前に、まずはご相談ください。状況を整理し、法的な選択肢を明確にすることが、後悔のない決断につながります。

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