
- 子どもを自分一人の手で産み育てていくことになったけど、父親にも最低限の協力はして欲しい…
- そのためには「認知」が必要と人から聞いたけど、そもそも認知ってなんだろう…
- 子の父親が認知を拒否したらどうすればいいのだろう…
この記事ではこのようなお悩みを解決します。
具体的には、
- 認知とは
- 認知された子供の戸籍はどうなる?
- 認知のメリット・デメリット
- 認知の種類
につき、男女問題・男女トラブルに強い弁護士がわかりやすく解説していきます。
シングルマザーに至る経緯としては、男性から結婚を拒絶されたり、不倫相手との間での妊娠であったり、あるいは、子供は欲しいが夫はいらないとお考えの方もいることでしょう。
経緯はどうあれ、子供の父親に対する当然の権利を得させてあげることも母親としての役目です。
それを叶えるための制度が「認知」であり、この記事を読むことで認知の必要性がお分かりいただけます。
貴女を母親として選んで生まれてきてくれる(生まれてきた)子供のために「認知」についての理解を深めたいとお考えの方は最後まで読んでみてください。
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INDEX
認知とは
認知とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(非嫡出子)について、その子供を男性の子供であると認めること認めることによって、男性とその子供との間に親子(父子)関係を発生させることをいいます。
女性の場合、女性は子供を自分のお腹の中で育て子供を出産したという列記とした事実があり、その事実のみをもって産んだ子供が自分(女性)の子供であること、つまり、子供との間に母子関係があるということができます。
他方で、男性の場合、女性と異なり、出産という事実のみをもって、産まれた子供を自分の子供と認めることはできないはずです。
そのため、法律では「嫡出推定」という制度を設け、反証がない限り、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供(嫡出子)を男性(夫)の子供とし父子関係を認めるとしているのです。
嫡出推定とは、婚姻中に妊娠した子供、婚姻成立の日から200日を経過して出産した子供、離婚成立の日から300日以内に生まれた子供(以上、嫡出推定が及ぶ子供)について、反証のない限り、男性(夫)の子供とし父子関係を認めることです。また、婚姻成立の日から200日以内に生まれた嫡出推定されない子供についても、男性(夫)の子供とし父子関係を認める取り扱いとされています。
もっとも、嫡出推定の制度や取り扱いは、婚姻関係にある男女の間に生まれた子供(嫡出子)について適用されるもので、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(非嫡出子)については適用されません。
そのため、非嫡出子と男性との間に父子関係を認めるためには別の制度が必要となるわけですが、それが「認知」というわけです。
非嫡出子の戸籍、認知された子供の戸籍はどうなる?
婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(非嫡出子)の戸籍は母親の戸籍に入ります。
母親が親の戸籍に入ったままの場合は、母親を筆頭者とした新しい戸籍を作る必要があり、そこに子供の戸籍を入れることになります。
このとき、母親の戸籍に入った子供の欄には【父】、【母】の欄が設けられていますが、【父】の欄は空欄のままです。
次に、子供が認知された場合は、父親の戸籍に認知の事実(認知日、認知された子供の氏名など)が記載されますが、父親の戸籍に子供の戸籍が入るわけではありません。
他方で、母親の戸籍には、先ほど空欄だった【父】の欄には父親の氏名が、さらに身分事項(出生などが記載される欄)には認知の事実(認知日、認知した父親の氏名など)が追加されます。
認知のメリット
子供が認知されることによるメリットは以下のとおりです。
養育費を請求できる、支払ってもらえる
子供が認知されると男性と子供との間に親子(父子)関係が生じます。
父子関係が生じるということは、父親にも子供を扶養する法的な義務が生じます。
養育費は父親の法的な扶養義務に基づき請求できるものですから、仮に、父親から支払いを拒否された場合は、最終的には父親の財産を差し押さえて強制的に支払わせることも可能ということです。
これから子供を産むという場合は、男性から任意認知(以下で解説します)してもらえる可能性があるかどうか、可能性がある場合は養育費の支払いをどうするのかについて、まずは話し合いで決める必要があります。
話し合いで決めることができない場合は調停(認知調停、養育費請求調停)という手続きを利用することになります。
すでに子供を出産している方で認知されていない場合も、上記と同様の手続きを踏む必要がありますが、男性に認知を求めた時期などによっては満額(子供を出産したときから今まで)の養育費を支払ってもらえない可能性がありますので注意が必要です。
また、すでに認知されている場合でも、相手に養育費の支払いを求めた時期などによっては同様の結論となる可能性があります。
父親が死亡した場合、子供に相続権が発生する
子供が認知され親子(父子)関係が生じると、父親が万が一死亡した場合、その子供に父親の財産を引き継ぐ権利、つまり、相続権が発生します。
もっとも、父親から引き継ぐ財産は何もプラスの財産だけとは限りません。
父親が借金などのマイナスの財産を抱えていた場合はそのマイナスの財産も引き継いでしまうことになります(引き継ぎたくなければ、父親が死亡した日から3か月以内に家庭裁判所に対して相続放棄する手続きを取る必要があります)。
また、相手男性に婚姻関係にある配偶者や配偶者との間の子供(嫡出子)がいる場合も面倒なことになります。
つまり、この場合、あなたの子供である非嫡出子と嫡出子の相続分は同じですが、配偶者や嫡出人も相続権を有するため、あなたの子供は見知らぬ配偶者や嫡出子と財産をどのように分けるか話し合う遺産分割協議に参加しなければならなくなります。
以上、子供に相続権が発生することはメリットである一方で、相手男性の資産状況、家族状況などによってはデメリットにもなり得ます。
なお、相手男性と婚姻しない限り、あなたには相続権は発生しません。
父親を親権者と定めることができる
これは母親のメリットというよりかは、子供や父親、父親の親族にとってのメリットといってもよいかもしれません。
非嫡出子については、まず母親が親権者となります。
また、認知によって相手男性と子供との間に父子関係が生じますが、認知によって母親の親権が父親に移るわけではありません。
母親を親権者とすることに問題がない場合は現状のままでもよいでしょうが、母親の子供に対する虐待や育児放棄などの兆候が見られる場合は親権者を変更する必要が出てくるでしょう。
親権者を変更するには、家庭裁判所に対して「親権者変更調停」を申し立て、裁判所から変更することへの許可を得る必要があります。
調停を申立てできるのは子供の親族です。
母親の虐待などを理由に母親から父親に親権者を変更する場合は、父親が申立人となることが多いでしょうが、父親が申し立てを行うには、子供との間に父子関係が生じていることが必要です。
認知のデメリット
他方で、認知のデメリットは以下のとおりです。
認知までが大変
相手男性がすんなり認知してくれれば問題はありません。
問題なのは、相手男性が認知することを拒否する場合です。
相手男性から認知を拒否されるケースとしては、相手男性がそもそも自分の子供かどうか疑っている場合、養育費を支払っていくだけの資力がない場合などが考えられます。
相手男性から認知を拒否された場合や認知について話し合いをしても話がまとまらない場合は、あなたの方から後述する認知調停などを申し立て、手続きに参加する必要があります。
相手男性と話が折り合わない場合は解決までに時間がかかり、精神的にも経済的にも負担が大きくなります。
子供に父親の扶養義務を負わせてしまう
認知によって父子関係が発生するということは、その子供も父親を扶養する義務があるということになり、将来的に父親から負担を求められる可能性があるということは頭に入れておくべきです。
もっとも、扶養義務の具体的な方法、程度は、扶養義務者の資力や権利者の生活態度などに応じて柔軟に決めていくべきです。
いくら子供に扶養義務があるからといって、父親がギャンブルに耽ってお金に困っていながら、子供にお金を無心するなどということは許されません。
認知の方法・種類
認知には任意認知と強制認知の2種類があります。
任意認知
任意認知とは、相手男性に自分の意思に従って、自分の子供であると認めてもらうことです。
公的に認知したことにするには、相手男性に、役所に対して認知届を提出してもらう必要があります。
届出を行う人(届出人)は相手男性で、あなたが相手男性に無断で届け出ることはできません。
子供が胎児の場合は母親の、子供が成人の場合は子供の承諾が必要です。
また、遺言による認知も可能で、これも任意認知の一つといえます。
つまり、相手男性が作成する遺言書に「●●(非嫡出子)を自分の子として認知する」などという文言を入れてもらうのです。
そうすることで、相手男性が死亡した以後、死亡した相手男性と子供との間に父子関係が生じます。
強制認知
強制認知とは、任意認知とは反対に、相手男性の意思に反して認知してもらう方法です。
相手男性に子供を認知するよう求めても認知してもらえない場合は、相手男性の住所地を管轄する家庭裁判所又は相手男性と合意した家庭裁判所に対して「認知調停」を申し立てる必要があります。
調停では必要な調査(DNA型鑑定など)が行われ、相手男性が認知することに合意した場合は合意に相当する審判がなされます。
審判が確定したら審判書謄本と確定証明書を役所に持参して認知届を行います。
他方で、調停でも合意に達しない場合は、家庭裁判所に対して「認知の訴え」を提起します。
認知の訴えでは、訴えた方が相手男性と子供との間に父子関係があることをより積極的に証明しなければならない点に調停との違いがあります。
裁判では和解や判決で解決を図ります。
和解の場合は和解調書の謄本、判決の場合は判決謄本と確定証明書を役所に持参して認知届を行います。
≫強制認知とは?メリット・デメリット、手続きの流れなどを解説
まとめ
あなたが認知を望んでも、まずは相手男性が自発的に認知してくれなければ認知によるメリットを受けることができません。
相手男性による認知を望む場合は、まずは話し合いを試み、それでも難しい場合は調停などの方法を取ることを検討しましょう。
認知に限らず、子供の戸籍や養育費のことが関わってくる問題ですので、慎重に対応することが必要です。
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