認知した父親は親権者になれる?親権取得の方法を弁護士が解説

「子供を認知したのだから、自分にも親権があるはずだ」「認知した父親でも、子供を引き取って育てられるのか」と考えている方もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、子供を認知しただけでは、父親は親権者にはなれません。認知した子供の親権は原則として母親が持つため(民法819条4項)、父親が親権者になるには、母親との話し合いで父親(または父母双方)を親権者と定めるか、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停・審判で定めてもらう必要があります。

2026年4月施行の改正民法で父母双方を親権者とする共同親権も選べるようになりましたが、母親の同意が得られなければ家庭裁判所の手続きは避けられません。

本記事では、男女問題に強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 認知しただけでは親権者になれない理由
  • 認知した父親が親権を取得する方法
  • 母親が話し合いに応じないときの手続き
  • 家庭裁判所で親権者と認められるための準備

お読みいただくことで、母親との話し合いをどう進めるか、まとまらないときに家庭裁判所で何をすべきか、今から何を準備すべきかを判断できます。

なお、子供を引き取りたいとお考えの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談をご利用ください。

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認知した父親が親権を取得する方法

認知の対象となるのは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供(婚外子・非嫡出子)です。母親と子供の親子関係は出産の事実によって当然に生じるため、母親は出生と同時に親権者になります。認知の効果や手続きは「子供の認知とは?効果や手続き、認知しない場合の不利益を解説」で解説しています。

これに対して、父親は認知によって法律上の親子関係を得ますが、民法819条4項は「父が認知した子に対する親権は、母が行う」と定めており、認知届を出しただけでは親権者になりません。親権を取得するには、協議または家庭裁判所の手続きを別途踏む必要があります。

(離婚又は認知の場合の親権者)

第八百十九条

4 父が認知した子に対する親権は、母が行う。ただし、父母の協議で、父母の双方又は父を親権者と定めることができる。

出典:e-Gov法令検索

なお、父親が親権者になっても子供の戸籍は基本的に母親の戸籍に残るため、戸籍の扱いは「婚外子(非嫡出子)を認知すると戸籍はどうなる?記載と手続き」をご覧ください。

以下では、手続きの流れと、家庭裁判所で認めてもらうための準備を順に解説します。

母親と話し合い、父親または父母双方を親権者と定める

認知した父親が親権を取得する最初の方法は、母親との協議(話し合い)です。父母の協議で父親を親権者と定めることも、父母の双方を親権者と定める共同親権を選ぶこともできます(民法819条4項ただし書)。

協議で親権者を定めようとするときは、市区町村役場にその旨を届け出ます(戸籍法78条)。話し合いで合意できれば家庭裁判所を経ずに済むため、時間も費用も最も少ない方法です。

もっとも、母親側からすれば親権を父親に移すことは「子供を手放す」ことと受け止められがちで、話し合いがまとまらないことも少なくありません。母親が何を心配しているのか(子供と会えなくなるのではないか、生活費はどうなるのか等)を聞き取り、面会交流(離れて暮らす親が子供と定期的に会うこと)の機会や生活面での協力を具体的に示すことで、合意に至る余地が広がります。感情的になって話が進まない場合は、弁護士を通じた交渉も一つの方法です。

話し合いがまとまらなければ家庭裁判所に調停・審判を申し立てる

協議に応じてもらえない場合や合意できない場合、認知した父親は、家庭裁判所に対して自分を親権者と定める審判を求めることができます(民法819条5項)。申立先は、審判なら子供の住所地(家事事件手続法167条)、調停なら原則として母親の住所地を管轄する家庭裁判所です。

実務上は、まず親権者指定(または変更)の調停を申し立てるのが一般的です。調停は、調停委員を交えて親権者の定め方を話し合う手続きで、合意できなければ審判に移行し、家庭裁判所が親権者を決定します。

家庭裁判所の手続きには、協議に代わって親権者を定める「親権者の指定」(民法819条5項)と、子供の利益のため必要があれば変更する「親権者の変更」(同条6項)の2種類があります。

改正民法では、家庭裁判所が父母の双方を親権者と定めることも可能になりましたが、父母の一方が子供の心身に害悪を及ぼすおそれがある場合や、父母が共同して親権を行うことが困難と認められる場合などには、父母のどちらか一方だけが親権者と定められます(単独親権。民法819条7項)。

母親が亡くなった場合でも認知した父親が自動的に親権者になるわけではなく、家庭裁判所に親権者の指定・変更を申し立てる必要があります。

結論を待てない事情があるときは審判前の保全処分を検討する

調停・審判の結論が出るまでの間、子供を母親の下で監護させることが適当でない事情があるときは、暫定的な処分である「審判前の保全処分」(家事事件手続法175条)を検討します。具体的には次の申立てです。

  • 母親による親権の行使(職務執行)を停止する保全処分
  • 停止中、父親を親権者の職務代行者(親権者に代わって親権を行う立場)と定める保全処分
  • 認知した父親に子供を引き渡すよう命じる保全処分

子供の引渡しまで認められれば、調停・審判の結論を待たずに父親が子供と暮らせるようになります。もっとも、認められるためのハードルは高く、母親による虐待や育児放棄が疑われるなど、子供を父親の下で生活させる緊急性・必要性が高い場合に限られると考えておきましょう。

監護実績を積み重ね、面会交流で子供との関係を保つ

家庭裁判所は、親権者を母親から認知した父親に変えることが本当に子供の利益になるかを慎重に判断します。現在の環境で問題なく育っていれば、その環境を維持するほうが子供のためになると考えられやすいからです。

そのため、父親が調停・審判で親権を認めてもらうには、実際に子育てに関わってきた事実(監護実績)と、今後の養育環境が整っていることを具体的に示すことが重要です。子育てを行った日時や内容、その際の子供の様子などを日記や写真、動画などに記録しておきましょう。こうした記録は、子供との関わりが途切れず続いてきたことを示す裏付けになります。

子供と離れて暮らしている場合は、面会交流を通じて子供との関係を維持していくことが大切です。母親が面会交流に消極的な場合は、家庭裁判所に面会交流調停を申し立てることも検討しましょう。

母親の養育に問題があるときは事実を記録して証拠を残す

母親の下で子供が適切に養育されていないことは、認知した父親が親権者の指定・変更を認めてもらううえで重要な事情になります。虐待や育児放棄、生活環境の悪化などがうかがえる場合は、面会交流の際に気づいたことや子供の言葉を日記に残し、けがや生活状況が分かる写真、音声、動画などの形で証拠を確保しておきましょう。児童相談所や学校・保育園に相談した記録も客観的な資料になります。

一方で、「相手の子育ての仕方や教育方針が気に入らない」という理由だけでは、親権者の変更は認められにくいのが実情です。申立ての前に、どのような事情を示せるかを整理しておきましょう。

認知した子供の親権取得でお悩みの方は弁護士にご相談ください

認知した父親が親権者になる道は、母親との協議か、家庭裁判所の調停・審判の2つです。いずれも「子供の利益」が判断基準となり、監護実績や養育環境をどれだけ具体的に示せるかが結論を左右します。

弁護士に依頼すれば、母親との交渉を代わりに進めるとともに、調停・審判で主張すべき事情と裏付け資料を整理し、あなたの状況に合った進め方を組み立てることができます。

「子供を引き取りたいが、何から始めればよいかわからない」「母親の子育てに不安があり、早く手を打ちたい」という状況は、精神的な負担も大きいものです。お一人で悩まず、お早めにご相談ください。

当事務所は認知した子供の親権をはじめとする男女問題に注力しており、全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

男女問題・男女トラブルに強い法律事務所の代表弁護士。事務所全体で年間1,500件以上の男女トラブル相談を受けており、不倫慰謝料、妊娠トラブル、婚約破棄、パパ活トラブル、ストーカー被害など、他人に相談しづらい問題を穏便かつ内密に解決することを得意とする。相手の暴力的・脅迫的な言動にも弁護士が毅然と対応し、依頼者の平穏な生活を取り戻すために全力を尽くしている。

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