
内縁関係にあるパートナーと別居した場合、それだけで内縁関係は解消されたものとして扱われるのが原則です。ただし、一時的な別居にすぎない場合は解消とみなされないこともあります。
「別居後の婚姻費用や養育費はどうなるのか」「慰謝料や財産分与は請求できるのか」など、内縁関係の別居にはお金に関する不安がつきものです。
この記事では、別居による内縁関係の解消と、解消時に検討すべき婚姻費用・養育費・慰謝料・財産分与の問題について弁護士が解説します。
- 別居すると内縁関係は解消されるのか
- 別居後に婚姻費用や生活費は請求できるのか
- 養育費・慰謝料・財産分与は請求できるのか
- 内縁関係の別居に関するよくある疑問
なお、内縁関係の別居について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご検討ください。
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別居すれば内縁関係が解消される可能性も
内縁の場合、離婚と異なり、離婚届などの書類を作成して役所に提出することや一定の手続きを踏むことなく関係を解消できます。
したがって、別居という事実のみをもって内縁関係を解消することも可能といえます。
そもそも、内縁関係が成立するためには「婚姻意思」と「共同生活の実態」という2つの要件を満たす必要があるところ、別居すると、「共同生活の実態」を欠くことになりますし、もう1つの要件である「婚姻意思」も欠く場合が多いからです。
なお、内縁関係が解消したことを主張したい場合には、そもそも内縁が成立していたことを証明する必要があります。
内縁関係が成立していなければ、内縁関係が解消されたともいえないからです。
のちほど、内縁関係の解消とお金の問題について解説しますが、内縁関係の解消をきっかけに、相手に対して金銭の支払いを求める場合には、相手から「もともと内縁は成立していなかった」と反論される可能性がありますので、内縁関係が成立していたことを証明する証拠を集めておく必要があります。内縁関係の証明方法について詳しくは「内縁関係を証明する方法と11の書類・証拠を解説」をご参照ください。
なお、もともと別居していた場合でも、生活費を分担するなどして、精神的・経済的に協力し合いながら生活していたという場合には、内縁関係の成立を認めることができます。
この場合は、別居以外の原因で、内縁関係が解消したかどうかを判断することになります。
内縁関係の解消とお金
別居や離婚の際には、婚姻費用、養育費、慰謝料、財産分与をはじめとするお金のことを検討しなければなりませんが、内縁関係における別居、解消の際にも同様のことがいえます。以下では、それぞれ請求できるかどうかをみていきます。
婚姻費用は請求できない
婚姻費用とは、内縁生活を送る上で発生する費用(食費、医療費、通信費などの生活費)のことです。内縁関係にある男女もお互いに扶養義務を負い、相手に対して婚姻費用を請求する権利があります。
しかし、別居→内縁関係解消となれば婚姻費用を請求することはできません。婚姻費用はお互いに内縁関係にあるからこそ請求できるものだからです。
なお、相手の単身赴任や入院といった事情で一時的に離れているだけの場合は、内縁関係が解消されたとはいえず、婚姻費用を請求できることもあります。
子が認知されないと養育費は請求できない
養育費は、親が扶養義務に基づいて負担する費用です。
しかし、もともと相手男性と内縁関係にある(婚姻関係にない)男女の間に生まれた子とは親子関係にはなく、相手男性は子に対して扶養義務を負いませんから、養育費も負担しません。
そのため、相手男性に対して養育費を請求できないのが基本です。
相手男性に対して養育費を請求するためには、子を認知してもらうことです。
まずは、相手男性に対して(任意)認知してもらうよう説得を試みるのが基本ですが、これから内縁関係を解消する相手男性が認知することには消極的な場合が多いでしょう。
その場合は、家庭裁判所に対して認知調停を申し立て、調停でも解決できない場合は家庭裁判所に対して認知の訴えを提起して、強制的に認知してもらいます。
子が認知されると、相手男性と子との間に親子関係が発生し、相手男性は子に対して扶養義務を負い養育費を負担しなければなりません。
したがって、子が認知されれば相手男性に対して養育費を請求できるようになります。
また、別居や内縁関係の解消によって、父親と子との親子関係が解消されるわけではありません。
つまり、別居や内縁関係の解消後であっても、養育費の請求は可能です。養育費の具体的な請求方法については「内縁関係解消後に内縁の夫に養育費を請求できる?請求方法を解説」で詳しく解説しています。
一方的な別居は慰謝料請求の対象
相手がこれといった正当な理由もないのに一方的に家を出て内縁関係を解消したという場合には、それがあなたの法律上保護されるべき生活関係である内縁を不当に侵害する不法行為にあたり、その不法行為によって精神的苦痛を被ったとして、相手に慰謝料請求できます。
内縁が婚姻の予約にあたると認められる場合には、相手の身勝手な別居によって内縁を解消させられたことについて、婚約不履行という別の理論構成から賠償を求めることもできます。
また、一方的な別居の場合のほか、相手の不貞行為、DVなどによっても慰謝料請求できる場合があります。
なお、あなたが一方的に別居した、内縁関係を解消したという場合は、あなたが相手から慰謝料(賠償)請求される可能性がありますので注意が必要です。慰謝料請求が認められる具体的なケースや相場については「内縁関係でも慰謝料請求できる4つのケースと相場・方法を解説」もあわせてご確認ください。
内縁関係成立後に築いた財産は分与の対象
前述のとおり、内縁関係は「婚姻に準じる関係」といえますから、離婚の際と同様に、別居によって内縁関係を解消した場合にも財産分与を請求することができます。
もっとも、財産分与の対象となる財産は、内縁関係成立後に取得した財産(名義、貢献度は問わない)、あるいは、当事者が共同して築いたと認められる財産です。
また、内縁生活を送るなかで負った住宅ローンや生活費のための借入などの借金は、マイナスの財産として財産分与で考慮され、プラスの財産から差し引かれます。ただし、一方が個人的な浪費やギャンブルのために作った借金は、財産分与の対象にはなりません。財産分与の詳しい内容については「内縁関係を解消した場合に妻(夫)は財産分与を受けられる?」で解説しています。
別居による内縁破綻が問題となった裁判例
ここでは、東京地方裁判所が平成26年10月8日に言い渡した判決を取り上げます。
◇事案の概要
内縁関係にあったXとYのうち、YがZと男女の関係を持ち、それまでXと暮らしていたマンションを出て、Zの住まいで生活を始めました。Xは、こうしたYの不貞と別居によって精神的な苦痛を受けたと主張し、YとZの二人に対して慰謝料を求めました。
◇裁判所の判断
裁判所は、XとYの間に内縁が成立していたと認めたうえで、Yが自らの意思でXとの関係を終わらせたと判断しました。Zについても、YにXという内縁の相手がいる事情を知りながら同居に踏み切った以上、Yと一体となって関係の破綻に加担したと評価しています。
その結論として、YとZが連帯して、Xの精神的損害に対し100万円を賠償するよう命じられました。
内縁関係の別居をめぐるQ&A
また、相手が合意しない場合でも、あなたの婚姻意思を欠くのであれば内縁関係は解消したと判断してよいでしょう。
しかし、相手の単身赴任を理由とする内縁関係の解消は、正当な理由に基づく内縁解消とはいえず、後日、相手から慰謝料請求される可能性がある点は注意が必要です。
もっとも、一時的な別居(避難)にすぎない場合は、内縁関係は継続していると判断して婚姻費用を請求できることもあります。
なお、別居前に支払ってもらっていなかった婚姻費用については別居後も請求することは可能です。
また、内縁関係が復活しているのであれば、相手の貞操義務違反を理由に慰謝料を請求することは可能です。
なお、そもそも前回の内縁関係が解消していなかった(別居した後も内縁がなお続いていた)という考え方を取ることも可能ですが、いずれにせよ内縁関係が成立していることの立証が必要となります。
内縁関係の別居でお悩みの方は弁護士にご相談ください
内縁関係のパートナーと別居すると、関係の解消だけでなく、婚姻費用や養育費、慰謝料、財産分与といったお金の問題に直面することになります。請求できるもの・できないものは状況によって異なり、ご自身の判断だけで進めると、本来受け取れるはずのお金を見逃してしまうおそれがあります。
弁護士に相談することで、ご自身の状況でどのような請求が可能か、どのような証拠を準備すべきかを具体的に把握でき、不利な条件で合意してしまうリスクを防げます。
内縁関係の別居をめぐるお金の問題は、精神的な負担も大きく、おひとりで抱えるには難しい問題です。すでにパートナーと別居している方、これから別居を検討している方は、できるだけ早い段階で専門家に相談されることをおすすめします。
当事務所では、内縁関係の解消に関するご相談を全国どこからでも無料でお受けしています。おひとりで悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

