債務整理と住宅ローンの関係|任意整理後にローンを組むための方法

「債務整理後に住宅ローンは組めるの?」
「自宅を手放さずに借金問題を解決する方法はないの?」

返済しきれないほど多額の借金を抱えてしまった場合には、任意整理など債務整理を行うことで借金苦から抜け出し、その後の生活を立て直すことができます。

債務整理をされた方の中には、数年後にマイホームを手に入れようと計画される方がいらっしゃいます。

また、住宅ローンのほかにも借金を作ってしまい、毎月の返済に困っている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、債務整理と住宅ローンの関係をメインテーマとして解説させていただきます。

冒頭のような各種の疑問に債務整理のプロがしっかりと回答しますので、ぜひ最後までお読みください。

なお、当記事は重要ポイントを赤ペンで強調してあります
強調部分だけに目を通していただけば、わずか1~2分で一通り理解可能となっています。

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住宅ローンに関する知識

まず最初に、住宅ローンを組むために必要な基本的知識について確認しておきましょう。

住宅ローンにはいくつかの種類があり、その種類によっては家計に与える負担が異なる可能性があります。

ローンを組む際には金利など各種の条件を十分確認するようにしてください。

住宅ローンには3種類ある|公的融資・民間融資・フラット35

世間ではひとくちに「住宅ローン」といいますが、住宅ローンには大きく分けて以下のように3つの種類があります。

  • (1)公的融資
  • (2)民間融資
  • (3)フラット35

これら3つのローンには、それぞれ特徴がありますので簡単に確認していくことにしましょう。

(1)公的融資

「公的融資(こうてきゆうし)」とは、公的な機関が主体となって住宅用資金の貸し付けを行うローンのことを言います。

公的融資のなかでよく利用されている住宅ローンとして、財形住宅融資があります。

財形住宅融資を受けるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • ①勤務先で給料の天引きによる財形貯蓄を1年以上継続していること
  • ②申込日の前、2年以内に財形貯蓄の預入れを行うこと
  • ③申込日における貯蓄残高が50万円以上あること

なお、財形住宅融資によって融資を受けられる限度額は、貯蓄額の10倍までとなっています。

金利は通常1%程度で5年固定となっていますが、場合によっては福利厚生の一環として、金利の一部を会社が補助してくれるケースもあるようです。

(2)民間融資

「民間融資(みんかんゆうし)」とは、銀行など民間の金融機関が利用者に対して住宅資金の貸し付けを行うローンのことをいいます。

銀行に住宅ローンを申し込む場合、物件が存在するエリア内の支店に対して融資を申し込むことが一般的です。

その場合、その支店に口座がなくても利用可能です。

住宅ローンは各銀行がいろいろなプランを用意していますが、大手の銀行では各種のニーズに対応できるよう多種多様なローンを用意しています。

ネット銀行の提供する住宅ローンでは、金利や手数料が優遇されることが多く、現在多くの人気を得ています。

ただしデメリットとしては、ローンの審査が厳しく、融資が実行されるまでに時間がかかる傾向がある点が挙げられます。

(3)フラット35

「フラット35」とは、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して行われる住宅ローンです。

フラット35は、ローンの金利が長期間固定されるため利用しやすい住宅ローンとなっています。

なお、後述するように住宅ローンの審査には仮審査と本審査がありますが、フラット35の本審査は住宅金融支援機構が行うことになっています。

このためローンの申し込み先の銀行がどこであったとしても、審査の結果は同一となります。

住宅ローンの審査に関する知識|審査には2段階ある

住宅ローンを選ぶ際には各金融機関が提供するローンを十分吟味し、自分の条件に合ったものを選択してください。

そして申し込みを希望する住宅ローンが決まった場合には、実際にローンの申請を行う段階に進みます。

住宅ローンを申し込んだ場合、金融機関では以下のように2段階の審査が行われることになっています。

  • (1)仮審査(事前審査)
  • (2)本審査

それぞれについて、知っておくべきポイントをご紹介します。

(1)仮審査(事前審査)

住宅ローンを申し込むと、まず資金の融資を行う金融機関において仮審査が行われます。
仮審査では、ローンの申込者の支払い能力を判断するために勤務先や勤続年数・年収や負債額などが問題となります。

仮審査では、以下のポイントが重視されます。

負債状況現在どれくらいの負債(借金)があるかどうか。
信用情報個人信用情報機関において事故情報などがないかどうか
返済率(返済負担率)返済率が金融機関の設定する条件をクリアしているかどうか (返済率とは、年収に対する住宅ローンの返済額の割合のこと)

なお、仮審査は住宅ローン申し込み後一週間以内に結果が判明することが一般的です。

(2)本審査

仮審査をパスした場合、本審査の段階に進みます。
本審査は、住宅ローンの保証会社が主体となって行われることになっています(フラット35では住宅金融支援機構が行います)。
通常の場合、仮審査をパスできれば本審査にも合格できる可能性が高いと考えてよいでしょう。

上記のようなプロセスを経て本審査までパスした場合、住宅ローンの融資の実行を受けることができるようになります。

任意整理すると審査に落ちる?|債務整理と住宅ローンの関係

マイホームの購入を検討する場合、ほとんどの方は住宅ローンの利用を考えることになるでしょう。

しかし、すでに任意整理を行ってしまった方が住宅ローンを利用しようとする場合、ローンの審査にどのような影響があるのでしょうか?

任意整理すると「ブラックリスト」に名前が載る

任意整理すると個人信用情報機関において、いわゆる「ブラックリスト」に名前が載ることになります。

任意整理することによって消費者金融やクレジットカード会社、銀行などに迷惑をかけることになるため、その情報が信用情報に「事故情報」として記録されてしまうのです。

任意整理後5年間は住宅ローンが組めない

しかしブラックリストに名前が載せられたからといって、その情報が一生消えないわけではありません。

任意整理した場合、その事故情報は5年間保存されることになっています。

住宅ローンの審査では申込者の信用情報が確認され、事故情報が記録されている場合には審査で落とされることになります。

このため、任意整理後5年間は住宅ローンを組むことができなくなると考えてください。

任意整理後5年を経過すれば、個人信用情報機関では事故情報が抹消されます。

住宅ローンの申し込みは、自分の信用情報から事故情報が抹消されたことを確認してから行うようにしましょう。

ブラックかどうか自分で確認する方法

任意整理すると個人信用情報機関のブラックリストに名前が載りますが、その後5年経過すると事故情報が抹消されることになっています。

任意整理後5年以上経過した場合において住宅ローンの申し込みを検討している方は、信用情報機関で事故情報が抹消されているかどうかを自分自身で確認してみるとよいでしょう。

個人信用情報機関に信用情報を開示請求する方法とは?

個人信用情報機関には、①JICC②CIC③KSCの3つがありますが、それぞれの機関では以下のように自分自身で信用情報の開示請求をすることが可能です。

①JICC
主として消費者金融業者が加盟している信用情報機関です。

JICCの窓口のほか、インターネットや郵送などで開示請求することができます。

なお、開示請求には所定の手数料を収める必要があります。

②CIC
主としてクレジットカード会社が加盟している信用情報機関です。

CICの窓口のほかにも、インターネットや郵送でも開示請求可能です。

開示請求するためには、所定の手数料がかかります。

③KSC
主として銀行が加盟している信用情報機関です。

KSCに対する開示請求は、郵送でのみ行うことが可能となっています。

開示請求には1000円の手数料がかかります。

債務整理後に住宅ローンを組むときの注意点

住宅ローンの審査にパスするためには、個人信用情報機関のブラックリストから名前が抹消されることが前提条件です。

しかし、そのためには任意整理後5年の経過が必要となります。

任意整理後になるべく早く住宅ローンの融資を受けるためには、早い段階から審査をパスするための条件を満たすように準備しておくことが大切です。

任意整理など債務整理後に住宅ローンを組む場合、以下のようなポイントを押さえることで審査に合格する確率を上げることができます。

すべての条件を満たす必要はありませんが、1つでも多くのポイントを押さえることを心がけてください。

  • (1)なるべく多く頭金を用意する
  • (2)住宅ローンの利用条件を確認する
  • (3)新しい事故情報を作らない
  • (4)審査落ちの履歴を残さない

それぞれのポイントについて詳しく見ていくことにしましょう。

(1)なるべく多く頭金を用意する

住宅ローンの審査にパスするためには、自己資金としてなるべく多くの頭金を準備することが重要です。

一般的には年収が低いとローンにパスしづらいというイメージがありますが、実際の審査で重要視されるのは返済率(返済負担率)(※)です。

返済率が一定以上の割合となった場合、審査にパスすることが難しくなってしまうのです。

審査にパスするためには、返済率をできるだけ低くする必要があります。

そのためには自己資金をなるべく多く準備し、返済率をできれば25%~35%程度に抑えるようにすることが大切です。

※返済率(返済負担率)とは、年収に対する年間の返済額の割合のこと。

(2)住宅ローンの利用条件を確認する

ローンには各種存在しますが、住宅ローンは非常に長い年月をかけて返済していくという点に大きな特徴があります。

このためローンの審査においては、申込者の年齢も重要視されるのが一般的です。

申込者の年齢が高くなればなるほど、返済が完了する時点における申込者の年齢も高齢となり返済能力が不安視されることになります。

その結果、ローンの審査に落ちる可能性が高くなるのです。

返済期間にもよりますが、申込者の定年後にも返済が続くような計画の場合、定年後の返済能力が問題となるでしょう。

住宅ローンを申し込む場合には、ご自分の年齢なども考慮し、ローンの利用条件を客観的に把握・判断しておく必要があります。

(3)新しい事故情報を作らない

任意整理後にご自分の信用情報から事故情報が抹消されるまでの5年間において、もっとも重要なのは新しい事故情報を作らないことです。

任意整理後5年経過したとしても、その間に他の原因で事故情報が記録されてしまえば元も子もありません。

新たな事故情報を作らないためにも、各種の支払いは定められた期間内にきちんと行うように心がけましょう。

(4)審査落ちの履歴を残さない

ブラックリストを管理している個人信用情報機関では、ローンの申し込みの有無に関してもデータを記録しています。

あるローンについて申し込みをした場合、申し込みを受けた金融機関は信用情報機関に対して申込者のデータを照会することになっています。

そして申込者の信用情報の中には、各金融機関が申込者のデータを照会したという事実がデータ(「照会情報」)として残ることになります。

個人信用情報機関では、この照会情報が6か月間保存されることになっています。

そのため、この短い期間内に複数の会社に対してローンの申請をするとそのデータが残っているため、ほかの金融機関で審査に落ち続けていると判断されることになります。

そして、その結果としてローンの審査にパスしづらくなってしまうのです。

そのようなことを避けるためには、短期間に複数のローンに申し込むことは控えることが大切です。

住宅ローンの残っている自宅を手放さずに借金問題を解決する2つの方法

せっかく手に入れたマイホーム。借金問題のせいで手放したくないと考えるのは当然のことでしょう。

すでに住宅ローンを利用して自宅を所有している方が借金問題を解決する場合、どのような方法があるのでしょうか?

債務整理には4つの方法がありますが、住宅ローンの残っている自宅を所有している方に適した方法としては、主として以下の2つの選択肢があります。

  • (1)任意整理
  • (2)個人再生

これらの手続きを利用することによって、自宅を手放すことなく借金問題を解決できる可能性があるのです。
それぞれの手続きについて確認しておきましょう。

(1)任意整理

住宅ローンを含めた借金の支払いが厳しい場合、任意整理することで毎月の返済が楽になる可能性があります。

任意整理とは、弁護士等が債務者の代理人となって消費者金融会社など債権者との間で借金の返済条件などについて交渉を行う手続きのことです。

交渉が成功した場合には、借金元本の減額や金利のカット、返済期間を延長することによって毎月の返済額を減少させるなど、借金の返済条件を有利に変更することが期待できます。

ただし任意整理では、手続きの対象は住宅ローン以外の借金とすることが一般的です。

銀行など住宅ローンの債権者は、ローンで借りたお金で購入した不動産の上に抵当権という非常に強い権利を持っています。

住宅ローンの債権者は、約束どおりローンの返済が行われない場合には抵当権を実行して不動産を競売し、売却代金から貸金を回収することができます。

このため、住宅ローンの債権者には大幅な返済条件の変更を認めてまで貸し出したお金の回収をしなければならないという必要性が乏しいからです。

もし任意整理しても今後の住宅ローンなどの返済が難しいという場合には、自宅を手放し自己破産しなければならない可能性もあります。

住宅ローンなどの支払いが厳しい方は、なるべく早めに弁護士などに相談し、適切な手続きをとるようにしてください。

(2)個人再生

個人再生とは、借金について最大80%~90%もの債務の免除を受けることのできる強力な債務整理方法です。

住宅ローンを抱えている方は、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用することで住宅ローン以外の借金について大幅な借金の減額を受けることができます。

住宅ローン特則を利用した個人再生では、住宅ローンは基本的に当初の約束どおり支払うことにはなりますが、その他の借金については大半の免除を受けることができます。

しかも減額された後の借金の残額に関しては、将来利息がカットされ3年から5年間という長期間での分割返済が認められるのです。

個人再生すれば住宅ローン以外の借金の支払いが非常に楽になるため、マイホームを維持しながら借金問題の解決を図ることが可能です。

住宅ローンを抱えながら、その他の借金の返済でお困りの方にとって個人再生は非常に有力な債務整理方法です。

まとめ

今回は、債務整理と住宅ローンとの関係をテーマに、知っておくと有益となる各種の知識について解説させていただきました。

任意整理など債務整理をした場合、その後一定の期間は住宅ローンを組むことができなくなります。

しかし、本文でご紹介したような知識を活用することでローンの審査に通る確率を高めることができるでしょう。

もし住宅ローンでお困りの場合には、参考にしていただければ幸いです。

借金問題を解決するためには、なるべく早く弁護士に相談することがベストです。

借金はご自分だけではなく、場合によっては家族にまで影響を及ぼす恐れのある深刻な問題です。

一刻も早く解決し生活を立て直すためにも、積極的に弁護士等に相談するようにしてください。

相談することが、問題解決への大きな第一歩なのです。

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