
「子どもの父親が認知に応じない。認知調停で何とかならないだろうか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
認知調停とは、認知しない父親を相手に、家庭裁判所で調停委員を交えて認知を話し合う手続きです。当事者が合意し、家庭裁判所が事実を調べて正当と認めれば、審判によって法律上の親子関係を生じさせることができます。
この記事では、男女問題に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 認知調停の申立て方法と費用・必要書類
- 調停期日で聞かれることとDNA鑑定
- 合意できたときの審判と認知届の期限
- 調停が不成立になったときの認知の訴え
お読みいただくことで、申立てから認知届までに何をすればよいかの見通しを立てられます。
なお、認知の問題でお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。地域を問わずご相談を承っています。
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認知調停とは
認知調停とは、父親が認知しない子について、子の側が家庭裁判所に申し立て、調停委員を交えて父子関係を認めるかどうかを話し合う手続きです。
そもそも認知とは、婚姻関係にない父母のもとに生まれた子と父親を、法律上の親子として結びつけることです。認知されない限り、養育費の請求や相続の前提となる親子関係は生じません。
父親が自分から役所に認知届を出したり、遺言で認知したりする方法を任意認知といいます。父親がこれに応じないとき、家庭裁判所の手続きを通じて認知を求めるのが強制認知で、その最初の段階が認知調停です。強制認知の全体像は「強制認知とは?手続きの流れと費用、負けるケースを弁護士が解説」で解説しています。
認知の訴えを起こす前には、まず家庭裁判所に調停を申し立てなければならないと定められています(家事事件手続法257条1項)。これを調停前置主義といい、いきなり訴えを起こしても、原則として調停に付されます。
なお、相手の住所を調べてもわからないときは、調停を経ないまま認知の訴えを起こし、公示送達(相手に書類が届いたものとみなす方法)で進めることがあります。
認知が成立すると、その効力は原則として出生時にさかのぼります(民法784条)。
父親は子を扶養する立場になり、養育費を求める根拠ができるほか、子は父親の相続人にもなります。ただし、養育費は出生時の分までさかのぼるとは限らないので、請求の意思は早めに伝えておくと安心です。認知後の養育費については「認知された子の養育費はどうなる?相場・請求手続きと期間を解説」をご覧ください。
認知調停の申立て方法
認知調停の申立て方法を、申し立てる人・申立先・費用・必要書類の順に確認しておきましょう。
申し立てられるのは、子、子の直系卑属(子の子など)、または子もしくは子の直系卑属の法定代理人です。子が未成年のときは、親権者である母親が法定代理人として申立人になれます。
申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所です(家事事件手続法245条1項)。
費用は、収入印紙1,200円分と、裁判所からの連絡に使う郵便切手です。切手の金額や組み合わせは家庭裁判所ごとに異なるため、申立先に確認すると確実です。
認知調停の主な必要書類は次のとおりです。
- 申立書とその写し1通
- 子の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 進行に関する照会回答書
- 離婚後300日以内に生まれた子で出生届をまだ出していない場合は、子の出生証明書の写しと母の戸籍謄本(元夫の子と推定されるときは、先に嫡出否認などが必要な場合があります)
申立書の書式と記入例は、裁判所のウェブサイトから入手できます。審理の途中で、追加の書類の提出を求められることもあります。
認知調停の流れ
認知調停の申立てが受理されると、家庭裁判所から当事者双方に、第1回の調停期日を知らせる呼出状が届きます。その後の流れは、おおむね次の図のとおりです。
① 調停期日で双方から事情を聞かれる
認知調停の期日で話し合いを進めるのは調停委員会で、裁判官1名と家事調停委員2名以上で構成されます。実際に双方から事情を聞くのは、主に調停委員です。
申立人と相手方は交互に部屋へ呼ばれ、待合室も分けられているため、相手と顔を合わせずに話せるよう配慮されています。
調停期日で聞かれるのは、相手と知り合った経緯や交際の様子、妊娠・出産の時期、相手が父親だと考える理由、今後の養育などです。わかる範囲で事実をそのまま伝えれば足ります。
1回で合意に至らなければ、日を改めて次の期日が開かれ、話し合いを重ねていきます。
相手が呼出しを無視して欠席を続けると、家庭裁判所調査官が出頭を促すことがあります(出頭勧告)。それでも出てこなければ、合意の見込みがないとして調停は不成立で終わります。
② DNA鑑定で親子関係を確かめる
認知調停で相手が「自分の子ではない」と争う場合は、当事者の申出を受けて、家庭裁判所がDNA鑑定を行うことがあります。
費用は10万円前後が目安で、鑑定を行う機関によって幅があります。裁判所は原則として申立人が負担するとしていますが、相手と折半することで話がまとまる場合もあります。
もっとも、調停は話し合いの手続きなので、相手が拒否すれば鑑定を強制することはできません。鑑定を拒まれて合意に至らないときは調停不成立となり、認知の訴えで決着をつけることになります。訴えでは、鑑定を拒んだこと自体も、ほかの事情とあわせて判断の材料になりえます。
③ 合意に相当する審判を受けて認知届を出す
認知調停で、子が相手方の子であるとの審判を受けることに当事者が合意し、父子関係の原因にも争いがなければ、家庭裁判所は必要な事実を調べます。合意を正当と認めれば「合意に相当する審判」をすることができます(家事事件手続法277条1項)。
この審判には、告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てられます。ただし、当事者が異議を出せるのは、合意が成立していない・原因に争いがあるなど、審判の要件を欠くことを理由とする場合に限られます(同法279条1項)。その理由があると認められれば、審判は取り消されます(同法280条3項)。
当事者以外で審判の結果に利害を持つ人(利害関係人)から適法な異議が出たときは、審判は効力を失います(同法280条4項)。異議がなければ審判は確定し、確定判決と同じ効力を持ちます(同法281条)。
認知調停の審判が確定したら、申立人は確定した日から10日以内に、市区町村役場へ認知届を出す必要があります。届出には、審判書の謄本と確定証明書を添えるのが通常です。
調停が不成立なら認知の訴えを起こす
合意の見込みがないときは、調停委員会が調停を不成立として終わらせることができます(家事事件手続法272条1項)。認知調停は、不成立になっても裁判所が判断を下す手続きへ自動で移ることはないため、認知を求めるには自分で認知の訴えを起こす必要があります。
認知の訴えは、親子や夫婦などの身分関係を扱う人事訴訟の一つです。訴える先は、子または父親の住所地を管轄する家庭裁判所で、認知調停と違って当事者の合意で選ぶことはできません(人事訴訟法4条1項)。
訴状に戸籍謄本や証拠を添えて提出し、手数料として収入印紙1万3,000円分と郵便切手が必要です。認知の訴えの費用や必要書類は「子どもの認知の手続きは5種類|認知請求の流れと必要書類を解説」で詳しく紹介しています。
訴訟は裁判官が証拠をもとに判決で決着させる手続きで、和解や請求の認諾(相手が訴えの内容を認めて手続きを終えること)で終わらせることは認められていません(人事訴訟法19条2項)。相手が反論しなかったり欠席したりしても、それだけで主張が認められるわけではなく、父子関係を示す証拠が必要です(同条1項)。
判決が確定したら、訴えた人は確定した日から10日以内に、判決の謄本と確定証明書を添えて認知届を出します(戸籍法63条1項)。
認知の訴えは、父親が生きている間はいつでも提起できます。父親が亡くなった後は、死亡の日から3年以内に限り、検察官を相手として訴えを起こせます(民法787条ただし書、人事訴訟法44条1項)。死後認知の条件や手続きは「死後認知とは?訴えの期間と手続き、相続への影響」で解説しています。
相手が欠席や鑑定の拒否を続けているなら、不成立を見込んで早めに弁護士へ相談しておくと、訴えへの移行を慌てずに進められます。
認知調停でお困りの方は弁護士にご相談ください
認知調停は、認知に応じない父親との間で、家庭裁判所を通じて法律上の親子関係を求める手続きです。合意できれば審判を経て認知届へ、まとまらなければ認知の訴えへと進みます。
弁護士に依頼すれば、申立書や資料の準備、期日への同席、DNA鑑定や異議への対応、訴えへの移行までを一貫して任せられます。
子どもの将来に関わる手続きだけに、一人で進めることへの不安は大きいものです。相手と連絡が取れない、鑑定を拒まれているといった状況でも、まずは現状を整理するところから始めてみてください。
当事務所は、男女問題や認知をめぐるご相談に数多く対応してきました。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お子さまの権利を守る第一歩として、どうぞお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

