子どもの認知の手続きは5種類|認知請求の流れと必要書類を解説

「結婚していない相手との間に生まれた子どもを、父親に認知してもらうには、どんな手続きが必要なのか」。子どもの認知の手続きは、父親の意思で行う「任意認知」と、家庭裁判所を通じて認知を求める「強制認知」の2系統、細かく分けると5種類に整理できます。

相手が応じてくれるかどうかで、進め方は大きく変わります。「相手は認めると言っているけれど、役所に何を出せばいいのかわからない」という方もいれば、「認知を拒まれているので、調停や裁判で認知請求をしたい」という方もいるでしょう。

そこでこの記事では、男女トラブルに強い弁護士が、

  • 認知とは何か・5種類の方法の違い
  • 任意認知3つの届出と必要書類
  • 認知請求(強制認知)の流れと費用

についてわかりやすく解説します。お読みいただくと、ご自身のケースではどの方法をとればよいのか、まず何を用意すべきかを整理できます。

なお、子どもの認知についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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子どもの認知とは?手続きは任意認知・強制認知の5種類

認知とは、結婚していない父母(内縁関係や事実婚の相手を含む)のもとに生まれた子ども(非嫡出子)と父親との間に、法律上の親子関係を生じさせる制度です(民法第779条)。母親と子どもの親子関係は出産の事実によって当然に生じますが、父親については、血のつながり(血縁関係)があっても認知がない限り、法律上は他人のままです。

認知によって法律上の父子関係が生じると、子どもは父親に対して養育費を請求できるようになり、父親が亡くなったときにはその相続人になります。子どもの戸籍には父親の氏名が記載されます(子どもの氏や戸籍そのものは、認知だけでは変わりません)。認知の効果や、認知してもらえない場合の不利益については子供の認知とは?効果や手続き、認知しない場合の不利益を解説で詳しく説明しています。

認知の効力は、届出や裁判の時点ではなく、子どもの出生時にさかのぼって生じます。

民法第784条(認知の効力)

認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

出典:e-Gov法令検索

認知の手続きそのものに期限はなく、子どもが胎児のうちから、成人した後まで行えます。もっとも、成人した子どもを認知するには本人の承諾が、胎児を認知するには母親の承諾が必要です(民法第782条・第783条1項)。また、父親がすでに亡くなっている場合は、死亡日から3年以内であれば裁判で認知を求める道が残されています(民法第787条ただし書)。

この2系統の手続きをさらに細かく分けると、次の5種類になります。

任意認知
(父親の意思で認知)
①胎児認知
②認知届による認知
③遺言による認知
強制認知
(裁判所の手続きで認知)
④認知調停・認知の訴え
⑤死後認知(父が死亡している場合)

父親が認知に応じてくれるのであれば、父親が役所に認知届を出すことで認知が成立します。出生前であれば母親の承諾を得て胎児認知をすることもでき、生前に届け出ることを望まない父親が遺言で認知の意思を残す方法もあります。一方、父親が「自分の子ではない」「認知はしない」と拒んでいる場合や、連絡が取れない場合は、家庭裁判所に調停や訴えを起こして認知請求を行うことになります。

以下では、任意認知の3つの手続きと、強制認知(認知請求)の流れを順番に見ていきます。

任意認知の3つの手続き

任意認知は、戸籍法の定める方式で市区町村役場に届け出ることによって行います(民法第781条1項)。父親が認知の意思を示すタイミングによって、出生前に行う「胎児認知」、出生後に行う「認知届による認知」、遺言で意思を残す「遺言による認知」の3つに分かれます。

任意認知の制度全般について詳しく知りたい方は、任意認知とは?手続きの方法・必要書類・届出期限を解説も合わせてお読みください。

胎児認知

胎児認知は、子どもがまだ母親のお腹の中にいる段階で行う認知です。父親は胎児の段階でも子どもを認知でき、その際には母親の承諾を得なければなりません(民法第783条1項)。

出産前に父親に万一のことがあっても、子どもの相続権などを確保できるのが利点です。なお、母親が離婚から300日以内に出産するなど、生まれた子どもに元夫の嫡出推定(元夫の子と推定する法律上の扱い)が及ぶ場合には、胎児認知の効力は生じません(民法第783条2項)。

胎児認知の詳しい手続きは、胎児認知とは?母親が提出可能?手続方法と拒否された場合の対策で解説しています。

胎児認知の届出

  • 届出人:認知をする父親
  • 届出先:母親の本籍地の市区町村役場(戸籍法第61条)
  • 必要書類:認知届/母親の承諾書/届出人の本人確認書類(押印は任意)

母親の承諾書は、認知届の「その他」欄に母親が承諾する旨を書き、住所と氏名を自署することで代えることもできます。

認知届による認知の必要書類と届出先

子どもが生まれた後に、父親が市区町村役場へ認知届を提出する方法で、任意認知のもっとも基本的な形です。胎児認知と違って母親の承諾は必要なく、父親が一人で届け出ることができます。届出人(届書に署名する人)は父親本人であり、母親が父親に代わって届出人になることはできませんが、父親が記入・署名した届書を母親が窓口に持参することは可能です。

ただし、認知する時点で子どもが成人(18歳以上)に達している場合は、子ども本人の承諾がなければ認知できません(民法第782条)。承諾書を添付するか、認知届の「その他」欄に子ども本人が承諾する旨を記載して署名します。

届出先は父親または子どもの本籍地か、届出人の所在地の市区町村役場です(戸籍法第25条1項)。

認知届による認知の届出

  • 届出人:認知をする父親
  • 届出先:父親または子どもの本籍地、もしくは届出人の所在地の市区町村役場
  • 必要書類:認知届/届出人の本人確認書類(押印は任意)/(子どもが成人している場合)子どもの承諾書

遺言による認知

遺言で子どもを認知することも認められています(民法第781条2項)。遺言は遺言者が亡くなった時に効力を生じるため(民法第985条1項)、父親の死亡と同時に認知の効力が生じ、子どもは父親の相続人となります(子どもが成人している場合は本人の承諾が必要です)。

生前は家族との関係などから認知に踏み切れなかった父親が、亡くなった後に父子関係を残すために用いる方法です。遺言書には、子どもを認知する旨に加えて、子どもの氏名・生年月日・本籍と母親の氏名を特定できるように記載しておきます。

遺言による認知の届出は、遺言執行者(遺言の内容を実現する役目を負う人)が就任した日から10日以内に、遺言書の謄本を添えて行わなければなりません(戸籍法第64条)。遺言で遺言執行者を指定していない場合は、相続人などの利害関係人が家庭裁判所に申し立てて選任してもらいます。

遺言による認知の届出

  • 届出人:遺言執行者
  • 届出先:父親(遺言者)または子どもの本籍地、もしくは届出人の所在地の市区町村役場
  • 必要書類:認知届/遺言書の謄本/(子どもが成人している場合)子どもの承諾書

認知請求(強制認知)の手続きの流れ

父親が任意認知に応じないときや、連絡がつかないときには、子どもや母親の側から家庭裁判所の手続きを使って認知を求められます。これを認知請求といい、裁判所の判断で認知の効果を生じさせることから強制認知(裁判認知)とも呼ばれます。

強制認知は、原則として①認知調停の申立て → ②認知の訴え → ③認知届の提出という順序で進みます(調停で合意が成立し、審判が確定した場合は②を経ずに③へ進みます)。父親がすでに亡くなっている場合は、調停を経ずに「死後認知」の訴えを起こします。相手が父子関係を強く争っている場合は、申立ての前に弁護士へ相談しておくと、その後の進め方を見通しやすくなります。

強制認知の要件や認められないケースについては、強制認知とは?手続きの流れ・費用・認められないケースを解説も合わせてお読みください。

①認知調停の申立て

認知を求める裁判を起こす前に、まず家庭裁判所に認知調停を申し立てなければなりません(調停前置主義。家事事件手続法第257条1項)。

調停では、調停委員が申立人と父親の双方から個別に事情を聞き、話し合いによる解決を目指します。当事者間で父子関係を認める合意ができ、家庭裁判所がDNA鑑定などの調査を経てその合意を正当と認めると、「合意に相当する審判」(合意内容を裁判所が正式に認める決定。家事事件手続法第277条)が出され、確定すれば確定判決と同じ効力をもって認知の効力が生じます(同法第281条)。DNA鑑定の費用(10万円前後とされます)は、原則として申立人が負担します。

認知調停の申立て

  • 申立人:子ども/子どもの直系卑属(子どもの子など)/これらの人の法定代理人(母親など)
  • 申立先:父親(相手方)の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で決めた家庭裁判所(家事事件手続法第245条1項)
  • 必要書類:申立書とその写し/子どもの戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)/父親の戸籍謄本
  • 費用:収入印紙1,200円分/連絡用の郵便切手(金額は申立先の家庭裁判所に確認)

母親が離婚してから300日以内に生まれ、出生届をまだ出していない子どもについては、出生証明書の写しと母親の戸籍謄本も添付します。この場合は元夫の子と推定する規定(民法第772条1項・2項)が働くため、認知の前提として元夫との父子関係を否定する手続きが必要になることがあります。

認知調停の詳しい流れは、認知調停の申立て方法と流れ|何が証拠になる?不成立の場合は?で解説しています。

②認知の訴え

父親が調停に出てこない、あるいは父子関係を認めずに調停が不成立に終わった場合は、家庭裁判所に認知の訴え(認知訴訟)を起こします。

訴えを起こせる裁判所は、子どもまたは父親の住所地の家庭裁判所に限られ、調停のように当事者の合意で選ぶことはできません(人事訴訟法第4条1項)。訴訟では、DNA鑑定の結果などの証拠にもとづいて裁判官が父子関係の有無を判断し、判決が確定すると、父親の意思にかかわらず認知の効力が生じます

なお、認知の訴えは身分関係を扱う人事訴訟にあたるため、通常の民事裁判と異なり、和解で父子関係を確定させることはできません(人事訴訟法第19条2項)。

認知の訴え

  • 原告:子ども/子どもの直系卑属/これらの人の法定代理人
  • 提起先:子どもまたは父親の住所地の家庭裁判所
  • 必要書類:訴状の正本と副本/証拠書類の写し/原告・被告・子どもの戸籍謄本
  • 費用:手数料(収入印紙)13,000円/郵便切手代/DNA鑑定費用

③認知届の提出(10日以内)

調停での審判や判決によって認知が認められても、戸籍に反映させるには届出が必要です。審判または判決が確定した日から10日以内に、市区町村役場へ認知届を提出しなければなりません(戸籍法第63条1項)。

正当な理由なく期限を過ぎると、5万円以下の過料(行政上の制裁金)を科される可能性があります(戸籍法第137条)。

審判・判決確定後の認知届

  • 届出人:調停の申立人または訴えを提起した人
  • 届出先:父親または子どもの本籍地、もしくは届出人の所在地の市区町村役場
  • 必要書類:認知届/審判書または判決書の謄本と確定証明書/届出人の本人確認書類

父が亡くなっている場合の死後認知

父親がすでに亡くなっている場合でも、認知請求はできます。もっとも、父親の死亡日から3年以内に認知の訴えを起こさなければなりません(民法第787条ただし書)。

被告は父親本人ではなく検察官となるため(人事訴訟法第12条3項)、話し合いを前提とする調停にはなじまず、父親の死亡時の住所地または子どもの住所地の家庭裁判所へ直接訴えを提起します。父子関係の立証には、父親の親族にDNA鑑定への協力を求めることが多くなります。

死後認知の詳しい手続き・費用・遺産分割への影響は、死後認知とは?認められる条件と手続き・相続への影響にまとめています。

子どもの認知の手続きでお悩みの方は弁護士にご相談ください

子どもの認知の手続きには、父親の意思で行う任意認知(胎児認知・認知届・遺言)と、裁判所の手続きで認知請求をする強制認知(調停・訴えによる認知、死後認知)の5種類があり、方法ごとに必要書類や届出先が異なります。

とくに父親が認知を拒んでいるケースでは、父子関係を裏づける証拠をそろえ、調停や訴訟で相手と向き合わなければならず、当事者だけで進めるには大きな負担がかかります。弁護士に依頼すれば、相手との交渉や書面の作成、調停・裁判への対応、認知後の養育費の取り決めまで一括して任せられ、相手と直接やり取りせずに済みます。

「相手が認知に応じてくれない」「調停や裁判の準備に不安がある」と一人で抱え込んでいる方は、早めに弁護士へご相談ください。

当事務所は、子どもの認知や養育費など、婚姻関係にない男女の間の問題を数多く解決してきた実績があります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

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