
認知届に署名・押印できるのは、原則として父親本人だけです。ところが役所の窓口では、署名が本人のものかどうかまでは確かめられず、母親などがなりすまして認知届を提出してしまうことが現実に起こります。
身に覚えのない認知が成立すると、認知された子から養育費を求められたり、父親が亡くなった際に相続人になったりします。そのまま放置できない問題です。
「勝手に認知届を出されるかもしれない」「すでに出されているかもしれない」と不安を抱えている方も、少なくないのではないでしょうか。
この記事では、男女トラブルに取り組む弁護士が、勝手な提出を事前に防ぐ方法と、出されてしまった場合の取り消し方を、次の流れでお伝えします。
- なぜ勝手に提出されてしまうのか
- 出される前に防ぐ「不受理申出」の手続き
- 出された認知を取り消す「認知無効」の流れ
- 血縁関係があるときに認知は取り消せるか
なお、認知届の勝手な提出にお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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認知届の勝手な提出を防ぐ対策
勝手に提出されるおそれがあるなら、先手を打って「認知届不受理申出」をしておく方法があります。
認知届不受理申出のしくみ
認知届不受理申出とは、申し出た父親本人が役所の窓口に出向いて手続きしたと確認できない限り、その人を父とする認知届を受理しないよう求めておく制度です。一度申し出ると、本人が取り下げるまで効力が続きます。
任意認知(父親が自らの意思でおこなう認知)に期限はなく、いつ届出が勝手に出されるかを見越すのは困難です。だからこそ、不安があるうちに申し出ておくほうが安心につながります。
不受理申出の手続きと必要なもの
認知届不受理申出の手続きは、申出をする本人が市区町村の窓口でおこないます。なりすましによる勝手な提出を防ぐための制度ですから本人確認は厳格で、顔写真付きの公的な身分証明書の持参を求められます。窓口で用意するものは次のとおりです。
- 不受理申出書(窓口で受け取るか、自治体のホームページから入手)
- 顔写真付きの本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
- 印鑑(自治体によって求められることがあります)
必要書類や受付窓口は自治体によって違うため、出向く前に役所へ確認しておくと手続きがスムーズです。
参考:届出を受理されたくないとき【不受理届】 | 舞鶴市 公式ホームページ
勝手に提出された認知届を取り消せるか
すでに勝手に提出されて受理されてしまった認知届を取り消せるかどうかは、血縁上の父子関係があるかどうかで決まります。血縁関係がなければ、その認知は事実に反するとして、無効を主張できます。
認知無効を主張して取り消す
血縁上の父子関係がないのに認知が成立してしまったときは、認知の無効を主張できます(民法786条)。
認知無効は「特殊調停事件」と呼ばれ、いきなり訴訟を起こすのではなく、まず家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります(調停前置主義)。申立先は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、当事者が合意で定めた家庭裁判所です。話し合いで無効の点に争いがなくなり、家庭裁判所が事実を調べて認めれば、「合意に相当する審判」で決着します。合意できなければ、認知無効の訴え(人事訴訟)へ進みます。
調停の申立てにかかる費用は、収入印紙1,200円のほか、連絡用の郵便切手や戸籍謄本などの取得実費です。訴訟へ移る場合は別途手数料がかかります。
改正後の民法786条では、認知の無効を主張できる人と、その期間(原則として各起算点から7年)が定められました。ただし、父親になりすました人が出した認知届は、父親自身に認知の意思がないため、この期間の扱いや、親子関係不存在確認(戸籍上の親子関係がないことを裁判で確認する手続き)との関係に難しい論点が残ります。どの手続きをいつまでに取るべきかは、弁護士に確認することをおすすめします。
なお、父親になりすまして認知届を作成・提出した人は、有印私文書偽造罪(他人名義の書類を勝手に作る罪)や、虚偽の届出によって戸籍に事実と異なる記載をさせる罪(電磁的公正証書原本不実記録罪)などに問われる可能性があります。
関連記事:認知の取り消しはできる?取り消せない場合の対処法も解説
血縁関係があれば認知は取り消せない
認知の無効が認められるのは、血縁上の父子関係がない場合に限られます。手続きの中でDNA鑑定をおこない、実の親子だと判明すれば、勝手に出された認知届であっても無効にはできません。
さらに血縁関係がある場合、子や母親は強制認知(認知調停や認知の訴え)によって認知を求めることができ、認知が認められれば父親に養育費の支払義務が生じます。「実子だが養育費を払いたくない」といった理由で認知を拒み続けることはできない点にも注意が必要です。
強制認知の具体的な流れや、認められないケースについては「強制認知とは?手続きの流れと費用、負けるケースを弁護士が解説」をご参照ください。
認知届を勝手に提出されてお困りの方へ
認知届を勝手に出されるおそれには「認知届不受理申出」で備えることができ、すでに出されてしまった場合も、認知無効の手続きで取り消せる場合があります。
もっとも、認知無効は家庭裁判所での調停・訴訟が必要で、DNA鑑定の結果や、改正民法で定められた主張期間の制限が結果を大きく左右します。早い段階で弁護士に相談し、見通しと方針を整えておくことが、有利な結果に直結します。
身に覚えのない認知届が出されたと知ったときの不安や戸惑いは、ひとりで抱えこむには重すぎるものです。役所から通知が届いた場合や、戸籍に認知の記載を見つけた場合でも、まずは落ち着いてご相談ください。
当事務所では、認知無効の調停・訴訟の代理や、主張立証の組み立てまで、男女問題に取り組む弁護士が伴走します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

