
「被害届の出し方が分からない」「自分で書いて持って行かないといけないの?」と、警察へ行く前に迷っていませんか。被害届は、事件が起きた場所を受け持つ警察署のほか、近くの警察署や交番でも出すことができ、用紙は警察官が話を聞きながら作ってくれることが多いため、書き方に自信がなくても届け出られます。
この記事では、刑事事件に注力する弁護士が次の点を解説します。
- 被害届と告訴・告発はどう違うのか
- どこの警察に何を持って行けばよいか
- 出し方・書き方と様式の入手先
- 受理されないときの理由と対処法
なお、被害に遭ってお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
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被害届とは
まず、被害届がどのような書類で、告訴・告発とどう違うのかを確認します。
被害届は犯罪の被害を警察に申告する書類
被害届とは、犯罪の被害を受けたことを警察に届け出るための書類で、警察が捜査に乗り出すきっかけになります。
被害届を提出するのは被害に遭った本人が基本ですが、本人が幼い、けがで動けないなど自分で伝えられないときは、家族などが届け出ることもできます。
なお、被害届を出された側の方は「被害届を出されたらどうなる?流れと取り下げ・対処法」をご覧ください。
被害届と告訴・告発の違い
被害届と同じく犯罪を申告する手続きに、告訴と告発があります(仕組みは「告訴と告発の違いとは?仕組みと取り下げを解説」で解説しています)。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 被害届 | 告訴 | 告発 |
| 中身 | 被害に遭った事実の申告 | 事実の申告と処罰を求める意思表示 | 事実の申告と処罰を求める意思表示 |
|---|---|---|---|
| 出せる人 | 被害者(事情により家族など) | 被害者など | 誰でも |
| 期限 | なし | 親告罪(告訴がないと起訴できない罪)は原則、犯人を知った日から6か月 | なし |
| 警察の対応 | 捜査のきっかけにする | 検察官へ書類などを送る | 検察官へ書類などを送る |
器物損壊罪(器物破損)や名誉毀損罪などの親告罪で処罰を求めるには、被害届とは別に告訴が必要です。範囲は「【一覧表つき】親告罪とは?告訴期間と非親告罪との違いを解説」にまとめています。
被害届に期限はありませんが、公訴時効(一定の期間が過ぎると起訴できなくなる制度)が完成すると処罰できなくなり、証拠も時間とともに失われやすいため、早めに届け出ましょう。罪ごとの年数は「刑事事件の時効は何年?公訴時効を一覧表で犯罪別に解説」で紹介しています。
被害届はどこの警察に出す?提出先と必要なもの
被害届は、事件が起きた場所を受け持つ(管轄する)警察署に出すのが基本です。ただし、警察官が捜査で守るルールである犯罪捜査規範は、管轄外の事件でも届出を受理するよう定めています。
(被害届の受理)
第61条 警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
出典:e-Gov法令検索
そのため、自宅や勤務先に近い警察署や交番でも受け付けてもらえます。警視庁のサイトにも「各警察署・交番で受理できます」とあります。もっとも、交番では人手が限られ、事件によっては警察署を案内されることがあります。事前に警察署へ電話し、担当者の都合を確かめてから行くと安心です。被害の直後で危険が続いているときは110番通報してください。
被害届は、届け出る人が出向いて警察官に事情を話すのが基本で、郵送や電話だけで済ませる方法は一般的ではありません。当日は次のものがあると進めやすくなります。
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 印鑑(求められることがあります)
- 被害を示す資料(写真、壊れた物、領収書、やり取りの画面など)
- いつ・どこで・何があったかをまとめたメモ
手元にない物があっても、まずは警察に相談してみてください。
警察への被害届の出し方、書き方
被害届の作り方の種類、警察署での当日の流れ、書き方の順に説明します。
警察への被害届の出し方は4パターン
口頭で届け出たときの被害届の作り方は、犯罪捜査規範61条2項に定められています。
2 前項の届出が口頭によるものであるときは、被害届(別記様式第6号)に記入を求め又は警察官が代書するものとする。この場合において、参考人供述調書を作成したときは、被害届の作成を省略することができる。
出典:e-Gov法令検索
1項の受理義務とあわせて読むと、出し方は次の4つに分けられます。
- ①自分で書いた被害届を警察署に持参する
- ②警察署で事情を話し、自分で用紙に記入する
- ③警察官が話を聞き取り、代わりに書く(代書)
- ④警察官が参考人供述調書(話した内容をまとめた書類)を作り、被害届の代わりにする
実務では③の出し方が多く、自分で書いた書類がなくても被害届は出せます。
警察署で被害届を出すときの流れ
当日は、おおむね次の順に進みます。
- 受付で、被害届を出したいと伝える
- 担当の警察官が被害の内容を聴く
- 警察官が聴いた内容をもとに被害届を作る
- できあがった内容を確認し、違う点は直してもらう
- 署名・押印(指印)をして提出する
事情を聴く時間は事件によって異なり、長くかかることもあるため、余裕のある日に行きましょう。
被害届が受理された後は、事情聴取や実況見分(現場の確認)への立会い、検察官の聴取、裁判での証言を求められることがあります。警察から検察へ事件を送る送致の仕組みは「書類送検とは?前科はつく?逮捕との違いを弁護士が解説」で解説しています。
なお、被害届を取り下げる場合の流れは「被害届を取り下げてもらう方法と期間、メリットと注意点」で紹介しています。
被害届の書き方
被害届の書式(様式)は犯罪捜査規範の別記様式第6号で定められ、e-Gov法令検索の様式PDFで確認・ダウンロードできます。もっとも、用紙は警察署にあるため、書式を用意して行く必要はありません。
自分で書いて持参する場合は、次の様式の主な欄に沿って書くと、警察官が内容を確かめやすくなります。
- 届出人の住居・氏名・電話番号
- 被害者の住居・職業・氏名・年齢
- 被害の年月日時と場所
- 被害の模様(どのような被害に遭ったか)
- 被害金品(品名・数量・時価・特徴・所有者)
- 犯人の住居・氏名または通称・人相・着衣・特徴など
- 遺留品(犯人が残した物)その他参考となる事項
被害届の欄に書く文章に、決まった書き方はありません。大切なのは、覚えている範囲で被害の事実を正確に伝えることです。警察官に口頭で話す場合も同じで、5W1Hを意識すると整理しやすくなります。
- 誰が(犯人。分からなければ人相や服装などの特徴)
- いつ(被害に遭った日時・時間帯)
- どこで(被害に遭った場所)
- 何を(被害に遭った物、被害の内容と程度)
- なぜ(犯人の動機や、特定の人が犯人だと考える根拠。分かる範囲で)
- どのように(被害の状況、犯人の手口)
被害届の記載例として、自転車を盗まれた場合を考えます。「自転車を盗まれました」だけでは捜査の手がかりになりません。「○月○日午後7時ごろ、駅前の駐輪場に鍵をかけて止めた青い自転車が、午後9時に戻るとなくなっていた」のように、日時・場所・物の特徴まで具体的に書きます。
分からないことは推測で埋めず、分からないと伝えてください。事実と違う内容が入ると、かえって捜査の妨げになります。
被害届が受理されないのはなぜ?理由と対処法
犯罪捜査規範61条1項は受理を義務づけていますが、実際には相談として話を聴くだけで終わり、被害届が受理されないことがあります。主な理由は次のとおりです。
- お金の貸し借りや契約のもめごとなど、刑事事件ではなく民事の問題と判断された
- 被害の内容があいまいで、犯罪にあたるか判断できない
- 被害を裏づける証拠が足りない
被害届が受理されなかったときは、まず警察官に受理できない理由を具体的に尋ね、直せる点を直します。証拠やメモを補い、日を改めて出し直すことも考えられます。
それでも受け付けてもらえない場合は、弁護士に同行してもらい、犯罪にあたる理由を法的に整理して説明する方法があります。告訴を検討するのも1つの方法です。告訴は書面でも口頭でもでき(刑事訴訟法241条)、告訴を受けた警察は書類と証拠物を速やかに検察官へ送らなければなりません(同法242条)。
被害届の出し方や書き方に迷ったら弁護士にご相談ください
被害届は管轄外の警察署や交番でも受け付けてもらえ、受理されないときも、理由を確かめて証拠を補う、告訴を検討するといった手があります。
弁護士に依頼すれば、被害の事実を法的に整理したうえで、被害届や告訴状の作成、警察署への同行まで任せられます。被害に加えて、警察とのやり取りまで一人で抱えるのは大きな負担です。警察に受け付けてもらえなかった方や、どう説明すればよいか分からない方も、ご相談ください。
当事務所は刑事事件に注力しており、被害に遭われた方のご相談もお受けしています。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

