認知請求の方法|調停や裁判(訴え)手続きの費用や必要書類

婚姻関係にない男性との間に子どもができた場合、何らかの理由で女性がシングルマザーとして子どもを育てていくのであれば、男性に対して認知請求をすべきでしょう。

なぜなら、子供の認知とは?そのメリットと認知されない子供のデメリットに詳しく書かれていますが、子が認知されることで父親である男性に養育費を請求することができますし、将来的に男性の財産を子が相続することもできるようになるからです。

とはいえ、

  • 認知請求の方法がわからない…
  • 調停や裁判で認知請求する場合の必要書類や費用などが知りたい…

といった悩みを抱えている方もいることでしょう。

そこでこの記事では、子どもの認知問題に強い弁護士が、

  • 認知請求の方法(種類)
  • 各認知請求の必要書類・費用・申立先 など

についてわかりやすく解説していきます。

記事を最後まで読んでみたものの、ご自身一人での解決は難しいと思われた場合には、弁護士までご相談ください。

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認知請求の方法(種類)

「認知」とは、婚姻関係にない父母の間に生まれた子ども(非嫡出子や嫡出でない子と言います)と父親の間に、親子関係を創設するための身分上の法律行為のことを指します

認知により父子間に法律上の親子関係が認められると、冒頭でも述べたように、子は父親から養育費を受け取ることができますし、相続人としての資格も取得します。

このようなメリットを享受できる「認知」ですが、認知を請求する方法としては大きく分けて「任意認知」と「強制認知」の2つになります。

任意認知とは、父親が自分の意思で子を認知することです。

一方、強制認知とは、父親が子どもを認知することに合意してくれない場合に、家庭裁判所に認知調停や認知の訴えを起こすことによって、父親の意思にかかわらず、裁判所に「子供を認知してもよい」というお墨付きをしてもらえることをいいます。

さらに任意認知と強制認知は以下のように分類することができます。

任意認知胎児認知
認知届による任意認知
遺言による任意認知
強制認知(裁判認知)認知の訴え(訴訟の前に「認知調停」を申し立てる必要があります)
死後認知

以下では、それぞれの認知請求の方法について解説していきます。

任意認知

任意認知は、戸籍法の定める方法に従い役所に認知届を提出することで認知の効果が発生することになります(民法第781条1項参照)。

以下では、任意認知である、胎児認知認知届による認知遺言による認知についてそれぞれ、必要書類と届出先について解説していきます。

任意認知についてより詳しく知りたい方は、任意認知とは?手続き方法や成立要件などをわかりやすく解説も合わせて読んでみて下さい。

胎児認知

「胎児認知」とは、任意認知の一種で、子どもが生まれる前(胎児)の段階で行う認知の手続きです

民法では「父は、胎内に在る子でも、認知することができる」と規定されています(民法第783条1項前段参照)。

認知は子どもが生まれてから行うことが一般的であると考えられていますが、父親が子どもが出生するまで存命できない可能性がある場合などには、胎児の段階でも認知により子どもに法的保護が与えられるようにしておく必要があります。

しかし、胎児認知をするためには、「母親の承諾」があることが必須となります(同法条後段参照)。

胎児認知とは?母親が提出できる?メリットと認知届の出し方

必要書類

胎児認知をする父が届出人となって、以下の書面を提出する必要があります。

  • 認知届:認知届の用紙については、各市区町村役場に雛型が備え置かれています。市区町村によっては役場のホームページからダウンロードも可能です。
  • 母親の承諾書:胎児認知の場合には、母の承諾書が必須となります。認知届のその他の欄に記載することでも可能です。具体的には、その他の欄に母親が「この届出を承諾する。」と記載し、住所・氏名を自署して印鑑を押印することができます。
  • 認知届をする者(父親)の印鑑:父親の印鑑を押印する必要があります。朱肉を使用しないタイプの印鑑(シャチハタなど)は不可とされる可能性が高いです。
  • 認知届をするもの(父親)の身分証明書:父親の身分証明書が必要となります。運転免許証やマイナンバーカードなど顔写真付きの身分証を求められることが多いので用意しておきましょう。

届出先

母親の本籍地を管轄する市町村役場(各役所の区民課や各支所区民センター窓口などが対応しています)。

認知届による認知

任意認知には前述の胎児認知のほかにも、子どもが生まれた後に認知届によって行う認知があります。

認知届による認知の手続きは胎児認知と違い母親の承諾がなくても父親のみで行うことができます。

ただし子どもが成人している場合には、子ども自身の承諾が必要となります(民法第782条参照)。

「認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる」と規定されています(民法第784条参照)。そのため父親が認知届を子どもが生まれた直後に提出しても、子どもが成長して成人した後から提出しても、認知の効力は子どもの出生の日まで遡及します(ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできません)。

必要書類

認知をする父親が届出人になって、以下の書類を提出する必要があります。

  • 認知届
  • 子どもの承諾書:子どもが成人している場合に、任意認知するには子どもの承諾書が必須となります。認知届の「その他の欄」に承諾する旨を記載することでも可能です。この場合、その他の欄に子が「この届出を承諾する。」と記載し、住所・氏名を自署して印鑑を押印することになります。
  • 認知届をする者(父親)の印鑑
  • 認知届をするもの(父親)の身分証明書
  • 父親と子どもの戸籍謄本 各1部:本籍地以外で認知届を提出する場合には、父親と子どもの本籍がわかるために戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本)をそれぞれ一部ずつ用意する必要があります。子どもの戸籍謄本を提出するためには、事実上母親に協力してもらう必要が出てくるでしょう。

届出先

父親もしくは子どもの本籍地、または父親の住民票記載の住所地のいずれかを管轄する市区町村役場

遺言による認知

「認知は、遺言によっても、することができる」と規定されています(民法第781条2項参照)。このように遺言によって認知することを遺言認知といいます

また、「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる」と規定されているため(民法第985条1項参照)、父親が死亡した時点で子どもは父親の法律上の子どもになります

遺言認知をする際には、遺言執行者を定めておく必要があります。遺言執行者が定められていない場合には、家庭裁判所が相続人が家庭裁判所で遺言執行者の選任手続きをする必要があります。遺言執行者は就任から10日以内に認知の届出をする必要があります。

必要書類

  • 認知届:認知届に遺言書など必要書類を添付して提出します。
  • 遺言書:遺言書には、遺言者(父)と母の間に生まれた子どもが「自分の子として認知する」旨を記載する必要があります。遺言書には子どもの住所・氏名・生年月日・本籍地・戸籍筆頭者を記載しておきましょう。

届出先

以下のいずれかの市区町村役場に届け出る必要があります。

  • 遺言者の本籍地
  • 子どもの本籍地
  • 遺言執行者の住所地

裁判認知(強制認知)

父親が任意認知をしてくれない場合には、裁判所の手続きを利用して父親に認知を求めていくことができます。これを裁判認知(強制認知)といいます。

強制認知についてより詳しく知りたい方は、強制認知とは?メリット・デメリット、手続きの流れなどを解説も合わせて読んでみて下さい。

認知調停

原則として、認知訴訟に先行して認知調停を申し立てなければなりません(調停前置主義)。しかし、例外として既に父親が死亡している場合には、調停をせずとも訴訟を提起することができます。

調停手続きは裁判官と調停委員2名が当事者の間に入り、話し合いによって解決を目指す手続きになります。当事者間で合意が成立した場合には、調書にその旨が記載されます。また家庭裁判所は「合意に相当する審判」をすることができます。調停調書や確定した審判は、確定判決と同一の効力を有することになります

認知調停の申立て方法と流れ|何が証拠になる?不成立の場合は?

認知調停を申し立てることができる人

  • 子ども
  • 子どもの直系卑属(子どもの子ども)
  • 子または子の直系卑属の法定代理人

必要書類

  • 申立書及びその写し1通
  • 子の戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本)
  • 相手方の戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本)
  • 子どもの出生証明書の写し・母親の戸籍謄本(婚姻を解消してから300日以内に生まれた出生届をしていない子どもに関する申立ての場合)

費用

  • 収入印紙1200円分
  • 連絡用の郵便切手(具体的には管轄裁判所に確認する必要があります。)

認知の訴え

調停・審判によって認知を決することができなかった場合には、裁判所に訴訟を提起していくことになります

認知の訴えが提起された場合には、生物学上の父子関係を証明するためにDNA鑑定などを実施して厳密に親子関係が判断される可能性が高いです。

なお、訴訟に移行してからも当事者間において和解で紛争解決を図ることは可能ですので、和解により認知の可否がまとまるケースもあります。

認知の訴えをできる人

  • 子の直系卑属
  • 子または子の直系卑属の法定代理人

必要書類

  • 訴状の正本および副本
  • 証拠書類の写し
  • 原告、被告、子どもの戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本)

費用

  • 手数料:基本的に手数料13000円が基本的にかかります。
  • 郵便切手代
  • DNA型鑑定費用:生物学上の親子関係を明らかにするため鑑定を実施します。原則として申立人が鑑定費用を負担する必要があります。鑑定費用として10万円前後必要となります。

訴訟を提起する裁判所

  • 原告または被告の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 当事者が合意で定める家庭裁判所

死後認知

父親が既に死亡して以降、認知を求める訴えを死後認知といいます

父親が死亡した日から「3年」が経過するまえに、認知の訴えを提起する必要があります(民法第787条参照)。被告は検察官です。

死後認知とは?やり方や期間・費用、遺産分割への影響を解説

死後認知訴訟を提起できる人

  • 子の直系卑属
  • 子および子の直系卑属の法定代理人

必要書類

  • 訴状の正本および副本
  • 証拠書類の写し
  • 原告、被告、子どもの戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本)

費用

  • 手数料:13000円
  • 郵便切手代
  • DNA型鑑定費用:死亡した父の遺族に協力してもらい父子関係を立証していく必要があります。

訴訟を提起する裁判所

  • 原告または被告の住所地を管轄する家庭裁判所
  • 当事者が合意で定める家庭裁判所

審判確定・判決確定後の認知届について

審判確定後・判決確定後についても「認知届」の提出が必要です

提出期限

審判確定または判決確定から10日以内に以下の必要書類を提出する必要があります。提出が遅れると過料の対象になります。

必要書類

以下の必要書類を提出する必要があります。

  • 認知届
  • 裁判の謄本および確定証明書
  • 届出人の印鑑
  • 届出人の身分証明書
  • 父および子の戸籍記載事項全部証明書(戸籍謄本) 各1部:本籍地以外で出す場合に必要となります。

届出先

父または子どもの本籍地または届出人の所在地を管轄する市区町村役場

まとめ

認知請求の方法について解説してきました。

ただ、人によっては、

  • 認知調停や認知の訴えの手続き方法が難しくて一人でできそうにない
  • 調停委員や裁判官を前にして、相手男性が子の父親であることをうまく立証できるだろうか

といった悩みや不安を抱える方もおられるかと思います。

この点、弁護士に依頼すれば、相手男性とのやり取りはもちろん、調停や裁判の手続き、証拠にもとづく父性の立証もすべて一任することができます。また、認知が認められた後の養育費の支払いに関する合意書も弁護士であれば不備のない書面を作成してくれます。

弊所では、子の認知に関するトラブルの解決を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、「子どものためにもできる限りのことをしてあげたいけど1人で戦うのは心細い」という方は弁護士までご相談ください。

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