個人再生という債務整理方法は、裁判所で行われる厳格な手続きです。
そのため、個人再生を裁判所に申し立てる際には、法律で定められた各種書類の提出が必要となります。
裁判所は、提出された書類を審査し、個人再生手続き開始等の可否を判断します。
これらの書類は、ケースバイケースにより提出すべき種類などが異なりますが、通常はある程度大量の書類が必要となります。
このため、個人再生は個人で行うことが難しいと言われるのです。
個人再生するに際して提出が要求される書類には、裁判所等で入手できる種類のものと、自分で作成しなければならない種類のものに分類することができます。
今回は、個人再生を申し立てるときに必要となる、各種書類についてご説明いたします。
なお、手続きを行う上で必要となる書類の内容などは、申し立てを行う裁判所によって異なることがあります。
そのため、こちらでは一般的に必要とされることの多い書類について記載します。
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個人再生で必要となる書類について
冒頭でも述べたように、裁判所に個人再生を申し立てるためには個人再生の申立書はもちろんのこと、法律で定められた各種書類も提出しなければなりません。これを添付書類と言います。
この添付書類には、手続き上絶対に必要となるものと、申し立てる人の事情次第で必要となる種類のものがあります。
また、添付書類にはその性質上、基本的に自分で入手すべきものと自分で作成すべきものがあります。
書類の作成に自信がない場合には
繰り返しになりますが、個人再生手続きをするためには、申立書をはじめたくさんの書類の作成・入手などの作業が必要となります。
これらの作業をこなすのはハードルが高く、なかなか個人で行うことは難しいと言わざるを得ません。
仮に書類を作成できたとしても、裁判所で受け付けてくれない可能性も充分あります。
もし、このような不安がある場合には、つぎのような方法を検討する必要があります。
債務整理の専門家に依頼する
書類の作成などに不安のある場合には、弁護士や司法書士など債務整理の専門家に依頼することをおすすめいたします。
専門家に依頼した場合には、書類の作成や裁判所への提出などのほとんどを行ってもらうことができます。
個人再生が成功する確率が格段に高くなる
個人再生で提出が必要となる書類の中には、各種法律の条件を満たした内容であることが要求されるものが多数あります。
もし、その条件を満たした書類を作れない場合には、個人再生に失敗することになりかねません。
債務整理の専門家が作成する書類は、法律の条件を満たしたものですので、再生手続きが失敗する恐れがかなり低くなります。
裁判所等から入手できる書類
個人再生の申立書等一式(申立書・陳述書・家計表・財産目録・債権者一覧表など)は、裁判所で配布されていますので、提出予定の裁判所で入手することができます。
申し立てを予定している裁判所の受付で、「個人再生したいのですが」と言えば、その裁判所で採用している形式の申立書一式を渡してくれます。
また、現在ではインターネット上でも配布されている場合がありますので、それをプリントアウトして利用することもできます。
それではつぎに、これら申立書一式について簡単に説明しましょう。
申立書
個人再生を申し立てるためには、当然のことですが個人再生の申立書が必要となります。
正確には「再生手続開始申立書」といいます。
個人再生の申し立てには、絶対に必要な書類となります。
この書類を提出することにより、裁判所はその内容と添付された書類から個人再生手続きを開始するかどうかを判断することになるのです。
陳述書
申立人の現在の生活全般に関する状況を記入します。
つまり、申立人の職業や収入・居住状況(持ち家か賃貸住宅かなど)など必要事項を記載します。
また、基本的には同居の親族の続柄・年齢・職業なども記載する必要があります。
家族状況について
陳述書には申立人の現況だけでなく、同居の家族に関してもある程度記入する必要があります。
これはなぜかと言いますと、個人再生手続きが終了した後の返済に関し、もし申立人ひとりでの返済が困難になった場合に、ご家族の支援が得られそうかどうかを裁判所が判断する必要があるからです。
申し立てをしたからと言って、ほかの家族に迷惑がかかるようなことは基本的にはありませんので、正直に記載してください。
家計表
1か月ごとの家計の収入・支出を記載します。
支出に関しては、食費や光熱費など項目ごとに細かく記入する必要があります。
こられ項目ごとに1か月分の支出をまとめて記入して下さい。
もれなく正直に記入する必要があります。
大雑把だったり、いい加減な記載をすると裁判所の印象を悪くすることになりますので、注意が必要です。
この家計表は、個人再生申し立て直前の2か月分のものが必要です。
財産目録
ご自分の財産について記載する書面です。
現金や預貯金、不動産や有価証券の所有の有無など、細かいし財産状況について記載することになります。
記載すべき内容については、入手した書類のフォーマットどおりに記載してください。
もし、その項目について所有していない場合には、「無し」をチェックするだけで構いません。
債権者一覧表
文字どおり、自分の負っている借金の相手である債権者を記載する書面です。
たとえ、わずかでも借金を負っている以上は、すべての債権者を記載する必要があります。
また、法律上認められる範囲内の利息であれば、借金の元金だけでなく申し立て時点の利息も合算して記入する必要があります。
債権者は隠さずにすべて記載すること!
親族や友人などからの借金を隠して申し立てを行おうとする方がいますが、これは重大な違法行為であり、最悪の場合には個人再生失敗の原因となります。
すべて正直に記載するようにしてください。
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申立書の添付書類について
個人再生は、その手続きを利用できるかどうかに関して法律上、厳格な制限があります。
そのため、裁判所がその適格性の審査をする必要上、申立書のほかに添付書類が必要となってくるのです。
個人再生の申し立てに際して必要となる添付書類の内訳は、申立人の事情によりケースバイケースですが、一般的に必要とされることの多い書類について以下にご説明しましょう。
戸籍謄本
提出の必要のない裁判所もありますが、申し立てをする裁判所によっては、戸籍謄本の提出が必要となることがあります。
申し立て前に、戸籍謄本を提出する必要の有無を裁判所に確認する必要があります。
戸籍謄本が必要な場合には、同居の親族全員分の戸籍謄本を提出することになります。
住民票の写し
いわゆる「住民票」です。
本籍地の記載のあるものでなければならず、基本的に同居の家族全員分のものが必要です。
また、発行後3か月以内のものでなければなりません。
住民登録してある市町村などの役場で入手することができます。
個人再生は、申し立てをする人の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てることを原則としていますので、裁判所の管轄を確認するために添付が要求されます。
自宅に住んでいる場合
自分で所有している不動産に住んでいる場合には、そのことの証明が必要になります。
一般的には、登記簿(全部事項証明書)を添付することになります。
法務局で入手可能です。
借家に住んでいる場合
借家に住んでいる場合には、家賃の額などを証明するため、借家の賃貸借契約書が必要になることがあります。
実務では、コピーを提出します。
収入の額を証明する書類
個人再生は自己破産と異なり、一定額の借金を返済することになる手続きです。
そのため、その返済が可能かどうかなどを判断するため、収入の額を証明する書類の提出が必要となります。
サラリーマンと自営業の場合では、添付すべき書類が異なりますので注意が必要です。
サラリーマンなどの場合
サラリーマンの場合、収入の額を証明する書類は通常つぎのようなものとなります。
①給与明細書
毎月会社から支給される給与の明細を明記した書類です。
これは申し立て直前の1か月分のものでは足りず、最新3か月分の給与明細が必要です。
コピーを提出します。
②賞与明細書
会社から賞与(ボーナス)が支給されている場合、これについての明細書の添付が必要となります。
賞与が支給されていない場合には、当然ですが添付不要です。
こちらもコピーの提出で結構です。
③源泉徴収票
会社に雇用されて働いている場合には、会社が発行する源泉徴収票が交付されているはずです。
個人再生の申し立てには、この源泉徴収票が必要です。
最新の2年分のものを用意してください。
これは、コピーしたものの提出で問題ありません。
自営業の場合
自営業を営んでいる人が個人再生を申し立てる場合、収入の額を証明する書類として以下の書類を提出することになります。
①確定申告書
収入など経営状態の把握のため、確定申告書を提出します。
基本的に最新2期分のものが必要です。
こちらは、コピーしたもので問題ありません。
②課税証明書
場合によっては、課税証明書の提出が必要となることがあります。
その場合、最新2年分のものが必要です。
役所で入手可能です。
資産の額を証明する書類
不動産などある程度以上高額な資産を所有している場合には、それを証明する書類が必要となります。
申立書の一式の書類として「財産目録」を提出していますが、そこで記載した各財産の詳細を証明する書類となります。
資産の額を証明する書類として主なものについて、以下にご説明します。
不動産を所有している場合
不動産を所有している場合には、その経済的価値がどれくらいなのかを裁判所に証明しなければなりません。
不動産の経済的価値を証明する書類としては、つぎのような書類を添付することになります。
①固定資産評価証明書
不動産の経済的価値を証明する書類にはいくつか種類がありますが、固定資産評価証明書などが一般的です。
役所で入手できます。
②不動産の査定書
所有している不動産が、実際にどれくらいの経済的価値があるかを証明するため不動産の査定書(評価書)が必要です。
不動産の時価の判断はなかなか難しいものがありますが、近隣の不動産に依頼すれば作成してもらえるでしょう。
住宅ローン特則を利用する場合
不動産所有者の中でも、まだ住宅ローンが残っている方は、「住宅ローン特則付き個人再生」の手続きを利用することができます。
これにより、住宅ローンは基本的に契約どおり支払うことになりますが、それ以外の債務を大幅に免除してもらうことができます。
このときには、つぎのような書類の添付が必要となります。
①住宅ローン契約書
住宅購入に際して、銀行等と住宅ローン契約を締結した時の契約書です。
コピーして提出することになります。
②ローンの返済予定表(償還表)
これも上と同様、住宅ローン契約時に作成された、ローンの支払いに関する予定表です。
償還表とも言います。
コピーを提出します。
③保証委託契約書
住宅ローン契約に際して、住宅ローンの返済について保証会社が必要となることがあります。
この場合には、住宅ローン契約のほかに、別個に保証委託契約を締結しているはずです。
このようなケースでは、保証委託契約書の添付も必要です。
④弁済許可申立書
個人再生する場合、法律上はどの債権者へも裁判所の許可なしに借金の返済をすることは禁止されることになります。
当然、住宅ローンの債権者である金融機関に対するローンの支払いも禁止です。
しかし、これではローンの返済を怠ったこととなり、債権者から住宅を差し押さえされるような事態に陥る可能性が出てきてしまいます。
このような事態を防ぐために、「住宅ローンの債権者にだけは弁済していい」という裁判所の許可をもらう必要があるのです。
そのため、「弁済許可申立書」をかならず提出します。
自動車・バイクを所有している場合
自動車やバイクも、法律上は資産とみなされます。
そのため、これらを所有している場合には、裁判所にその旨を届け出なければなりません。
自分名義の自動車やバイクを所有している場合、つぎのような書類が必要になります。
①車検証
所有している自動車等の車検証が必要です。
提出するのは、コピーで問題ありません。
何らかの事情により、万一車検証のコピーを提出できない場合には、登録事項証明書を提出することになります。
登録事項証明書は、陸運局で入手可能です。
これらの書類のほかに、所有する自動車の経済的価値を証明する書類の提出が必要です。
自動車・バイクの査定書
自動車やバイクを所有している場合には、基本的にはその自動車等の経済的価値を客観的に示すために、業者の作成した査定書の添付が必要となります。
ただし、この場合には通常、業者への査定料金の支払いが必要となるため、実務ではつぎのような方法をとるのが一般的です。
インターネットで調査した相場表
インターネット上の中古車情報サイトなどで、所有している自動車・バイクと同一車種・同年式・同等の装備の車両の相場がどれくらいなのかを検索してください。
そして自分の所有する自動車等と同等の車両を調べることで、だいたいの経済的価値がわかるはずです。
その画面をプリントアウトしたものを提出することで、ほとんどの場合、上記の査定書に代えることができます。
査定書が不要な場合もある
自動車・バイクを所有していても、一定の場合には査定書などの添付が不要とされることがあります。
一般的には、初年度登録から10年以上経過している場合などが、これに該当します。
これは、所有する自動車・バイクの経済的価値がほとんどないことが明らかだからです。
退職金が出る場合
サラリーマンの場合、退職する際に退職金が出ることがあります。これも立派な財産であるため、その額の証明が必要です。
個人再生の申し立てをするからと言って、すぐに退職しなければならないわけではありません。
しかし、とりあえず現時点で退職した場合に、いくら退職金がもらえるのかを証明する必要があります。
この場合、つぎのような書類が必要になります。
退職金見込額証明書
その名のとおり、退職金の見込み額に関する証明書です。
基本的には、会社に頼んで作ってもらうことになります。
ただし、この場合には個人再生申し立ての事実が、会社に知られてしまう恐れがあります。
そのような事態を避けたい場合には、会社の就業規則などに明記されている退職金の計算式を利用して計算し、その結果を裁判所に提出することで足りることがあります。
生命保険に加入している場合
生命保険に加入している場合、つぎのような書類が必要になります。
①保険証券
保険に加入している以上、基本的には保険会社から保険証券が交付されているはずです。
その保険証券のコピーの提出が必要です。
また、積み立て型の生命保険の場合、保険を解約すると解約返戻金としてお金が戻ってくることがあります。
個人再生の手続き上、このお金は退職金などと同様「資産」とみなされます。
このため、その額がいくらなのかを証明するため、つぎのような書類がさらに必要となります。
②解約返戻金(見込)証明書
解約返戻金が戻ってくる場合には、保険会社が発行する「解約返戻金(見込)証明書」を入手し提出する必要があります。
まず、解約返戻金が出るのかどうかを保険会社に確認してみてください。
掛け捨ての生命保険のように、保険を解約しても解約返戻金が出ない場合も多々あります。
もし、解約返戻金が出るようであれば、保険会社に依頼して「解約返戻金(見込)証明書」を郵送してもらいましょう。
預貯金がある場合
個人再生の申立人の預貯金は当然、資産として裁判所に届け出る必要があります。
これらを証明するため、つぎのような書類の提出が必要となります。
①金融機関の通帳
資産としての預貯金の残高の確認のためだけでなく、収入や支出の把握のために提出することになります。
持っているすべての金融機関の通帳のコピーを提出しなければなりません。
これは基本的に、すべての口座に関して過去1年分くらいまでさかのぼってコピーする必要があります。
過去1年分の通帳がない場合には
通帳を紛失してしまったなど事情によっては、過去1年分の通帳のコピーが提出できない場合もあるでしょう。
そのような場合には、銀行に依頼することで「取引明細書」を発行してもらいましょう。
この「取引明細書」を添付することで、通帳のコピーに換えることができます。
その他資産を所有している場合
つぎのような資産を所有している場合には、その経済的価値を証明する書類を提出する必要があります。
実務上よくあるケースとして、ふたつを掲げます。
株式を所有している場合
株式を所有している場合には、基本的には株券のコピーの提出が必要になります。
また、その時価を証明するため申し立て直近における株価を証明する書類が必要です。
新聞の株式欄のコピーなどを提出すれば足りるでしょう。
ゴルフ会員権を持っている場合
実務で意外とよくあるのが、ゴルフ会員権を持っているというケースです。
購入した当初は高額でも、現在価値が下落しているため資産という認識をしていない人がたくさんいますが、これも立派な資産です。
このため、ゴルフ会員権の証券のコピー及び現在の価値を示す書類を提出しなければなりません。
清算価値算出シート
個人再生の手続きには、法律上のルールがあります。
自分の持っている財産の経済的価値以上の金銭を弁済しなければならない、というものです。
これを「清算価値保障の原則」といいます。
この原則を満たしているかどうかの確認のため、清算価値算出シートという書面の提出が必要になります。
無資産証明書
不動産を所有していない場合には、不動産など固定資産を所有していないことの証明として、「無資産証明」という書類が必要となります。
これは、市町村などの役場で入手することができます。
借金の額を証明する書類
個人再生は、申立人が法律上負っている債務の額によって、免除される割合が変動します。
また、借金総額が5000万円をオーバーする場合には、個人再生の手続き自体が利用できません。
これらを確認するため、申立書とともに借金額を証明する書類を添付することになります。
これは、つぎのような書類になります。
各業者からの請求書
いちばん簡単で手っ取り早く各社への借金額を証明する書類としては、消費者金融会社などから送られてきている請求書などが該当します。
この書面には、借金の残元金はもちろん、延滞している場合には延滞利息なども明記されているはずです。
しかし、場合によっては業者の主張する金額が、法律上の正しい債務額とは限らないこともあります。
これは、つぎのような理由によるものです。
以前は違法な高率での貸し出しが行われていた
現在ではほとんどなくなりましたが、以前は法律上認められる範囲を超えた利率で金銭の貸し出しが行われていました。これを「グレーゾーン金利」といいます。
しかし、この利率は違法であるため、これを法律上認められる利率で計算しなおしたものが法律上支払い義務のある債務となるのです。
平成22年以前からの借り入れの場合には要注意
上記の「グレーゾーン」は、平成22年の法改正により撤廃されました。
そのため平成22年以降に新規に借り入れを始めた場合には、上記のような恐れはありませんが、それ以前から借り入れが続いている場合には注意が必要です。
もし業者からの借り入れが平成22年より前から続いている場合には、つぎのような書面を用意するとよいでしょう。
引き直し計算書
うえで述べたように、業者の請求してくる金額は、法律上支払い義務のある金額であるとは限りません。
正確な債務額の把握のためには、業者から貸し借りのすべてのデータを明記した「取引履歴」を取り寄せ、専門的な計算をする必要があります。
「引き直し計算書」とは、各業者から取り寄せた「取引履歴」に基づき、法律上認められる利率で計算しなおした書面です。
ただし、この計算方法は専門的でハードルの高いものですので、債務整理の専門家に依頼して代行してもらうことが望ましいといえます。
「過払い」の可能性も!
うえの「引き直し計算書」を作成するための計算によっては、いわゆる「過払い」状態になっていることが判明することもあります。
この場合、法律上その業者からは一切借金していないことになり、逆にその業者に対して過払い金を請求する権利が認められることになるのです。
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個人再生申し立て後に必要な書類
個人再生する場合に必要な書類は、その大半が申し立ての時に提出する必要があります。
しかし、申し立て後に提出が必要となる書類も、いくつか存在します。
その主なものは、つぎのとおりです。
財産状況等報告書
個人再生申し立て後に、財産の状況などについて変化がないかどうかを裁判所に報告するための書類です。
個人再生申し立て後、どれくらいの期間内に財産状況等報告書を提出する必要があるかは、各裁判所の運用によって異なります。
しかし一般的に見て、申し立て後2~3か月以内に提出することになります。
財産状況等報告書の具体的内容とは?
「財産状況報告書」などと聞くと、何か難しい内容の書類のように感じますが、実際には至って簡単な書類です。
個人再生申し立て後に財産状況などに大きな変動がない場合には、各項目の「変動なし」にチェックを入れる程度で書類の作成は完成します。
再生計画案
個人再生の手続きが順調に進み、手続きが終盤にさしかかると、再生手続き後にどのように債務の返済を行っていくのかを表す書面の提出が必要となります。
これを「再生計画案」といいます。
この書類も提出期限が定められるため、その期限内に提出しなければなりません。
再生計画案の具体的内容とは?
再生計画案という書面には、つぎのような事項を記載します。
再生債権に対する権利の変更に関する事項
簡単に言うと、元の債務額がいくらまで免除されるか、残債務額についてどのように返済していくか、という内容を記載します。
また、住宅資金特別条項がある場合には、その旨の記載をします。
共益債権及び一般優先債権の弁済方法
通常の債務のほかに、それらに優先する共益債権や一般優先債権がある場合には、それらの弁済方法を記載することになります。
再生計画による弁済計画表
再生計画案の提出の際に、「再生計画による弁済計画表」を一緒に提出するのが実務では一般的です。
この書類には、主につぎのような事項を記載します。
再生計画による免除の率
下の「確定債権額」が、個人再生によりどれくらい免除されることになるかを記載します。
返済期間
法律上、原則として3年間で分割返済することになります。
ただし、特別に必要な場合には5年間とすることができます。
再生計画による返済方法
どのような形で返済していくのかを記載します。
一般的には、毎月の分割払いとしますが、事情によっては3か月や半年ごとの支払い、などのように指定することも可能です。
返済金の支払方法
各債権者への毎回の返済金をどのように支払うかを記載します。
実務上、各債権者の指定する銀行口座に振り込みで支払うことが一般的です。
ちなみに、振込手数料は本人持ちとなります。
届け出のあった再生債権者名
消費者金融など借金の貸主の名前のことです。
確定債権額
個人再生の手続き上確定した、各債権者の有する債権額のことです。
再生計画による返済の対象額
各債権者が有していた上記「確定債権額」が、個人再生手続によっていくらに減額されたのか、その額を記載します。
各回の返済額
各債権者に対し、毎月または毎回いくらを支払っていくのかを具体的に記載します。
ボーナスを利用して支払う場合には、その金額をも記載してください。
その他
事情によっては、ケースバイケースで上に述べたもの以外の書類が必要となることがあります。
手続きをスムーズに進めるためにも、ご自分の状況によって必要となる書類を調査し、申立書とともに提出することが望まれます。
提出期限に注意!
各書類には、その提出期限の定められてあるものも多数あります。
裁判所の指定する提出期限内に書類を提出できなかった場合、手続きが失敗することに直結することになります。
この点には、充分注意してください。
書類に不備があると個人再生に失敗する!
いままでご説明したように、個人再生手続きをするためには、非常に多くの書類の収集・作成が必要です。
特に自分で作成しなければならない書類に関しては、法律の条件をすべて満たした内容のものを作らなければなりません。
もし、自分で作成した書類に不備があった場合には、個人再生手続きは却下・廃止・不認可になってしまいます。
つまり、せっかく始めたはずの手続きが失敗に終わってしまいます。
個人再生を成功させるためのベストな方法とは?
個人再生に限らず、裁判所で行われる手続きは裁判所ごとに、意外と扱いが異なるものです。
ある裁判所で提出が必要ではない書類が、ほかの裁判所では必要とされるということが少なくありません。
また、申立人の債務や資産の状況により、必要とされる書類が増えることもよくあることです。
個人再生は、このような複雑な手続きです。スムーズに手続きを進め、借金問題を放棄に解決するためには、その裁判所の手続きの運用を熟知した弁護士や司法書士に事件を依頼することが一番の近道です。
まとめ
今回ご紹介したように、個人再生を申し立てるためには、かなり多くの書類を作成・入手して裁判所に提出する必要があります。
これらは、個人再生を申し立てる本人でないと入手できない性質のものもありますが、本人だけで作成することが困難なものもあります。
繰り返しになりますが、個人再生は裁判所で行われる厳格な手続きです。
書類に不備があった場合には、手続きに失敗する可能性が高くなります。
そのようなリスクを避けるために、個人再生の専門家である弁護士や司法書士などに相談することがベストです。
裁判所は、その地域によって手続きなどが意外と大きく異なるものです。
申し立てを予定している裁判所の地元にある弁護士・司法書士であれば、その裁判所での手続きを熟知していると思われます。
個人再生を成功させ、なるべく迅速に借金問題を解決するためには、まずは気軽に地元の専門家に相談することをおすすめいたします。
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