内縁関係で別居したらお金はどうなる?生活費を請求できる場合とは

「内縁関係で別居したら、生活費(婚姻費用)や養育費・慰謝料などのお金はどうなるの?」と不安を感じている内縁の妻(夫)の方もいるのではないでしょうか。結論からいうと、別居すると内縁は原則として解消し、別居後の生活費は請求できなくなります。ただし、単身赴任や入院などで一時的に離れているだけなら内縁は続き、生活費を請求できる場合があります。

一方で、別居前に支払われなかった生活費や、子どもの養育費・慰謝料・財産分与は、内縁が解消したあとも請求できるケースがあります。

この記事では、男女トラブルに強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 別居後も内縁の相手に生活費を請求できるのか
  • 別居前に未払いだった生活費はどうなるのか
  • 内縁解消で養育費・慰謝料・財産分与は請求できるのか

最後までご覧いただくと、別居の前後で何を請求でき、何を準備しておくべきかを整理できます。

なお、内縁のパートナーとの別居でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいたあと、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。

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内縁関係の別居後も生活費(婚姻費用)は請求できる?

別居後も相手に生活費を求められるかは、別居のあとも内縁関係が続いているといえるかどうかで分かれます。判断の流れは次の図のとおりです。

内縁関係で別居した後に生活費を請求できるかの判断の流れ(一時的な別居なら内縁は継続、それ以外は原則として内縁は解消。解消しても未払いの生活費・養育費・慰謝料・財産分与は請求できる場合がある)

別居で共同生活がなくなれば原則として請求できない

内縁(事実婚)とは、婚姻届を出していないものの、結婚の意思をもって夫婦同然の共同生活を送っている関係のことです。最高裁判所昭和33年4月11日判決は、内縁を「婚姻に準ずる関係」と位置づけ、夫婦の生活費の分担を定めた民法760条も内縁に準用される(同じように当てはめられる)と判断しました。そのため、内縁関係が続いている間は、内縁の妻(夫)も相手に生活費(婚姻費用)の分担を求められます。

もっとも、内縁関係が成立するには「婚姻意思」と「共同生活の実態」の2つが必要とされています。それまで同居していた二人が別居すると、共同生活の実態が失われるため、内縁関係は原則として解消したと判断され、別居したあとの生活費は相手に求められなくなります。内縁関係の解消に、離婚届のような届出は必要ありません。

ただし、単身赴任や入院など、やむを得ない事情で一時的に離れて暮らしているだけなら、内縁関係は続いていると認められ、別居中の生活費を請求できる場合があります。

なお、はじめから別々に暮らしていても、生活費を出し合うなど経済的・精神的に支え合っていれば、内縁関係が認められることがあります。この場合は、別居以外の事情から内縁関係が解消したかどうかを判断することになります。

内縁関係と判断されるときに考慮される具体的な事情は、「内縁の妻とは?メリット・デメリットと認められる条件を解説」をご参照ください。

別居前に支払われなかった婚姻費用は請求できる場合がある

内縁関係が続いていた間は、二人とも生活費を分担する義務を負っていました。そのため、同居していたころに相手が生活費を入れず、内縁の妻(夫)の側が家計を支えていたような場合は、別居して内縁関係が解消したあとでも、支払われなかった分の清算を相手に求められます。

どこまでさかのぼって、いくら求められるかは、二人の収入やそれまでの生活費のやり取りといった事情しだいです。

内縁関係が解消したあとに別居前の未払い分を求める場合は、使える手続きが状況によって異なるため、弁護士に相談して確かめておくと安心です。

一時的な別居なら婚姻費用分担調停を申し立てられる

一時的な別居で内縁関係が続いている間の生活費は、まず相手との話し合いで支払いを求めます。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担調停(裁判所で生活費の分担を話し合う手続き)を申し立てられます。申立先は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所か、二人が合意で決めた家庭裁判所です。

裁判所の案内(婚姻費用の分担請求調停)によると、申立ての費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手で、内縁関係についての申立てなら夫婦の戸籍謄本は要りません。調停で合意できないときは、審判(裁判官が一切の事情を考慮して判断する手続き)に移ります。

別居で内縁関係を解消したときに請求できる養育費・慰謝料・財産分与

別居で内縁関係が解消しても、お金の問題がそこで終わるとは限りません。養育費・慰謝料・財産分与は、離婚のときに近い考え方で請求できることがあります。

慰謝料や財産分与では、相手から「そもそも内縁ではなかった」と反論されることもあるため、住民票の続柄の記載など、内縁関係があったことを示す資料を確保しておきましょう。証明の方法は「内縁関係を証明する方法と11の書類・証拠を解説」で詳しく解説しています。

また、相手に法律上の配偶者がいる「重婚的内縁」では、相手とその配偶者との婚姻関係が完全に破綻しているなどの事情がなければ、慰謝料や財産分与の請求は原則として認められません。

子どもを父親に認知してもらえば養育費を請求できる

内縁の夫婦の間に生まれた子(非嫡出子)は、そのままでは父親との法律上の親子関係がありません。父親が子を認知する(自分の子だと法律上認める)ことで、はじめて親子関係が生じるため、内縁の夫に養育費を求めるには、まず子を認知してもらう必要があります。

相手が任意に認知しないときは、家庭裁判所に認知調停を申し立て、調停でも解決しなければ、母親が子の法定代理人として(子に代わって)認知の訴えを起こします(民法787条)。いったん認知されれば、別居や内縁関係の解消で親子関係が消えることはないため、解消したあとも養育費を請求できます。請求方法は「内縁関係解消後に内縁の夫に養育費を請求できる?請求方法を解説」をご覧ください。

一方的な別居や浮気が原因なら慰謝料を請求できる

相手が正当な理由もなく一方的に家を出て内縁関係を終わらせた場合は、内縁の不当破棄として慰謝料を請求できる可能性があります。先ほど紹介した昭和33年4月11日の最高裁判決は、内縁を不当に破棄された人は、婚姻予約(将来結婚するという約束)の不履行と、不法行為(故意や過失で他人の権利を侵害すること)のどちらを理由としても損害賠償を求められると判断しています。

相手の浮気(不貞行為)やDVがもとで別居に至った場合も、慰謝料を請求できることがあります。浮気相手にも、内縁関係を知りながら関係を持ったときなどは、慰謝料を求められる可能性があります。

反対に、あなたのほうが正当な理由なく家を出て内縁関係を解消したときは、慰謝料を支払う側になるおそれがあります。慰謝料が認められるケースや相場は「内縁関係でも慰謝料請求できる?条件と相場・手続きの流れ」をご確認ください。

内縁中に築いた財産は財産分与の対象になる

別居によって内縁関係を解消した場合も、離婚のときの財産分与の規定(民法768条)が内縁にも当てはめられ(類推適用)、内縁中に二人で築いた財産の分与を求められます。対象になるのは、内縁中に協力して取得したり維持したりした財産で、預貯金や自宅などの名義がどちらかは問われません。

法律婚では、財産の形成への二人の貢献の度合いは、異なることが明らかでなければ等しいものとされ(同条3項)、内縁でも半分ずつが目安です。住宅ローンや生活費のための借入れはマイナスの財産として差し引かれますが、一方が浪費やギャンブルで作った借金は対象になりません。詳しくは「内縁関係を解消した場合に妻(夫)は財産分与を受けられる?」で解説しています。

内縁関係の別居でお悩みの方は弁護士にご相談ください

内縁関係で別居すると、原則として内縁そのものが終わり、それ以降の生活費は求められなくなります。もっとも、一時的な別居で内縁が続いている間の生活費や、別居前の未払い分、子どもの養育費や慰謝料、財産分与など、別居のあとでも請求の余地があるお金は少なくありません。

ただ、相手から「内縁ではなかった」と反論されることもあり、何を請求できるかは、同居の実態や別居に至った経緯によって変わります。弁護士に相談すれば、ご自身のケースで請求できるものを見極めたうえで、資料の集め方から相手との交渉、調停の手続きまで任せられます。

長く暮らした相手と別れながらお金の話を進めるのは、精神的な負担も小さくありません。すでに別居している方も、これから別居を考えている方も、一人で抱え込まないでください。

当事務所では、内縁関係の解消にともなうお金の問題についてもご相談をお受けしています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

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