個人再生の一括返済や繰上げ返済をするための2つの要件と注意点とは

個人再生は自己破産と異なり、裁判所での手続き終了後に、債務の返済として一定の金額を分割で返済する必要があります。そのため、手続き後にどのように返済していくことになるのかということに関して気になる方はたくさんいるでしょう。

実際にいくら返済が必要になるかのおおよその目安は、以下の記事でわかりやすく丁寧に解説していますので合わせて読まれることをオススメします。

今回こちらでは、「返済額」以外の「返済」にまつわる事項を説明したいともいます。

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個人再生手続き終了後の返済開始時期について

裁判所で個人再生手続きが無事終了した場合、基本的には3年の期間をかけて分割で債務の返済をする必要があります。

裁判所で行われる個人再生の手続きは、再生計画案が裁判所によって認可されることによって実質的に終了します。あとは、再生計画で定めたスケジュールどおりに返済をしていけば、通常3年後には晴れて債務の返済がすべて終了することになります。

裁判手続き終了後、3か月以内に返済がはじまる

それでは、実際にいつから債務の返済が開始するのかというと、通常は裁判手続き終了後3か月以内であることが一般的です。そのため、いざ返済開始となってから慌てることのないように、資金を準備しておく必要があります。

個人再生の残債務の一括返済について

個人再生が成功した場合、元の借金額は大幅に減少することになります。最大の場合、借金の80%が免除され、残りの債務に関して将来利息が発生することもなくなるのです。

このため、場合によっては残債務の一括返済を希望する方がいます。

ただ、ここでいう「一括返済」には、つぎのようにふたつのケースに場合分けして考える必要があります。

「一括返済」のふたつのケース

個人再生によって減額された債務(借金)について一括返済を考える場合には、①裁判手続き内での一括返済と②裁判手続き終了後の一括返済(繰り上げ返済)のふたつのパターンが考えられます。

①裁判手続き内での一括返済

これは、個人再生手続きがまだ裁判所で行われている状態で一括返済を希望する場合です。

②裁判手続き終了後の一括返済(繰り上げ返済)

裁判上の手続きがすべて終了した後に、一括返済を希望する場合です。

それではつぎに、それぞれについて詳しく考えてみることにしましょう。

①裁判手続き内での一括返済

個人再生における各種手続きは、民事再生法という法律によって厳格に定められています。このため、個人再生後の返済方法に関しても法律の定めに従わなければなりません。

一括返済はダメ!

個人再生した場合、一般的には借金の大半が免除されることになります。手続きの結果、残債務額が100万円にまで減額されることも珍しいことではありません。

元の借金の大半が免除・減額されるため、個人再生される方の中には、残債務の一括返済を希望される方がまれに存在します。

しかし残念ながら、個人再生の手続き上、残債務についての一括返済は認められていません。裁判所に認可された「再生計画」に基づき、計画的に分割して返済することが必要なのです。

個人再生は計画的に返済することを学習するための手続き

個人再生では、仮に残債務額を一括で返済できる資力がある人でも、基本3年間の分割で返済を行う必要があります。

これはなぜかというと、個人再生という手続きは、借金を毎月確実に返済していくことを学習してもらおうという趣旨の制度だからです。

②裁判手続き終了後の一括返済

個人再生手続きが裁判所で成功のうちに終了すると、通常の場合には数か月のうちに債務の返済が始まります。大半の方は裁判所によって認められた「再生計画」に基づき、分割払いをすることになります。

しかし、個人再生した方の中にはまれにではありますが、残債務の一括返済を希望する方がいます。この点に関しては、うえで述べたように個人再生の手続き上では債務の一括返済は認められません。

しかし、裁判所における個人再生の手続きが実質的に終了し、実際に債務の返済が始まっている場合には不可能ではありません。つまり、裁判所での手続きが終了した後に残債務の「繰り上げ返済」については可能と考えてよいでしょう。

ただし、これを行う場合には、つぎのような条件を満たす必要があります。

①債権者全員に返済すること

法律上の大原則として、債権者は平等に扱わなければなりません。これを「債権者平等の原則」といいます。

この原則があるため、一括返済を行う場合には、すべての債権者に対して返済を行う必要があります。

債権者平等の原則に反する行為の具体例

実務でよくある事例ですが、債権者の中に親族や友人、知人が存在することがあります。このような場合、身近な人びとに迷惑をかけたくないという思いから、その他の債権者より優先してこれらの債権者に返済を行おうとする方がいます。

しかし、このような行為は債権者平等の原則に反する違法行為ともいえるものです。

このような行為がほかの債権者に発覚した場合、最悪のケースとして、個人再生の認可取り消しという事態に及ぶ可能性もあります。

②債権者の同意を得ること

繰り返しになりますが、個人再生後の債務の支払いについては、分割で返済することとなっています。これを一括返済するのであれば、当然各債権者の同意を得る必要があります。

債権者としては貸金などを繰り上げて一括返済してもらうことは利益となりますので、基本的には拒否されることは考えにくいでしょう。

一括返済する場合の注意点

個人再生手続き後に何らかの理由により債務を一括で返済できる資金を入手できた場合、上記の諸条件を満たせば一括返済も不可能ではありません。

しかし、個人再生手続きが裁判所で終了し、返済が始まって間もない時期に一括返済することは避けたほうが賢明でしょう。

それは、つぎのような理由によります。

早期の一括返済は「財産隠し」を疑われる恐れも

個人再生の手続き終了後、早い時期に一括返済する場合には、債権者から財産隠しを疑われる恐れがあります。つまり、本当は財産を持っていたにも関わらす、裁判手続き上ではそれを隠していたのではないかと疑われる可能性があるのです。

このような事態になっては面倒ですので、一括返済する場合には、返済を行う時期についても充分な検討が必要となります。

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返済が遅れた場合どうなるか?

個人再生後の債務の返済期間は法律上、基本的に3年間とされています。実際に返済する場合、3年間は意外と長い期間です。

そのため、その期間中に返済に行き詰まることも往々にしてあることでしょう。

そのような場合には、以下の点に注意してください。

業者に連絡すること

もし返済に行き詰まった場合には、なるべく早めに業者に連絡することが大切です。早めに連絡すれば、業者に許してもらうこともしやすいでしょう。

連絡もせずに放置するという行為は、最悪の結果を招きかねません。誠意をもって対応すべきです。

最悪の場合、個人再生の認可取り消しも!

返済が滞っているにもかかわらず業者に連絡しなかったり、何度も返済が滞ったりした場合には、最悪のケースとして裁判所によって個人再生の認可が取り消されることもあり得ます。

せっかく苦労して成功させた個人再生ですから、そのようなことのないように気を付けてください。

まとめ

今回は個人再生に関する各種の「返済」をテーマに説明させていただきました。

個人再生も裁判所での手続きが終わり、債務の返済が始まったら、もう借金問題の解決は半分成功したようなもの。せっかく裁判所で認められた個人再生手続きが失敗しては、今までの苦労が水の泡です。そうならないように、債務の返済は計画的に行わなければなりません。

毎月の家計をじょうずにやりくりして、返済資金を確保するように心がけてください。また、もし幸運にも一括返済できる場合には、その返済をする時期に注意が必要です。返済開始後すぐに一括返済しようとすると、財産隠しと判断される危険性が高くなります。

逆に、返済に行き詰まるような場合には、なるべく早期に債権者に対して連絡して理解を得るよう努力する必要があります。

もし、それでも返済が難しいような場合には、自己破産などほかの債務整理を検討する必要が出てくるかもしれません。そのような場合には、ひとりで悩まず、債務整理の専門家である弁護士や司法書士などに相談しましょう。

きっと良いアドバイスを得られると思います。

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